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第53話 残酷で、信じたくない衝撃の事実
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俺を殺気立った真っ赤な目で見つめる男は、悪魔のようにも見えた。
この世界を覆う闇の正体は彼だった。
その名もブラック・シックネス──まさに悪人っていう名前だろ、それは。
この傷だらけの、人間とは思えない恐ろしい容姿をしたこの男が、俺の前の転生者だった。
「ボクたちはてっきり、キミが死んだのかと……」
タイフーン先生は、彼の顔を見るだけで辛そうだ。
思い出したくないんだろう。
自分の教え子がこんな醜い姿で現れたら、誰だってショックを受ける。
「最初に気づかなかったんですか?」
こんなときに不謹慎かもしれないが、つい口に出してしまった。
実際、俺もこの傷だらけの男が何か怪しいとは思っていた。
分析眼を持つイーグルアイ先生が、彼の正体に気づかないはずがない。
それに、そもそもどうやって審査員になった?
「俺様のスキル『闇』は、どんなやつの感覚も曇らせられる。自分を闇に包むことも、他人を闇の中に入れることもできる」
1番答えてほしくないやつが答えてくれた。
それにしても、シックネスはこの会話を楽しんでいる。
すぐにでも攻撃してくるかと構えていたのに、余裕の表情で先生たちとの久しぶりの再会を喜んでいた。といっても、サイコパス的な喜びだが。
その内に秘めた狂気が少しこぼれている。
「キミはそのスキルに蝕まれ、支配されている。頼むから、元のキミに戻ってくれ。前は一緒に楽しく授業を──」
「黙れ。俺様は1ミリも楽しんでなどいなかった。くだらん授業も、最初から嫌で嫌でたまらなかった」
「そんなはずはない! ボクのクラスで、あのとき──」
「うるさいんだよ、いちいち。最初から、この世界を支配するために強くなろうと、この学園に入った。そしたら気づけば俺様は病人扱い。スキルが闇のどうこう言われ、最後には川に落とされた」
「違う! キミが自分で落ちたんじゃないか!」
シックネスの目からは強い憎しみが感じられた。
瞳の奥を見ても、果てしなく続く地獄しかわからない。希望もない、光もない目。
タイフーン先生の必死の叫びが、闘技場全体に響く。
この悲劇のトーナメント会場には、もうほとんど人が残されていなかった。
あれだけいっぱいになっていた、大量の観客はみんな逃げ、席はすかすか。
生徒たちもそれに続くように避難している。
少し前、生徒会長のリード・サンダーが、真剣モードで誘導しているのがわかった。さすがは会長。いざというときの判断力と、頼れる背中がかっこいい。
って、感心してる場合か。
大切な友達も、みんなちゃんと避難することができていた。
そして、最後に残った友達が、壁に叩きつけられて倒れているブレイズだ。
「ウィンド・タイフーン、あんたはいい教師だ。俺様も認めている実力の持ち主で、教師としての対応も、あんただけは優しかった。だが、友達は選べ、先生」
急にイーグルアイ先生が苦しみ始めた。
先生の体には例の紫のもやが。
どんな拷問にも黙って対応しそうなイーグルアイ先生も、これには声を出さずにはいられなかった。
「ブレイン!」
「当然の報いだ」
「どうして彼を──」
「やつが俺様を川に突き落とした。その分析眼で、俺様の危険性を見抜いたイーグルアイは、すぐさま俺様を暗殺しようと、川に……肺の中にまで水が入り、呼吸もろくにできず──この苦しみがわかるか?」
「そんなの嘘だ!」
我慢できずに俺は叫んだ。
イーグルアイ先生はそんなひどいことをできる人じゃない。
自分たちの担任として、先生はときに冷酷なときもあるが、その根っこには温かい愛がある。
だから、俺はそんなの信じない。
「ブレイン、そんなはずは──」
「そ、そうだ。わ、吾輩が、川に、突き落とした」
苦しみに耐えながら、振り絞った言葉。
そんな……嫌だ……。
「ブレイン……」
タイフーン先生が失望した様子で膝をついた。
「俺様が生き延びたのは、イーグルアイを殺すという強い気持ちがあったからだ。俺が受けたあの拷問より、さらに強い拷問で苦しめてあげく、最後は素手で顔をえぐり、心臓を抜き取る」
……。
「そしてそのイーグルアイに、成功した転生者と認められている男、ジャック・ストロング。あんたはいいな、そんな器用なスキルをもらって。俺様はあんたも憎い。イーグルアイと同じ方法で殺してやる」
イーグルアイ先生は拷問に耐えることしかできていない。
タイフーン先生も、ショックで動けそうになかった。
当然、俺も苦しかった。
あの拷問とこれまでの疲れで体力的にも厳しい。
それに、イーグルアイ先生が学生の頃のシックネスを暗殺しようとしたという事実も、精神的に大きな打撃を負っていた。
だがここは俺が戦うしかない。
希望が全部消えてしまったとは限らない。
ちらっと壁を確認し、俺は確信した。俺はいける、と。
「おい! さっきはよくもオレをふっ飛ばしてくれたなクソ野郎! オレを敵にしてもいいのか? あ?」
ブレイズが復活した。
「炎のガキは求めてない。俺様はイーグルアイとストロングに復讐する」
「うるせぇ! その熱い闘志、オレにぶつけてこい」
少し前に自分をふっ飛ばした相手。
そんな強者に、よくそんな口を叩けるな。
だが、十分心強かった。
「ブレイズ、これが本当の決勝戦だ。ふたりで勝とう」
「おめぇ、絶対死ぬんじゃねーぞ。わかってのか? あ?」
「そっちこそ」
ついにシックネスの意識もこっちを向いた。
いよいよ、本当の決勝戦が始まる。
この世界を覆う闇の正体は彼だった。
その名もブラック・シックネス──まさに悪人っていう名前だろ、それは。
この傷だらけの、人間とは思えない恐ろしい容姿をしたこの男が、俺の前の転生者だった。
「ボクたちはてっきり、キミが死んだのかと……」
タイフーン先生は、彼の顔を見るだけで辛そうだ。
思い出したくないんだろう。
自分の教え子がこんな醜い姿で現れたら、誰だってショックを受ける。
「最初に気づかなかったんですか?」
こんなときに不謹慎かもしれないが、つい口に出してしまった。
実際、俺もこの傷だらけの男が何か怪しいとは思っていた。
分析眼を持つイーグルアイ先生が、彼の正体に気づかないはずがない。
それに、そもそもどうやって審査員になった?
「俺様のスキル『闇』は、どんなやつの感覚も曇らせられる。自分を闇に包むことも、他人を闇の中に入れることもできる」
1番答えてほしくないやつが答えてくれた。
それにしても、シックネスはこの会話を楽しんでいる。
すぐにでも攻撃してくるかと構えていたのに、余裕の表情で先生たちとの久しぶりの再会を喜んでいた。といっても、サイコパス的な喜びだが。
その内に秘めた狂気が少しこぼれている。
「キミはそのスキルに蝕まれ、支配されている。頼むから、元のキミに戻ってくれ。前は一緒に楽しく授業を──」
「黙れ。俺様は1ミリも楽しんでなどいなかった。くだらん授業も、最初から嫌で嫌でたまらなかった」
「そんなはずはない! ボクのクラスで、あのとき──」
「うるさいんだよ、いちいち。最初から、この世界を支配するために強くなろうと、この学園に入った。そしたら気づけば俺様は病人扱い。スキルが闇のどうこう言われ、最後には川に落とされた」
「違う! キミが自分で落ちたんじゃないか!」
シックネスの目からは強い憎しみが感じられた。
瞳の奥を見ても、果てしなく続く地獄しかわからない。希望もない、光もない目。
タイフーン先生の必死の叫びが、闘技場全体に響く。
この悲劇のトーナメント会場には、もうほとんど人が残されていなかった。
あれだけいっぱいになっていた、大量の観客はみんな逃げ、席はすかすか。
生徒たちもそれに続くように避難している。
少し前、生徒会長のリード・サンダーが、真剣モードで誘導しているのがわかった。さすがは会長。いざというときの判断力と、頼れる背中がかっこいい。
って、感心してる場合か。
大切な友達も、みんなちゃんと避難することができていた。
そして、最後に残った友達が、壁に叩きつけられて倒れているブレイズだ。
「ウィンド・タイフーン、あんたはいい教師だ。俺様も認めている実力の持ち主で、教師としての対応も、あんただけは優しかった。だが、友達は選べ、先生」
急にイーグルアイ先生が苦しみ始めた。
先生の体には例の紫のもやが。
どんな拷問にも黙って対応しそうなイーグルアイ先生も、これには声を出さずにはいられなかった。
「ブレイン!」
「当然の報いだ」
「どうして彼を──」
「やつが俺様を川に突き落とした。その分析眼で、俺様の危険性を見抜いたイーグルアイは、すぐさま俺様を暗殺しようと、川に……肺の中にまで水が入り、呼吸もろくにできず──この苦しみがわかるか?」
「そんなの嘘だ!」
我慢できずに俺は叫んだ。
イーグルアイ先生はそんなひどいことをできる人じゃない。
自分たちの担任として、先生はときに冷酷なときもあるが、その根っこには温かい愛がある。
だから、俺はそんなの信じない。
「ブレイン、そんなはずは──」
「そ、そうだ。わ、吾輩が、川に、突き落とした」
苦しみに耐えながら、振り絞った言葉。
そんな……嫌だ……。
「ブレイン……」
タイフーン先生が失望した様子で膝をついた。
「俺様が生き延びたのは、イーグルアイを殺すという強い気持ちがあったからだ。俺が受けたあの拷問より、さらに強い拷問で苦しめてあげく、最後は素手で顔をえぐり、心臓を抜き取る」
……。
「そしてそのイーグルアイに、成功した転生者と認められている男、ジャック・ストロング。あんたはいいな、そんな器用なスキルをもらって。俺様はあんたも憎い。イーグルアイと同じ方法で殺してやる」
イーグルアイ先生は拷問に耐えることしかできていない。
タイフーン先生も、ショックで動けそうになかった。
当然、俺も苦しかった。
あの拷問とこれまでの疲れで体力的にも厳しい。
それに、イーグルアイ先生が学生の頃のシックネスを暗殺しようとしたという事実も、精神的に大きな打撃を負っていた。
だがここは俺が戦うしかない。
希望が全部消えてしまったとは限らない。
ちらっと壁を確認し、俺は確信した。俺はいける、と。
「おい! さっきはよくもオレをふっ飛ばしてくれたなクソ野郎! オレを敵にしてもいいのか? あ?」
ブレイズが復活した。
「炎のガキは求めてない。俺様はイーグルアイとストロングに復讐する」
「うるせぇ! その熱い闘志、オレにぶつけてこい」
少し前に自分をふっ飛ばした相手。
そんな強者に、よくそんな口を叩けるな。
だが、十分心強かった。
「ブレイズ、これが本当の決勝戦だ。ふたりで勝とう」
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