YouTuber犬『みたらし』の日常

第231話 干物

　オレの名前は『みたらし』。
　三歳の柴犬だ。

　あぁ、オレのともだちが！　吊るされてる！　なんで？

　オレの視線の先、洗濯用ピンチハンガーに揃って吊るされていたもの。
　それは、ハルキゲニア、サザエのつぼ焼き、シャケ、ヒラメカレイといった、オレ宛に届いたサブスクのぬいぐるみたちだった。

　ね、ね、ダメだよ！　ひどいことしないで！　可哀そうじゃないか！
　助けてあげたいのに。あぁもぅ、届かないよ！

　ハンガーの下でピョンピョン飛び跳ねるオレの様子を見ていたママさんが笑う。

　――大丈夫よ、『みたらし』。洗濯しただけだから。ほら、綺麗になってるでしょ？
　洗濯？　言われてみれば、ヨダレやらホコリやらで汚れていたのが綺麗になってる。

　――にしても、そうやって干されていると、まるで干物だね。
　――そうね。何だか一夜干し食べたくなってきちゃった。

　パパさんとママさんが笑い合ってる。
　
　早く乾け、ともだち。
　乾いたらまた、たくさん遊ぼう！