42 / 89
【第一部】閑話休題
王太子 ウィンストン・マース・ヴァルマ ①
しおりを挟む
(暫くBL要素皆無です。ブライトルについて少しでも知りたい方はどうぞ)
玉座に続く道には真っ青なカーペットが敷かれている。一般的には赤が選ばれるこの道は、三方を海に囲まれている我がトーカシア国の王が、この近辺の海域を治めているという一種のパフォーマンスだ。
玉座の背後には国旗の色である赤、青、茶の巨大なステンドグラスが太陽の光を受けて訪問者に降りかかる。特に大事な客人を迎えるときや、重要な式典のときには時間さえ指定して、日の入射角度まで計算して行われる。
今日も、そんな重要な式典の内の一つ。私にとっては、人生で二番目に重要な日と言えるだろう。
「第一王子、ウィンストンを王太子に命ずる」
トーカシア国王陛下が粛々と言い切った。参列者はみんな一様に喜び、興奮したような顔をして見せている。この場に呼ばれているのは国の重鎮や元・貴族の中でも力の強い者だけ。例え思い通りの結果じゃなかったとしても、表に出すような愚者はいない。
「謹んでお受けいたします」
一歩前に出て、陛下へ一礼。続いて王妃、参列者へ礼をすると堂々と中央に立った。
腰を落として直接陛下の手から杖を受け取る。金と宝石で装飾された豪奢な杖は、王太子だけが持つことを許された国宝だ。
「トーカシア国の繁栄のため、尽力するように」
「はい。一層精進して参ります」
親子としてではなく、国の最高権力者とその後継者としての最初の会話を交わす。立ち上がり振り返ってその場の全員に姿を見せつけた。自分こそがこの国の将来を担う者なのだと示すためだ。歓声が上がる。これでパフォーマンスは得意な方だ。そのように育てられた。
元の場所へ戻ると、隣に立つブライトルと目が合った。彼は嬉しそうに微笑む。
苛烈な陛下に比べて穏やかな王妃の血なのか、私を含めて兄妹は一見してとても柔和な雰囲気を持っている。
【敵を作らず、相手に見下させず。最適な距離感で最も大きな利益を】
交易国家らしい教訓だ。ブライトルは今、この瞬間も陛下のこの教えに逆らわず微笑んでいるのだろうか。それとも、柔らかいあの瞳は心底今回の拝命を喜んでいるのだろうか。
私はウィンストン・マース・ヴァルマ。今年で十七歳になる。たった今この国の王太子になった。
兄妹は下に三人おり、ついこの間まですぐ下のブライトルとは王太子の座を争う間柄だった。
彼がこの椅子を本当に欲しがっていたのかは分からない。私の反対勢力が勝手に彼を担ぎ上げていただけだという部分も多い。でも私はブライトルが継ぐ可能性も高いと思っていた。
たまたま三年早く生まれただけ。
たまたま今の国政に向いた気性をしていただけ。
たまたま彼が持たない何かを持っていただけ。
たまたま、たまたま、たまたま。
偶然の元に今の私がある。この結果でブライトルが私を厭わなければいい。対立候補だったと言っても、私にとってはいつだって大事な弟なのだから。
ブライトルのニュドニア国への留学が決まったのは、王太子としての生活が一ヶ月を過ぎた冬の終わり頃だった。
前々から話は出ていたけど、まさか本当に行かせることになるとは思っていなかった。ニュドニア国は今、大国セイダルとの関係が微妙な状態にあるからだ。
王族として生まれた以上、近隣諸国の情勢には常に目を光らせるよう育てられる。私とブライトルは各国に情報収集する私設の部隊なども持っているから間違いのない情報だ。そんな場所に、第二王子とは言え王族を派遣する意味。
「ブライトルにスパイをさせる気か?」
「ウィンストン王太子殿下。お言葉が過ぎます」
週に一度、一時間だけ私の執務を見てくれている宰相が無表情のままに一刀両断する。私は微かに冷や汗をかいた。
恐らくこの国で最も有能だと思われる人間で、陛下の五つ年上。陛下とは学生時代からの付き合いだそうだから、私ごときがまだまだ敵う相手じゃあない。
「視察に行かれるのです。堂々と行うのですからスパイのような隠密行動とはわけが違います」
「言葉を変えているだけのような気がするが」
「ニュドニア国も了承の上なのですから問題ない、ということはご理解いただけていますね?」
双方合意の上で情報を集めさせる。ニュドニア国はむしろ我が国に情報を渡したいと言っているように聞こえる。それはつまり――。
「見定めさせるのか」
「名目上は」
「何故ブライトルに? やはりトンプセン派のせいか」
セイダル国との関係が悪化した際に、トーカシア国がどう動くべきかを内側から判断させるための調査ということだ。後は、あわよくば能力の高い人間のスカウトや取り込みなどだろうか。
トンプセン派というのはブライトル擁立の筆頭だ。権力の大きさで言うなら陛下を除いて上から三番目ほど。周囲が私を王太子に推す中、下位勢力を大量に集めて声を大きくした女傑だ。あの人は未だにブライトルを諦めていないようなので、これ以上大声を出す前にブライトル本人を遠ざけようということなのだろう。
王族本人が動くのは珍しいことじゃないし、彼の有能さは誰よりも知っているつもりだ。この件にうってつけなのも理解できる。少しごねたい気持ちになっているのは、間違いなく私情が交ざっている。
私はもう少し時間をかけてブライトルとの関係を再構築したかったのだ。せっかく表面上のしがらみが落ち着いたのだから、今後は味方として引き入れたいと言う気持ちが半分。弟と仲良くいたいという人間らしい気持ちが半分だった。
「ご自身でお調べになって答えを得ることをお勧めいたします」
「……分かった。この話は終わりにしよう。時間も惜しいしな。まずは北湾の警護についての相談に乗ってくれ」
「承知いたしました」
質問には答えてもらえなかった。宰相は厳しくも公正な人だ。だから陛下も彼を信頼している。
この決定がブライトルの運命を大きく変えるとは、誰一人想像も付かなかった。
玉座に続く道には真っ青なカーペットが敷かれている。一般的には赤が選ばれるこの道は、三方を海に囲まれている我がトーカシア国の王が、この近辺の海域を治めているという一種のパフォーマンスだ。
玉座の背後には国旗の色である赤、青、茶の巨大なステンドグラスが太陽の光を受けて訪問者に降りかかる。特に大事な客人を迎えるときや、重要な式典のときには時間さえ指定して、日の入射角度まで計算して行われる。
今日も、そんな重要な式典の内の一つ。私にとっては、人生で二番目に重要な日と言えるだろう。
「第一王子、ウィンストンを王太子に命ずる」
トーカシア国王陛下が粛々と言い切った。参列者はみんな一様に喜び、興奮したような顔をして見せている。この場に呼ばれているのは国の重鎮や元・貴族の中でも力の強い者だけ。例え思い通りの結果じゃなかったとしても、表に出すような愚者はいない。
「謹んでお受けいたします」
一歩前に出て、陛下へ一礼。続いて王妃、参列者へ礼をすると堂々と中央に立った。
腰を落として直接陛下の手から杖を受け取る。金と宝石で装飾された豪奢な杖は、王太子だけが持つことを許された国宝だ。
「トーカシア国の繁栄のため、尽力するように」
「はい。一層精進して参ります」
親子としてではなく、国の最高権力者とその後継者としての最初の会話を交わす。立ち上がり振り返ってその場の全員に姿を見せつけた。自分こそがこの国の将来を担う者なのだと示すためだ。歓声が上がる。これでパフォーマンスは得意な方だ。そのように育てられた。
元の場所へ戻ると、隣に立つブライトルと目が合った。彼は嬉しそうに微笑む。
苛烈な陛下に比べて穏やかな王妃の血なのか、私を含めて兄妹は一見してとても柔和な雰囲気を持っている。
【敵を作らず、相手に見下させず。最適な距離感で最も大きな利益を】
交易国家らしい教訓だ。ブライトルは今、この瞬間も陛下のこの教えに逆らわず微笑んでいるのだろうか。それとも、柔らかいあの瞳は心底今回の拝命を喜んでいるのだろうか。
私はウィンストン・マース・ヴァルマ。今年で十七歳になる。たった今この国の王太子になった。
兄妹は下に三人おり、ついこの間まですぐ下のブライトルとは王太子の座を争う間柄だった。
彼がこの椅子を本当に欲しがっていたのかは分からない。私の反対勢力が勝手に彼を担ぎ上げていただけだという部分も多い。でも私はブライトルが継ぐ可能性も高いと思っていた。
たまたま三年早く生まれただけ。
たまたま今の国政に向いた気性をしていただけ。
たまたま彼が持たない何かを持っていただけ。
たまたま、たまたま、たまたま。
偶然の元に今の私がある。この結果でブライトルが私を厭わなければいい。対立候補だったと言っても、私にとってはいつだって大事な弟なのだから。
ブライトルのニュドニア国への留学が決まったのは、王太子としての生活が一ヶ月を過ぎた冬の終わり頃だった。
前々から話は出ていたけど、まさか本当に行かせることになるとは思っていなかった。ニュドニア国は今、大国セイダルとの関係が微妙な状態にあるからだ。
王族として生まれた以上、近隣諸国の情勢には常に目を光らせるよう育てられる。私とブライトルは各国に情報収集する私設の部隊なども持っているから間違いのない情報だ。そんな場所に、第二王子とは言え王族を派遣する意味。
「ブライトルにスパイをさせる気か?」
「ウィンストン王太子殿下。お言葉が過ぎます」
週に一度、一時間だけ私の執務を見てくれている宰相が無表情のままに一刀両断する。私は微かに冷や汗をかいた。
恐らくこの国で最も有能だと思われる人間で、陛下の五つ年上。陛下とは学生時代からの付き合いだそうだから、私ごときがまだまだ敵う相手じゃあない。
「視察に行かれるのです。堂々と行うのですからスパイのような隠密行動とはわけが違います」
「言葉を変えているだけのような気がするが」
「ニュドニア国も了承の上なのですから問題ない、ということはご理解いただけていますね?」
双方合意の上で情報を集めさせる。ニュドニア国はむしろ我が国に情報を渡したいと言っているように聞こえる。それはつまり――。
「見定めさせるのか」
「名目上は」
「何故ブライトルに? やはりトンプセン派のせいか」
セイダル国との関係が悪化した際に、トーカシア国がどう動くべきかを内側から判断させるための調査ということだ。後は、あわよくば能力の高い人間のスカウトや取り込みなどだろうか。
トンプセン派というのはブライトル擁立の筆頭だ。権力の大きさで言うなら陛下を除いて上から三番目ほど。周囲が私を王太子に推す中、下位勢力を大量に集めて声を大きくした女傑だ。あの人は未だにブライトルを諦めていないようなので、これ以上大声を出す前にブライトル本人を遠ざけようということなのだろう。
王族本人が動くのは珍しいことじゃないし、彼の有能さは誰よりも知っているつもりだ。この件にうってつけなのも理解できる。少しごねたい気持ちになっているのは、間違いなく私情が交ざっている。
私はもう少し時間をかけてブライトルとの関係を再構築したかったのだ。せっかく表面上のしがらみが落ち着いたのだから、今後は味方として引き入れたいと言う気持ちが半分。弟と仲良くいたいという人間らしい気持ちが半分だった。
「ご自身でお調べになって答えを得ることをお勧めいたします」
「……分かった。この話は終わりにしよう。時間も惜しいしな。まずは北湾の警護についての相談に乗ってくれ」
「承知いたしました」
質問には答えてもらえなかった。宰相は厳しくも公正な人だ。だから陛下も彼を信頼している。
この決定がブライトルの運命を大きく変えるとは、誰一人想像も付かなかった。
160
あなたにおすすめの小説
マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
聖者の愛はお前だけのもの
いちみりヒビキ
BL
スパダリ聖者とツンデレ王子の王道イチャラブファンタジー。
<あらすじ>
ツンデレ王子”ユリウス”の元に、希少な男性聖者”レオンハルト”がやってきた。
ユリウスは、魔法が使えないレオンハルトを偽聖者と罵るが、心の中ではレオンハルトのことが気になって仕方ない。
意地悪なのにとても優しいレオンハルト。そして、圧倒的な拳の破壊力で、数々の難題を解決していく姿に、ユリウスは惹かれ、次第に心を許していく……。
全年齢対象。
ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
モラトリアムは物書きライフを満喫します。
星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息
就職に失敗。
アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。
自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。
あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。
30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。
しかし……待てよ。
悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!?
☆
※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
優秀な婚約者が去った後の世界
月樹《つき》
BL
公爵令嬢パトリシアは婚約者である王太子ラファエル様に会った瞬間、前世の記憶を思い出した。そして、ここが前世の自分が読んでいた小説『光溢れる国であなたと…』の世界で、自分は光の聖女と王太子ラファエルの恋を邪魔する悪役令嬢パトリシアだと…。
パトリシアは前世の知識もフル活用し、幼い頃からいつでも逃げ出せるよう腕を磨き、そして準備が整ったところでこちらから婚約破棄を告げ、母国を捨てた…。
このお話は捨てられた後の王太子ラファエルのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる