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1章・戦火繚乱編
48、幸せは巡り来て
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ゴズ達四人はオンラッド山の村に立ち寄っていた。
帝都からの避難民達は集落に立ち寄っては少しずつ少しずつ、その集落で受け入れられるだけ定住していく。
避難民は概ね五十人規模で、いきなりそのような人数の人々を受け入れても食糧や土地の問題から受け入れ不可能であった。
オンラッド山村では七人が受け入れられて、結局ゴズ達四人だけが残った。
それでゴズ達四人が村を出て渓谷を歩き、次の村へと向かっていると、岩と馬車が頭上から落ちて来たのである。
ゴズ達は驚き、その下敷きになりそうだった時、紫の指輪が光って突風が吹き起こった。
とんでもない突風である。
どれほどの突風だったかと言うと、巨岩を弾いて馬車を少しだけ空中に浮遊させた程だ。
ゴズ達は指輪が光っていたなんて気付かなかったので、急な突風に助かった奇跡に喜ぶ。
「落石か。危なかったぜ」
こんな所に居たらいつ落石があるものか分からない。
それで壊れた馬車を越えていこうとしたところ、呻き声が聞こえた。
突風がクッションとなった為、ラドウィンとミルランスは生きていたのだ。
だけど、ラドウィンの脇腹に木片は刺さっているし、ミルランスも重病が祟って意識を失っていたのである。
ゴズ達はラドウィンが居るだなんて思わなかったから、領主に似ている人だなぁくらいの気持ちであった。
放って行こうとしたら、レイナが彼らを助け出そうとしだす。
「何をしてるんだ?」
ミルランスを瓦礫から引っ張っているレイナにゴズが聞くと「多分二人とも夫婦だよ。可哀想じゃないか。こうやって放っておくなんてさ」と言うのだ。
「助けても無駄だよ。もう死ぬぞ。二人とも」
「別に助けようってんじゃないさ。ただ愛する二人が引き裂かれたままだなんてのは可哀想じゃあないか」
少し前のレイナならそんな言葉を間違っても口に出さなかっただろう。
恋する乙女とはこうも性格が変わるものなのだろうか。
ゴズもゴズでレイナに愛想を振り撒きたかったから、レイナを手助けするようソルモとアットラに命じた。
レイナと共にラドウィンを瓦礫から引いたソルモは「あれ?」と奇妙な事実に気付く。
ラドウィンの脇腹を貫いていた木片がポトリと落ちたのだ。
服は破けていたが、怪我は無かった。
貫いたように見えるだけで、木片が腹に乗っていただけなのか?
小首を傾げたが、とにかく二人を瓦礫から引っ張り出して並べた。
不思議なことに、二人とも一切の傷が無かった。
この時、ミルランスの黒血病の症状も完全に引いていたのである。
「凄いねぇ。こんな大事故で二人ともケガ一つ無いよ。きっと神様が二人の愛を祝福してるんだねぇ」
レイナはすっかり、この奇跡をロマンティックな奇跡と結び付けていた。
そして、この奇跡を目の当たりにしたのが相当嬉しかったようで、ゴズと結婚したレイナにとって縁起が良いから助けて上げようと彼女は言うのだ。
ゴズはむしろ、こんな大事故で無傷は二人が不気味で怖かったから反対した。
だが、「あんたも野暮な事を言うな」とレイナにたしなめられて、ゴズら三人は嫌々ながら二人を背負ったのである。
それからゴズ達はラドウィン領東方の森にある小さな村へと辿り着いた。
そこで小さな家を借り、ラドウィンとミルランスを寝かせる。
三日ほど経って、まずラドウィンが目を覚ました。
彼はゴズを見るなり驚いていたが、助けてくれたのだと気付くと深く感謝する。
ゴズもこの時初めて、本当にラドウィンがあの領主のラドウィンだと気付いて魂消たものだ。
とはいえ、ラドウィンから事態を聞いて、お互い追われの身だと知るとむしろ「じゃあ俺たちゃ仲間って訳だな」とラドウィンの背を叩いて親しげにするのである。
それからラドウィンが目覚めて翌日、追うようにミルランスが目を覚ました。
ラドウィンとミルランスは隣同士寝ていたが、彼女が目を開けるなり勢い良く体を起こしたのである。
ラドウィンはミルランスに驚いて、養生するんだよと言った。
黒血症で息をするのも辛いからだ。
ところがミルランスは「治った」と呟いてラドウィンを見たのである。
確かに腕や頬にあった黒血症の特徴であった、肌が赤黒く変色していた部分が消えていた。
呼吸は安定している。
気分は晴れやかだ。
ラドウィンは目をパチクリさせて、この事態に驚いた。
そしてすぐに病気が治って良かったと涙する。
ミルランスも喜んだ。
「まだあなたと一緒に居ても良いの?」
「ああ、良いんだよ。お腹の子も一緒だよ。三人で一緒に居られるんだよ」
二人は抱き合って喜ぶので、そのような様子を見たゴズは彼らを助けて良かったとすら思うのである。
それからラドウィンとミルランスを合わせた五人がどういう足跡を辿ったのかは定かでは無い。
しかしながら、ほどなくして五人は村を出ると安全な地を求めてほうぼうを巡ったようだ。
その旅の中でゴズはレイナに渡した指輪を除いた残りの指輪を売って資金としたようである。
そうして一ヶ月後にはアーランドラ帝国を南へ南へずっと進んでルルム地方をさらに越えた地にある、小さな港村に到着するのであった。
帝都からの避難民達は集落に立ち寄っては少しずつ少しずつ、その集落で受け入れられるだけ定住していく。
避難民は概ね五十人規模で、いきなりそのような人数の人々を受け入れても食糧や土地の問題から受け入れ不可能であった。
オンラッド山村では七人が受け入れられて、結局ゴズ達四人だけが残った。
それでゴズ達四人が村を出て渓谷を歩き、次の村へと向かっていると、岩と馬車が頭上から落ちて来たのである。
ゴズ達は驚き、その下敷きになりそうだった時、紫の指輪が光って突風が吹き起こった。
とんでもない突風である。
どれほどの突風だったかと言うと、巨岩を弾いて馬車を少しだけ空中に浮遊させた程だ。
ゴズ達は指輪が光っていたなんて気付かなかったので、急な突風に助かった奇跡に喜ぶ。
「落石か。危なかったぜ」
こんな所に居たらいつ落石があるものか分からない。
それで壊れた馬車を越えていこうとしたところ、呻き声が聞こえた。
突風がクッションとなった為、ラドウィンとミルランスは生きていたのだ。
だけど、ラドウィンの脇腹に木片は刺さっているし、ミルランスも重病が祟って意識を失っていたのである。
ゴズ達はラドウィンが居るだなんて思わなかったから、領主に似ている人だなぁくらいの気持ちであった。
放って行こうとしたら、レイナが彼らを助け出そうとしだす。
「何をしてるんだ?」
ミルランスを瓦礫から引っ張っているレイナにゴズが聞くと「多分二人とも夫婦だよ。可哀想じゃないか。こうやって放っておくなんてさ」と言うのだ。
「助けても無駄だよ。もう死ぬぞ。二人とも」
「別に助けようってんじゃないさ。ただ愛する二人が引き裂かれたままだなんてのは可哀想じゃあないか」
少し前のレイナならそんな言葉を間違っても口に出さなかっただろう。
恋する乙女とはこうも性格が変わるものなのだろうか。
ゴズもゴズでレイナに愛想を振り撒きたかったから、レイナを手助けするようソルモとアットラに命じた。
レイナと共にラドウィンを瓦礫から引いたソルモは「あれ?」と奇妙な事実に気付く。
ラドウィンの脇腹を貫いていた木片がポトリと落ちたのだ。
服は破けていたが、怪我は無かった。
貫いたように見えるだけで、木片が腹に乗っていただけなのか?
小首を傾げたが、とにかく二人を瓦礫から引っ張り出して並べた。
不思議なことに、二人とも一切の傷が無かった。
この時、ミルランスの黒血病の症状も完全に引いていたのである。
「凄いねぇ。こんな大事故で二人ともケガ一つ無いよ。きっと神様が二人の愛を祝福してるんだねぇ」
レイナはすっかり、この奇跡をロマンティックな奇跡と結び付けていた。
そして、この奇跡を目の当たりにしたのが相当嬉しかったようで、ゴズと結婚したレイナにとって縁起が良いから助けて上げようと彼女は言うのだ。
ゴズはむしろ、こんな大事故で無傷は二人が不気味で怖かったから反対した。
だが、「あんたも野暮な事を言うな」とレイナにたしなめられて、ゴズら三人は嫌々ながら二人を背負ったのである。
それからゴズ達はラドウィン領東方の森にある小さな村へと辿り着いた。
そこで小さな家を借り、ラドウィンとミルランスを寝かせる。
三日ほど経って、まずラドウィンが目を覚ました。
彼はゴズを見るなり驚いていたが、助けてくれたのだと気付くと深く感謝する。
ゴズもこの時初めて、本当にラドウィンがあの領主のラドウィンだと気付いて魂消たものだ。
とはいえ、ラドウィンから事態を聞いて、お互い追われの身だと知るとむしろ「じゃあ俺たちゃ仲間って訳だな」とラドウィンの背を叩いて親しげにするのである。
それからラドウィンが目覚めて翌日、追うようにミルランスが目を覚ました。
ラドウィンとミルランスは隣同士寝ていたが、彼女が目を開けるなり勢い良く体を起こしたのである。
ラドウィンはミルランスに驚いて、養生するんだよと言った。
黒血症で息をするのも辛いからだ。
ところがミルランスは「治った」と呟いてラドウィンを見たのである。
確かに腕や頬にあった黒血症の特徴であった、肌が赤黒く変色していた部分が消えていた。
呼吸は安定している。
気分は晴れやかだ。
ラドウィンは目をパチクリさせて、この事態に驚いた。
そしてすぐに病気が治って良かったと涙する。
ミルランスも喜んだ。
「まだあなたと一緒に居ても良いの?」
「ああ、良いんだよ。お腹の子も一緒だよ。三人で一緒に居られるんだよ」
二人は抱き合って喜ぶので、そのような様子を見たゴズは彼らを助けて良かったとすら思うのである。
それからラドウィンとミルランスを合わせた五人がどういう足跡を辿ったのかは定かでは無い。
しかしながら、ほどなくして五人は村を出ると安全な地を求めてほうぼうを巡ったようだ。
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