勇者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者37歳……実はパーティメンバーにヤバいほど慕われていた

秋月静流

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おっさん、起床する

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 俺――ガリウス・ノーザンの朝は早い。
 日の出よりも早く起床し、まずは日課である柔軟とトレーニングをこなす。
 鍛錬は少しでも怠ると、その分を取り戻すのに倍以上の時間が掛かる。
 まして俺の様な前衛職はその僅かな差が命取りになる事もあるのだ。
 自己の生存だけでなくパーティの生存率向上の為、サボる事は許されない。
 それが終われば薄暗い朝靄の中、自宅脇の畑へと赴く。
 活きの良い素材を吟味しあいつらに美味い飯を食わせてやりたいからだ。
 なので――そろそろ準備に入らなければならない。
 愛しい毛布の温もりに別れを告げ、俺の意識は覚醒へと移行する。
 しかし目を開けると――漆黒の裾野が広がっていた。
 一瞬、目を開けていないのかと疑う俺。
 だが顔全体にのしかかる圧力に事態を把握する。
 し、下着だこれは!
 慌てて目線を向ければ、あられもない姿でローブをはだけたミザリアが、俺の顔をまたぐ様に熟睡している。
 ミザリア・レインフィールドは紛れもない美少女である。
 庇護欲を駆り立てる可憐な容姿。
 しかし顔に似合わぬセクシーなショーツを穿いているのは、少しでも年齢相応に見られたい欲求の裏返しなのかも……って、現実逃避してる場合じゃない!
 あどけない寝顔を見るに不祥事は無かったようだが……
 非常に危険な体勢だ。
 腕利きの人権派弁護官でも、68の次の数字に近いこの状況を見て法廷で無実を勝ち取るのは難しいだろう。
 俺は急ぎ腕を動かし、見てはいけない黒山を排除しようと試みる。 
 結果――驚愕。
 右腕に感じる柔らかく豊かな感触。
 恐る恐る顔を向ければ――そこではフィーナが俺の腕を枕に微睡んでいた。
 実に幸せそうな寝顔で、メイクを落としたすっぴんなのに本当に綺麗だと思う。
 フィーナ・ヴァレンシュアは王都劇場の主演女優級の美女である。
 黙って佇んでいれば文句なしの。
 出会った頃は飢えからか貧相な身体をしていたが、大司祭である婆さんに拾われてからは時折目のやり場に困るくらい豊満な肢体に成長した。
 リアといいフィーといい、こんな素敵な女性達と巡り合いパーティを組めた幸運を俺は天に感謝しなくてはならないだろう。
 まあ――
 その前にこの状況をまず何とかしなくてはならないのだが。
 落ち着け……大丈夫だ、俺。
 俺も伊達に歳を重ねたおっさんじゃない。
 こんな事態なんぞ鼻歌交じりに切り抜けられる。
 若造とは踏んだ修羅場の場数が違うのだ。
 慌てず騒がず、俺はフリーな筈の左手を動かそうとする。
 ……ん?
 なんだ? 何かに――挟まれてる?
 指を動かせば極上のシルクのようなキメ細かい肌触り。
 戦慄を覚え左を向いた俺は驚愕を超え恐怖する。
 そこには、はだけた寝間着姿のアレクシアがいた。
 彼女は俺の左腕を生足を晒す太ももに挟み込んでスヤスヤと眠っている。

「あsdfghjmk」

 完全に予想外で漏れ出そうになる悲鳴を――懸命に堪える。
 普段の猪突猛進的な行動力と勇者という肩書で忘れがちだが……
 アレクシア・ライオットも二人に負けず劣らずの美少女なのだ。
 普段はまるで意識などしないが、こうして無防備な寝顔を見ているとそのレベルの高い可愛さに気付いてしまう。
 いつもの笑顔から能天気さが抜けただけでこんなにも変わるものなのか?
 無垢なその寝顔に年甲斐もなくドキドキさせられる。
 い、いったいなんなんだ……これ?
 なんだ、この状況?
 いつから俺は好色系英雄譚の主人公になった?
 焦燥に速くなる鼓動。
 血圧が上がりガンガン耳鳴りがするのを感じながら――
 俺はここ最近日課になりつつあるこの状況に盛大に溜息をつくのだった。



 

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