勇者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者37歳……実はパーティメンバーにヤバいほど慕われていた

秋月静流

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おっさん、責任を取る

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「はい、おっさん。
 あ~んして」
「――おい、シア」
「ん。早く口を開ける。
 シアの次はあたしの番」
「だからリア――」
「もちろんリアの次はわたくしですわ。
 ガリウス様のご寵愛を賜りたいんです」
「っていうか、フィーまで!
 何なんだよ、お前ら!
 一か月前のツレない態度はどうした!?」

 翌朝――
 俺は両脇にリア(右腕ホールド)とフィー(左腕ホールド)。
 更に背中からシアにのし掛かられているという、非常に危険な体勢で朝食を摂っていた。
 どうしてこうなった!?
 いったい俺が寝ている間に何が起きた?
 昨夜、13魔将との激闘を終えた俺達は、魔神皇が封印されているという城が消え去ったのを確認後、麓の開拓村に戻った筈。
 自宅のベッドに倒れ込んだところまでは意識に残っているが……
 朝起きたら狭いベッドにこいつらが紛れ込んでいた。
 不貞行為でもあったかと慌てる俺だったが、身なりはしっかり無事。
 単に疲れていただけかと一安心したものの――目覚めた後は、ずっとこんな感じでこいつらが俺に懐いてくる。
 少々の信頼はくすぐったいが、ここまでくると恐怖である。
 次は何を企んでるんだ?

「え~~~~~~~~それを聞く? 聞いちゃう?
 だっておっさんが悪いんだよ……ね?」
「同意。
 昨夜言った台詞は一言一句覚えている」
「『俺の幸せは、お前達と苦楽を共にすることだ。
  お前達が元気に成長していく姿を間近で見守るのが何より嬉しい』
 ここまで熱烈な告白をされてはわたくし達も覚悟を決めますわ。
 元々お慕いしてたんですもの。皆、素直になります」
「いや、それはだな……」
「今更その気がない――なんて薄情なこと言わないでよ、おっさん?
 ボク達は本気になったからね」
「あれだけの熱意を寄せられればさすがに墜ちる。
 フラグ立ては間違いない。さっさと回収すべき」
「うふふ。なのでガリウス様……」

「「「責任取って下さいね」」」

 揃って唱和し悪戯めいた瞳で俺を見つめてくる三人娘。
 普段は意見の行き違いがあるくせに――こういう時だけ一致団結してきやがる。
 追い詰められた俺は救いを求めて外を見る。
 祈りが通じたのか、複数の気配を確認。まさか――

「おはよ~おっちゃん!
 っていうか、だれ!?
 すっげーびじんが、さんにんもいる~~~!!」
「きれいなひと!
 おっちゃんのおよめさん!?」
「なんじゃガリウス――
 昨晩姿が見えねえと思ったら嫁さんを迎えにいってたのかい」
「いやいや、これはこれは。
 皆べっぴんさんだのう」
「愛想があって気立ての好さそうな娘達じゃないか!
 あんたも甲斐性あるとこちゃんと見せておやり!」
「おかえり、ガリウス……
 ちゃんと戻ってこれて何よりだ。
 しかも例のお嬢さん達とも上手くいったんだな?
 この国では本人達の同意があれば重婚も許されている。
 まあお前もいい歳だ――覚悟を決めて幸せにしてやれよ?」

 救いの手どころか奈落へ突き落す魔手だった。
 噂が噂を呼び、三人娘の物珍しさに次々と訪れる村の住人たち。
 嫁を連れてきたと囃し立てられ否定しない三人娘にますます過熱していく。
 朝から開拓村はとんでもないカオス状態、混沌の坩堝。
 だがこの喧騒を――
 こいつらと過ごす、このかけがえのない時間を――
 どこか苦笑しつつも楽しんでいる自分がいるのだった。


















 その昔――
 勇者の系譜に生まれながらも大した力を持たない一人の少年がいました。
 彼は一族の恥として追放され、冒険者として世界を巡ります。
 才能はなくとも腐らず、彼は自らを鍛え続けました。
 時は流れおっさんになった彼は――様々な試練を経て仲間と出会います。
 やがて襲い来る終末の軍勢。
 伝説の勇者のような力はなくとも、彼は皆と力を合わせ立派に戦います。
 何故なら彼は英雄――後の世に伝わる七英雄のリーダーなのですから。
 だからこそ人は彼をこう呼びます。
 親しみを込めて――英雄のおっさん、と。
 
 
 














      勇者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者37歳……
       実はパーティメンバーにヤバいほど慕われていた(第一部 完)


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