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第29話 やり直したいと言われても
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挨拶したら、すぐ別の場所へ行くだろうと思ってた。だが、マルク王は立ったまま動かない。私の顔をじっーと見てくる。
「申し訳ありません。夫は今、席を外しております」
「いや、君と話したいと思ってね」
「……私と? どんなご用件でしょうか?」
私は、マルク王と話したい事なんてないけれど。長く話し込むつもりもないから、さっさと話を終わらせたい。どうやって、終わらせましょうか。
「いや、特に用事はない。ただ、君と久しぶりに話したかっただけだ」
「……そうですか」
話したいだけ? そんな理由で、わざわざ話しかけてきたの?
私が一人になったタイミングは、偶然? もしかして、私が会場で1人になるのを狙っていたのかしら。そうだとしたら、ちょっと厄介。
しかも、マルク王も1人だった。彼の横には、王妃がいない。この会場のどこかに彼女は居るのかしら。最初に挨拶した時、姿を見かけたけれど。どこに行った?
「君は前よりも、ずっと綺麗になったね」
「ありがとうございます」
何も心には響かない誉め言葉。マルク王からこんなことを言われても、嬉しいとは思わないし、どうでもいい。
アンドリック様に言われた方が、何百倍も嬉しく感じるのに。
早く会話を終わらせたい、と思うだけ。それか、アンドリック様が戻ってくるまで何も起きないように願う。
「もう一度、やり直せないかな?」
「……は?」
マルク王が、覚悟を決めたというような真剣な表情で言ってきた。でも、言ってる意味が分からない。やり直すって、何を? もしかして、婚約のことを言っているのかしら。
結婚式を行った日に? 彼も結婚しているのに? ありえない。
「君との婚約を破棄したのは、私の間違いだった。反省するよ。だから、戻ってきてほしい。君が望んでくれたら、前のような関係に戻れるはずだ」
「お断りします。私には、大切な夫がいますので」
「それは分かってる。だから、夫とは別れてほしいんだよ。そうすれば、君が王妃になることも可能だから。君も悪い話ではないはずだ」
「だから、お断りします。何度言われても、無理なものは無理です」
アンドリック様と別れろ? そんなことは絶対にしないわ。王妃なることが、私の望みのような言い方をしているけど、私はそんなこと一度も望んだことはない。
「マルク王は、アイリーン様と結婚したでしょう。陛下には、彼女が」
「あの女はダメだ。自分のことしか考えていないから、王妃にふさわしい女性じゃなかった」
そんなこと、前から分かっていたことでしょ。それを今更、私に言ってくる理由が分からない。
「とにかく、私はアンドリック様と離れるつもりは一切ありません」
結婚式を行った日に、そんなことを言う男に従うつもりもない。もうこれ以上は、付き合いたくない。早く離れて、アンドリック様が戻ってくるのを待つ。
「待ってくれ」
「ッ!」
背を向けて離れようとしたら、マルク王に腕を掴まれた。肌がぞわっとするような寒気が走る。
強い力。振りほどけない。周囲に居る参加者たちが一斉に私たち見ている。助けを呼ぶ? でも、混乱を招く。こんなめでたい日に騒ぎを起こしたくない。
「は、放してください」
小さな声で、言う。それでも、腕を掴む手は離れない。むしろ、もっと強く掴まれる。
「まだ話は、終わっていない」
「いたいっ!」
腕を強く握られる。逃げられない。私は、どうしたら。もうダメ。そう思った時、男性の声が割り込んできた。この声は!
「私の妻に乱暴するのは、やめていただけますか?」
「お前は……」
「アンドリック様!」
彼が助けに来てくれた、掴まれていた手の力が緩んだ。その瞬間に、腕を勢いよく引いた。それで、なんとか逃げることが出来た。
私は、アンドリック様の背中に隠れる。私を守るように、アンドリック様が前に立ってくれた。そして、私の腕を掴んでいたマルク王に鋭い視線を向けている。
「申し訳ありません。夫は今、席を外しております」
「いや、君と話したいと思ってね」
「……私と? どんなご用件でしょうか?」
私は、マルク王と話したい事なんてないけれど。長く話し込むつもりもないから、さっさと話を終わらせたい。どうやって、終わらせましょうか。
「いや、特に用事はない。ただ、君と久しぶりに話したかっただけだ」
「……そうですか」
話したいだけ? そんな理由で、わざわざ話しかけてきたの?
私が一人になったタイミングは、偶然? もしかして、私が会場で1人になるのを狙っていたのかしら。そうだとしたら、ちょっと厄介。
しかも、マルク王も1人だった。彼の横には、王妃がいない。この会場のどこかに彼女は居るのかしら。最初に挨拶した時、姿を見かけたけれど。どこに行った?
「君は前よりも、ずっと綺麗になったね」
「ありがとうございます」
何も心には響かない誉め言葉。マルク王からこんなことを言われても、嬉しいとは思わないし、どうでもいい。
アンドリック様に言われた方が、何百倍も嬉しく感じるのに。
早く会話を終わらせたい、と思うだけ。それか、アンドリック様が戻ってくるまで何も起きないように願う。
「もう一度、やり直せないかな?」
「……は?」
マルク王が、覚悟を決めたというような真剣な表情で言ってきた。でも、言ってる意味が分からない。やり直すって、何を? もしかして、婚約のことを言っているのかしら。
結婚式を行った日に? 彼も結婚しているのに? ありえない。
「君との婚約を破棄したのは、私の間違いだった。反省するよ。だから、戻ってきてほしい。君が望んでくれたら、前のような関係に戻れるはずだ」
「お断りします。私には、大切な夫がいますので」
「それは分かってる。だから、夫とは別れてほしいんだよ。そうすれば、君が王妃になることも可能だから。君も悪い話ではないはずだ」
「だから、お断りします。何度言われても、無理なものは無理です」
アンドリック様と別れろ? そんなことは絶対にしないわ。王妃なることが、私の望みのような言い方をしているけど、私はそんなこと一度も望んだことはない。
「マルク王は、アイリーン様と結婚したでしょう。陛下には、彼女が」
「あの女はダメだ。自分のことしか考えていないから、王妃にふさわしい女性じゃなかった」
そんなこと、前から分かっていたことでしょ。それを今更、私に言ってくる理由が分からない。
「とにかく、私はアンドリック様と離れるつもりは一切ありません」
結婚式を行った日に、そんなことを言う男に従うつもりもない。もうこれ以上は、付き合いたくない。早く離れて、アンドリック様が戻ってくるのを待つ。
「待ってくれ」
「ッ!」
背を向けて離れようとしたら、マルク王に腕を掴まれた。肌がぞわっとするような寒気が走る。
強い力。振りほどけない。周囲に居る参加者たちが一斉に私たち見ている。助けを呼ぶ? でも、混乱を招く。こんなめでたい日に騒ぎを起こしたくない。
「は、放してください」
小さな声で、言う。それでも、腕を掴む手は離れない。むしろ、もっと強く掴まれる。
「まだ話は、終わっていない」
「いたいっ!」
腕を強く握られる。逃げられない。私は、どうしたら。もうダメ。そう思った時、男性の声が割り込んできた。この声は!
「私の妻に乱暴するのは、やめていただけますか?」
「お前は……」
「アンドリック様!」
彼が助けに来てくれた、掴まれていた手の力が緩んだ。その瞬間に、腕を勢いよく引いた。それで、なんとか逃げることが出来た。
私は、アンドリック様の背中に隠れる。私を守るように、アンドリック様が前に立ってくれた。そして、私の腕を掴んでいたマルク王に鋭い視線を向けている。
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