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第7話「選択の時」
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不気味な静寂に包まれた森を進むこと数日、アレスたちは霧の中から忽然と姿を現した古城にたどり着いた。明らかに人間のものではない、禍々しい魔力を放つその城に、三人は息をのむ。
「本当に、こんな場所にいたのか……?」
ゴードンの呟きに、アレスは剣の柄を握りしめて答える。
「魔族に捕らわれているのなら、好都合だ。あいつを救い出し、恩を売ってやれば、文句は言えんだろう」
彼らが城の門へと近づくと、地の底から響くような声が警告を発した。
「何者だ。私の許しなく、この地に足を踏み入れるな」
声の主、ゼノンが城のバルコニーに姿を現す。その漆黒の角と翼を持つ姿を見て、三人は一瞬怯んだ。だが、アレスはすぐに勇者としての虚勢を取り戻し、大声で叫んだ。
「我々は勇者一行だ! お前が、我々の仲間であるリアムを攫った魔族か!」
その時、ゼノンの後ろから、リアムが心配そうに顔を覗かせた。
「リアム!」
アレスが叫ぶ。かつての仲間の姿に、リアムの体は恐怖で凍り付いた。追放されたあの日の冷たい瞳、侮蔑の言葉が、トラウマとなって蘇る。足が震え、呼吸が浅くなった。
そんなリアムの肩を、ゼノンが大きな手でそっと抱き寄せた。その温かさに、リアムははっと我に返る。
「リアムを返してもらうぞ!」アレスが剣を抜き、ゼノンに向ける。「そいつは俺たちのパーティーに必要な『道具』だ! 魔族なんかに騙されているだけだ!」
『道具』──その一言が、再びリアムの心を鋭く突き刺した。
ゼノンは、リアムを背にかばうように一歩前に出ると、冷徹な声で言い放った。
「断る。彼は私のものだ。お前たちのようなクズ共に返す気は毛頭ない」
「なんだと!」
激昂したゴードンが斧を構えて突進しようとするのを、アレスが手で制した。彼はリアムに向かって、あたかも心配しているかのような口調で呼びかける。
「リアム、目を覚ませ! 魔族に何をされたんだ? さあ、こっちへ来い。お前がいないとパーティーが困っているんだ」
都合のいい言葉だった。自分たちが困っているから、戻ってこい。そこには、リアム自身を気遣う気持ちなど欠片もなかった。
リアムは、震える体を叱咤し、顔を上げた。自分の前に立ちはだかり、命がけで守ろうとしてくれている、ゼノンの大きな背中が見える。この人は、僕を必要としてくれた。僕の居場所をくれた。もう、守られているだけじゃ嫌だ。
リアムはゼノンの隣に並び立つと、震える声だったが、はっきりと自分の意志を告げた。
「……帰りません」
「何?」
「僕はもう、あなたたちの道具じゃない!」
リアムは、アレス、セリーナ、ゴードンの顔を一人ずつ見つめ、きっぱりと言い放った。
「僕の居場所は、ここです! ゼノンさんのそばです!」
はっきりとした拒絶の言葉。それは、リアムが初めて自分の意志で掴み取った選択だった。
予想外の反抗に、アレスの顔が怒りで歪む。彼のプライドは、かつて見下していた道具に逆らわれたことで、ずたずたに引き裂かれた。
「……そうか。ならば、力ずくでその目を覚まさせてやる!」
アレスの瞳に、狂気じみた光が宿った。
「本当に、こんな場所にいたのか……?」
ゴードンの呟きに、アレスは剣の柄を握りしめて答える。
「魔族に捕らわれているのなら、好都合だ。あいつを救い出し、恩を売ってやれば、文句は言えんだろう」
彼らが城の門へと近づくと、地の底から響くような声が警告を発した。
「何者だ。私の許しなく、この地に足を踏み入れるな」
声の主、ゼノンが城のバルコニーに姿を現す。その漆黒の角と翼を持つ姿を見て、三人は一瞬怯んだ。だが、アレスはすぐに勇者としての虚勢を取り戻し、大声で叫んだ。
「我々は勇者一行だ! お前が、我々の仲間であるリアムを攫った魔族か!」
その時、ゼノンの後ろから、リアムが心配そうに顔を覗かせた。
「リアム!」
アレスが叫ぶ。かつての仲間の姿に、リアムの体は恐怖で凍り付いた。追放されたあの日の冷たい瞳、侮蔑の言葉が、トラウマとなって蘇る。足が震え、呼吸が浅くなった。
そんなリアムの肩を、ゼノンが大きな手でそっと抱き寄せた。その温かさに、リアムははっと我に返る。
「リアムを返してもらうぞ!」アレスが剣を抜き、ゼノンに向ける。「そいつは俺たちのパーティーに必要な『道具』だ! 魔族なんかに騙されているだけだ!」
『道具』──その一言が、再びリアムの心を鋭く突き刺した。
ゼノンは、リアムを背にかばうように一歩前に出ると、冷徹な声で言い放った。
「断る。彼は私のものだ。お前たちのようなクズ共に返す気は毛頭ない」
「なんだと!」
激昂したゴードンが斧を構えて突進しようとするのを、アレスが手で制した。彼はリアムに向かって、あたかも心配しているかのような口調で呼びかける。
「リアム、目を覚ませ! 魔族に何をされたんだ? さあ、こっちへ来い。お前がいないとパーティーが困っているんだ」
都合のいい言葉だった。自分たちが困っているから、戻ってこい。そこには、リアム自身を気遣う気持ちなど欠片もなかった。
リアムは、震える体を叱咤し、顔を上げた。自分の前に立ちはだかり、命がけで守ろうとしてくれている、ゼノンの大きな背中が見える。この人は、僕を必要としてくれた。僕の居場所をくれた。もう、守られているだけじゃ嫌だ。
リアムはゼノンの隣に並び立つと、震える声だったが、はっきりと自分の意志を告げた。
「……帰りません」
「何?」
「僕はもう、あなたたちの道具じゃない!」
リアムは、アレス、セリーナ、ゴードンの顔を一人ずつ見つめ、きっぱりと言い放った。
「僕の居場所は、ここです! ゼノンさんのそばです!」
はっきりとした拒絶の言葉。それは、リアムが初めて自分の意志で掴み取った選択だった。
予想外の反抗に、アレスの顔が怒りで歪む。彼のプライドは、かつて見下していた道具に逆らわれたことで、ずたずたに引き裂かれた。
「……そうか。ならば、力ずくでその目を覚まさせてやる!」
アレスの瞳に、狂気じみた光が宿った。
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