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103 大口依頼と、『サルビア布製造所』を作ろう計画。
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――カイルside――
「店主、少々宜しいかね」
「はい?」
店にやってきたのは、10名ほどの男性たちだった。
彼らは店に入ってくると、少しだけ溜息を吐いてから俺に向き合った。
「そちらと商談をしたいのだが……」
「分かりました、奥の商談スペースへどうぞ」
「助かる」
店のドアを閉め、商談スペースに三人が座り、残り7人が立っている状態だが、一体どんな要件だろうか。
「手短に話そう。我々宿屋は、酒場通りにある道具屋と手を切らせてもらう事になった」
「そこで、この商店街で取り扱っているというガーゼシリーズを宿屋に導入したいと思っている」
「ガーゼシリーズをですか。枕カバーに敷きパッド、それにガーゼケットもでしょうか」
「ああ、一式をそれぞれ250もあればギリギリだが足りると思う」
「250セット……」
「期限は一カ月。頼めるか?」
「分かりました。一カ月の間に用意しましょう。今の時期はまだダンノージュ侯爵領は温かいですが、寒くなった時はどうなさいます? 『ほっかり布』で作った温かな『ほっかりシリーズ』も用意できますが」
「そちらは時期が来たらお願いしたい。作っておいて貰えれば尚助かる」
「ですが、250セットとなるとそれなりにお値段が掛かりますが」
「君は、今まで道具店に我々が支払っていた質の悪い寝具セットに幾ら金を掛けていたか知っているかね?」
「いいえ」
「金貨500枚だ」
余りの多さに声を失ったが、それでも尚、リーダー格の宿屋の男性は口を開いて喋りだす。
「ガーゼシリーズは250枚でもそれより安く仕入れることができる。替えの分も頼みたいが250セット作るのは大変だろうからまずは直近で欲しい数だ」
「替えの分も入れると500セットですね。確かにそれは一カ月では無理そうです」
「まずは、一か月後に250セット、そのまた一か月後に250セット。頼めるかね」
「分かりました。出来るだけ急ぎで作らせます」
「前金で払っておこう。色を付けて250セットに金貨200枚だ」
「有難うございます」
「では、一か月後に取りに来る。それまで冒険者がストライキを起こさねばいいが」
「俺の方からも連絡があったという事を伝えておきますので」
「助かる」
「では一か月後に」
どうやら大口依頼だったようだ。
アチラの方でも作って貰って、ガーゼシリーズ一式を急ぎ250個作って貰わなくてはならなくなった。
――そうだ、良い事を思いついたぞ。
これで、アチラの方の雇用問題は少しだけ落ち着くかもしれない。
だが、その為には投資が必要だ。
リディアと相談して決めていこう。
そう決めて箱庭に戻りリディアに相談したところ。
「なるほど、宿屋と提携ですのね」
「ああ、ダンノージュ侯爵領では宿屋との提携が行われることになった。ギリギリ250セットあれば足りるだろうという話だったんだが、今後も一般庶民にまで広げることを視野に入れると、店で、箱庭で雇っている人数ではとても足りない。そこで、属国となった方の雇用問題を解決する為に、『サルビア布製造所』を作ろうと思う。没落貴族の女性達を多く雇えるはずだ」
「確かに貴族にとって裁縫は必須スキルですものね。良い案だと思いますわ」
「また、検品する人手も必要になってくる。どちらにしても、ご老人から若い女性まで雇うには丁度いいんじゃないかなって思うんだ」
「ええ、その為には少し大きめの工場が欲しいですわね」
「ああ、それに商品を保管しておけるだけの倉庫の広さも欲しい」
「雇える人数次第ですけれど……洋服関係の人材も欲しいんですの。子供から大人までの服を作るのに」
「なるほど」
「後は手先が器用な方でしたら、スキル持ちじゃなくても雇いたい所ですわ。赤ちゃん用のオモチャを作るのに必要ですし」
「ふんふん」
「後欲しい人材ですけれど、『陶芸師』と『炭師』を雇いたいんですの。今後必要になりますから二人か三人程」
「ハズレスキルではあるけれど、探してみるよ」
「では、まずは没落貴族が持っていた工場を買い取って貰って、そちらで服と布団を。倉庫も同じように買い取ってくださる?」
「分かった」
「後は、石鹸があちらでもダンノージュ侯爵領でも売れまくっているでしょう? 作り方を教えれば没落した男性でも作れますわ」
「新たな雇用か。石鹸工場を作るのもアリだな」
「そうですわね。消耗品ですから、いらっしゃると助かりますわ。こちらから錬金術師の方を一人か二人派遣して責任者として見て貰いましょう」
「了解だ」
どうやら、属国となった方での雇用問題は解決しそうだな。
後は各場所に見張りの護衛を雇う事も検討して……保護している酒場の方には、騎士団が派遣されているから問題はないとして……。
「リディア」
「ん?」
「大きな寮が必要になりそうだな」
「そうですわね。この際ですから没落した貴族の屋敷を数か所買って、そちらで住んで頂きましょう」
「それがいいか」
「タウンハウスは山のように人が居なくなったと聞いてますもの」
「じゃあ、そう言うのを買い取って寮にしてこう。ついでに職を失ったコックなんかも雇ってタウンハウスを任せると良いしな」
「ええ」
こうして、雇った際の寮についても何とかなりそうだ。
無論、誰彼と雇う訳ではない。
シッカリと働きそうな人は雇わせてもらうが、そうではないのなら雇わないでおこう。
矜持を重んじる貴族は多いが、最早そんなものでは食べていけないとそろそろ身を持って知ったころだろうしな。
しっかりと身を持って知った貴族ならば、雇っても問題はない。
それと、アイテムボックスについて質問をしたところ、人が多くなってきたことで沢山作っていたら大量にまた出来てしまったと言っていたので、こっちはすぐに用意できそうだ。
「ダンノージュ侯爵領の改革に属国となった方の改革と、わたくし達も忙しいですわね」
「ああ、属国になった方はダンノージュ侯爵領でもまだないのにな」
「どちらの方々が治めになるのかしら」
「そこも含めて、明日王太子に聞いてくるよ。ダンノージュ侯爵家ではないのなら、好き勝手は出来そうにないからな」
「そうですわね」
あくまで此方にとって都合のいい相手の領であるのなら、今まで通りつき進めるんだが、そうでないのなら撤退も視野に入れなくてはならない。
王太子が纏め上げるといっても、王太子の持つ領と言う訳では無いかも知れない。
判断を間違えれば、更に多くの人が傷つき、職を失う事になるかもしれない。
慎重に動かねばならないところだ。
それでも、既に道具店サルビアとして根付いた場所だから、せめてサルビアの名を少し使い人道支援が出来れば……。
――そう思っていたのだが。
「店主、少々宜しいかね」
「はい?」
店にやってきたのは、10名ほどの男性たちだった。
彼らは店に入ってくると、少しだけ溜息を吐いてから俺に向き合った。
「そちらと商談をしたいのだが……」
「分かりました、奥の商談スペースへどうぞ」
「助かる」
店のドアを閉め、商談スペースに三人が座り、残り7人が立っている状態だが、一体どんな要件だろうか。
「手短に話そう。我々宿屋は、酒場通りにある道具屋と手を切らせてもらう事になった」
「そこで、この商店街で取り扱っているというガーゼシリーズを宿屋に導入したいと思っている」
「ガーゼシリーズをですか。枕カバーに敷きパッド、それにガーゼケットもでしょうか」
「ああ、一式をそれぞれ250もあればギリギリだが足りると思う」
「250セット……」
「期限は一カ月。頼めるか?」
「分かりました。一カ月の間に用意しましょう。今の時期はまだダンノージュ侯爵領は温かいですが、寒くなった時はどうなさいます? 『ほっかり布』で作った温かな『ほっかりシリーズ』も用意できますが」
「そちらは時期が来たらお願いしたい。作っておいて貰えれば尚助かる」
「ですが、250セットとなるとそれなりにお値段が掛かりますが」
「君は、今まで道具店に我々が支払っていた質の悪い寝具セットに幾ら金を掛けていたか知っているかね?」
「いいえ」
「金貨500枚だ」
余りの多さに声を失ったが、それでも尚、リーダー格の宿屋の男性は口を開いて喋りだす。
「ガーゼシリーズは250枚でもそれより安く仕入れることができる。替えの分も頼みたいが250セット作るのは大変だろうからまずは直近で欲しい数だ」
「替えの分も入れると500セットですね。確かにそれは一カ月では無理そうです」
「まずは、一か月後に250セット、そのまた一か月後に250セット。頼めるかね」
「分かりました。出来るだけ急ぎで作らせます」
「前金で払っておこう。色を付けて250セットに金貨200枚だ」
「有難うございます」
「では、一か月後に取りに来る。それまで冒険者がストライキを起こさねばいいが」
「俺の方からも連絡があったという事を伝えておきますので」
「助かる」
「では一か月後に」
どうやら大口依頼だったようだ。
アチラの方でも作って貰って、ガーゼシリーズ一式を急ぎ250個作って貰わなくてはならなくなった。
――そうだ、良い事を思いついたぞ。
これで、アチラの方の雇用問題は少しだけ落ち着くかもしれない。
だが、その為には投資が必要だ。
リディアと相談して決めていこう。
そう決めて箱庭に戻りリディアに相談したところ。
「なるほど、宿屋と提携ですのね」
「ああ、ダンノージュ侯爵領では宿屋との提携が行われることになった。ギリギリ250セットあれば足りるだろうという話だったんだが、今後も一般庶民にまで広げることを視野に入れると、店で、箱庭で雇っている人数ではとても足りない。そこで、属国となった方の雇用問題を解決する為に、『サルビア布製造所』を作ろうと思う。没落貴族の女性達を多く雇えるはずだ」
「確かに貴族にとって裁縫は必須スキルですものね。良い案だと思いますわ」
「また、検品する人手も必要になってくる。どちらにしても、ご老人から若い女性まで雇うには丁度いいんじゃないかなって思うんだ」
「ええ、その為には少し大きめの工場が欲しいですわね」
「ああ、それに商品を保管しておけるだけの倉庫の広さも欲しい」
「雇える人数次第ですけれど……洋服関係の人材も欲しいんですの。子供から大人までの服を作るのに」
「なるほど」
「後は手先が器用な方でしたら、スキル持ちじゃなくても雇いたい所ですわ。赤ちゃん用のオモチャを作るのに必要ですし」
「ふんふん」
「後欲しい人材ですけれど、『陶芸師』と『炭師』を雇いたいんですの。今後必要になりますから二人か三人程」
「ハズレスキルではあるけれど、探してみるよ」
「では、まずは没落貴族が持っていた工場を買い取って貰って、そちらで服と布団を。倉庫も同じように買い取ってくださる?」
「分かった」
「後は、石鹸があちらでもダンノージュ侯爵領でも売れまくっているでしょう? 作り方を教えれば没落した男性でも作れますわ」
「新たな雇用か。石鹸工場を作るのもアリだな」
「そうですわね。消耗品ですから、いらっしゃると助かりますわ。こちらから錬金術師の方を一人か二人派遣して責任者として見て貰いましょう」
「了解だ」
どうやら、属国となった方での雇用問題は解決しそうだな。
後は各場所に見張りの護衛を雇う事も検討して……保護している酒場の方には、騎士団が派遣されているから問題はないとして……。
「リディア」
「ん?」
「大きな寮が必要になりそうだな」
「そうですわね。この際ですから没落した貴族の屋敷を数か所買って、そちらで住んで頂きましょう」
「それがいいか」
「タウンハウスは山のように人が居なくなったと聞いてますもの」
「じゃあ、そう言うのを買い取って寮にしてこう。ついでに職を失ったコックなんかも雇ってタウンハウスを任せると良いしな」
「ええ」
こうして、雇った際の寮についても何とかなりそうだ。
無論、誰彼と雇う訳ではない。
シッカリと働きそうな人は雇わせてもらうが、そうではないのなら雇わないでおこう。
矜持を重んじる貴族は多いが、最早そんなものでは食べていけないとそろそろ身を持って知ったころだろうしな。
しっかりと身を持って知った貴族ならば、雇っても問題はない。
それと、アイテムボックスについて質問をしたところ、人が多くなってきたことで沢山作っていたら大量にまた出来てしまったと言っていたので、こっちはすぐに用意できそうだ。
「ダンノージュ侯爵領の改革に属国となった方の改革と、わたくし達も忙しいですわね」
「ああ、属国になった方はダンノージュ侯爵領でもまだないのにな」
「どちらの方々が治めになるのかしら」
「そこも含めて、明日王太子に聞いてくるよ。ダンノージュ侯爵家ではないのなら、好き勝手は出来そうにないからな」
「そうですわね」
あくまで此方にとって都合のいい相手の領であるのなら、今まで通りつき進めるんだが、そうでないのなら撤退も視野に入れなくてはならない。
王太子が纏め上げるといっても、王太子の持つ領と言う訳では無いかも知れない。
判断を間違えれば、更に多くの人が傷つき、職を失う事になるかもしれない。
慎重に動かねばならないところだ。
それでも、既に道具店サルビアとして根付いた場所だから、せめてサルビアの名を少し使い人道支援が出来れば……。
――そう思っていたのだが。
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