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72 アラーシュの財力は孫の為に動く。
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――カイルside――
「と言う訳で、シッカリと釘を刺しておいたから安心しなさい」
「「国そのものの存亡が危なくなってる」」
「元々小国だ。属国となっても問題はないだろう」
うちの爺様、強すぎる。
リディア秘蔵の紅茶を出しながら会話を聞く限り、この国はこのままいけば、周辺国の属国へとなり下がるようだ。
では、何処が有力なのかというと、やはり近い国――ナカース王国の属国になる可能性が高いのだという。
そうなれば、この店も今のまま続けられるし、俺はナカース王国の祖父の領地と王都へ店を出さねばならないだろうが、少なくとも属国になるのなら、雪の園の面子がもし店をやってくれるのなら、連絡もつけやすくなる。
「しかし、サルビアがダンノージュ侯爵家の家紋とは知りませんでした」
「サルビアには家族愛等の花言葉がある。我がダンノージュ侯爵領ではサルビアの花が沢山咲いている。店の名前にサルビアをつけられるのは侯爵家だけだが、貴族ならばダンノージュ侯爵家の家紋だと分かるはずなんだがねぇ……。どうやら、この国の貴族はそう言う当たり前の知識すらないらしい」
「まさか、たまたまつけた店の名前がサルビアだったので……これも運命なんですかね」
「そうだとワシは嬉しいよ」
そう言って優しく微笑む祖父に、ライトは御かわりのお菓子を出した。
うちの調理師たちが腕によりをかけたお菓子たちだ。
祖父は余りの美味しさに暫く固まっていたほどの味だが、今後もっともとっとスキル持ちを増やし、リディアと共にお菓子店かカフェを開きたいものだな。
まぁ、そのリディアが最近新しい商品開発に忙しいわけだが、今日は違う。
「それにしても、アラーシュ様がカイルのお爺様とは思いもしませんでしたわ」
「確かに、カイルやライトと似た髪の色に瞳の色だけど、血ってのは凄いんだねぇ」
今日は、俺の彼女であるリディアと、ライトの彼女であるロキシーも参加している。
ちなみに、今日初めて判明したのだが、ロキシーの年齢は20歳らしい。
俺よりも年下だったことに驚いた。
「この分ですと、わたくし達が子供を持ったら、やはり父親に似た色を受け継ぐのかしら」
「あー……そいつは可愛いねぇ……」
「可愛いですか? 18歳になったら作りましょうね」
「本当にアンタはスラスラ出るね!」
「カイルも順序を守って作りましょうね!」
「お前がその気になってくれてるのは嬉しいけど、もう少し掛かりそうだな……」
「はっはっは! そう言えば、ダンノージュ侯爵家の持つ呪いについて話をせねばならんかったな。ダンノージュ侯爵家の呪いは何時から始まったのかは定かではない。だが、一度好きになると誰にも止められない程の執着をし、二度と手放すことは無い。逃げれば監禁が当たり前であったと聞くし、実際ワシもそうだった。リディアとロキシーも覚悟を持って孫たちと関係を深めて欲しい」
「監禁が」
「当たり前……」
「「しますね、絶対に」」
ハッキリと監禁宣言をすると、二人は顔を見合わせ、同時に溜息を吐くと小さく頷いた。
きっと納得してくれたんだろう。
「しかし、お主達の助けた者たちは素晴らしい腕を持っているのだな。まるでスキルボードで相手のスキルを読んだかのように」
「はい! スキルボード作りましたわ」
「なに? 作った?」
「はい、わたくし、ロストテクノロジー持ちですので作れましたわ」
「ほう……マルシャン公爵は本当に馬鹿だったのだな」
「そうですわね。けれど、色々スキルを上げてたら生えてきましたの」
「生えてきた!?」
「なので色々上げてる途中ですの」
「はっはっは! カイル、お前の妻は中々に豪快だな! だが、それ位が丁度いい」
「有難うございます」
「カイルもライトも、その内ナカース王国で、スキルボードでスキルを見ることになるだろうが、お前たちに一体どんなスキルがあるのか、今から楽しみで仕方がない」
そう言って嬉しそうに笑う祖父に俺とライトも微笑んだ。
そして次に、この王国にタウンハウスを買う事を決めたと昨日言っていた祖父だが、幾つか候補を見てきたのだそうだ。
貴族の住宅地にはなるが、木造の三階建て。
庭も警備がしやすく丁度いいだろうと言う事だった。
「一応商業ギルドでダンノージュ侯爵家の名で押さえてある。各国の動き次第だが、この国はナカース王国の属国となるだろう。そうなった暁には、この店やネイルサロンの皆を集めてそこで会談するもよし、業務連絡をするもよしだ。それと、ダンノージュ侯爵家の名で屋敷を二つほど買っておいた。そちらはネイリストたちを住まわせるには丁度いいだろう。警備もそれなりに厳重に置くし護衛もさせる。それと、道具店サルビアに関しては、もう少し広い店を持った方が良いだろう。此処とは少し離れるが、立地も店の広さも申し分は無かった。安全面でいっても、此処と大差はない。その隣に新たなネイルサロン・サルビアの店舗、隣にはもう一つの店舗もまとめて買ってある。存分に使え」
「何から何まで……」
「皆様に店の引っ越しのチラシを作らねばなりませんね」
「ですが。俺はリディアと始めたこの店を止める気は無いんです。この店はこの店で残すことは可能でしょうか」
最初は二人で、いいや、三人で始めた道具店だ。
思い入れもある。
そこを手放す気にはどうしてもなれなかった。
「ならば、各店の色を作ってはどうだ?」
「色……ですか」
「そう、今までのようにある程度の物は此処でも買える。だが、新店舗にしか置かない物も作ればよい。この店に新店舗の物を置きたければ、それは宣伝として少し置く程度だ」
「なるほど……」
「となると、必要になってくるのは店員や雇われオーナーと言う存在になるが、もし見つからなければ商業ギルドから雇っても構わん。ダンノージュ侯爵家に失礼のない者は寄こすだろう」
「分かりました。ちょっと知り合いにいないか、もしくはうちの従業員にいないか確かめます」
こうして、新しい店舗及び、ネイルサロンで働く女性達の住む屋敷、更にタウンハウスの予約まで入り、刻一刻と進んでいた。
出来れば俺の許で一カ月は修業した、雇われオーナーか、従業員がいいが贅沢は言っていられないだろう。
明日には雪の園のメンバーだけではなく、朝の露のメンバーもうちに来る。
その時、色々話してみるのも良いかもしれない。
「ナカース王国の属国に入れば、三つのダンジョンも我がナカース王国の冒険者が沢山訪れるだろう。質は悪くない冒険者達だ。道具店は益々繁盛し、ネイルサロンはゲン担ぎの冒険者で溢れるだろうな」
「貴族はどうなるのでしょう」
「領地はそのまま与えたままになるだろうが、領地を持たぬ者たちは収入が無くなり、いなくなる。国民を虐げて手に入れた金で生活していた者たちだ。いなくなっても問題は無いだろう。だが、人として立派であれば、何とかしてやらん事も無い。後でワシが所有するこの国の貴族の名簿は渡してやろう」
祖父の言う人材は……いるんだろうか。
まぁ、いたとしても数名だろうから問題は無さそうだ。
「さて……此処から話は変わるが、明日急ぎカイルたちにネイリストに買い与えた屋敷とタウンハウスの予定地、そして新しい店の方も見せる。引っ越しは何時でもいい。もう買ってあるからな。それが終われば、直ぐにライトを連れてナカース王国へ戻らねばならん。本当はリディアの箱庭をみたかったが、それは次の楽しみにしよう」
「分かりましたわ」
「リディア姉さん、私のブレスレットは何時でも箱庭に戻れるように設定しておいてくださいね?」
「勿論ですわ!」
「ライトがナカース王国に到着したら、王国内にあるタウンハウスでまずは箱庭と行き来出来る設定を行い、その時ワシにも出来ればブレスレットが欲しい。無論執事のブラウンにもな」
「分かりましたわ」
「そして、陛下への話が終わったらダンノージュ侯爵領へ向かい、屋敷にて箱庭との行き来の設定もお願いしたい」
「迅速に移動できるようにですわね」
「そうだ」
「カイルはそれまでに新しい、雇われオーナーと店員を見つけてくるんだぞ」
「分かりました」
「トータルで一カ月ほど掛かるだろう。その間にこの国も色々動くだろう。もしナカース王国の属国になった暁には、箱庭師への差別を無くす努力もする。色々法整備も整え、女性でも平等な職業につけるようにもしよう。その辺りは陛下が考えてくれるだろうがな。朝の間に早馬で今回の事を事細かに書いた書類は送ってある。直ぐに取り掛かってくださるだろう」
祖父はフットワークが軽いというべきか、仕事が早い。
俺も見習わねばならない事だろう。
「カイルとライトがダンノージュ侯爵家の孫である証明も出来た事だ。カイルには跡継ぎとしての諸々の勉強もして貰わねばならないが、カイルもライトも、ある程度の貴族としての立ち振る舞いは出来ている。父親に感謝することだな」
「「はい」」
「その上で勉強しつつ、侯爵家を継ぐに相応しい男になれ。領地運営は難しいだろうが、沢山の人の意見を聞きつつやっていくと良い。だが、ワシもまだまだ59歳。まだ働けるだろうから安心してまずは商売を軌道に乗せろ」
「有難うございます」
「そうだな、お前を支える人材として欲しいのは、スキルとしては『鑑定士』だ。若くとも良い、右腕になるよう育てよ」
「鑑定士なら一人います……3歳ですが」
「ならば、その子をシッカリと育て上げ、若くしてそばに置くといい」
「はい」
「そしてライト」
「はい!」
「兄を支え、共に侯爵家を動かして行け」
「はい!」
――こうして、祖父は明日店を休業し、俺達に場所を教えたのち、夜には此処を立つらしい。
ライトは何時でも店にも箱庭にも来れる為、問題はないが……馬車で貴族としての色々な事を先に学ぶことになるそうだ。
弟に苦労を掛けることは気が引けるが、頑張って欲しい。
ナカース王国までは馬車で五日。
そう遠くない距離なのだと理解するとライトも安心したようだ。
また明日から忙しくなる。
頑張ろうと思う決意と共に、祖父のように状況判断および、仕事の早い男になろうと新たに決意した。
「と言う訳で、シッカリと釘を刺しておいたから安心しなさい」
「「国そのものの存亡が危なくなってる」」
「元々小国だ。属国となっても問題はないだろう」
うちの爺様、強すぎる。
リディア秘蔵の紅茶を出しながら会話を聞く限り、この国はこのままいけば、周辺国の属国へとなり下がるようだ。
では、何処が有力なのかというと、やはり近い国――ナカース王国の属国になる可能性が高いのだという。
そうなれば、この店も今のまま続けられるし、俺はナカース王国の祖父の領地と王都へ店を出さねばならないだろうが、少なくとも属国になるのなら、雪の園の面子がもし店をやってくれるのなら、連絡もつけやすくなる。
「しかし、サルビアがダンノージュ侯爵家の家紋とは知りませんでした」
「サルビアには家族愛等の花言葉がある。我がダンノージュ侯爵領ではサルビアの花が沢山咲いている。店の名前にサルビアをつけられるのは侯爵家だけだが、貴族ならばダンノージュ侯爵家の家紋だと分かるはずなんだがねぇ……。どうやら、この国の貴族はそう言う当たり前の知識すらないらしい」
「まさか、たまたまつけた店の名前がサルビアだったので……これも運命なんですかね」
「そうだとワシは嬉しいよ」
そう言って優しく微笑む祖父に、ライトは御かわりのお菓子を出した。
うちの調理師たちが腕によりをかけたお菓子たちだ。
祖父は余りの美味しさに暫く固まっていたほどの味だが、今後もっともとっとスキル持ちを増やし、リディアと共にお菓子店かカフェを開きたいものだな。
まぁ、そのリディアが最近新しい商品開発に忙しいわけだが、今日は違う。
「それにしても、アラーシュ様がカイルのお爺様とは思いもしませんでしたわ」
「確かに、カイルやライトと似た髪の色に瞳の色だけど、血ってのは凄いんだねぇ」
今日は、俺の彼女であるリディアと、ライトの彼女であるロキシーも参加している。
ちなみに、今日初めて判明したのだが、ロキシーの年齢は20歳らしい。
俺よりも年下だったことに驚いた。
「この分ですと、わたくし達が子供を持ったら、やはり父親に似た色を受け継ぐのかしら」
「あー……そいつは可愛いねぇ……」
「可愛いですか? 18歳になったら作りましょうね」
「本当にアンタはスラスラ出るね!」
「カイルも順序を守って作りましょうね!」
「お前がその気になってくれてるのは嬉しいけど、もう少し掛かりそうだな……」
「はっはっは! そう言えば、ダンノージュ侯爵家の持つ呪いについて話をせねばならんかったな。ダンノージュ侯爵家の呪いは何時から始まったのかは定かではない。だが、一度好きになると誰にも止められない程の執着をし、二度と手放すことは無い。逃げれば監禁が当たり前であったと聞くし、実際ワシもそうだった。リディアとロキシーも覚悟を持って孫たちと関係を深めて欲しい」
「監禁が」
「当たり前……」
「「しますね、絶対に」」
ハッキリと監禁宣言をすると、二人は顔を見合わせ、同時に溜息を吐くと小さく頷いた。
きっと納得してくれたんだろう。
「しかし、お主達の助けた者たちは素晴らしい腕を持っているのだな。まるでスキルボードで相手のスキルを読んだかのように」
「はい! スキルボード作りましたわ」
「なに? 作った?」
「はい、わたくし、ロストテクノロジー持ちですので作れましたわ」
「ほう……マルシャン公爵は本当に馬鹿だったのだな」
「そうですわね。けれど、色々スキルを上げてたら生えてきましたの」
「生えてきた!?」
「なので色々上げてる途中ですの」
「はっはっは! カイル、お前の妻は中々に豪快だな! だが、それ位が丁度いい」
「有難うございます」
「カイルもライトも、その内ナカース王国で、スキルボードでスキルを見ることになるだろうが、お前たちに一体どんなスキルがあるのか、今から楽しみで仕方がない」
そう言って嬉しそうに笑う祖父に俺とライトも微笑んだ。
そして次に、この王国にタウンハウスを買う事を決めたと昨日言っていた祖父だが、幾つか候補を見てきたのだそうだ。
貴族の住宅地にはなるが、木造の三階建て。
庭も警備がしやすく丁度いいだろうと言う事だった。
「一応商業ギルドでダンノージュ侯爵家の名で押さえてある。各国の動き次第だが、この国はナカース王国の属国となるだろう。そうなった暁には、この店やネイルサロンの皆を集めてそこで会談するもよし、業務連絡をするもよしだ。それと、ダンノージュ侯爵家の名で屋敷を二つほど買っておいた。そちらはネイリストたちを住まわせるには丁度いいだろう。警備もそれなりに厳重に置くし護衛もさせる。それと、道具店サルビアに関しては、もう少し広い店を持った方が良いだろう。此処とは少し離れるが、立地も店の広さも申し分は無かった。安全面でいっても、此処と大差はない。その隣に新たなネイルサロン・サルビアの店舗、隣にはもう一つの店舗もまとめて買ってある。存分に使え」
「何から何まで……」
「皆様に店の引っ越しのチラシを作らねばなりませんね」
「ですが。俺はリディアと始めたこの店を止める気は無いんです。この店はこの店で残すことは可能でしょうか」
最初は二人で、いいや、三人で始めた道具店だ。
思い入れもある。
そこを手放す気にはどうしてもなれなかった。
「ならば、各店の色を作ってはどうだ?」
「色……ですか」
「そう、今までのようにある程度の物は此処でも買える。だが、新店舗にしか置かない物も作ればよい。この店に新店舗の物を置きたければ、それは宣伝として少し置く程度だ」
「なるほど……」
「となると、必要になってくるのは店員や雇われオーナーと言う存在になるが、もし見つからなければ商業ギルドから雇っても構わん。ダンノージュ侯爵家に失礼のない者は寄こすだろう」
「分かりました。ちょっと知り合いにいないか、もしくはうちの従業員にいないか確かめます」
こうして、新しい店舗及び、ネイルサロンで働く女性達の住む屋敷、更にタウンハウスの予約まで入り、刻一刻と進んでいた。
出来れば俺の許で一カ月は修業した、雇われオーナーか、従業員がいいが贅沢は言っていられないだろう。
明日には雪の園のメンバーだけではなく、朝の露のメンバーもうちに来る。
その時、色々話してみるのも良いかもしれない。
「ナカース王国の属国に入れば、三つのダンジョンも我がナカース王国の冒険者が沢山訪れるだろう。質は悪くない冒険者達だ。道具店は益々繁盛し、ネイルサロンはゲン担ぎの冒険者で溢れるだろうな」
「貴族はどうなるのでしょう」
「領地はそのまま与えたままになるだろうが、領地を持たぬ者たちは収入が無くなり、いなくなる。国民を虐げて手に入れた金で生活していた者たちだ。いなくなっても問題は無いだろう。だが、人として立派であれば、何とかしてやらん事も無い。後でワシが所有するこの国の貴族の名簿は渡してやろう」
祖父の言う人材は……いるんだろうか。
まぁ、いたとしても数名だろうから問題は無さそうだ。
「さて……此処から話は変わるが、明日急ぎカイルたちにネイリストに買い与えた屋敷とタウンハウスの予定地、そして新しい店の方も見せる。引っ越しは何時でもいい。もう買ってあるからな。それが終われば、直ぐにライトを連れてナカース王国へ戻らねばならん。本当はリディアの箱庭をみたかったが、それは次の楽しみにしよう」
「分かりましたわ」
「リディア姉さん、私のブレスレットは何時でも箱庭に戻れるように設定しておいてくださいね?」
「勿論ですわ!」
「ライトがナカース王国に到着したら、王国内にあるタウンハウスでまずは箱庭と行き来出来る設定を行い、その時ワシにも出来ればブレスレットが欲しい。無論執事のブラウンにもな」
「分かりましたわ」
「そして、陛下への話が終わったらダンノージュ侯爵領へ向かい、屋敷にて箱庭との行き来の設定もお願いしたい」
「迅速に移動できるようにですわね」
「そうだ」
「カイルはそれまでに新しい、雇われオーナーと店員を見つけてくるんだぞ」
「分かりました」
「トータルで一カ月ほど掛かるだろう。その間にこの国も色々動くだろう。もしナカース王国の属国になった暁には、箱庭師への差別を無くす努力もする。色々法整備も整え、女性でも平等な職業につけるようにもしよう。その辺りは陛下が考えてくれるだろうがな。朝の間に早馬で今回の事を事細かに書いた書類は送ってある。直ぐに取り掛かってくださるだろう」
祖父はフットワークが軽いというべきか、仕事が早い。
俺も見習わねばならない事だろう。
「カイルとライトがダンノージュ侯爵家の孫である証明も出来た事だ。カイルには跡継ぎとしての諸々の勉強もして貰わねばならないが、カイルもライトも、ある程度の貴族としての立ち振る舞いは出来ている。父親に感謝することだな」
「「はい」」
「その上で勉強しつつ、侯爵家を継ぐに相応しい男になれ。領地運営は難しいだろうが、沢山の人の意見を聞きつつやっていくと良い。だが、ワシもまだまだ59歳。まだ働けるだろうから安心してまずは商売を軌道に乗せろ」
「有難うございます」
「そうだな、お前を支える人材として欲しいのは、スキルとしては『鑑定士』だ。若くとも良い、右腕になるよう育てよ」
「鑑定士なら一人います……3歳ですが」
「ならば、その子をシッカリと育て上げ、若くしてそばに置くといい」
「はい」
「そしてライト」
「はい!」
「兄を支え、共に侯爵家を動かして行け」
「はい!」
――こうして、祖父は明日店を休業し、俺達に場所を教えたのち、夜には此処を立つらしい。
ライトは何時でも店にも箱庭にも来れる為、問題はないが……馬車で貴族としての色々な事を先に学ぶことになるそうだ。
弟に苦労を掛けることは気が引けるが、頑張って欲しい。
ナカース王国までは馬車で五日。
そう遠くない距離なのだと理解するとライトも安心したようだ。
また明日から忙しくなる。
頑張ろうと思う決意と共に、祖父のように状況判断および、仕事の早い男になろうと新たに決意した。
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