石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

寿明結未

文字の大きさ
20 / 106

20 お店の名声も上がって行き、お城であるコンテストへの出場のお手伝いを少しだけ……。

しおりを挟む
 それから一週間程経つと、店にはお父様の作った【命の花びら】が売られるようになり、冒険者も我が家にちらほら買いに来るようになるのは言うまでもなく、今日も【命の花びら】を買い求めてやってくる冒険者は多い。
 その他にも冒険者が買って行く付与アイテムは「毒無効」だったり「麻痺無効」だったりと多岐にわたる。
 そっちを手掛けるのがお父様で、特に【帰還の護符】と呼ばれるダンジョンから瞬時に外に出られる護符は冒険者にとって必需品。
 付与師が練習を最もするのが、この【帰還の護符】とさえ言われているくらいの必需品で、こちらは比較的手に入りやすい銅鉱石で作られることが多く、値段もそこまで高くない。
 使い切りのアイテムだが、使い終わると風化するように消えるのだとか。
 冒険者の間では、ダース売りが普通で、12個で銀貨5枚と中々安い値段となっている。

 次によく売れるのが【迷わずの鈴】と呼ばれるアイテムで、鉄鉱石で作るアイテムだそうだ。
 それを使うと周囲にある見えないアイテムを探すことが出来るのだとか。
 一回使いっきりのアイテムで、使うとこちらも風化して無くなるが、どこにアイテムがあるか分からないダンジョンだったり、鉱山で働く方々が買うらしい。
 最近は粗悪品が多く出ていて、それでいい宝石などが手に入りにくいのだと商業ギルドマスターであるレイルさんと冒険者ギルドマスターのドナンさんが愚痴を零していた。

 しかし我が屋のお店は私が住んでお店を繁盛もしている【ガーネット】である。
 この【迷わずの鈴】をギルドに卸して欲しいと言う依頼が店に来て、お父様は「定期収入があるのは良い事だ」と引き受けてくれた。
 無論ギルドから取りに来てくれるので問題はない。
 鈴に付ける糸もあるそうで、そちらは私ではアイテムを出せない為、装飾ギルドで購入して作ってくれているお父様。
 商業ギルド、冒険者ギルドがお父様から買っていることを聞きつけた鉱石ギルドも加わり、忙しくなったのは言うまでもない。

 店で販売を主に行うのは私とセンジュ君だ。
 アイテムの説明は要らないのだが、一々私に話しをして長引かせようとするとセンジュ君が来て「俺が変わります」と言ってくれるし、時にシツコイ客にはタキの叩きが炸裂する。
 賑やかでも楽しい生活が始まっている頃、エンジュさんがついに【命の花びら】を作る事に成功した。
 これでお父様だけに集中していた依頼も、二人で作れるようになりホッと一安心だ。

 また、【ギルドが頼んでいるお店】と言うのは箔が付く様で、依頼してくる魔道具もそれなりに多い。
 彫金師が二人もいるし、付与師は一人だが、今の所何とかやっていけている。
 お父様とエンジュさんは「もう一人付与師が欲しいが難しい」と言っており、センジュ君は苦笑いしつつ「俺なら大丈夫ですよ」と口にして今日も忙しそうだ。

 無論『体感温度が下がる付与』のついたアクセサリーはお父様が復活したことで個数を10個増やして【一日20個限定】とした為、貴族たちもホッとした様でそちらも毎回20個売れている。
 良いことずくめである!


「そう言えば、年末にお城で開かれる魔道具のコンテストには出ないんですか?」
「うーん、付与アイテムが我が家だと『体感温度が下がる付与』でなら出せそうだが、綺麗な見た目じゃないと作れないんだ」
「そうですね、姉上に作った物よりいい物を作らないと行けなくなりますよね」
「それに、最低三つまでアイテムを作って持って行くんだが、『体感温度が下がる付与』だけではなぁ」
「なるほど、私はどんな付与があるとか分からないので、此方に『あったらいいな。こんなアイテム』と思ってノートを作ったので、見て貰って良いです?」


 そう言って満を期して、私が疑問に思っていたり、こう言うのが欲しいなと言うアイテムを書いているノートを手渡すと、三人はノートを見て「「「ほう?」」」と口にしている。
 この世界にないレインコートや保温効果のある水筒等、多岐にわたるのだがお父様たちは「レインコートは確かに他の物にも使えそうだ」と言って取り入れる事になり、水筒に関しても「構想を練れば鉱石ギルドや冒険者ギルドでも売れる」と話したりと盛り上がっていた。
 コンテストに出すのだから、何も綺麗な物でなければならないと言う理由はないらしい。
 如何に魔道具師たちと呼ばれる彫金師と付与師たちが、生活に根付いたアイテムを作るかが一番大事なのだとか。

 結果として『体感温度が下がる付与』『レインコート』『水筒』の三つを最低でも作って出してみようと言う事になった。
 ただ、特殊な布を使う為こちらは裁縫ギルドにお願いするらしい。
 発案者は此方なので横から持って行く真似はしないらしい。
 水筒に関しては私が【お取り寄せ】で用意した水筒を色々見て勉強してくれるらしく、レインコートの為に発案者の私と付き添いのエンジュさんとで裁縫ギルドへと向かった。
 裁縫ギルドでは色々な布地が置いてあり、裁縫ギルドマスターに話しをした所、「中々面白い視点で考えましたね!」と言われ、撥水加工までは考え付かなかったらしい。
「無論布地は用意するが、レインコートを作るのは裁縫ギルドにお願いして欲しい」「契約を結んで欲しい」と懇願され、エンジュさんの名で【レインコートや撥水した布を使う全ての許可】で契約を行うと、注文が来た際にはうちが7割、裁縫ギルドが3割の売り上げを貰う契約となった。

 また、裁縫針が最近頼んでいた場所で良い品が作れないそうで、「プラチナでこういうのを作って欲しい」と裁縫針の注文も受ける。
 これで【商業ギルド】【冒険者ギルド】【鉱石ギルド】【裁縫ギルド】御用達となったのだ。
 お陰で「ギルドが安心して頼めるだけの腕があるお店」としての名を手に入れることが出来た。
 流石お父様たちである!
 そうだとも、家の男性陣は凄いんだからな!!


「水筒は二重になっていて、その二重の中に真空になる付与をすれば行けますね」
「真空付与か……」
「それだと食べ物も真空に出来ます?」
「え? ええ、出来ない事は無いですよ?」
「ふんふん」
「どうしたんですか?」
「いえ、それだと魔物討伐隊とか、鉱石ギルドとか、冒険者がお湯を掛けるだけで温かいご飯が食べられそうだなと思いまして」
「本当か!?」


 そう声をかけてきたのはエンジュさん。
 何でも魔物討伐隊の時は干し肉に水やワインしか飲めず苦労したのだとか。
 温かいものが食べられるだけでも士気が違うと熱弁しており、それなら作って見ましょうか。と試作する事となった。
 料理関係は私が手掛ける事になり、まず試作と言う事でスープから作り始めた。
 コンソメの野菜たっぷりスープだ。
 真空での作り方はチラリと昔テレビで見たので、なんとなく理解はしている。
 周囲の面だけを真空にするのなら、ゆでて味付けした肉もなんとか行ける。
 甘いサツマイモやカボチャだって出来るのだ。
 ただ、真空にするには銀鉱石を凄く薄くして手で千切れるようにしなくてはならない。
 その事を伝えるとエンジュさんが其方は手掛けることになった。
 薄さは私が【お取り寄せ】した物を見ながら作ってくれる様で、今必死に作ってくれている。

 お肉もあった方が力も出るかなと思い豚の角煮も作ると、少しずつの量で作った為、お試しと言う事で、出来上がった薄い銀紙の中に、先ずはカボチャの煮付けやサツマイモの煮付けを入れて真空付与をして貰う。
 こちらは薄めの付与をお願いし、中身がカスカスにならない程度に調整して貰いながら何度も作り直してはやり直し、三日ほどかけて「持って行っても問題はない」くらいの袋入りの携帯おかずが出来上がった。日数は鑑定したところ、一週間は持つようだ。

 スープの真空は、鉄の容器を用意して貰い、そこにスープを入れて蓋を閉め、シッカリと中を真空して貰った。
 振るとカラカラと音が鳴り、開けてみると真四角のあちらの世界でよく見たスープの形をした物が出来ていて、それをお湯で溶かして皆で飲むと、確かに味がシッカリついてるスープが完成した。


「このスープは簡単に出来ますし、袋さえ出来てしまえば10個入りとか50個入りとかで作れますね」
「そうですね、ただこれは特許を取って、作れる所に回した方が良さそうです」
「となると調理ギルドか」
「まぁ、最初はうちでやりましょうか。でもエンジュさんどうです? こういうのがあったら遠征もきつくなくなります?」
「ああ、全く違う。お湯を掛ければ温かい野菜たっぷりスープが食べられて、袋を開ければ他の食べ物が食べられるとなると……士気がグッとあがるだろうな」
「余りアレコレは作れないのが痛手ですね」
「レインコートに使う撥水の特許もこの前取ったばかりだが、真空付与も特許を取って置こう」


 こうしてガーネットでは更に【真空付与】【撥水付与】【体感温度が下がる付与】の特許を取り、全部で特許が三つに増えた。
 一人で全てを回すのは大変だろうと考えているからこその特許だが、これが後に大当たりすることになるのは、もう少し後の話――。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹が聖女に選ばれました。姉が闇魔法使いだと周囲に知られない方が良いと思って家を出たのに、何故か王子様が追いかけて来ます。

向原 行人
ファンタジー
私、アルマには二つ下の可愛い妹がいます。 幼い頃から要領の良い妹は聖女に選ばれ、王子様と婚約したので……私は遠く離れた地で、大好きな魔法の研究に専念したいと思います。 最近は異空間へ自由に物を出し入れしたり、部分的に時間を戻したり出来るようになったんです! 勿論、この魔法の効果は街の皆さんにも活用を……いえ、無限に収納出来るので、安い時に小麦を買っていただけで、先見の明とかはありませんし、怪我をされた箇所の時間を戻しただけなので、治癒魔法とは違います。 だから私は聖女ではなくて、妹が……って、どうして王子様がこの地に来ているんですかっ!? ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?

向原 行人
ファンタジー
第三王子が趣味で行っている冒険のパーティに所属するマッパー兼食事係の私、アニエスは突然パーティを追放されてしまった。 というのも、新しい食事係の少女をスカウトしたそうで、水魔法しか使えない私とは違い、複数の魔法が使えるのだとか。 私も、好きでもない王子から勝手に婚約者呼ばわりされていたし、追放されたのはありがたいかも。 だけど私が唯一使える水魔法が、実は「飲むと数時間の間、能力を倍増する」効果が得られる神水だったらしく、その効果を失った王子のパーティは、一気に転落していく。 戻ってきて欲しいって言われても、既にモフモフ妖狐や、新しい仲間たちと幸せな日々を過ごしてますから。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

【完結】没落令嬢、異世界で紅茶店を開くことにいたしました〜香りと静寂と癒しの一杯をあなたに〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
夜会で父が失脚し、家は没落。屋敷の裏階段で滑り落ち、気づけば異世界――。 王国貴族だったアナスタシアが転移先で授かったのは、“極上調合”という紅茶とハーブのスキルだった。 戦う気はございませんの。復讐もざまぁも、疲れますわ。 彼女が選んだのは、湖畔の古びた小屋で静かにお茶を淹れること。 奇跡の一杯は病を癒やし、呪いを祓い、魔力を整える力を持つが、 彼女は誰にも媚びず、ただ静けさの中で湯気を楽しむのみ。 「お代は結構ですわ。……代わりに花と静寂を置いていってくださる?」 騎士も王女も英雄も訪れるが、彼女は気まぐれに一杯を淹れるだけ。 これは、香草と紅茶に囲まれた元令嬢の、優雅で自由な異世界スローライフ。

役立たず聖女見習い、追放されたので森でマイホームとスローライフします ~召喚できるのは非生物だけ?いいえ、全部最強でした~

しおしお
ファンタジー
聖女見習いとして教会に仕えていた少女は、 「役立たず」と嘲笑され、ある日突然、追放された。 理由は単純。 彼女が召喚できるのは――タンスやぬいぐるみなどの非生物だけだったから。 森へ放り出され、夜を前に途方に暮れる中、 彼女は必死に召喚を行う。 呼び出されたのは、一体の熊のぬいぐるみ。 だがその瞬間、彼女のスキルは覚醒する。 【付喪神】――非生物に魂を宿らせる能力。 喋らないが最強の熊、 空を飛び無限引き出し爆撃を行うタンス、 敬語で語る伝説級聖剣、 そして四本足で歩き、すべてを自動化する“マイホーム”。 彼女自身は戦わない。 努力もしない。 頑張らない。 ただ「止まる場所が欲しかった」だけなのに、 気づけば魔物の軍勢は消え、 王城と大聖堂は跡形もなく吹き飛び、 ――しかし人々は、なぜか生きていた。 英雄になることを拒み、 責任を背負うこともせず、 彼女は再び森へ帰る。 自動調理、自動防衛、完璧な保存環境。 便利すぎる家と、喋らない仲間たちに囲まれた、 頑張らないスローライフが、今日も続いていく。 これは、 「世界を救ってしまったのに、何もしない」 追放聖女の物語。 -

普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜

神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。 聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。 イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。 いわゆる地味子だ。 彼女の能力も地味だった。 使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。 唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。 そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。 ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。 しかし、彼女は目立たない実力者だった。 素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。 司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。 難しい相談でも難なくこなす知識と教養。 全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。 彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。 彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。 地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。 全部で5万字。 カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。 HOTランキング女性向け1位。 日間ファンタジーランキング1位。 日間完結ランキング1位。 応援してくれた、みなさんのおかげです。 ありがとうございます。とても嬉しいです!

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

処理中です...