うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo

文字の大きさ
117 / 166
第5章 戦争

説明は不要のようです

しおりを挟む
 ニンムスが、セラ様の額に手を当てた。

 その瞬間、瞳を閉じていたセラ様の身体が眩いばかりの閃光を放った。

「なんじゃ!」
「キャッ!」
「ウッ!」

 突然の光に、瞳を閉じていたはずのニンムスも眩しさを堪えて細目を開ける。

 僕は勿論、室内が白色に染まり、室内全員が突然の光に顔を覆った。

「セラ様!」

 僕は思わず、敬称を込めて叫んだ。
 光は徐々にその力を弱めると、ソファーに横たわるセラ様の身体を纏うように輝いた。
 やがて光は、ぼんやりとセラ様の身体の上に集まり像を結び始める。

 その光は、やがて3メートルはある応接室の天井付近まで伸び上がると、やがて人の姿を形作った。
 光の人物が、バッと背中の左右に羽を広げると、より細部まで像が形造られ、人物の表情も明らかとなった。
 その姿は、一目で横たわるセラ様を大人の女性へと成長させた姿であることは、室内の誰もが一瞬で気づいた。

「な、なな⋯⋯」
「な、なんやこれ?」

 ニンムスとウォーレンは言葉を失い、ベスとサユリは口を呆けた様に開けている。
 正体を知っているフーシェは少し驚いた様な表情を浮かべるが、周囲にバレてしまったことを警戒してか、イスカの顔は青くなった。

「んっ、ん~んんっ!」

 そんな周囲の緊張をよそに、セラ様は大きく一伸びすると、身体の凝りをほぐす様に眼を細めた。

「んー、凄く開放感があります~。て、あれ!?何故私が器から身体が出ているのです!?」

 大人の姿となったセラ様が、室内の人物全員が一同に自分を見上げていることに気付くと、驚きの声をあげた。
 セラ様の驚きの感情と呼応するように、両翼の翼がパタパタとはためいた。
 セラ様は、自分の置かれている状況を確認するように周囲を見下ろすと、皆の視線を受け止めると恥ずかしそうに顔を覆った。

「え?何?どういうことですか?何で半分神の姿に戻れているんですか?」

 セラ様は光り輝く自分の姿に戸惑いを隠せない様に、自分の手や女神様の衣装を纏った服を見回した。
 その仕草は威厳とは無縁に感じさせ、可愛らしさが感じられた。

 しかし、すぐに何とも言えない雰囲気の空気と集まった視線を感じたのか、セラ様はコホンと小さく咳払いをした。
 本人は、場の雰囲気をリセットしたかったのかもしれないが、その一つ一つの所作が可愛らしいのは、これがセラ様の愛嬌なのかもしれない。

 そして、一番この異様な光景に面食らったのは、他でもないニンムスだった。
 ギルドマスターであるニンムスは、先程の自信溢れる姿から一転、頭を抱える様にうずくまるとガタガタと震えていた。
 その姿だけ見ると、少女が幽霊を見てしまったかの様な反応だ。

「あ、あのー、ギルドマスター?」

 逆に心配になった僕がニンムスに話しかけると、ニンムスは顔を真っ青にしながら僕の方へと向き直った。

「ユズキとやら⋯⋯あの御方が、どのような存在か分かってて接しておったのか?」

 声まで震えているニンムスは、涙声だ。
 確かに、いきなりアイアンクローを叩き込んで、強制睡眠魔法をかけた相手が創造神だと分かったなら、こんな反応になるのは当然かもしれない。

「ニンムス様、そんな馬鹿なことが⋯⋯」
「たわけっ!!頭を下げよ!この御方は正真正銘、この世界に於いて最も崇高な存在の方だぞ!」

 ウォーレンの言葉を遮ったニンムスが鬼の様な形相で怒鳴りつけた。

「世界樹と繋がれるワシでさえ、感じた事のない力。いや、これは寧ろ世界樹を形造る根本の力といっても良い⋯⋯そんな存在がいるとすれば、それこそこの世界を統べる存在でしかあり得ぬ!⋯⋯して、この魔力。ユズキの魔力にも似通った所がある。もしや、この御方の加護を頂いているのか?」

 ニンムスの最早真っ白な顔に、僕は頷いた。
 この世界に転生させてもらった時に、この身体を作ってくれたのはセラ様だ。
 僕の身体に、セラ様の力が流れていても不思議ではない。

「──もしかして、ニンムスさんの能力のお陰で、完全な無意識となった精神体としての私と、この『器』の境界があやふやになって、一時的に神格を取り戻したんですね。──そうだ!いけない、先輩に気づかれます!早く私を起こして下さい!」

 セラ様が突然慌てた様にニンムスに話しかけた。
 ニンムスは、セラ様の真意を聞くことはせず、慌てて『器』のセラ様の額に手を当てた。

 ──!

 音もなく霧散するように、セラ様の精神体が消える。
 光はゆっくりと幾ばくかは空気に溶け、残りは『器』に吸い込まれるように消えていった。

「ん、んんっ。やっぱり、肉体があるというのは、安定しているようで、入るのが難しいです」

 光が完全に消え、ゆっくりとソファーから上体を起こしたセラ様が、小さく伸びをすると起き上がった。

「え、えーっと。すみません、バレてしまいましたが、この世界を作った女神のセラです」

 恥ずかしそうにセラ様は、頭に片手をのせると恥ずかしそうに笑った。
 その姿を見たニンムスは、床に頭を擦り付けると震えていた。

「ニンムスさん、セラ様は優しいですから大丈夫ですよ」 

 僕の言葉にセラ様は、小さくなった身体に力を込めるように、胸の前でガッツポーズを作った。

「えぇ、そうです!むしろ説明なしで、ギルドマスターのニンムスさんが、私の正体を知ってくれたことはオールオッケーです」

 少しセラ様は俗っぽさが強い気がするが、今や敵対的な関係となったアマラ様でさえ、人間味が溢れていた。

「一体、どないなっとるんや?」

 サユリが目をパチクリとしながら、怒涛の展開に素直な感想を口にした。

 その言葉に、セラ様は背筋を正すとソファーの上にちょこんと正座した。
 そして、少しバツの悪そうな顔で室内の一人一人の顔を見回すと深々と頭を下げた。

「ごめんなさい!私のせいで皆さんにご迷惑をおかけしました!力を貸してください!」

 そして、セラ様は事の経緯について口を開き始めた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜

橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん
ファンタジー
 誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。  運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……  与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。  だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。  これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。  冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。  よろしくお願いします。  この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

処理中です...