勇者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者37歳……実はパーティメンバーにヤバいほど慕われていた

秋月静流

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おっさん、宴卓を囲む

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「おっさん……
 ねえ、おっさんってば!」
「ガリウス?」
「大丈夫ですか、ガリウス様?」

 揺れる酒杯を手に思考の海に沈む俺。
 静止したまま返事をしない俺の姿に不安になったのか、三人娘が心配そうに声を掛けてくる。
 どうやら少し酔いが回ったらしい。
 ふと師匠との修業時代を思い返していた。
 地獄のような日々で比喩でなく幾度も死に掛けたが……あの日々があったからこそ今までやってこれたのは確かだ。
 培った教えと技術は着実に俺の根幹へと根を落とし芽吹いている。
 先の階層主との戦いに快勝したのもそのお陰だ。

「ああ、すまない。
 ちょっと酔いが回ってきたようだ」
「ええええええ!
 酒豪のおっさんでもそんな事があるの?」
「初めてそんな弱音を聞いた。
 ガリウスの酒量は蟒蛇(うわばみ)クラス。まさに底無しかと」
「はい。わたくしも同感致します」
「あのな、俺の場合はただ所持してる【毒物抵抗】スキルの値が高いだけだ。
 このスキルの恩恵で酒に強くなっている。
 アルコールだって立派な毒だからな」
「まあそれは否定しないけど……
 でも酒を大樽で飲む人、ボク他には知らないから」
「ビックリ人間コンテストに出れる」
「お替りしたのはさすがに引きましたけど」
「うるさいな、俺だって酒に酔う事もある」
「まさに鬼の霍乱」
「この場合は風邪を引くスケルトン、ドワーフに火酒の方が正しいのでは?」
「どっちでもいいよ。
 それじゃ改めて酒杯のお替りが来たところで……
 ダンジョン探索をしたボク達の――」
「あたし達の――」
「わたくし達の――」
「俺達の――」
「――成功を祝して、かんぱ~~~~~~い!!」

 シアの音頭で幾度目か分からない乾杯が為され酒杯がぶつかり合う。
 俺はキンキンに冷えたビールを喉に流し込む。
 このビールはドワーフ族が最近醸造に成功した酒で、エールとは違い独特の苦みがある。ただ――良く冷やすと何とも言えない極上な泡立ちと味になり、俺は一発で気に入ってしまった。
 エールが挨拶代わりのジュースならこいつは開幕を告げる食前酒だな。
 そんな事を思いながら卓上のエセル海老のフライに手を伸ばし齧る。
 うむ、熱々の肉汁が飛び出し絶妙な味わいだ。
 これをビールで流し込む瞬間が何とも言えず至福の瞬間だ。
 三人も各々楽しんでいるようだし今日の打ち上げは最高だな。
 赤ら顔で騒ぐ皆の顔を眺めながら俺は初探索が無事に終わった事に安堵する。 
 階層主であるミノタウロスキングらを撃破した後――
 余力はあったが戦利品も一杯な為、俺達は帰還の魔方陣で地上へ戻った。
 そしてボルテッカ商店で戦利品の買い取りをお願いしたのだが……
 これが、かなりの収益を生み出した。
 借金こそないものの、武具の購入にはかなりの出費があったのだが……
 何とその半分近くが今回の探索で稼げたのである。
 この成果にはブラウニーとはいえさすがのセバスも驚いた顔をしていた。
 贔屓にしてほしいと、今後も売り込みをお願いされてしまった。
 気前を良くした俺達はこうして酒場で打ち上げに繰り出した、という訳だ。
 無論今回は少し高めの酒場にした。
 実力差を分からない訳じゃないだろうが、それでも時折若い女が多いということで舐めて絡んで来る輩がいる。
 そんな酔っ払いを相手に、無事(三人が反撃した相手が死なない様)済ませるのが大変なだけだ。
 まあ高級酒場の方が料理も酒もランクが高いので申し分あるまい。
 あとは酔っ払ったシアがやらかさなければ問題ないだろう。
 心配性な俺がそんな懸念を抱きつつビールを飲んでると――

「失礼します――
 Sランクパーティ、気紛れ明星とは皆様で相違ございませんか?」

 まったりとした平穏を打ち破る客がテーブルへ訪れた。
 


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