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247 王家とアラーシュの身を守る為のアイテムと、もしもの薬を。
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アラーシュ様に今後の話をする為にカイルと共にダンノージュ侯爵家に向かうと、珍しくミーヤ様も一緒にいらっしゃったわ。
何事かと思い速足で向かうと、此れから大事な話をしたいと言う事でしたので直ぐに応接室へと入りましたの。
「お二人とも、椅子に掛けなさい」
「「はい」」
「今日はあなた方の養女であるマリシアの元実家についてもお話があります。心して聞きなさい」
「はい、ミーヤ様」
「一体何があったとういうのですお婆様」
「王都で今蔓延していると言う、ある【薬】の話をあなた方に話したことがあるかと思います。覚えていますか?」
「はい、とても依存性の高い薬だとか」
「その薬を作っているのが、マリシアの元実家であることが判明しました」
「「!?」」
思わぬ言葉にわたくしは手を口に当て、カイルは険しい表情でミーヤ様とアラーシュ様を見ていらっしゃいますわ。
わたくしは悲鳴を上げないようにするのがやっとでしたけれど、話は続きましたの。
「マウスを使っての実験により、その薬を使うと生殖機能を失うと言う結果も出ています。カイルにリディア、二人は一応付与魔法のついたアクセサリーで防いだようですが、大丈夫ですか?」
「「………恐らくは」」
「何かあれば仰い為さい。何とか私がスキルを上げて『破損部位修復ポーション』を作り、治して差し上げます」
『破損部位修復ポーション』が無ければ治らない程の薬と言う事……。
箱庭に帰宅したらカイルと一緒に飲もうと心に決めましたわ。
「また、多くの貴族がこの薬で病んでいる状態です。その毒牙は王家にも向けられました」
「何ですって!?」
「王家に対して……反逆罪ではありませんか!」
「ええ、既に我が家の影が難を退けましたが、何時その牙がまた向かうとも限りません。あなた方には――。いいえ、リディアには、貴女とカイルが使った付与の付いたアクセサリーをアラーシュ用と陛下用と、王妃様用とで作って貰います。無論、息子であるナジュ王太子にも」
「はい、道具があれば今ここで作りますが」
「必要な物を仰って、直ぐに用意するわ」
「でしたら――」
そう言うと、金と純度の高い宝石が欲しい事を告げると、ミーヤ様の持っている宝石を幾つか持ってこられ、それから作れないか打診を受けたので、ブレスレットを一つ、そしてネックレスを三つ受け取り、それに付与魔法を付けて行きましたわ。
金の部分と宝石に二つの付与を付ければ完成となり、ネックレスも男性用に少し弄らせてもらいアラーシュ様は見えない場所につけるようにネックレスを着けられましたわ。
後は陛下用とナジュ王太子用とでネックレスを作っている為、ブレスレットは王妃様用に付与をつけると、ミーヤ様は神妙な顔付きで受けとりましたの。
「わたくしとカイルが使っていた毒と薬の耐性用ですが、大丈夫でしょうか」
「ええ、それで構いません。陛下も王妃様も今は薬を飲んでいないそうですから」
「分かりました」
「此方はアラーシュに持って行って貰います。暫く王都は貴族の事で荒れるでしょうが、あなた方の店には多めに護衛を雇いますのでそれで対応を」
「分かりました。お気遣いありがとうございます」
「お婆様、そんなに恐ろしい薬なのですか? とても依存性の高いと言うのは聞き及んでいますが」
「一言で言えば、脳が蕩ける様な感覚に陥る薬です。依存性は高いでしょう」
その言葉にゴクリと飲み込むと、カイルがわたくしの手を握りしめてくださいましたわ。
なんて恐ろしい薬……それも依存性の高いと言う薬であれば、脳を治す為の薬が必要になると言う事。
だから『破損部位修復ポーション』が必要だったのね……。
「王家でも、この薬の出どころを探っていた所だったのだ。まさか自分たちが狙われるとは陛下たちも思いもよらなかっただろうが」
「確か、無味無臭の薬でしたわね」
「ああ、液体の薬だった。色は透明で一目では薬とは思わないだろう」
「なんて恐ろしい物を……」
「影の話では、マリシアの母親は独断でリディアにマリシアを預けたらしい。そしてその後母親は実家に戻り、離婚の手続きに入っている」
「では、マリシアのお母様は彼女を守る為に……?」
「そうなるな。余程、モランダルジュ伯爵家は危機的状況にもあると言う事だろう。父親も薬に溺れて半年以上仕事が出来ていない状態らしい。食事も碌にせず、酒と薬で生活しているそうだ」
確かにロキシーお姉ちゃんからも、成人男性とは思えぬほど骨の脆い相手だったと聞いていますわ。それにとても痩せこけた男性だったとも。
恐ろしい中毒性のある薬を長期期間使っていると言うことは、例え『破損部位修復ポーション』であっても、治せなくなる可能性はとても高いわ。
「ミーヤ様の言う『破損部位修復ポーション』ですが」
「ええ」
「わたくし、作れますわ」
「――本当なの!?」
「はい、先日保護をした方々をご存じでしょう? 彼らに使い、既に失ったはずの腕や足は戻っておりますわ。それに彼らは今、王太子領やダンノージュ侯爵領にて仕事をしていますの」
「そうだったのね……では早めに二人も飲んでおいて頂戴」
「無論そのつもりです。ですが、もしアラーシュ様や陛下たちに、もしもがあっては恐ろしいですわ。鞄に5本ほど入って入るのでお渡ししても宜しいでしょうか」
「ああ、一人一つあるだけでも随分と安全性が違うからな」
そう言うと、鞄からたまたま入っていた『破損部位修復ポーション』を5本だし、お二人の前に並べると、ミーヤ様は「これが破損部位修復ポーション……」と感動した様子でしたわ。
作るのが大変なアイテムではあるけれど、黙って見過ごすことのできない事態が起きているのだと思いましたの。
陛下のお命を狙うような、それに近しい真似ですものね。
ですが、モランダルジュ伯爵は罪を認めるかしら? きっと言い逃れして逃げようとしそうだわ。
「それで、あなた方が養女にしたマリシアには、不安定な所は見当たりませんか?」
「はい、毎日楽しく仕事をしており、不安定な部分もなく安定した日々を過ごしていますわ。幼い箱庭師にも優しく接し、相談に乗る事もしています」
「では、マリシアは薬を使われた形跡がないと言う事ね」
「そうだと思いますわ。もしもに備え、マリシアにも破損部位修復ポーションを飲ませようと思います」
「ええ、是非そうしてあげて。それで、もし可能ならこのポーションを多めに作って持ってきてはくれないかしら。私ではスキルが後1足りずに作れないの」
「分かりました。出来る限りの量を用意します」
「頼みましたよ」
「では、ワシは例の薬とアクセサリーを持って王城へ向かおう。ミーヤも一緒にきてくれるか?」
「無論ですわ」
「リディア、色々話したい事や連絡したいことがあるが、また後日にしても宜しいか」
「ええ、構いませんわ。わたくしも今から箱庭でポーション作りに入ります」
「頼んだぞ。カイルとリディア、お前達は箱庭についたら直ぐに薬を飲むように」
「「はい!」」
こうして二手に分かれ、アラーシュ様達は王城へ、わたくしたちは箱庭に戻り、急ぎ薬用の鞄から破損部位修復ポーションを三つ取り出すと、一つをカイルに、もう一つをわたくしが、そしてもう一つはマリシアに飲ませるために休憩所に向かいましたわ。
そして、マリシアにはポーションだと分からぬようコップを貰い、そこに破損部位修復ポーションを入れて飲ませましたの。
身体から淡い光が放たれましたが、マリシアも多少なりと薬を飲んでいた可能性が出てきましたわ。
わたくしとカイルには光が出なかったので、きっとアクセサリーが守ってくれたのでしょう。
それにしても――。
実の家族にすら依存性の高い薬を平然と飲ませるなんて……普通の精神状態ではありませんわ。
悪魔の所業とも言える行動ですもの。
きっと王城では今頃大騒ぎね……。
そして、マリシアの元実家であるモランダルジュ伯爵家はきっとお取り潰しは避けられないし、何より父親と姉は斬首刑とされるでしょう。
無論、罪が明るみになればですが。
「あの、リディア様もカイル様もどうかしたんですか? アラーシュ様の元でダンノージュ侯爵領での託児所の話をしに行かれたのでは?」
「それが、今とても立て込んでいるようで……暫くは無理そうでしたわ」
「そうなんですね」
「落ち着いたらまた連絡があると思いますから、色々他の事を練ろうと思いますわ」
「新しい商品とかですか?」
「ええ!」
努めて明るく振る舞うと、マリシアもホッと安心したようでナウカと微笑み合っていますわ。
これ以上元実家の事でマリシアに傷ついて欲しくはないけれど、全て片付いた時には、ちゃんと話をせねばなりませんわね。
そう心に誓い、わたくしは笑顔の仮面をつけて『いつも通り』を振る舞っていたその頃――。
何事かと思い速足で向かうと、此れから大事な話をしたいと言う事でしたので直ぐに応接室へと入りましたの。
「お二人とも、椅子に掛けなさい」
「「はい」」
「今日はあなた方の養女であるマリシアの元実家についてもお話があります。心して聞きなさい」
「はい、ミーヤ様」
「一体何があったとういうのですお婆様」
「王都で今蔓延していると言う、ある【薬】の話をあなた方に話したことがあるかと思います。覚えていますか?」
「はい、とても依存性の高い薬だとか」
「その薬を作っているのが、マリシアの元実家であることが判明しました」
「「!?」」
思わぬ言葉にわたくしは手を口に当て、カイルは険しい表情でミーヤ様とアラーシュ様を見ていらっしゃいますわ。
わたくしは悲鳴を上げないようにするのがやっとでしたけれど、話は続きましたの。
「マウスを使っての実験により、その薬を使うと生殖機能を失うと言う結果も出ています。カイルにリディア、二人は一応付与魔法のついたアクセサリーで防いだようですが、大丈夫ですか?」
「「………恐らくは」」
「何かあれば仰い為さい。何とか私がスキルを上げて『破損部位修復ポーション』を作り、治して差し上げます」
『破損部位修復ポーション』が無ければ治らない程の薬と言う事……。
箱庭に帰宅したらカイルと一緒に飲もうと心に決めましたわ。
「また、多くの貴族がこの薬で病んでいる状態です。その毒牙は王家にも向けられました」
「何ですって!?」
「王家に対して……反逆罪ではありませんか!」
「ええ、既に我が家の影が難を退けましたが、何時その牙がまた向かうとも限りません。あなた方には――。いいえ、リディアには、貴女とカイルが使った付与の付いたアクセサリーをアラーシュ用と陛下用と、王妃様用とで作って貰います。無論、息子であるナジュ王太子にも」
「はい、道具があれば今ここで作りますが」
「必要な物を仰って、直ぐに用意するわ」
「でしたら――」
そう言うと、金と純度の高い宝石が欲しい事を告げると、ミーヤ様の持っている宝石を幾つか持ってこられ、それから作れないか打診を受けたので、ブレスレットを一つ、そしてネックレスを三つ受け取り、それに付与魔法を付けて行きましたわ。
金の部分と宝石に二つの付与を付ければ完成となり、ネックレスも男性用に少し弄らせてもらいアラーシュ様は見えない場所につけるようにネックレスを着けられましたわ。
後は陛下用とナジュ王太子用とでネックレスを作っている為、ブレスレットは王妃様用に付与をつけると、ミーヤ様は神妙な顔付きで受けとりましたの。
「わたくしとカイルが使っていた毒と薬の耐性用ですが、大丈夫でしょうか」
「ええ、それで構いません。陛下も王妃様も今は薬を飲んでいないそうですから」
「分かりました」
「此方はアラーシュに持って行って貰います。暫く王都は貴族の事で荒れるでしょうが、あなた方の店には多めに護衛を雇いますのでそれで対応を」
「分かりました。お気遣いありがとうございます」
「お婆様、そんなに恐ろしい薬なのですか? とても依存性の高いと言うのは聞き及んでいますが」
「一言で言えば、脳が蕩ける様な感覚に陥る薬です。依存性は高いでしょう」
その言葉にゴクリと飲み込むと、カイルがわたくしの手を握りしめてくださいましたわ。
なんて恐ろしい薬……それも依存性の高いと言う薬であれば、脳を治す為の薬が必要になると言う事。
だから『破損部位修復ポーション』が必要だったのね……。
「王家でも、この薬の出どころを探っていた所だったのだ。まさか自分たちが狙われるとは陛下たちも思いもよらなかっただろうが」
「確か、無味無臭の薬でしたわね」
「ああ、液体の薬だった。色は透明で一目では薬とは思わないだろう」
「なんて恐ろしい物を……」
「影の話では、マリシアの母親は独断でリディアにマリシアを預けたらしい。そしてその後母親は実家に戻り、離婚の手続きに入っている」
「では、マリシアのお母様は彼女を守る為に……?」
「そうなるな。余程、モランダルジュ伯爵家は危機的状況にもあると言う事だろう。父親も薬に溺れて半年以上仕事が出来ていない状態らしい。食事も碌にせず、酒と薬で生活しているそうだ」
確かにロキシーお姉ちゃんからも、成人男性とは思えぬほど骨の脆い相手だったと聞いていますわ。それにとても痩せこけた男性だったとも。
恐ろしい中毒性のある薬を長期期間使っていると言うことは、例え『破損部位修復ポーション』であっても、治せなくなる可能性はとても高いわ。
「ミーヤ様の言う『破損部位修復ポーション』ですが」
「ええ」
「わたくし、作れますわ」
「――本当なの!?」
「はい、先日保護をした方々をご存じでしょう? 彼らに使い、既に失ったはずの腕や足は戻っておりますわ。それに彼らは今、王太子領やダンノージュ侯爵領にて仕事をしていますの」
「そうだったのね……では早めに二人も飲んでおいて頂戴」
「無論そのつもりです。ですが、もしアラーシュ様や陛下たちに、もしもがあっては恐ろしいですわ。鞄に5本ほど入って入るのでお渡ししても宜しいでしょうか」
「ああ、一人一つあるだけでも随分と安全性が違うからな」
そう言うと、鞄からたまたま入っていた『破損部位修復ポーション』を5本だし、お二人の前に並べると、ミーヤ様は「これが破損部位修復ポーション……」と感動した様子でしたわ。
作るのが大変なアイテムではあるけれど、黙って見過ごすことのできない事態が起きているのだと思いましたの。
陛下のお命を狙うような、それに近しい真似ですものね。
ですが、モランダルジュ伯爵は罪を認めるかしら? きっと言い逃れして逃げようとしそうだわ。
「それで、あなた方が養女にしたマリシアには、不安定な所は見当たりませんか?」
「はい、毎日楽しく仕事をしており、不安定な部分もなく安定した日々を過ごしていますわ。幼い箱庭師にも優しく接し、相談に乗る事もしています」
「では、マリシアは薬を使われた形跡がないと言う事ね」
「そうだと思いますわ。もしもに備え、マリシアにも破損部位修復ポーションを飲ませようと思います」
「ええ、是非そうしてあげて。それで、もし可能ならこのポーションを多めに作って持ってきてはくれないかしら。私ではスキルが後1足りずに作れないの」
「分かりました。出来る限りの量を用意します」
「頼みましたよ」
「では、ワシは例の薬とアクセサリーを持って王城へ向かおう。ミーヤも一緒にきてくれるか?」
「無論ですわ」
「リディア、色々話したい事や連絡したいことがあるが、また後日にしても宜しいか」
「ええ、構いませんわ。わたくしも今から箱庭でポーション作りに入ります」
「頼んだぞ。カイルとリディア、お前達は箱庭についたら直ぐに薬を飲むように」
「「はい!」」
こうして二手に分かれ、アラーシュ様達は王城へ、わたくしたちは箱庭に戻り、急ぎ薬用の鞄から破損部位修復ポーションを三つ取り出すと、一つをカイルに、もう一つをわたくしが、そしてもう一つはマリシアに飲ませるために休憩所に向かいましたわ。
そして、マリシアにはポーションだと分からぬようコップを貰い、そこに破損部位修復ポーションを入れて飲ませましたの。
身体から淡い光が放たれましたが、マリシアも多少なりと薬を飲んでいた可能性が出てきましたわ。
わたくしとカイルには光が出なかったので、きっとアクセサリーが守ってくれたのでしょう。
それにしても――。
実の家族にすら依存性の高い薬を平然と飲ませるなんて……普通の精神状態ではありませんわ。
悪魔の所業とも言える行動ですもの。
きっと王城では今頃大騒ぎね……。
そして、マリシアの元実家であるモランダルジュ伯爵家はきっとお取り潰しは避けられないし、何より父親と姉は斬首刑とされるでしょう。
無論、罪が明るみになればですが。
「あの、リディア様もカイル様もどうかしたんですか? アラーシュ様の元でダンノージュ侯爵領での託児所の話をしに行かれたのでは?」
「それが、今とても立て込んでいるようで……暫くは無理そうでしたわ」
「そうなんですね」
「落ち着いたらまた連絡があると思いますから、色々他の事を練ろうと思いますわ」
「新しい商品とかですか?」
「ええ!」
努めて明るく振る舞うと、マリシアもホッと安心したようでナウカと微笑み合っていますわ。
これ以上元実家の事でマリシアに傷ついて欲しくはないけれど、全て片付いた時には、ちゃんと話をせねばなりませんわね。
そう心に誓い、わたくしは笑顔の仮面をつけて『いつも通り』を振る舞っていたその頃――。
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