石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

寿明結未

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72 鉄の国サカマル帝国から『女払い』でくる女性と、【彫刻師】二人。

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 こうして昼過ぎには何とか2万個ずつアイテムを出し切り、その足で戻ったんだけど昼には間に合わず。
 私とドマとタキちゃんは仕方なく開発部にて【お取り寄せ】でサンドイッチと飲み物を出して食べることになったのだけど、午後から直ぐに商業ギルドに向かう事になり――。


「待ってたよ~~!! 本当困ってたんだ! 直ぐこっちに!」
「余程枯渇してるんですね」


 と、レイルさんに呼ばれて何時もの部屋より大きな部屋に案内されると、そこで金を出すことになった。
 希少価値の高い金がほぼ枯渇と言うのは商業ギルドでも宜しくない状態らしい。
 他国でも金の枯渇は死活問題のようで、今は金が必要な場合は別の鉱石を使って何とか持たせているのだとか。


「余り出し過ぎると崩壊しかねませんよね」
「ただ、どうしても金はこの国では一番使うからね……彫金しかり宝石にしかり……。この国のお金である金貨にも使うから、足りないのはとても困るんだよ」
「他国では紙幣を使い始めたりは?」
「鉄の国サカマル帝国では紙幣を使い始めたみたいだけど、偽物が多く出回って今は回収作業中らしい」
「ああ、偽札」
「結局金に勝るものなしって事だね。特に鉄の国サカマル帝国では婚礼の儀式で金を大量に使うから、今は婚礼の儀も行われず困っていると聞いている」
「鉄の国サカマル帝国の場合、女性は結婚しない方が幸せな場合が多いですがね」
「お国柄かなぁ……。お金が出せないからと女性払いで良いかと聞かれた時は私も驚いたものだよ」
「最低な国ですね」
「それで、ギルマスは応じたんですか?」


 まさかとは思うがレイルさんがそれをよしとする筈がない。
 そうは思ったが、鉄の国サカマル帝国の考えは斜め上を行ったようで、「無いものは払えないので女払いをする」と言って聞かなかったそうだ。


「その上、来るのが彫刻師らしいんだけど、何処も引き取り手が無くてね……正直手に余るというか」
「彫刻師とは、木材や石に人や動物の姿を掘って、彫刻に専用の付与を付ける、まじない師のようなものですね」
「へぇ……お守りみたいなものですか?」
「ただ、不遇スキルとも言われていて、どこも引き取り手がいないんだよ」
「なら私が欲しいのでください」
「「え!?」」
「何人来るんですか?」
「いや、一人だけだが」
「金を多めに出すんで交換しません?」
「いいのかい? 彫刻師だよ?」
「ええ、私、丁度お守り作りたかったので彫刻できる人が欲しかったんです」
「「お守り」」
「まぁ、今後も女性払いするつもりならちょっと許せませんが、それでも彫刻師が来るなら金塊と交換しますよ」
「うーん……余り気が進まないが、もし女払いするなら彫刻師をと伝えておくよ」
「姉様、実は俺も彫刻師のスキルは持っているんですが、育てたほうがいいでしょうか」
「勿論です! あとで木工ギルドに行って木材を購入してスキルを上げましょうね」
「はい!」


 こうして後で木工ギルドに行く事も決め、女性が来たら迎えに来ることも伝えると「本当に悪いね、頼んだよ」と言う事で、女払いした分の金も出すことにして部屋は金塊と金の延べ棒で一杯になった。
 無論頼まれた分しか出していないし、これだけ出しても全く足りないそうだが、他国にバレない為にもカツカツより少し余裕がある程度にしておいた方が良いらしい。
 支払いは勿論ツケ払いだが、木工ギルドで木を買う分だけのお金は先に貰えた。
 これで少しは安心だ。


 その後馬車に乗って木工ギルドに向かい、「彫刻スキルを上げたいので木材を売って欲しい」と言うと声を上げて笑われてムッとする。


「おいおい、彫刻師なんてそんな上げてもしょうがないスキルの為に木を使うなんて持ったいねぇなぁ」
「スキル差別は止めて下さい」
「でもなぁ、彫刻師ってなぁ……ハズレもハズレだぞ?」
「彫刻師ギルドってのもねぇしなぁ」
「彫刻師に売るような木はねぇ!」
「あーそうですか! ここまで馬鹿とは思わなかったわ! ドマ、帰りましょう」
「ええ」
「あー待て嬢ちゃん」
「なんです?」
「彫刻師を持ってるならよう。貰ってくれるならこの箱庭師も貰ってやってくれよ」


 そう言って連れて来たのは10歳くらいの男の子だ。
 ビクビクとしているが『箱庭師』とは……と思っていると、ドマが耳元で「箱庭と言う場所を作れるスキル持ちの事で、結構特殊です」と教えてくれて、理由を聞くとこの子の父親の借金の肩に箱庭師のスキルを持つこの子を貰ったそうだが、箱庭の中は森だと聞いていたらしくそれで了承したらしいが、求めているような森では無かったらしい。


「こいつの箱庭の木なら好きに使って良いぜ? なぁ坊主」
「あの……えっと」
「分かりました。連れて帰ります」
「お姉ちゃん……」
「これで穀潰しを追い出せるぜ。ったく、なぁ!!」
「気分が悪いわ。二人共帰りましょう」
「はい」
「えっと、はい」


 そう言うと私たちは馬車に乗り込み、箱庭師の子の名を聞くことになった。
 名前はスギと言うらしく、年は7歳だった。
 冒険者の父の借金で売られたらしく、その当時はまだ5歳だったのだという。


「ぼくの箱庭は森みたいになってる場所じゃなくて……余りお役に立てないかもです」
「まずは後でチェックしてみましょう。例え望んだような森でなくとも、私は貴方を引き受けたんだからどこかにやったりしないわ」
「――ありがとう御座います!」
「でも、この事はシンジュ様にもお話しないとですね」
「そうね、まぁ許して貰えると思うけど」
「まぁそうでしょうが」
「箱庭師の他にスギは何か他のスキルはある?」
「彫刻師です……ただ、箱庭の中に【温泉】が一つあって」
「温泉!?」
「おじちゃん達からは風呂要員として使われてました」
「ドマ、この子最高かも知れないわ」
「そうなんですか!?」
「それも後でチェックしましょう」


 こうして馬車はガーネット二号店に到着し、まずはお父様とエンジュさん、センジュ君を呼んでこれまでの事を話し、今後「彫刻師の女性と箱庭師のスギを家に招きたい」と伝えると、「ユリは困った子を放って置けないからな」と苦笑いしてOKを出して貰えた。

 また、初めてスギの箱庭を見せて貰った訳だけど、中は過ごしやすい気温に懐かしい桜やカエデ、紅葉と言った広葉樹からちゃんとしたヒノキなどと言った木々も生えており、しかも温泉がシッカリとあった。
 しかもかなり広い。


「これが温泉?」
「温かい水たまりのような」
「温泉とは、お風呂を大きくして皆で入れるようにしたものですね。鑑定すると打ち身や切り傷、腰痛肩凝りと言ったのも消える温泉だから、湯治としても使えますね」
「ほお……」
「つまり何が言いたいかと言うと、『男性陣温泉行ってきて―』と言えば全員でザバーンと入ってゆったりして貰える……と言う事です。待ち時間なし!」
「それはいいな!!」
「しかもこの風景を見ながらか……風流ですね」
「アリアリのアリですよ! 凄いわスギ!!」
「えへへ」
「問題は着替えるところが欲しいってとこだな。業者に頼んで温泉の目隠しと脱衣所を作って貰うか」
「それがいいですね。スギ、それは大丈夫そう?」
「はい」
「じゃあ今ここで【お取り寄せ】して、脱衣所の籠と洗面器だけ用意しますね」


 そう言うと【お取り寄せ】を使い竹網で出来た着替えを入れる籠を6個を用意し、洗面器も木で出来た物で6個用意した。
 この箱庭は外の暗さと同じらしく、入る時は野外用のLEDのランタンを持って行って貰う事にしたのだ。
 雨は降る事はないらしく、月明かりはとても綺麗なのだと語ったスギに、それなら明るさは大体大丈夫かなと思いながら最後は入り口にランタンを置いて外に出た。


「女性陣は生理とかあるからその時は家のお風呂になるわね」
「ああ、そうか、その為にも男性陣は温泉使った方がいいのか」
「それもあります。出来ればお願いしたいですね」
「分かった、女性ならではの悩みもあっただろうし、男性陣はスギの温泉を使わせて貰おう」
「しかしドマが彫刻師のスキル持っていたなんて知らなったな……スキルは幾つなんだ?」
「今2ですね」
「少し上げていたのね」
「ただ、乾燥した木材を使う事が出来なくて、気晴らし程度ですが」
「速乾でしたら俺と姉上が使えますし、今後役に立ちそうですね」
「そうね」


 こうして外で少し会話した後、皆で最後のミーティングをする事となり、今の所予約は入っていないという事だったので、私の方から「明日も冒険者ギルドでアイテム出してきます」と言う報告をし、「その帰りに商業ギルドでスギの温泉で脱衣所を作れるように業者をお願いしてくる」と伝え、取り敢えず一日の作業は終わった。
 無論、足りないアイテムは補充したし、タキちゃんに分裂して貰って掃除もばっちりだ。


「さて、今日からスギが我が家の一員になったし、色々やる事も増えますね」
「そうね、彫刻師も持っているから木材の伐採を一旦やっておかないとかしら? スギの箱庭の木は直ぐ生えるの?」
「生えます。一日あれば大きな木には戻ります」
「それを聞いて安心したわ。帰ったら一本切らせて貰っていい?」
「あ、僕の箱庭なので僕なら簡単に切れますよ」
「ならお願いね。切ったらお姉ちゃんに教えてくれる? アイテムボックスに入れたいから」
「はーい」
「でもその前に服装ね」


 家に帰ってもやる事が多そうだ。
 今日も食事はセンジュ君に頼むことになりそうだと言うと「任せて下さい」と笑顔で言われ、
 家に到着すると、まずはドマとタキを連れて服を選ぶ事となり、子供用作務衣の夏用を購入して速乾吸収の付与をして着替えを整えたのは言うまでもない。

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