勇者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者37歳……実はパーティメンバーにヤバいほど慕われていた

秋月静流

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おっさん、指示を出す

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「――精神同調術式、発動完了。
 お待たせした、ガリウス。
 これでパーティ間の意思疎通はいつでも可能」

 リアの声が脳内に響き、精神同調が完了した事を告げる。
 これでパーティ間とはいえ言葉によるタイムラグはなく、思考速度での意思伝達が可能となった。

「助かる、リア!
 では皆、打ち合わせ通りにいくぞ!
 リアとフィーは魔獣を相手取る兵士と冒険者を術式及び祝祷術でバックアップ」
「ん。了解」
「承知致しました」
「ショーちゃんは分裂後、各自の護衛役を」
「主殿の命とあらば、喜んでこの身を捧げ盾となろう」
「シア、ヴィヴィらの交渉役ご苦労。
 長距離転移後だが――調子はどうだ? いけるか?」
「ボクにそれを聞く?
 いつでも絶好調だよ!」
「ならばミズキ、カエデ、ルゥと一緒に魔神将を叩け。
 さも手持ちの魔獣を出し切ったような素振りを見せているが、油断するなよ?
 あの手の輩は絶対隠し玉を持っている筈だ。
 後続を呼ばれても面倒だ、徹底的に潰せ!」
「はい!」
「ああ、心得ている!」
「畏まったでござる」
「わんわん!」
「では各自散開!
 俺はこの魔族を何とかする!」
「死なないでよ、おっさん」
「――ん、結論が出た。
 シアは阿呆」
「何でさ!?」
「まったくですわ……
 どうしてガリウス様の死亡フラグを立てにいきますの?
 強敵を前に死なないでは絶対言っちゃ駄目ですわ」
「うえっ!?」
「やったか! ⇒やっていない。
 おれ……帰ったら結婚する、もしくは故郷に婚約者を……などの雑談。
 これらは死亡率を激しく向上させるのでお勧めしない」
「ああ、禁句だな」
「然り(にんにん)」
「きゃう~ん(ふんすふんす)」
「る、ルゥにまで憐れまれてる!?
 ぼ、ボクって生後1年未満の精神年齢以下ってこと!?
 こ、この屈辱――魔神将にぶつけやる(涙)!」
「完全な八つ当たり」
「当て馬の魔神将がいっそ哀れですわ」
「ああなったシア殿は手に負えないと聞いた」
「確かにご愁傷様だな」
「業が深いでござるよ」
「きゃううん!」
「ほらほら、集中しろお前等。
 高速思考伝達で現実体感時間は1秒にも満たないとはいえ――戦闘中だぞ。
 特に今回の相手は、頭は悪いが曲者揃いの厄介な奴等だ。
 特殊攻撃には十二分に気をつけろよ?
 参戦してくれた大会参加者(S級)の力を存分に借り受けて戦え」
「「「「「「「了!(わん!)」」」」」」
「よし、いくぞ!」

 瞬時に駆け巡る思考のパルス。
 伝達事項を指示し終えた俺は目前の敵に集中する。
 衝撃的なアスナの登場により混乱する場を静観していたシェラフィータだったが……どうやらこれが罠でなく、ただの奇矯な人間の行動と認識したようだ。
 残された6本の脚を構え無表情に告げる。

「児戯。
 つまらぬ戯れに付き合うのも飽きた。
 ここで殲滅する……滅びよ、人間」
「来るわよ、ガリウスちゃん!
 シアちゃんから聞いてた話通り、あたしたちが盾役を務めるわ!」
「うむ。お主は為すべきことを為せ。
 剣聖殿――ガリウスと共に攻め手を願いますぞ」
「ありがとうございます、二人とも!
 イゾウ先生もよろしくお願いします!」
「おう、任せろ。
 千載一遇、お前の愉快な仲間達が時間を稼いでくれるんだ。
 特大の奴をかましてやるさ」

 巨体を蠢かせ高速接近するシェラフィータ。
 その突進を抑えるべく進路に立ち塞がるヴィヴィとブルネッロ。
 この二人がディフェンダーになってくれる限り俺と先生が最大限アタッカーとして動けるようになる。
 今まで防戦一方だったのが初めて攻撃に移れるのだ……この差はデカイ。
 避けられぬ魔戦の開幕は――こうして切って落とされた。




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