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07 抑えられない衝動
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穏やかな日々も束の間、俺の身体に異変が訪れた。
(体が…熱い…!)
婚約者としてアシュレイの側にいる時間が増えたせいだろうか。今まで抑制剤で完璧に抑え込んできたΩとしての性が、極上のαであるアシュレイのフェロモンに刺激され、暴走を始めたのだ。
これは、Ωが発情期である『ヒート』の兆候だった。
俺は急いで引き出しから、常備していた強力な抑制剤を取り出した。手のひらに汗が滲む。これまでヒートは何度か経験したが、ここまでひどい状態になったのは初めてだ。
「はっ…はぁ…ぐっ…」
身体が内側から燃えるように熱い。頭はぐらぐらと揺れ、理性が溶けていきそうだ。服の下でΩのフェロモンが分泌され始め、甘く蕩けるような香りがするのが自分でもわかる。
ヒートを抑制する薬は、Ωの性を抑え込むだけではない。フェロモンをαのような苦い香りに変えたり、体調を無理やりαとして維持する機能を持つ。
しかし、その日は薬が効かなかった。いや、薬を飲んでも、アシュレイの強力なαフェロモンを間近に感じるうちに、まるで火に油を注ぐかのように身体は激しく熱を発し始めたのだ。
「…嘘だ…まだ、周期じゃないのに…」
意識が朦朧としてくる。部屋の中には、俺から放たれる甘いフェロモンが充満していた。
オメガバースの世界で、ヒート中のΩのフェロモンを嗅いだαは、理性を失いΩを求める衝動に駆られる。それは、どんなに自制心の強いαでも抗えない本能だった。
俺は自室のベッドに倒れ込み、シーツを固く握りしめた。抑制剤をさらにもう一錠飲むが、全く効果がない。
(誰か、誰かが来たら…どうしよう…!)
混乱と恐怖に、俺は浅い呼吸を繰り返した。
そのとき、部屋の扉を叩く音と、聞き慣れた声が聞こえた。
「リオネル。書類を持ってきた」
それは、アシュレイの声だった。彼は普段通り、冷たく事務的な声で俺を呼んだ。
(駄目だ、駄目だ…!ここに来ては…!)
意識は薄れ、全身から甘いフェロモンを止めどなく放ち始めた俺は、その場でパニックに陥った。
(体が…熱い…!)
婚約者としてアシュレイの側にいる時間が増えたせいだろうか。今まで抑制剤で完璧に抑え込んできたΩとしての性が、極上のαであるアシュレイのフェロモンに刺激され、暴走を始めたのだ。
これは、Ωが発情期である『ヒート』の兆候だった。
俺は急いで引き出しから、常備していた強力な抑制剤を取り出した。手のひらに汗が滲む。これまでヒートは何度か経験したが、ここまでひどい状態になったのは初めてだ。
「はっ…はぁ…ぐっ…」
身体が内側から燃えるように熱い。頭はぐらぐらと揺れ、理性が溶けていきそうだ。服の下でΩのフェロモンが分泌され始め、甘く蕩けるような香りがするのが自分でもわかる。
ヒートを抑制する薬は、Ωの性を抑え込むだけではない。フェロモンをαのような苦い香りに変えたり、体調を無理やりαとして維持する機能を持つ。
しかし、その日は薬が効かなかった。いや、薬を飲んでも、アシュレイの強力なαフェロモンを間近に感じるうちに、まるで火に油を注ぐかのように身体は激しく熱を発し始めたのだ。
「…嘘だ…まだ、周期じゃないのに…」
意識が朦朧としてくる。部屋の中には、俺から放たれる甘いフェロモンが充満していた。
オメガバースの世界で、ヒート中のΩのフェロモンを嗅いだαは、理性を失いΩを求める衝動に駆られる。それは、どんなに自制心の強いαでも抗えない本能だった。
俺は自室のベッドに倒れ込み、シーツを固く握りしめた。抑制剤をさらにもう一錠飲むが、全く効果がない。
(誰か、誰かが来たら…どうしよう…!)
混乱と恐怖に、俺は浅い呼吸を繰り返した。
そのとき、部屋の扉を叩く音と、聞き慣れた声が聞こえた。
「リオネル。書類を持ってきた」
それは、アシュレイの声だった。彼は普段通り、冷たく事務的な声で俺を呼んだ。
(駄目だ、駄目だ…!ここに来ては…!)
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