一億回の転生者

きのっぴー♪

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第一章「『魔法少女☆マジカラ』編」

第7話(Aパート)

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前回のあらすじ
何かかさみが乱入&覚醒して魔法少女全員置いてけぼりにした
後、かないが卑劣な敵の手により悪堕ち寸前に




【第7話『行動開始、悪からの絶望・後編』】

…場所は変わって、正の部屋
「ふぅ、ひとまずは何とか落ち着けたわね
あー痛たたた…身体中が痛い上に疲れ切ったわ、もう動けないわコレは」
「もう今日は、動きたく無いです…」
「おい馬鹿ふざけんな自分の家に帰れ」
強敵との戦いで精神も体力も随分とすり減らしたのにも関わらず、相も変わらずの調子な様子の魔法少女達
「まーまー、この人達も一応かなーり頑張ってましたし…少し位多めに見ても良いんじゃないッスか?」
そんな二人を持て成すかの様にアイリスは奥の台所からお茶とお茶請けを持ってきた
サイズ差から何かシュールというか、押し潰されそうな絵面である
…まぁどの道此処はあくまでただしの家で、物もただしのものなのだが
「馬鹿野郎、そうやっていつまでもなぁなぁにするからコイツらはいつまでも家に際限無くウチに来やがるんだ
放っておいたら絶対に秘密基地にすんだぞ、こういうのは」
まるで経験則かの様に容赦無くそう四人に言い放つただし
「うーん否定出来ない」
「「酷くない!?」」
そしてそれをあっさりと納得してしまうアイリス
いやそりゃ流石にやらないと思…えば思う事も考えなくもなくなくない、と思うのだろう…でしょうか?

とまぁそんな事はさておき
「…しっかし」
「むぐむぐ…」
私には関係無いとばかりに茶菓子を片っ端から強引に口に入れようとしているかさみを、傍でじっと見つめるその場の面々
そう、この少女こそが今回の一番の謎である
「あの姿…結局何だったんでしょうか?」
のぞみがふと首を傾げ口にし、アイリスがそれを返そうとする
「うーん、さぁ…?」
が、肝心のアイリスでさえも答えにすらなっておらずかさみの謎はますます深まるばかりであった
「さぁ、ってアンタ…」
「いやだってこんなの初めてッスよ!?
そもそも魔法少女って要は妖精の力を借りた人間の事ッスもの、妖精無しで変身出来るなんて聞いた事も無いッスし…」
前にも説明された通り、アイリス達妖精の一族のみが持つ力である魔力と能力を人間に直接受け渡す事で、その上に素質を持っていてやっと魔力が使える様になった人間こそがこの世界で言う所謂『魔法少女』なのである
つまり唯一の妖精の使者であるアイリスが受け渡して居ないのならば、前提としてまず魔法少女には変身すら出来ない筈なのである

だがしかし
「で、でも…実際に目の前で変身、してましたよね?」
「そこなんスよねぇ…
あの時は私も強力な魔力をかさみさんから、確かに感じましたッスし」
事実妖精無しで変身し尚且つジャドーをも凌ぐ力を持っていたかさみ
その事実は如何にしようとも流石に、裏付けどころか言い訳すらも出来ない
「ねぇかさみ、本当に何も知らないの?」
ふとゆめみが再度かさみに直接聞き出そうとする
「ううん…覚えてない
でも、このブローチから何か懐かしい感じがして…そしたら自然に」
「ああなった…って事ッスか、うーん」
しかしやはりと言うか何と言うか、かさみは俯いて何も知らないと返す
「…やっぱり、あのブローチですかね?」
「状況から考えるとやっぱそれだな、真っ先に思いつくのは」
そう、心当たりがあるとすればそんなかさみが懐かしいと言ってさっきから大事そうに持っている白いブローチ位だろうか
そう考えてみるともう一つ謎なのがこのブローチ
かさみが突如聞こえてきたとされる不思議な声によって導かれたらしい場所に、不自然にも無造作に道に落ちていたものである
「そう言えばただしさんから聞いたんスけども、そのブローチが懐かしいとかなんとかって言ってたらしいッスね」
「うん…」
恐らく記憶喪失であるかさみの過去に何か関係があるものなのは反応やただならぬ気配からも恐らく間違いないのだろう
かさみの過去とは一体何なのだろうか…

しかしだが、今はかさみに関しての予想材料がまだ少な過ぎる
「ま、悩んでも分かんないし一先ず置いておきましょ、どうせ今考えたところで所詮予想にしかならないんだし!!」
ゆめみが仕切り直すかの様に両手をパンと叩いた
「…私、ゆめみさんのそーいうスッパリしたところは嫌いじゃ無いッスよ」
「何よ文句でもあんのアイリス」
「いいえ、べっつにー」
「あははは…」
「?」
アイリスのやれやれという顔とゆめみの文句でも言いたげな表情を見て、いつも通りだなあと笑うのぞみと首を傾げるかさみ
まるで数時間前の修羅場が嘘の様だ
「…だがまっ、それが一番良いかもな」
取り敢えず先越しではあるが、五人は一旦は置いておく事にした
「ま、そんなワケで今回のかさみの問題は一先ず終わりね

…それよりも、一番のをどうにかしなきゃね」
しかし、それでもまだ一つ問題があった
「…アレからずっと篭ってるんスか?」
「はい…私達が部屋の前で呼びかけても、何も言わず仕舞いで…」
魔法少女達は再び頭を抱え、何か方法は無いかと一生懸命に考え出す
「一体どうしたんでスかね…



…かないさん」
そう、引き篭ってしまったかないの事を
「一体どうしたんスかねぇ…」
「さぁ…分からないです」
あの荒れ様の後に魔法少女達は取り敢えずただしの家へあわよくば寄ろうと企…いやその、兎に角行こうとしていた
だがおかしな事に、そういう面白そうな事に関しては絶対に突っ込むであろうかないが真っ先に自宅に帰ろうとしたのだ
まぁそこまで気にするでも無い事なのだろうが、それでも少し不思議に思ったゆめみに続きただし以外の他の面々はかないに着いて行った
因みにただしはその間にコッソリと自宅に帰った
ところが今度はどうした事か、かないは家に帰るなりすさり気なく着いてきた全員に目もくれず部屋に閉じこもってしまったのだ
ゆめみやのぞみ、かさみにアイリスまでもが部屋の前で呼びかける返事は無くいよいよ明らかにおかしいと思い始めた四人

そんなワケで取り敢えずこれ以上はどうしようも無いと思ったので、一先ず作戦会議をすべくとただしさん家へと来たのであったッス」
「オイさっきから長ったらしいモノローグかと思ったらお前かよってか結局人の家秘密基地にしてんじゃねぇかこのポンコツども」
まぁそんな感じで作戦を考えてはいる…のだがどうにも良い案が浮かばない
そもそもかない自体が元気服着て歩いてる様な奴なので、そんなのが落ち込むとは幾ら魔法少女での戦友と言えど想定外なのだ
「やっぱり…あの言葉ですかね
ジャドーって言ったあの、怪人の人の…」
のぞみはそう言いながらその状況を事細かに思い出していた
マジカルレッドことかないが追い詰められながらも密かに、かないにだけ聞こえる様なか細い声で告げたと思われるあの言葉
あの内容は一体何だったのだろうか
何にせよ、今は兎に角かないを立ち直らせるのが今の魔法少女の目的だ

が、もどかしい事にその解決方法が分からない
「まぁアイツの事だし、そのうち勝手に元に戻ると思うけどさ…」
暫くすればすぐに治るだろうと楽観視する者
「…そうでしょうか」
もしかしたらもう戻れないのかと不安になる者
「一旦少し様子を見てから動くのも、手だと思いまス」
「…………」
そして、その中立として後から動こうという者
それぞれが違う方法を考えようと、どう動くかどうかを考えるも未だに一向に定まる気配が無い
「でもそれじゃ、間に合わなくなるかもしれま…」
「じゃあどうするのよ、このまま行っても同じよ!!」
次第にまたもや部屋の雰囲気が悪くなる、それどころか一層より暗くなる一方で勝手に居座られてるただしにとっては割といい迷惑である
「ゆめみさん落ち着いて下さいッス!!ツンデレしたけど実際は結構心配なのは分かりまスが、怒鳴っても仕方ないと思いまス!!」
「あ、あぁゴメ…って誰がツンデレよ!!」
無自覚か意識してやっているのかアイリスが時折茶かして場を保とうとしている様だが、それでももう持ちそうにない
最早お通夜状態も良いところ、既に何も手が付かないレベルであった
「はぁ…もうどうすりゃ良いんスか、コレ」
「がんばれー」
「あーはいもう色々面倒臭いんで、かさみさんはもう何もせず菓子食っててくださいッス…」
そう言いながらこの状況に頭を抱え始めるアイリス、そざやこの空間から自分だけでも逃げ出したいと思っている事だろう
「ね、ただしさんも黙ってないで何か言って



下さぃ…って、アレ?」
徐にせめてもの救いにと#正_ただし__#を呼ぶアイリス
だがそこにいつの間に抜け出してしまったのか、さっきまで傍に居た筈であるただしの姿が影も形も見当たらなくなっていた
そんな光景を見てアイリスはボソリと一言

「…逃げやがったなあの野郎」
その瞬間、アイリスは今までの中で一番人を恨んだという

ーーーー



場所は、かないの住む家の寝室
親が残したものなのか借りているのか家は意外にも、一人暮らしにしてはまるで家族が住む様な二階建てとかなり大きな方である
「…………」
そんな家の二階にある大きなベッドのある寝室でもある部屋にて、かないは一人布団を深く被り蹲っていた
部屋はかなり暗く電気がついていないどころか部屋のカーテンも全て締め切られていて、まるで厳重にも閉鎖された空間
そんな気味悪い部屋で、かないはジャドーの言葉を頭の中で反芻していた
『お前が今まで倒していた怪人は…元は人間だったんだよォ!!』
怪人は、自制の無い人間
街中から溢れる魔力によって何処からともなく突然に、しかもちゃんとした自我を持って生まれた謎の生物
だが幾ら自我を持っているとはいえほぼ全ての個体が破壊衝動等の害悪な精神に染まっており、とても人とは言えない様なお粗末なもの
だからこそ魔法少女の敵であり、自制の無い怪物なのだ
だからこそ倒せていた

倒せていた、だが
敵の一言でかないの心は一気に揺らいだ
『な、何をいきなり…!?』
『いきなりじゃねェさ、何故魔力だけから自然に湧いて出ている筈の怪人がいきなり自我を持って暴れてんだ?
それはな…怪人の正体が、魔力によって堕ちた人間だからだよォ』
思い返してみたら、確かにそんな様な事はあった
ドロドローンがただの汚染スライムでは無くちゃんと『破壊』という共通の意思のある生物だという事、前に起き街中の弁当を何故かコッソリと集団で盗み去ろうとしていたあの事件
…そして、あのジャドーという人間の様な思考を持った怪人と思わしき敵である
証拠という訳でも無く確認にしたって乏しいものではあるのだが…
可能性としては、有り得なくは無いのだ
少なくとも、その唐突に告げられた最悪の可能性は
「……っ…!!」
少女であるかないを大きく動かすにはとてもとても、充分過ぎた様だ

そして、やがて布団に閉じこもりつつかないはある言葉をボソリと呟いた
「…お父さん、お母さん……!!」
今は亡きかないの、両親である



話は昔、まだかないが魔法少女になっていない時にまで遡る
現在でこそ一人で暮らし家族をしているのだが、本来元々かないにはちゃんとした赤井あかい家という家族が居たのである
それこそ今の様に一人暮らしという訳では無く母と父にかない自身と、極一般的な三人家族であった
勿論の事に家族仲も大変良かったらしく近所でも明るい家族だと評判に、近所の人達とも何のトラブルも無かったという
母は元サラリーマンの主婦で家事を卒無くこなし娘であるかないに家事のイロハを教えた本人、父は警察官の中でも結構な上らしくまるでヒーローの様に勇敢かつ有能な男だったらしい
かないはそんな両親をとても誇らしく思い、同時に凄く憧れてもいた
祖父と祖母と偶に会っており、両親の家族とも仲違いは無い様である
正しく、有るべきか模範的かつ幸せな家族であったという

だがしかし、赤井あかいかないが中学生になった位の頃である
怪人が最初に街を襲ってきた日の事だった
当時は既に前の魔法少女も居なくかない本人もまだ魔法少女になるどころかアイリスにすら会っていない
まして怪人がまだ毎日の様に出ていなければ対策もされていない頃の事だ、ただの人間の身体では武器も銃器すらも効かない化け物に誰もがパニックになり街はおろかその事実を知った日本中が驚いていた
今でこそ魔法少女がこの街にて収めかつすんなりと解決しているから無かった事の様になっているのだが、本来魔法少女が居なければ世界中で危険視されているものだろう
そんな大きな事件の時、警察官であるかないの父は立場でもあるが真っ先に人を救う為にと怪人に向かって飛び出して行った
そしてそれを聞いた母も心配になったのか、父の姿を追って行った

二人とも、享年は二十八歳だったそうだ
父は怪人から人を庇おうとして、母もまたそんな父と一緒に人を庇い致命傷を追ってそのまま死んでしまったのが主な要因だった
死ぬ間際は二人とも最後まで他人の心配をしていたらしい、街を守る警官やその妻としてはとても誇らしい最後だったのかもしれない
だがしかし家族を置いて一人取り残されたかないにとっては、計り知れない位にとてつもなく大きなショックだったのだろう
その後は大分応えていたのか今までの様なはしゃぎっぷりは一時期影に潜み、一人で自宅の自身の部屋に引きこもっていた
得に当時のその荒れ方はとても酷かったらしく今みたいな元気な姿が嘘の様、更に酷い時は食事もほぼ全く取らない事もあったそうだ
最早とても学校に行ける状態どころか、生きてるのかも怪しいものだった

そんな絶望的な時である
この街の魔法少女の素質を持った少女を探すべく降り立った妖精アイリスが、引き篭ったかないの噂を聞きつけ出会ったのだ
最初こそ素っ気無かったのだがアイリスが半ば強引にしつこく…いや、粘り強く根気良く何とかこぎつけ魔法少女契約を果たしたのだ
そして一・二年の間に信頼関係を強く築き上げ、今ではゆめみやのぞみといった魔法少女の仲間も出来たのだった
そうして、ようやく今のかないが出来たのだ

つまり要約すると
現在活躍しているマジカルカラーズレッドこと赤井あかいかないは昔いきなり出てきた怪人が街で暴れた両親を殺されて引きこもっちゃったけど、最終的にアイリスが何やかんやして魔法少女にして立ち直らせたって感じです
こう見るとアイリスが有能に見えてくる、ポンコツだけど
とまぁ、まだかないは感情多感な女子中学生の少女、そんな子供に人間を殺してましたなんて言われとしたら至極当然の事である
それが例え敵からの言葉だとしても、ショックである事には変わりない

それに、かないには…
「…水、飲んでこよ」
と、そう言ってかないはのそりとベットから這い出て一階のキッチンまで足を恐る恐る運び冷蔵庫の前まで行こうとした
そして階段に足をかけようした時だった
家のチャイムがピンポーンと家中に鳴り響きかないの耳元にまで聞こえ、階段を降りる足を少しばかり止めた
かないは居留守を使おうかと一瞬だけ悩んだが、大事な用事かも分からないので仕方無く出る事にした
そういう事で面倒臭がる様子で誰かも確認せずに、そうして不用意に玄関のドアに手をかけてゆっくりと開けた
そこに居た人物とは…

「ハロー、調子はどうd」
「」
魔法少女の誰でも無い、というか完全に変人な男こと達人 正たつびと ただしだった
反射的に扉を閉めようとするかない
「へいお待ち」
「ちょっ」
だがその瞬間に扉の間に足をかけて強引にも閉められない様にするただし、それならばと足を挟み潰そうと押し付けるかない
「一体っ何しにっ来たんだよぉぉおお…!!」
「まぁまぁ、そんな事、言うなよぉぉおお…!!」
激しく睨み合いながら扉の押し付け合いをしている二人
何だこの地味だけど妙に必死な攻防
「本当に何しに来たんだこの野郎!!不審者扱いすんぞ!!」
「ちょっと様子見だから、様子見に来ただけだから!!」
「傍から見たらただの不審者だよ!!」
言い合いつつも扉を押すのを互いに止めない
「てかどうやって私の家見つけた?私言ってないんだけ、どぉ…!?」
「あっはっはそんなもん、前にちょっとつけ…調査しただけだ
さぁ!!」
「本当にガチもんの不審者だろうがソレ!?」
と言いながらも余裕そうに指をソロソロと家の中に入れ出すただし、いよいよマジで動きも不審者じみてきた
「てかいい加減にしないとっ、本気で警察呼ぶぞっ…!!」
「えー、それは困るよかないくぅーんっ…!!」
しかし確かに通報されたら社会的に困るのは事実、この世界限定とは言えども流石にそんな不名誉な称号は受けたくは無いだろう
…残当ではあるのだけれども
「わ、分かった!!じゃあこうしよう!!」
「何だよ!!いいからさっさと帰って…!!」
最早聞く耳も持たないと言わんばかりの様子のかない、これではまず家に入るどころか話す事さえも…



「ゆめみちゃんに聞いたんだがそういやキミ、ヒーロー番組に物凄く入れ込んでいる様だね?
そういや何とかライダーって奴の限定品ってのが偶然今俺の手元に…」
「詳しく話を聞こうじゃないか、勿論この私の家の中で」
あぁいや、そうでもなかったわ
「…で、何の話?変な話なら追い出すぞ」
とは言え未だこの男の印象は不審者でしかない、ならばとただし
「ま、なぁに嫌味を言いに来た訳じゃねーよ

ただちょっと…気晴らし散歩しようぜ、ジュース奢るからさ」
そう言ってただしはかないの手を取り、すぐ様外に連れ出した

ーーーー

その頃、ただしの家にて勝手に居座ってる三人+一匹はというと
「何か犬みたいに言われた気がしたッス、匹って…」
「急に何言ってんのアンタ…」
唐突にメタな発言をしだすアイリスとそれに対して軽く引くゆめみとのぞみ、それと相変わらず菓子を勝手に食い続けるかさみ
家主であるただしが何処に行っているとも知らずに、割と結構呑気に三人と一匹…もとい四人は身の無い話を繰り返していた
「で、どこから話したんだっけ…あぁそうだ、確か結局かないの家に行くのどうするって話だったっけ?」
どうやらこいつ等は今の今までずっとかないの家に行くかどうかの話をしていたらしい、女子の家に行く思春期の男子か
まぁそんな訳でこの馬鹿ルテットは、今の今までずっと動けずじまい…というかビビりまくって動けなかったという訳です

…というか主にゆめみが
「そうですよ、だから行きましょうって!!」
「嫌よ!!何で私があ、アイツの為に!!」
ほら、主にこんな感じで
「とは言えどうしたモンッスかねぇ…確かにこのまま行ったとしても、あの感じじゃ追い返されそうな気もしまスし…」
「どうするの…?」
ゆめみとのぞみの様子を見ながらもどうしたもんかと腕を組んで考えるアイリス、あと未だにまだ食ってるかさみ
「そうですよねぇ…」
「ほら見なさい、行ったところで無駄足でしょ!!」
「いやゆめみさんはそれ以前の問題なんで、いい加減拗らせてないで一旦黙って貰えませんッスか?」
「こじっ…!?」
ゆめみへの多大なダメージを犠牲に話に一旦区切りが付く
と思った束の間のそんな時、のぞみが唐突にもある事を横でほっと溜息を吐いていたアイリスに聞いてきた
「…そう言えば結構前からかないさんの事で効きたい事があるんですけど、アイリスさん良いですか?」
かないの事に関してのぞみが、アイリスに聞きたいのだそう
「良いけど何で私ッスか?本人から聞くとか」
「一応かないさん本人もにも聞いたんですけど、その都度に何故か上手くはぐらかされてしまって…」
あのかないが質問をはぐらかすとは考え辛いのだが、今の意味深な雰囲気のかないを見てるとそうでもなさそうな気にはなってくる
「うーん…まぁ良いッスよ、私が知ってる範囲なら」
どの道もしかしたら現状の攻略法になるのかもしれないとアイリスは少し考えた後に、頷きながらも安請け合いの様に答えた
それに対して素直にのぞみもアイリスに質問を聞いた、その内容とは
「はい、それなんですが…

かないさんが魔法少女になった理由なんですけども…」
「!!」
赤井あかいかないが魔法少女を始め、もといやっている理由である
「…そういえば知らないわね、アイツがやり始めたキッカケ」
「はい、私達って元々かないさんに誘われて魔法少女になった訳じゃないですか…じゃあかないさんはどうしてだろうと思って」
というのも何を隠そう実はこの二人が魔法少女になった理由は、しつこくもとい熱心にかないが勧誘したのが一番の理由なのだ
逆を言えばそもそもかないが誘うまではこの二人は魔法少女なんて物凄く怪しいものに元からする気も無く、まして傍から見れば自称妖精もといUMAのアイリスでははなしもまともに出来なかったのである
つまりを言えば、今二人が魔法少女をやっているのはかないの努力があってこその賜物とも言えるだろう
改めてかないのコミュ力が凄いのが分かる
「ま、アイツの事だしどうせ『街の人達を放っておけないからなった!!』みたいな如何にもテキトーな理由だと思うけどね」
「あはは、確かにかないさんなら言いそうですね…」
まぁとは言っても普段のかないがあの性格、どうせこうだろうと対して気にもしていない様な素振りの二人
「そうよね?アイリス…」
そしてアイリスにも同意を求める様に何とも軽く聞こうとした

「…違うッス、ね」
だが、その二人の予想とは裏腹にアイリスの表情は凍りついている
「あ、アイリス?」
「コレは正直アナタ達二人には言うかどうか…悩むんスよね、絶対に言わないでって一応かないさんから言われてたッスから」
アイリスからのその言葉を聞いた時点で、二人は既にかないに何かがある事はもう分かっていた
「でもかないさんはあの調子ッスし、もうなりふり構ってられない状況…だからもう洗いざらい話すッス!!」
「ちょっと、一体何を…」
のぞみの言葉を遮りつつもアイリスは出かかっている声を捻りだしつつ、何とか目の前に居る三人に伝える事にした
「…アイリス」
何処か心配そうにアイリスを見つめるかさみ
そんなアイリスから出た、かないの秘密とは…



ーーーー

そんな重そうな展開になりつつある四人の友を差し置いて、かないは近所の公園へと足を運ばせていた
ただしと二人で歩いているがその足取りはいつもと比べても明らかに重そうで前の元気の塊の様な素振りさえ一つとして見せない

「ふぅ、こんなトコで良いでしょ…で話って何?」
かないはさっさと家に帰りたいとでも言わんばかりに不機嫌な顔をしながらせっつかせる
「まぁまぁそんな焦んなよっと…折角の気晴らしの為の散歩だろ、そーんながっつかないでもっと落ち着け、ほれジュース」
「……ん」
が、それに対しただしはまるで何も見ていないかの様にいつも通りのやる気の無さそうな顔でかないにジュースを手渡した
そして引きこもっていて本調子でない筈のかないを目の前に、何とも堂々とどっかりベンチにだらしなく座りだしたのだ
かないもそれを見て、どうなんだろうと引きつつある
「よっこらせっと…ん、お前は座らねーの?」
「あぁ、私はいいや…」
かないはただしの横には座らずにそのまま立ち続けつつ、目の前で偉そうな座り方してる男に溜め息を吐きながらも呆れていた
すると今度はただしから、かないに対して話し出す
「…まぁお前が良いなら良いけどさ、それよりもそろそろ散歩ばっかってのもアレだし話すか

俺が話したいのはアレ、お前魔法少女続けんのって事だよ」
と思ったら、今度はまた急過ぎかつ雑な話の投げ方である
「…っ、急に来るね」
若干、眉間に皺を寄せ始めるかない
「そら一番気になるからなぁ、もう魔法少女辞める!!って感じに見えたし」
「やっぱりかー…」
まるで他の魔法少女達を見透かしていたみたいに空を見上げるかない
そんな雰囲気も気にもとめずにただしは、もう一度聞き出した
「で、どうなんだ?」
「……正直、良く分かんないや」
少しだけ間を開けた後、かないが答えた
「私も一応理由があって魔法少女やってるんだよ
ま、あの二人からしたらただ私が『街を救う為もといノリで!!』…ってな感じに思っているんだろうけどねー」
実際その通りである、というかそのまんまである
「そんなワケで止める気もさらさら無かったんだ
…今となっちゃ、もう色々とあってどうするかも考えらんないんだけどさ」
と、いきなり調子を取り戻した様子でそう言うかない
その声自体はとても明るくさっきまでの暗さを忘れそうな程のものではあったが、それでも何処か寂しさを感じる
「………ふーん」
ただしはそれを寝ぼけた様な目で見続ける
「そりゃまた、難儀なこって」
…が、特にそれ自体を聞く事もせずにスルーした
「そういうワケだからまだ答えは出せないんだよね、まぁ心配せずとも多分すぐにまたフラッと戻ってくるって」
立て続けかつあからさまなフラグ乱立、どう見たって結局後から「やっぱゴメン魔法少女出来ないわ」とか如何にも言いそうである
このままでは魔法少女の復帰も叶わないだろう
「話はそれだけ?ならそろそろ帰るかねー、っと」
そう言ってかないは飲み干したジュースの缶を片手に持ちただしに背中を向けて、そそくさと自宅に帰ろうと歩いた
それを見てただしは何をする訳でも無く、ただじっとだらしなく座っている
「じゃあまたね…もう会うかどうかは分からないけど」
「…………」
そうして、結局かないの説得は出来ずに終わってしまった



「…まだ少し、聞きたい事がある」
…と、思われたのだが
「何さ?もしかして、帰ってこいなんて下らない話じゃ…」
かないがただしの言葉に、不機嫌そうな目つきで振り向く
だがその瞬間にただしは即座に腰を上げて、立ち上がり不安定にも思える歩き方でフラフラとかないの方へ寄って来た
「へへへ…多分今のお前にゃとても、とぉーっても大事な話さ」
さっきの様なだらけた様子とは打って変わって異様…というよりもおどろおどろしい、とても黒い何かにすらかないには感じていた
「な、何…!?」
仰け反りつつあるかないのすぐ前にまで立ち、そしてただしは如何にも意味深な雰囲気を漂わせながらかないを見下ろす
だがその男が次に放った言葉は

「…まぁ言いたい事っつってもただ、魔法少女ソレを続ける理由が無くなったんなら別に辞めても良いんじゃねーの?って事だけどな」
「へ?」
それは意外にも、まるで今のかないを許容するかの様な答えだった
「何もずっと許容量超えるまで我慢するのがヒーローじゃないんじゃねーか?限界だと感じたら他に託してってのも役目だと思うぜ
それが嫌でも…熱が冷めればまた戻れば良いじゃんかよ、まだ今のお前にはどうせずっと待ってくれる仲間が居るんだろ?」
「た、ただしさん…!!」
説得の様に言いつつも元気づけるみたいに、今のかないを許容する言葉
それはかないにとって一番励みにもなる言葉だった
「ヒーローなら背負うものも多過ぎる、仕方の無い事なんだよ
例え大元の理由が街を救うだけの事でも…まして自己満足だったとしても、お前らがやってきた事はちゃんとした事なんだろ?

そう、例えそれがーーーー」



が、本命はそこでは無い
「…
「……は?」
目を見開くかないに、ただしは続けて言う
「なぁ…もう一つ聞かせてもらうぜ?



人を殺す覚悟、あるのか?」

《後編に続く…》
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