劣等生の俺を、未来から来た学院一の優等生が「婚約者だ」と宣言し溺愛してくる

水凪しおん

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「永遠を誓う書斎にて」

 学院を卒業してから、数年の時が流れた。
 僕は「創成魔法」の力を使い、災害で失われた土地や自然を蘇らせる研究者として王宮に仕えていた。かつて世界を壊しかけた僕の力が、今では世界を再生させる希望として多くの人々に感謝されている。不思議なものだ、と今でも時々思う。

 そして僕の隣には、いつもカイがいた。彼は王宮直属の筆頭魔術師として僕の研究を支え、あらゆる危険から僕を守ってくれている。僕たちを狙う者がいなくなったわけではない。けれど、彼がそばにいてくれる限り、僕に怖いものは何もなかった。

 僕たちは都から少し離れた郊外に、静かな家を建てて暮らしていた。庭にはたくさんの花が咲き乱れ、穏やかな時間が流れている。
 ある晴れた日の午後、僕は書斎で古い文献を読んでいた。窓から差し込む木漏れ日が、本のページを優しく照らしている。穏やかで、幸せな時間だ。
 不意に、後ろからそっと抱きしめられた。振り返らなくても分かる。カイだ。

「疲れていないか、アキト」

 彼は僕の肩に顎を乗せ、甘えるようにすり寄ってきた。公の場では完璧な筆頭魔術師様も、家に帰ると時々こうして僕にだけ弱い部分を見せてくれる。

「大丈夫だよ。こっちの資料、すごく興味深くて」

「そうか。だが、あまり根を詰めるなよ」

 彼はそう言うと、僕の目の前に一枚の羊皮紙をひらりと差し出した。それは正式な婚姻届だった。この国の法律では、性別に関係なく愛し合う二人が家族になることを認めてくれている。

「名前を、書いてくれるか」

 カイが、少し照れくさそうに言った。僕たちの関係は、指輪を交換したあの日から何も変わらない。それでもこうして形にすることで、僕たちの絆がこの世界に確かに認められる証になる。
 僕は胸がいっぱいになるのを感じながら、満面の笑みでうなずいた。

「うん!」

 カイが差し出したペンを受け取り、彼の名前が記された隣に自分の名前を綴る。少しだけ、手が震えた。
 アキト・エストリア――今日から、僕の新しい名前だ。
 書き終えた羊皮紙を、カイが愛おしそうに受け取る。

「ありがとう、アキト。俺の、生涯の伴侶」

 彼は僕の椅子をくるりと回して、僕と視線を合わせた。そして深く、優しい口づけを落とす。

 未来から始まった、僕たちの恋。
 たくさんの困難を乗り越え、いくつもの涙を流して、僕たちはやっとここにたどり着いた。
 これから先もきっと色々なことがあるだろう。でも、この手さえ離さなければ、僕たちはどんな未来だって創っていける。
 カイの青い瞳に、幸せそうに笑う僕の顔が映っている。
 こうして、時を超えた二人の恋は、永遠の愛として、ここに固く結ばれるのだった。
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