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198 ファビーの日帰り温泉オープン!(上)
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――ファビーside――
リディア姉からの案で、コタツを何カ所かに設置し、湯上りの待ち時間に寒くならない様にと温熱ヒーターを幾つか設置して、孤児院にも炬燵と温熱ヒーターが導入された数日後――初めて私の日帰り温泉がオープンすることになった。
まずはダンノージュ侯爵領からスタートと言う事で、庶民の方々は寄合所に青の暖簾を掛けさせてもらい、冒険者の方々には宿屋にドアを一つ用意して貰い、そこに青い暖簾をかけさせてもらいました。
青の暖簾は男性の日。赤の暖簾は女性の日と交互に分けることで気兼ねなく入って貰おうと言う事にして、最初は男性の日からスタートでした。
朝から暖簾を掛けて人の出入りをリディア姉の池鏡の間から見させて貰うと、最初こそポツポツと言う出入りだったのが、あっという間に大勢の出入りに変わりました!
聞こえる声は賑やかで、休憩所と入り口だけを見させて貰いましたが、温泉の効能はバッチリだったようです!
『あ――この温泉は良いな! 疲れが取れるぞ!!』
『風呂上りに水をタダで飲めるのはいいな!』
『夜になると、外の休憩所に安い店が出るらしいぞ』
『夜も入りに来るか!』
『肩を痛めていたのに、今じゃ痛みすら感じない。きっと特別な湯なんだろうな』
『サルビアお抱えの箱庭師だというし、きっと特別なんだろう』
ええ、そうですとも!
リディア姉の温泉を一生懸命イメージして箱庭の神様にもお願いして、同じお湯を出して貰っていますから!!
そう叫びたいのを我慢しながら、自分の箱庭がこんなにも憩いの場になるなんて……胸がいっぱいです!
『しかも温泉の脱衣所の化粧水とかタダだろう? 髭剃り道具も買ったが、普段買っている店よりも切れ味が良いぞ』
『あの香りの良い顔につける……化粧水だったか? 清涼感があるのにシッカリ保湿もしてくれるし最高だ』
『温泉にあるボディーソープやシャンプーも有難いな! 化粧水だが同じものが売ってるらしいぞ』
『買いに行くか……アレは病みつきになる』
『男前が上がるって言う感じがするよな』
『出来る男の匂いだ、そうに違いない』
その言葉にフォルが強く頷いていました。
男性用化粧水を作ったのはフォルだし、フォルの言う清涼感と保湿も出来る化粧水と言うのは一度使うと病みつきになるんでしょうね。
私はリディア姉が作っている女性用を使っているけれど、お肌はモチモチぷるぷるだもの!
スラムにいる頃はカサカサしていて自分の肌を好きになれなかったけれど、箱庭で生活するようになってから自分の肌も好きになれたわ!
『なんといっても、温泉だよな……』
『あらゆる温泉が多くてな。貴族様の家にある様な風呂ばかりじゃないか』
『贅沢な湯が溢れだしている温泉と言うのは、存在するだけで価値があると直ぐにわかる。この箱庭はとっても価値があるんだろうな』
『でも、一度入る時の値段は良心的だ』
『そこがサルビアよ』
そう語る男性陣の言葉に何度も頷きながら、隣にいるフォルと両手を叩いて喜び合うと、リディア姉も嬉しそうに微笑んでくださったわ!
化粧品を買う為に長蛇の列も出来ていて、それは冒険者だけではなく庶民の皆さんも同じで。
仕事に行く前、仕事帰りに温泉に入ると言う贅沢は、きっと止められないと思いました!
昼前から人の出入りが激しくなり、夕方に差し掛かると移動用のコンロと、途中まで煮込んだおでんを外の休憩所で、売り切れ御免で販売すると、そちらも大盛況で元スラム孤児だった仲間も一生懸命働いてます。
元スラムの私の仲間たちも、屋台サルビアのトレードマークであるエプロンを付けている為、サルビアの一員として働ける事に喜びを感じているようです。
それに――。
『この炬燵で深い眠りに入りたい……』
『いや、この特別な床の香りと炬燵と呼ばれるこのアイテムは反則だ……』
『宿屋は寒いからな、一人用でも売り出してくれたら俺は買いたいね』
『でも冬しか使わないだろう?』
『馬鹿野郎、その時の天国を買うのに躊躇なんてしてられるかよ』
『確かに言えてるな』
『心が満たされてこその冒険者だ……気持ちは分かるぞ』
『それに温熱ヒーターとか言うのも魅力的だ』
『柔らかい熱風が当たると、力が抜けてしまうな……』
『何時間でも居たいと思わせる作りは反則だぞ』
『明日は女性の日だろ? 一日ずつ交代だって聞いたぞ』
『なんてことだ。毎日通いたいのに一日交代だなんて……』
『残念なお知らせだ。一か月後は王太子領の為に貸し出すらしい』
『温泉の為に箱庭師を雇いたいな』
『いや、温泉の為に箱庭師雇うくらいはパーティ持ちなら可能じゃないか?』
等など話がされています。
箱庭師は基本的に移動用が多いらしいですけど、私の様な箱庭の方がレアなんでしょうね。
それもこれも、初めて見た箱庭がリディア姉の箱庭だったからに他ならず、やはり最初の出会いや衝撃と言うのはとても大事なんだと思いました。
「皆さんに愛される日帰り温泉になりそうね、ファビー」
「はい! とっても嬉しいです! これも全部リディア姉が弟子にしてくれたお陰です!」
「ふふふ、そう言って貰えると嬉しいわ。ちなみに近々ダンノージュ侯爵家のアラーシュ様も入りに来るそうよ」
「ひああああああ!!!」
「貴族用があるんだから入りに来るだろう?」
「そっそそそ……そうですけど!!」
「きっとお気に召されると思うわよ! 頑張ってファビー!」
「は……はいいい!!」
そう、今回は貴族様が入りに来てないので分からないけれど、初めての貴族様がお使いになるなら、ダンノージュ侯爵家の現当主、アラーシュ様が入るのは当たり前の事!
行けるわ、大丈夫……リディア姉のお墨付きだもの!!
それに、アラーシュ様で慣れていれば、国王陛下が使われる時も激しく緊張することは……ない……筈!!
そうよ、私頑張って!!
理想郷を、人を守る為の施設として使う事だって大事なんだから!
自分の箱庭を売りに出すのよ、自信をもって!!
その後も閉店時間まで人ではとても多く、閉店後に働いている方々から聞いた話だと、特に人気だったのがサウナでした。
何度もサウナに入っては水風呂で身体をひんやりさせて、またサウナに入ると言う方々が続出だったらしく、中には『整いました!』と叫んで、とてもいい笑顔で温泉を出る方も多かったのだとか。
『整いました』は一体何が整ったのかは不明ですけど、気持ちよく出られたのでしたら何よりですね!
「リディア姉、温泉は大成功でしょうか!?」
「大成功よファビー!」
「おおおお……王様に売り出しても良さそうな感じですか!?」
「あなたを取られない為に対策は必要ね」
「私はリディア姉の弟子なので!! リディア姉の弟子ですので!!」
「分かっていますわファビー。任せておいて頂戴!」
「そうだとも、ボクとファビーはリディア姉の最初の弟子なんだ。王家ですら手を出したくてもきっと出せないさ」
「そう信じてますぅぅうう!!」
行軍に必要な物と私の温泉をセットで貸し出すと言う話を聞いた時は寝ることが出来なかったけれど、リディア姉が必ず守ると言って下さって安心して大泣きして……私はきっと、リディア姉に理想の姉を見ているんだと思います。
お慕いしている姉です。姉の為には色々やりたい妹や弟子心はあるけれど、リディア姉から離れるなんて悲しくて温泉からお湯が出なくなりそうでした。
実際、一日私がリディア姉から離れ離れになるかもしれないと思って動けなくなったとき、温泉が出なくなったので、私の心と連動して温泉のお湯が出るのだろうと判断されました。
今のところ緊張でお湯が出なくなると言う事はありませんが、リディア姉と離れ離れになると思うとダメみたいです。
リディア姉からすれば、それはとても嬉しい事でもあり、私を寄こせと言われても無理だとハッキリ断れる重要な事なのだと言われて安心しました。
「温泉はで出しも好調。明日の女性の日が楽しみね!」
「はい!」
こうして、次の日の女性の日に挑んだのですが――。
リディア姉からの案で、コタツを何カ所かに設置し、湯上りの待ち時間に寒くならない様にと温熱ヒーターを幾つか設置して、孤児院にも炬燵と温熱ヒーターが導入された数日後――初めて私の日帰り温泉がオープンすることになった。
まずはダンノージュ侯爵領からスタートと言う事で、庶民の方々は寄合所に青の暖簾を掛けさせてもらい、冒険者の方々には宿屋にドアを一つ用意して貰い、そこに青い暖簾をかけさせてもらいました。
青の暖簾は男性の日。赤の暖簾は女性の日と交互に分けることで気兼ねなく入って貰おうと言う事にして、最初は男性の日からスタートでした。
朝から暖簾を掛けて人の出入りをリディア姉の池鏡の間から見させて貰うと、最初こそポツポツと言う出入りだったのが、あっという間に大勢の出入りに変わりました!
聞こえる声は賑やかで、休憩所と入り口だけを見させて貰いましたが、温泉の効能はバッチリだったようです!
『あ――この温泉は良いな! 疲れが取れるぞ!!』
『風呂上りに水をタダで飲めるのはいいな!』
『夜になると、外の休憩所に安い店が出るらしいぞ』
『夜も入りに来るか!』
『肩を痛めていたのに、今じゃ痛みすら感じない。きっと特別な湯なんだろうな』
『サルビアお抱えの箱庭師だというし、きっと特別なんだろう』
ええ、そうですとも!
リディア姉の温泉を一生懸命イメージして箱庭の神様にもお願いして、同じお湯を出して貰っていますから!!
そう叫びたいのを我慢しながら、自分の箱庭がこんなにも憩いの場になるなんて……胸がいっぱいです!
『しかも温泉の脱衣所の化粧水とかタダだろう? 髭剃り道具も買ったが、普段買っている店よりも切れ味が良いぞ』
『あの香りの良い顔につける……化粧水だったか? 清涼感があるのにシッカリ保湿もしてくれるし最高だ』
『温泉にあるボディーソープやシャンプーも有難いな! 化粧水だが同じものが売ってるらしいぞ』
『買いに行くか……アレは病みつきになる』
『男前が上がるって言う感じがするよな』
『出来る男の匂いだ、そうに違いない』
その言葉にフォルが強く頷いていました。
男性用化粧水を作ったのはフォルだし、フォルの言う清涼感と保湿も出来る化粧水と言うのは一度使うと病みつきになるんでしょうね。
私はリディア姉が作っている女性用を使っているけれど、お肌はモチモチぷるぷるだもの!
スラムにいる頃はカサカサしていて自分の肌を好きになれなかったけれど、箱庭で生活するようになってから自分の肌も好きになれたわ!
『なんといっても、温泉だよな……』
『あらゆる温泉が多くてな。貴族様の家にある様な風呂ばかりじゃないか』
『贅沢な湯が溢れだしている温泉と言うのは、存在するだけで価値があると直ぐにわかる。この箱庭はとっても価値があるんだろうな』
『でも、一度入る時の値段は良心的だ』
『そこがサルビアよ』
そう語る男性陣の言葉に何度も頷きながら、隣にいるフォルと両手を叩いて喜び合うと、リディア姉も嬉しそうに微笑んでくださったわ!
化粧品を買う為に長蛇の列も出来ていて、それは冒険者だけではなく庶民の皆さんも同じで。
仕事に行く前、仕事帰りに温泉に入ると言う贅沢は、きっと止められないと思いました!
昼前から人の出入りが激しくなり、夕方に差し掛かると移動用のコンロと、途中まで煮込んだおでんを外の休憩所で、売り切れ御免で販売すると、そちらも大盛況で元スラム孤児だった仲間も一生懸命働いてます。
元スラムの私の仲間たちも、屋台サルビアのトレードマークであるエプロンを付けている為、サルビアの一員として働ける事に喜びを感じているようです。
それに――。
『この炬燵で深い眠りに入りたい……』
『いや、この特別な床の香りと炬燵と呼ばれるこのアイテムは反則だ……』
『宿屋は寒いからな、一人用でも売り出してくれたら俺は買いたいね』
『でも冬しか使わないだろう?』
『馬鹿野郎、その時の天国を買うのに躊躇なんてしてられるかよ』
『確かに言えてるな』
『心が満たされてこその冒険者だ……気持ちは分かるぞ』
『それに温熱ヒーターとか言うのも魅力的だ』
『柔らかい熱風が当たると、力が抜けてしまうな……』
『何時間でも居たいと思わせる作りは反則だぞ』
『明日は女性の日だろ? 一日ずつ交代だって聞いたぞ』
『なんてことだ。毎日通いたいのに一日交代だなんて……』
『残念なお知らせだ。一か月後は王太子領の為に貸し出すらしい』
『温泉の為に箱庭師を雇いたいな』
『いや、温泉の為に箱庭師雇うくらいはパーティ持ちなら可能じゃないか?』
等など話がされています。
箱庭師は基本的に移動用が多いらしいですけど、私の様な箱庭の方がレアなんでしょうね。
それもこれも、初めて見た箱庭がリディア姉の箱庭だったからに他ならず、やはり最初の出会いや衝撃と言うのはとても大事なんだと思いました。
「皆さんに愛される日帰り温泉になりそうね、ファビー」
「はい! とっても嬉しいです! これも全部リディア姉が弟子にしてくれたお陰です!」
「ふふふ、そう言って貰えると嬉しいわ。ちなみに近々ダンノージュ侯爵家のアラーシュ様も入りに来るそうよ」
「ひああああああ!!!」
「貴族用があるんだから入りに来るだろう?」
「そっそそそ……そうですけど!!」
「きっとお気に召されると思うわよ! 頑張ってファビー!」
「は……はいいい!!」
そう、今回は貴族様が入りに来てないので分からないけれど、初めての貴族様がお使いになるなら、ダンノージュ侯爵家の現当主、アラーシュ様が入るのは当たり前の事!
行けるわ、大丈夫……リディア姉のお墨付きだもの!!
それに、アラーシュ様で慣れていれば、国王陛下が使われる時も激しく緊張することは……ない……筈!!
そうよ、私頑張って!!
理想郷を、人を守る為の施設として使う事だって大事なんだから!
自分の箱庭を売りに出すのよ、自信をもって!!
その後も閉店時間まで人ではとても多く、閉店後に働いている方々から聞いた話だと、特に人気だったのがサウナでした。
何度もサウナに入っては水風呂で身体をひんやりさせて、またサウナに入ると言う方々が続出だったらしく、中には『整いました!』と叫んで、とてもいい笑顔で温泉を出る方も多かったのだとか。
『整いました』は一体何が整ったのかは不明ですけど、気持ちよく出られたのでしたら何よりですね!
「リディア姉、温泉は大成功でしょうか!?」
「大成功よファビー!」
「おおおお……王様に売り出しても良さそうな感じですか!?」
「あなたを取られない為に対策は必要ね」
「私はリディア姉の弟子なので!! リディア姉の弟子ですので!!」
「分かっていますわファビー。任せておいて頂戴!」
「そうだとも、ボクとファビーはリディア姉の最初の弟子なんだ。王家ですら手を出したくてもきっと出せないさ」
「そう信じてますぅぅうう!!」
行軍に必要な物と私の温泉をセットで貸し出すと言う話を聞いた時は寝ることが出来なかったけれど、リディア姉が必ず守ると言って下さって安心して大泣きして……私はきっと、リディア姉に理想の姉を見ているんだと思います。
お慕いしている姉です。姉の為には色々やりたい妹や弟子心はあるけれど、リディア姉から離れるなんて悲しくて温泉からお湯が出なくなりそうでした。
実際、一日私がリディア姉から離れ離れになるかもしれないと思って動けなくなったとき、温泉が出なくなったので、私の心と連動して温泉のお湯が出るのだろうと判断されました。
今のところ緊張でお湯が出なくなると言う事はありませんが、リディア姉と離れ離れになると思うとダメみたいです。
リディア姉からすれば、それはとても嬉しい事でもあり、私を寄こせと言われても無理だとハッキリ断れる重要な事なのだと言われて安心しました。
「温泉はで出しも好調。明日の女性の日が楽しみね!」
「はい!」
こうして、次の日の女性の日に挑んだのですが――。
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