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兄と推しと○○と
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お茶会から数ヶ月、今日はお兄様と2人で東屋でお茶会。
「何かありましたか?」
どうしたんだろう、お兄様の元気がない。
「うん…実はね、婚約者ができたんだ」
「えっ!!」
まだ8歳なのに? もしかしてもしかする?
「お相手って…?」
「ニーナ・クラーク公爵令嬢様だよ」
よっしゃー!! 無事お兄様と婚約したのね。ただ、お兄様の落ち込み具合が酷い。私はすっごく嬉しいけど、なんとなく喜んではいけない気がする。
「大丈夫だよ。婚約者ができてもエレナが一番だから」
ん? なんで抱きしめられているんだ? もしかしてニヤニヤを隠すために下を向いていたのが、落ち込んでいると勘違いさせちゃった? いやいや、そこは私じゃなくて婚約者が一番じゃなきゃダメでしょ。
「お、お兄様? でも婚約者は大切にしなければいけないです」
「………。いずれね」
「約束ですよ!」
「……わ、わかったよ。でもなんで? エレナは僕を婚約者に取られても寂しくないの?」
「それは………」
なぜだろう、推しを幸せにしたい気持ちに嘘はないのに、体の年齢に引っ張られているのか涙が出そうになる。
「あぁ、泣かないで? 僕の一番はエレナだから。それは婚約者ができたって、結婚したって変わらないよ」
………それは絶対ダメ。
でも今はまだお兄様を取られたくないって思っていることに気付いてしまった。だってお兄様と婚約者が親しくなると私が一人ぼっちになってしまう。これはきっと前世よりも狭い世界で生きているからそう思ってしまうのかな。
もしかして…漫画でお兄様が婚約者を蔑ろにしていたのは私のせい? 私を優先しすぎて、私が成長して兄離れした時には婚約者との溝は埋まらないくらい深くなっていたとか? そんな時に主人公が現れた…?
ダメダメダメ! 私のせいで推しを不幸になんてできない。何かいい方法は………。
「あっ!!」
「っ!! ど、どうしたの?」
「ニーナ様とお兄様と私の3人で……」
ちょっと待て、それだと余計拗れない? いやいや、まだみんな子供だから問題ない?
「ニーナ様ってご兄妹はいますか?」
「2歳下に弟がいるみたいだよ」
それだっ!
「なら、4人で遊びましょう! そうすれば私も新しいお友達ができるし、ニーナ様とも仲良くなれて、お兄様とも一緒に過ごせますっ」
ちょっと自己中な理由になってしまったけど、気を使いすぎたら体の年齢に引っ張られた私が悪役令嬢になっちゃいそうだし、ここは大目に見てもらおう。
「うーん、せっかくエレナが提案してくれたし考えておくよ」
*
*
*
*
*
「お待たせ」
「えっ……?」
今日はうちの侯爵領内にあるちょっとした丘に、私達とニーナ様、ニーナ様の弟の4人でピクニックに行く予定だったはず。
「なぜルーク様が?」
「ごめんなさい。弟はまだ6歳だから公爵領から出る許可がとれなくて」
「それでなぜルークが来るんだ」
どうやらお兄様も知らなかったみたい。ニーナ様とルーク様の2人は同じ公爵家だけど親戚でもないし、2人の仲が良いとも聞いていないのにどこから情報を得たの?
「姉上が今日の事を教えてくれたんだ」
「ルーク様はお姉様がいらっしゃるのですね」
「5歳上にね。今度エレナに紹介するよ」
「しなくていいっ! なんでエレナに紹介する必要があるんだ」
確かに婚約者でもないのに紹介される必要ないわね。
「それで、なんでルークの姉君が知っているんだ」
「僕たちの母親同士の仲が良いんだ。ニーナ嬢が参加できる年齢になってからはよく4人でお茶会をしているみたいだよ。そこでニーナ嬢から聞いた話を姉上が教えてくれたんだ」
そこにそんな繋がりがあったなんて。当たり前だけど漫画には描かれていないことがたくさんあるのねぇ。
「それでなぜ参加になるんだよ」
「セオドア…ニーナ嬢の弟ね。の参加は難しいし、僕が変わりに行くと名乗り出たんだ」
「お兄様とルーク様はお友達ですよね? ならもう4人で行きましょう! そろそろ出ないとお昼の時間が過ぎちゃいます」
ルーク様は悪い人じゃなさそうだし、4人分の昼食の準備をしてしまったからもったいないしね。
4人で馬車に乗り込み、私の隣に座ろうとしたお兄様をニーナ様の隣に座らせようとしたら……。
「ライナスはこっちでしょ。エレナの隣は僕が座るよ」
「なんでルークが座るんだ。おかしいだろ」
「なんでってニーナ嬢はライナスの婚約者じゃないか」
「でもエレナとルークは婚約者じゃない」
もうっ! 時間がないって言ったのに。それにしてもオロオロしているニーナ様も可愛い。
「っ! エレナ? 私の隣でいいの?」
「ニーナ様の隣がいいのです」
「「えっ!?」」
この2人を待っていたら馬車の中で昼食をとることになりそうだし。
「さっ、お兄様達も早く座ってください。丘へ行って遊びましょう!」
「何かありましたか?」
どうしたんだろう、お兄様の元気がない。
「うん…実はね、婚約者ができたんだ」
「えっ!!」
まだ8歳なのに? もしかしてもしかする?
「お相手って…?」
「ニーナ・クラーク公爵令嬢様だよ」
よっしゃー!! 無事お兄様と婚約したのね。ただ、お兄様の落ち込み具合が酷い。私はすっごく嬉しいけど、なんとなく喜んではいけない気がする。
「大丈夫だよ。婚約者ができてもエレナが一番だから」
ん? なんで抱きしめられているんだ? もしかしてニヤニヤを隠すために下を向いていたのが、落ち込んでいると勘違いさせちゃった? いやいや、そこは私じゃなくて婚約者が一番じゃなきゃダメでしょ。
「お、お兄様? でも婚約者は大切にしなければいけないです」
「………。いずれね」
「約束ですよ!」
「……わ、わかったよ。でもなんで? エレナは僕を婚約者に取られても寂しくないの?」
「それは………」
なぜだろう、推しを幸せにしたい気持ちに嘘はないのに、体の年齢に引っ張られているのか涙が出そうになる。
「あぁ、泣かないで? 僕の一番はエレナだから。それは婚約者ができたって、結婚したって変わらないよ」
………それは絶対ダメ。
でも今はまだお兄様を取られたくないって思っていることに気付いてしまった。だってお兄様と婚約者が親しくなると私が一人ぼっちになってしまう。これはきっと前世よりも狭い世界で生きているからそう思ってしまうのかな。
もしかして…漫画でお兄様が婚約者を蔑ろにしていたのは私のせい? 私を優先しすぎて、私が成長して兄離れした時には婚約者との溝は埋まらないくらい深くなっていたとか? そんな時に主人公が現れた…?
ダメダメダメ! 私のせいで推しを不幸になんてできない。何かいい方法は………。
「あっ!!」
「っ!! ど、どうしたの?」
「ニーナ様とお兄様と私の3人で……」
ちょっと待て、それだと余計拗れない? いやいや、まだみんな子供だから問題ない?
「ニーナ様ってご兄妹はいますか?」
「2歳下に弟がいるみたいだよ」
それだっ!
「なら、4人で遊びましょう! そうすれば私も新しいお友達ができるし、ニーナ様とも仲良くなれて、お兄様とも一緒に過ごせますっ」
ちょっと自己中な理由になってしまったけど、気を使いすぎたら体の年齢に引っ張られた私が悪役令嬢になっちゃいそうだし、ここは大目に見てもらおう。
「うーん、せっかくエレナが提案してくれたし考えておくよ」
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「お待たせ」
「えっ……?」
今日はうちの侯爵領内にあるちょっとした丘に、私達とニーナ様、ニーナ様の弟の4人でピクニックに行く予定だったはず。
「なぜルーク様が?」
「ごめんなさい。弟はまだ6歳だから公爵領から出る許可がとれなくて」
「それでなぜルークが来るんだ」
どうやらお兄様も知らなかったみたい。ニーナ様とルーク様の2人は同じ公爵家だけど親戚でもないし、2人の仲が良いとも聞いていないのにどこから情報を得たの?
「姉上が今日の事を教えてくれたんだ」
「ルーク様はお姉様がいらっしゃるのですね」
「5歳上にね。今度エレナに紹介するよ」
「しなくていいっ! なんでエレナに紹介する必要があるんだ」
確かに婚約者でもないのに紹介される必要ないわね。
「それで、なんでルークの姉君が知っているんだ」
「僕たちの母親同士の仲が良いんだ。ニーナ嬢が参加できる年齢になってからはよく4人でお茶会をしているみたいだよ。そこでニーナ嬢から聞いた話を姉上が教えてくれたんだ」
そこにそんな繋がりがあったなんて。当たり前だけど漫画には描かれていないことがたくさんあるのねぇ。
「それでなぜ参加になるんだよ」
「セオドア…ニーナ嬢の弟ね。の参加は難しいし、僕が変わりに行くと名乗り出たんだ」
「お兄様とルーク様はお友達ですよね? ならもう4人で行きましょう! そろそろ出ないとお昼の時間が過ぎちゃいます」
ルーク様は悪い人じゃなさそうだし、4人分の昼食の準備をしてしまったからもったいないしね。
4人で馬車に乗り込み、私の隣に座ろうとしたお兄様をニーナ様の隣に座らせようとしたら……。
「ライナスはこっちでしょ。エレナの隣は僕が座るよ」
「なんでルークが座るんだ。おかしいだろ」
「なんでってニーナ嬢はライナスの婚約者じゃないか」
「でもエレナとルークは婚約者じゃない」
もうっ! 時間がないって言ったのに。それにしてもオロオロしているニーナ様も可愛い。
「っ! エレナ? 私の隣でいいの?」
「ニーナ様の隣がいいのです」
「「えっ!?」」
この2人を待っていたら馬車の中で昼食をとることになりそうだし。
「さっ、お兄様達も早く座ってください。丘へ行って遊びましょう!」
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