婚約破棄された私は、号泣しながらケーキを食べた~限界に達したので、これからは自分の幸せのために生きることにしました~

キョウキョウ

文字の大きさ
16 / 38

第16話 2人の習慣に

しおりを挟む
 興味を持ったアンドリック様が、私と一緒に運動したことがキッカケになり、それから2人で運動するのが日課になって、しばらく経った。

「アンドリック様。もう少しです! 頑張ってください!」
「ハァッ、ハァッ、う、うぅ……。もう少し、がん、ばる……くぅ」

 ぜいぜいと息を切らしながら、アンドリック様が足を前に進める。本当は、こんなに無理をさせたくない。無理する必要なんてないから。

 辛い思いというのは、私が一番よく知っている。逃げたっていいのに、彼は止まることなく根性で前に進む。その姿は、感動的で美しいとさえ思う。

 アンドリック様は、私が走っているのと同じ距離を自分も走ると決めた。本人が続けると言った。何度かの失敗を経て、今回はギリギリで辿り着きそうだ。あと少し。もうすぐゴールである。

 手を差し伸べたいという気持ちを必死に抑えて、私はアンドリック様を見守る。

「がんばれー!」
「……はぁ、はぁ、……ゴール」
「やった! アンドリック様、凄いですよ!」

 アンドリック様が、私の待つゴール地点に到着した。膝に手を当てて、苦しそうに呼吸を整えている。

「大丈夫ですか?」
「はぁ、はぁ、うん、だいじょうぶ……」
「はい、これを飲んでください」

 あらかじめ用意しておいた水を、アンドリック様に手渡す。それをゴクゴクと勢いよく飲む彼。いい飲みっぷり。

「ぷはぁ、生き返ったよ。ありがとう」
「どういたしまして」
「ふぅ。一休みしようか」
「そうしましょう」

 水を飲み終えたアンドリック様は、しばらくして落ち着いたようだ。よかった。

 その後は2人で一緒に腰を下ろして、木陰の下で休憩することに。清々しい空気を胸いっぱい吸い込んで、リフレッシュする。

「しかし、オリヴィアは凄いな。あの距離を走って、平気そうにしている」
「私は昔から、無理でも走り続けれと言われてきましたから」

 アンドリック様が感心しながら、私を褒めてくれた。だけどこれは、今まで続けてきた成果である。毎日、無理やりだけどコツコツと積み重ねたトレーニングの賜物。

 最初は強制されて、嫌々ながら。王妃の道が閉ざされてからは、習慣で走っていただけ。けれど今では、アンドリック様と一緒に運動することが楽しくなっている。

 それだけ続けていたら、体力もつく。走り切るのに余裕もある。そんな私に比べて、アンドリック様はトレーニングの習慣を持っていなかった。最近、運動を始めたばかり。それなのに最後まで走り切った。そっちの方が凄いと思う。

「アンドリック様も凄いですよ! 今回は最後まで止まらずに走り切りましたから」
「まぁ、途中で何度か立ち止まりそうになったけれどね」

 苦笑いするアンドリック様。それでも、諦めずに頑張っていた姿勢は素敵だと思う。回復力も早い。私と同じ距離に走れるようになったのも、あっという間だった。これなら体力もすぐについて、追い抜かれそう。

 体も以前よりスリムになって、肥満体型から少し太っているぐらいになっていた。筋肉も付いてきたように見える。アンドリック様は健康的な体型になってきいているのね。それは、とても素晴らしいこと。

「次は最後まで、もう少し余裕で走り切れるように頑張ろうかな」
「応援します」

 アンドリック様は、やる気十分である。そんな彼の姿を見て、本当に尊敬する。

「さて、お楽しみの食事の時間だ」
「そうですね! 今日は、どんな料理が用意されているのかしら。楽しみです」

 運動した後。私たちは一緒に、食事するため部屋へ移動する。今日の食事はなんだろうか。きっと、美味しい料理に違いないわよね。

 会話しながら食事する。私たちにとって、本当に楽しみな時間だった。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

好きだった幼馴染みに再会→婚約者を捨ててプロポーズした侯爵令息

星森
恋愛
侯爵家の令息エドモンドは、幼い頃に結婚を誓い合った幼馴染コレットへの執着を捨てられずにいた。 しかし再会した彼女は自分を避け、公爵令息アランと親しくする姿ばかりが目に入る。 嫉妬と焦燥に駆られたエドモンドは、ついに“ある計画”に手を染めてしまう。 偶然を装った救出劇、強引な求愛、婚約破棄── すべてはコレットを取り戻すためだった。 そして2人は……? ⚠️本作はAIが生成した文章を一部に使っています。

婚約者を借りパクされました

朝山みどり
恋愛
「今晩の夜会はマイケルにクリスティーンのエスコートを頼んだから、レイは一人で行ってね」とお母様がわたしに言った。 わたしは、レイチャル・ブラウン。ブラウン伯爵の次女。わたしの家族は父のウィリアム。母のマーガレット。 兄、ギルバード。姉、クリスティーン。弟、バージルの六人家族。 わたしは家族のなかで一番影が薄い。我慢するのはわたし。わたしが我慢すればうまくいく。だけど家族はわたしが我慢していることも気付かない。そんな存在だ。 家族も婚約者も大事にするのはクリスティーン。わたしの一つ上の姉だ。 そのうえ、わたしは、さえない留学生のお世話を押し付けられてしまった。

【完結】この運命を受け入れましょうか

なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」  自らの夫であるルーク陛下の言葉。  それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。   「承知しました。受け入れましょう」  ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。  彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。  みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。  だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。  そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。  あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。  これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。  前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。  ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。     ◇◇◇◇◇  設定は甘め。  不安のない、さっくり読める物語を目指してます。  良ければ読んでくだされば、嬉しいです。

捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。 彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。 さて、どうなりますでしょうか…… 別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。 突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか? 自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。 私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。 それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。 ありがとうございます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。 7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

手放してみたら、けっこう平気でした。

朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。 そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。 だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。

婚約破棄されてしまいましたが、全然辛くも悲しくもなくむしろスッキリした件

瑞多美音
恋愛
真面目にコツコツ働き家計を支えていたマイラ……しかし、突然の婚約破棄。そしてその婚約者のとなりには妹の姿が…… 婚約破棄されたことで色々と吹っ切れたマイラとちょっとしたざまぁのお話。

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

エミリーと精霊

朝山みどり
恋愛
誰もが精霊と契約する国。エミリーの八歳の誕生日にやって来たのは、おもちゃのようなトカゲだった。 名門侯爵家の娘としてありえない恥。家族はエミリーをそう扱った。だからエミリーは居場所を得るために頑張った。役に立とうとした。

処理中です...