「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される

水凪しおん

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エピローグ「君と見る夜明け」

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 あの決戦から、一年が過ぎた。

 俺は今、騎士団付属の診療所で、正式な「穢れ祓い師」として働いている。俺のために新設された部署で、騎士たちの心身のケアをするのが主な仕事だ。
 俺の穏やかな人柄と確かな力は、いつしか騎士団にとってなくてはならないものになっていた。もう、誰も俺を「役立たず」だなんて言わない。

 夜、診療所の仕事を終え、エヴァンと二人で暮らす団長の私室へ戻る。そこは、一年前と何も変わらない、けれど俺にとっては世界で一番安心できる場所だ。

 しばらくして、夜間任務を終えたエヴァンが部屋へ帰ってきた。

「ただいま、ルカ」

「おかえりなさい、エヴァンさん」

 当たり前のように交わす挨拶。当たり前のように、彼が俺の待つ部屋へ帰ってくる日常。この何でもない時間が、俺にとってはかけがえのない宝物だ。

 彼は鎧を脱ぐと、俺を後ろからそっと抱きしめた。彼の体からは、もうあの苦しそうな瘴気の匂いはしない。ただ、冷たく澄んだ冬の夜のような、心地よい匂いがするだけだ。

「……疲れた」

「お疲れ様でした。お風呂、沸いてますよ」

「ああ。……その前に、少しだけ、このままで」

 甘えるように、彼は俺の肩に額をこすりつける。最強の鬼神が、俺にだけ見せる無防備な姿。
 俺たちは、しばらく無言のままお互いの温もりを感じ合っていた。
 もう、彼は悪夢を見ることはない。俺も、自分の力の代償に怯えることはない。二人でいれば、どんな穢れも、どんな不安も、浄化されていくからだ。

 ベッドに入り、いつものように彼の腕の中に収まる。
 エヴァンは、俺の髪にキスを落としながら静かに囁いた。

「お前がいれば、俺は最強でいられる」

 一年前にも聞いた、大切な言葉。
 俺は、彼の胸に顔を寄せて答える。

「俺も、あなたがそばにいてくれるから、毎日が幸せです」

「……ルカ」

「はい?」

「明日、結婚の儀を王に申請する」

「えっ、け、結婚!?」

「当たり前だろう。お前は俺の伴侶だ」

 あまりにも当然のように告げられた言葉に、俺は顔を真っ赤にしながらも、心の底から「はい」とうなずいた。

 愛しい人のぬくもりの中で、俺たちは静かに夜明けを迎える。
 窓の外が白み始め、新しい一日が始まる光が部屋に差し込んでくる。
 この光景を、これからもずっと、この人の隣で見続けていくのだろう。

 俺たちの幸せな日々は、まだ始まったばかり。
 この温かい聖域で、永遠に続いていく。
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