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お姫様の選択
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「ラエル、様...」
「...泣いていたのか」
どうしてここに...
驚いて、思わず息を呑みました。ラエル様が私の側へと近づいてきます。
「こ、来ないでください!」
思わず叫ぶと、ラエル様はその場で立ち止まり、苦しそうな表情で私を見ていました。
一度会うことを拒んでしまってからラエル様が私に会いに来てくださる事はなかったのに、急にいらっしゃるとは思わなかったのです。
髪はボサボサだし、ずっと泣いていたからきっとひどい顔をしているはずだわ。
こんな姿、見せられない。
私は顔を覆うように手で隠し、ぎゅっと目をつぶって俯きました。
「...涙を拭うことさえ、もう許されないのか?」
ラエル様の声が微かに震えていました。私は驚いてラエル様に視線を移しました。
「...ローズ、会いたかった...。ずっとずっと、会いたくて仕方なかった...君が私に会いたくないのはわかってる。...私が君の問いかけに答えずはぐらかしたからだ。ずっと後悔していた。自分の愚かな行動に...」
「ラエル様...」
「そのままで良い...謝らせてくれ。ローズ、すまなかった...」
そう言って、ラエル様は私に向かって頭を下げたのです。私は血の気が引くのを感じ慌ててラエル様の側へ行きました。
「お、おやめください!どうして私のような者に頭を下げるのですか!?」
思わずラエル様の肩を掴みました。公爵様であろうお方が、しかも公爵の中でも上流階級の公爵様が下流階級の伯爵令嬢に頭を下げるなど聞いたことがありません。
「ローズ...」
「顔を上げてください!ラエル様!」
必死でした。力の限りラエル様の肩を持ち上げ、ようやくラエル様は頭を上げました。
「何故...なぜそこまでするのですか?」
自分でも声が震えるのがわかりました。その当時は確かに親同士で決めた仮の婚約者の立場同士ではありましたが、それは私もラエル様も後から知ったこと。
ラエル様がシルキー様の元へ行かれていたのは私と会う前のことなのです。それに、ラエル様が他の令嬢のところへ通っていた事は噂もあったので知っていました。
改めて事実を突きつけられ、ここまでラエル様を愛してしまったのだと自覚し、今まで噂から耳を背けていた私が、彼にはぐらかされて傷ついたのは確かです。
ですが、ラエル様からの謝罪が欲しいとは思っていませんでした。
「ローズ...愛してる...愛してるんだ...」
「ラエル様...」
ラエル様の顔を見たら、さっきまでの苦しさや辛さが薄れていくようでした。会うと辛くなると思っていたのに、実際に会ってしまったら愛しさの方が溢れてしまいます。
私は俯くラエル様の胸元に顔を埋めるように抱きつきました。
「ラエル様...申し訳ありません...私が弱いせいで...」
ラエル様は一瞬戸惑ったように体を硬く強ばらせましたが、すぐにぎゅうっと痛いくらいに私を抱きしめました。
「ローズ、ローズ...」
しばらくの間、私とラエル様は互いにしがみつくように抱きしめ合いました。
「ローズ、君と出会ってから、あの時の自分の行動がどれだけ酷く傲慢だったかを思い知ったよ」
まだ辛いだろうからと私はベッドに寝かされ、ラエル様はベッドの側に座って私の手を握りながらゆっくりと話し始めました。
「カイに止められてようやく我に返ったんだ。情けない事に私自身の判断ではない」
ぎゅっと手を握る強さが強くなった気がして、私はラエル様の目を見つめます。ラエル様は私の目をしっかりと見つめて、真剣な表情で言いました。
「ローズに出会って、初めて自分を恥じたよ。君に嫌われたくなくて必死で隠した。...それが間違っていた。もう、君に嫌われるようなことはしないと誓うよ。嘘をつくことも、はぐらかす事もしない」
私の手にキスをし、そのまま...
「ら、ラエル様...!?」
ラエル様が片足を地面につけて跪いたのです。私が驚いて立ち上がろうとすると、ラエル様がそれを止めました。
「そのまま聞いてくれ」
そっと微笑み、微かに緊張した様子で。私は上半身だけ起き上がり、何をするのかと不安に思いながらもラエル様を見つめました。
「ローズ、私と結婚してくれないか?最初は親同士で決めた政略結婚だったかもしれないが、今は違う。君を愛してる。....私の妻になってください」
「ラエル様...」
色んな感情が襲ってきて、涙が自然とこぼれ落ちてきました。
「格好悪いな。こんな風に情けない告白をするつもりはなかったんだが...限界なんだ。ローズ、君を誰にも渡したくない」
ラエル様は私の涙を優しく拭いながら、少しだけ不安げな眼差しを私に向けました。
「...こんな私だが、側にいてくれるか?」
私はラエル様の手を取り、頷きました。
最初はラエル様の婚約者が私で本当にいいのか不安でした。でもいつしか私の中で大切な存在に変わっていって、気づけばこんなにも愛してしまったのです。
「私を、貴方の妻にしてください」
「...泣いていたのか」
どうしてここに...
驚いて、思わず息を呑みました。ラエル様が私の側へと近づいてきます。
「こ、来ないでください!」
思わず叫ぶと、ラエル様はその場で立ち止まり、苦しそうな表情で私を見ていました。
一度会うことを拒んでしまってからラエル様が私に会いに来てくださる事はなかったのに、急にいらっしゃるとは思わなかったのです。
髪はボサボサだし、ずっと泣いていたからきっとひどい顔をしているはずだわ。
こんな姿、見せられない。
私は顔を覆うように手で隠し、ぎゅっと目をつぶって俯きました。
「...涙を拭うことさえ、もう許されないのか?」
ラエル様の声が微かに震えていました。私は驚いてラエル様に視線を移しました。
「...ローズ、会いたかった...。ずっとずっと、会いたくて仕方なかった...君が私に会いたくないのはわかってる。...私が君の問いかけに答えずはぐらかしたからだ。ずっと後悔していた。自分の愚かな行動に...」
「ラエル様...」
「そのままで良い...謝らせてくれ。ローズ、すまなかった...」
そう言って、ラエル様は私に向かって頭を下げたのです。私は血の気が引くのを感じ慌ててラエル様の側へ行きました。
「お、おやめください!どうして私のような者に頭を下げるのですか!?」
思わずラエル様の肩を掴みました。公爵様であろうお方が、しかも公爵の中でも上流階級の公爵様が下流階級の伯爵令嬢に頭を下げるなど聞いたことがありません。
「ローズ...」
「顔を上げてください!ラエル様!」
必死でした。力の限りラエル様の肩を持ち上げ、ようやくラエル様は頭を上げました。
「何故...なぜそこまでするのですか?」
自分でも声が震えるのがわかりました。その当時は確かに親同士で決めた仮の婚約者の立場同士ではありましたが、それは私もラエル様も後から知ったこと。
ラエル様がシルキー様の元へ行かれていたのは私と会う前のことなのです。それに、ラエル様が他の令嬢のところへ通っていた事は噂もあったので知っていました。
改めて事実を突きつけられ、ここまでラエル様を愛してしまったのだと自覚し、今まで噂から耳を背けていた私が、彼にはぐらかされて傷ついたのは確かです。
ですが、ラエル様からの謝罪が欲しいとは思っていませんでした。
「ローズ...愛してる...愛してるんだ...」
「ラエル様...」
ラエル様の顔を見たら、さっきまでの苦しさや辛さが薄れていくようでした。会うと辛くなると思っていたのに、実際に会ってしまったら愛しさの方が溢れてしまいます。
私は俯くラエル様の胸元に顔を埋めるように抱きつきました。
「ラエル様...申し訳ありません...私が弱いせいで...」
ラエル様は一瞬戸惑ったように体を硬く強ばらせましたが、すぐにぎゅうっと痛いくらいに私を抱きしめました。
「ローズ、ローズ...」
しばらくの間、私とラエル様は互いにしがみつくように抱きしめ合いました。
「ローズ、君と出会ってから、あの時の自分の行動がどれだけ酷く傲慢だったかを思い知ったよ」
まだ辛いだろうからと私はベッドに寝かされ、ラエル様はベッドの側に座って私の手を握りながらゆっくりと話し始めました。
「カイに止められてようやく我に返ったんだ。情けない事に私自身の判断ではない」
ぎゅっと手を握る強さが強くなった気がして、私はラエル様の目を見つめます。ラエル様は私の目をしっかりと見つめて、真剣な表情で言いました。
「ローズに出会って、初めて自分を恥じたよ。君に嫌われたくなくて必死で隠した。...それが間違っていた。もう、君に嫌われるようなことはしないと誓うよ。嘘をつくことも、はぐらかす事もしない」
私の手にキスをし、そのまま...
「ら、ラエル様...!?」
ラエル様が片足を地面につけて跪いたのです。私が驚いて立ち上がろうとすると、ラエル様がそれを止めました。
「そのまま聞いてくれ」
そっと微笑み、微かに緊張した様子で。私は上半身だけ起き上がり、何をするのかと不安に思いながらもラエル様を見つめました。
「ローズ、私と結婚してくれないか?最初は親同士で決めた政略結婚だったかもしれないが、今は違う。君を愛してる。....私の妻になってください」
「ラエル様...」
色んな感情が襲ってきて、涙が自然とこぼれ落ちてきました。
「格好悪いな。こんな風に情けない告白をするつもりはなかったんだが...限界なんだ。ローズ、君を誰にも渡したくない」
ラエル様は私の涙を優しく拭いながら、少しだけ不安げな眼差しを私に向けました。
「...こんな私だが、側にいてくれるか?」
私はラエル様の手を取り、頷きました。
最初はラエル様の婚約者が私で本当にいいのか不安でした。でもいつしか私の中で大切な存在に変わっていって、気づけばこんなにも愛してしまったのです。
「私を、貴方の妻にしてください」
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