勇者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者37歳……実はパーティメンバーにヤバいほど慕われていた

秋月静流

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「説明してほしいの」

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「それで……説明してほしいのだけど?
 貴方はいったい何処の誰なの?
 私達【ウルド一族】は巡礼に出る私の護衛にEX冒険者【七聖】の一人【放浪する神仙】ことファノメネルを要請した筈……
 それなのに彼女との合流場所に来たのは名も知れぬ貴方。
 貴方はいったい何者なのかしら?」
「俺にも何が何だか……
 つい先程、師匠――ああ、ファノメネルのことだけど――に言われて、文字通り飛ばされて来たばかりでさ」
「なるほど――貴方はファノメネルの弟子なのね。
 年齢の割に鍛えられているのにも得心がいったわ。
 生き地獄とも称される過酷な日々を過ごしてきたのね」
「そうそう――いや~分かってくれる人がいるのか!
 内情を知らない外部からはEXクラスの手稽古なんて羨ましい、とか。
 あんな美人と密接するなんて恨めしい――とか好き勝手に言われるんだけどな。
 そういう台詞は一度でも師匠の修行を受けてから言え、ってな。
 過負荷の心身酷使の域を超えた心身の過労死レベル……
 死線を彷徨う――どころじゃなく、死んで蘇生してからが本番とか、マジであり得ないんだが。
 師匠曰く我が【活人剣】は【殺人剣】に勝る――
【殺人剣】は死んだらそこで終了。だが、我が【活人剣】は生かさず殺さずに弄び――もとい稽古を施せことが出来るから――と。
 師匠が言うと【活人剣】が【刮人権】……基本的人権が抉り取られてそうでさ」
「同情はするけど、はぐらかさないで。
 貴方がファノメネルの弟子という事は理解できた。
 ならば何故――本人ではなくて貴方なの?」
「あのさ――」
「なにかしら?」
「すっごく衝撃的かもだけど――正直に言っていいか?」
「構わないわ。正直は美徳だもの」
「良かった。なら話せるな。
 何でも……師匠が言うには俺の育成に飽きたので、これが卒業試験らしい。
 護衛対象――君と大陸を巡り一年間守り通せ、と」
「馬鹿なの? 死ねばいいのに」
「随分辛辣だな、おい!
 正直は美徳じゃないのかよ!」
「誰が言ったの、そんなこと?」
「君だよ君、つい今さっき君が言った」
「記憶にないわ。
 本当に私が言ったのかしら?」
「間違いなく言った」
「何時何分何秒? 琺輪が何回廻ったの?
 ほら、ちゃんと証明してみせてよ」
「子供か!」
「そもそも私――都合の悪い事はすぐ忘れる様にしているのよ。
 ストレスは健康に悪いって長老たちもよく愚痴ってるし」
「若年性認知症じゃないのか、それ……」
「む、失礼ね。
 貴方よりは年上だけど、そんなに年齢差は無い筈だわ。幾つ?」
「俺か? 17歳だが」
「私は――18歳。
 ほらね、私の方がお姉さんなのよ。ちゃんと敬いなさい」
「……俺のささやかな哲学なんだが」
「何かしら?」
「誰かに対する敬意とかは年齢……年功序列じゃなく、その人が育んできた人柄や苦しみながらも培ってきた功績に対して個人が抱くものだ。
 年上だから無条件で敬うのは間違っている」
「ふん、浅いわ――
 今日から撤廃なさい、そんな哲学」
「ぜ、全否定かよ……」
「何せよ馬鹿正直に全てを話すのは【聖者】を通り越して最早【愚者】の行いよ。
 ハアぁ……それにしても呆れたわ。
 そんな理由で私達との盟約を反故するだなんて」
「同感。俺も真相を知って呆れている」
「まあ、それならば貴方で妥協するかしないわね(ふう)」
「連続溜息とか」
「絶対失敗出来ない私の事情も鑑みて頂戴」
「そうだよな、マジで失礼した」
「ううん。貴方に当たるのは筋違いなのは理解してるのに……ごめんなさい。
 それで貴方――名前は?」
「ガルティ……じゃなくて、ガリウス――
 俺の名前はガリウス・ノーザンだ」
「じゃあガリウス――自己紹介するわ。
 私の名前はセラナ。セラナ・クリュウ・ネフェルティティ。
 貴方の警護対象であり依頼者でもあるわ。
 貴方の仕事はレムリソン大陸各所にある霊地を巡る私の身辺警護。
 ここまではよろしいかしら?」
「ああ、心得た。
 未熟なのは承知だが精一杯務めるよ。頼りにしてくれ」
「そう……頼りになる、ね。
 ならば頼りになるガードさんに対して最初のお願いがあるのだけど」
「何だよ?」
「いい加減――私の上からどいてくれる?
 それとも神仙の弟子は女性を押し倒しながら話すのが趣味なのかしら?」
「し、失礼しました!」

 敵意は薄れたものの、どこか皮肉めいた口調で俺を揶揄するセラナ。
 非友好的に扱われても仕方ない……状況が状況だしな。
 話に夢中で密着したままだったとか、誤解もクソも弁解しようがない。
 慌てて身を起そうとする俺――の隣で、気絶から覚醒したリンデが何故か顔色を蒼褪めさせながら戦慄するように身を震わせ喚き出す。

「め、眼が覚めたらマスターが女性を押し倒してるの!
 こいつ――本性はトンデもない変態だったの!
 純情可憐なあたしの貞操が大ピンチ、なの~~~!!」

 うるさい、黙れ。
 まったくコイツといい美人だけど敵意丸出しの警護対象者といい……
 最近の俺は少し女難が過ぎやしないか?(トホホ)


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