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ピクニック
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「ついたー!」
「わぁ、素敵なところね」
「あの木の下にセッティングしようか」
シートを引いた上に座って食事をとる。本来貴族…しかも私達みたいな高位貴族がすることってそうないらしい。でも前世を思い出した私はどうしてもやりたくて、ピクニックを提案したのだ。
「エレナ、走ったら危ないよ」
そう言って私が走らないよう手を握るお兄様。ちょっと走るくらい危なくなんかないのに。
4人並んで目星をつけた木の下まで移動すると、ルーク様の場所指定のあとすぐに動いた使用人の手によってシートが既に敷かれていた。でもこれ、シートって言うにしてはしっかりしすぎてる気が…。
「ふわふわだ」
「寝転んでも痛くないよ」
そのちょっと地面を感じるのがいいのに。
ちょうど小石があるところ踏んじゃった。とか、ちゃんとシートの上に座れてる? って疑問に思うくらい地面の冷たさが伝わってきたりとか…貴族だからこそ、よりそういう事が思い出の一つになるのに。
思ってたのとはちょっと違うけど、まぁ仕方ないか。
「私、ニーナ様の隣ね!」
「ふふっ、嬉しいわ」
「なら僕はエレナの隣に座るから、ルークはニーナ様の隣に座りなよ」
「何でそうなるんだ」
何やらまた揉め出した二人は放っておいて、私はニーナ様にりんごの焼き菓子を勧める。細かく刻んだりんごを練り込んだパウンドケーキはいくらでも食べられちゃうくらい大好き。
「ニーナ様、これとっても美味しいんですよ」
「エレナ、デザートは後にしないと」
「ふふ。ありがとう、後でいただくわ」
決着がついたのか私の隣にお兄様、その隣にルーク様、その隣はニーナ様…要するに円になって座っているのだけど、むしろ私は最初から円になるつもりで横並びで座る発想はなかったわ。
ちなみにメニューは具だくさんサンドイッチとスコーン。デザートも外で食べやすいよう焼き菓子と果物にしてもらった。本当は唐揚げとか卵焼きとか、野菜も工夫して持ってきたかったけど、今回は断念したの。厨房に入れてもらえなかったのもあるけど、事前に料理長に確認したらそれだけでも結構な量だったから。
ちょっと炭水化物が多い気がしないでもないけど今日は特別ってことで。
「これは……?」
「ルークが今手に取っているのはサンドイッチって言うんだ。お父様が執務中でも手軽に食べられるようエレナが考案したもので、今ではうちの定番メニューだよ」
「へぇ」
「エレナが考案したの? すごいわね」
「えへへ」
推しに褒められちゃった。それにしても…ニーナ様って今日お兄様と会話した? 会った時もルーク様に気を取られて挨拶すら交わしてないんじゃない?
ニーナ様ってお兄様のことが好きなのよね?
「なぁに? さっきからずっと私の顔を見ているけど…」
「ニーナ様はお兄様のことが好きなのですか?」
「えっ!?」
「ごほっ、ごほっ」
えぇ、ちょっとお兄様汚いよぉ。すかさずハンカチを差し出すメイドはさすがね。
「きゅ、急に何!? す、好きじゃないわっ。婚約はお父様が決めた事で私は……」
好きなのね。すぐ隠しちゃったから顔が赤くなってるか分からなかったけど、この反応は間違いないわ。
「急に変なこと言わないで? 貴族は政略結婚が普通なんだよ。僕たちは何故か少し早く決まってしまったけど、エレナもあと3.4年したら婚約者が決まる……エレナに婚約者………」
「お兄様?」
「僕がエレナと婚約しようかな。って、睨むなよライナス。落ち込んだり怒ったり忙しいな」
それにしてもニーナ様はお兄様のどこが好きになったのかしら? 顔? もちろん優しいし性格も良いけど…私が見た限りではあまり話してない2人が性格を知っているとは思えないのよね。
「ニーナ様っ、あっちへ行きましょう」
お腹もいっぱいになったし、食べた分動かないとね。花がたくさん咲いている場所へと移動し、ニーナ様に花冠をプレゼントしよう。
「何を作っているんだ?」
「あっ、ルーク様。花冠です。コレをこうしてこうやって…それでコレをこうして……あれ? あんまり上手くできない」
「貸して」
ルーク様に渡すとあっという間に私が作りたかったものを作り上げてくれた。隣で見ていたニーナ様も完璧に作っているし、もしかして私って不器用? ………違うわね、お兄様の手にあるものも歪だから私達兄妹が不器用なんだわ。
「エレナにあげる」
「ニーナ様にあげたかったのに」
「ふふ。ありがとう。私もこれをエレナにあげるわ」
「僕のも…ちょっと歪だけどエレナにあげる」
お兄様はニーナ様に渡してほしかったけど…しつこくしすぎても逆効果になりそうだから、今日のところはいいことにしよう。それにしても花冠3つってめちゃくちゃ欲張りなお姫様みたい。
「そろそろお茶にしよう。はい、お手をどうぞ」
「ふふっ、ありがとうございます。ルーク様」
「あっエレナ…………えっと、お手をどうぞ?」
「っ! ありがとうございます」
お兄様がニーナ様をエスコートしてる!! 何あれめちゃくちゃ絵になる!! 写真…写真を撮りたい!
「エレナ? ライナスを取られて悲しいって感じでは…ないね。何してるの?」
「せめて手カメラで脳内に収めようかと思いまして」
誰かカメラを開発してくれないかな。贅沢は言わない。動画は我慢するからせめてカメラを!! あぁ、お父様がよく絵師を呼ぶのってこういうことだったのね。
「ふはっ、なにそれ」
仕方がないからルーク様にも教えて差し上げましょう。
「こうやって親指と人差指で四角を作ってそこに収めるのです」
「それが手カメラってやつなの?」
「はいっ!」
「可愛いね」
「そうですか? どちらかといえば美しいの方があっている気がします」
「ははっ、鈍感なところも魅力的だよ」
?? 鈍感? もしかしてっ!? ルーク様はニーナ様が好きなのね? 三角関係じゃない!!
「多分間違ってるよ」
「えっ?」
「全力で誤解してると思うけど、今はまだそのままでいいよ」
「???」
シートに戻り、それぞれ同じ場所に座ってお茶をいただく。本当はもう少しここにいたかったけど、私が眠くなってしまったので屋敷に戻ることになった。
*
「本当仲良いいよね。ニーナ嬢もそう思うでしょ?」
「でも…エレナを可愛がってしまう気持ちは分からなくもないです」
そう言って自身の膝を枕にして眠る彼女の頭を撫でるニーナ。
「でしょ? 僕の妹は世界で一番可愛いんだ」
「それは同感だけどね。でもさ、君たち婚約者同士なんだからもう少し歩み寄りなよ。さっきもエレナは……いや、何でもない」
「気になるだろ、教えろよ。ニーナ様も気になるでしょ?」
「えぇ、少し」
「僕とエレナの秘密だよ」
馬車の中で3人がこんな話をしていたなんて、推しの膝枕で爆睡してしまっていた私の耳には届かなかった。
推しの膝枕で寝た記憶がないなんてっ!!
「わぁ、素敵なところね」
「あの木の下にセッティングしようか」
シートを引いた上に座って食事をとる。本来貴族…しかも私達みたいな高位貴族がすることってそうないらしい。でも前世を思い出した私はどうしてもやりたくて、ピクニックを提案したのだ。
「エレナ、走ったら危ないよ」
そう言って私が走らないよう手を握るお兄様。ちょっと走るくらい危なくなんかないのに。
4人並んで目星をつけた木の下まで移動すると、ルーク様の場所指定のあとすぐに動いた使用人の手によってシートが既に敷かれていた。でもこれ、シートって言うにしてはしっかりしすぎてる気が…。
「ふわふわだ」
「寝転んでも痛くないよ」
そのちょっと地面を感じるのがいいのに。
ちょうど小石があるところ踏んじゃった。とか、ちゃんとシートの上に座れてる? って疑問に思うくらい地面の冷たさが伝わってきたりとか…貴族だからこそ、よりそういう事が思い出の一つになるのに。
思ってたのとはちょっと違うけど、まぁ仕方ないか。
「私、ニーナ様の隣ね!」
「ふふっ、嬉しいわ」
「なら僕はエレナの隣に座るから、ルークはニーナ様の隣に座りなよ」
「何でそうなるんだ」
何やらまた揉め出した二人は放っておいて、私はニーナ様にりんごの焼き菓子を勧める。細かく刻んだりんごを練り込んだパウンドケーキはいくらでも食べられちゃうくらい大好き。
「ニーナ様、これとっても美味しいんですよ」
「エレナ、デザートは後にしないと」
「ふふ。ありがとう、後でいただくわ」
決着がついたのか私の隣にお兄様、その隣にルーク様、その隣はニーナ様…要するに円になって座っているのだけど、むしろ私は最初から円になるつもりで横並びで座る発想はなかったわ。
ちなみにメニューは具だくさんサンドイッチとスコーン。デザートも外で食べやすいよう焼き菓子と果物にしてもらった。本当は唐揚げとか卵焼きとか、野菜も工夫して持ってきたかったけど、今回は断念したの。厨房に入れてもらえなかったのもあるけど、事前に料理長に確認したらそれだけでも結構な量だったから。
ちょっと炭水化物が多い気がしないでもないけど今日は特別ってことで。
「これは……?」
「ルークが今手に取っているのはサンドイッチって言うんだ。お父様が執務中でも手軽に食べられるようエレナが考案したもので、今ではうちの定番メニューだよ」
「へぇ」
「エレナが考案したの? すごいわね」
「えへへ」
推しに褒められちゃった。それにしても…ニーナ様って今日お兄様と会話した? 会った時もルーク様に気を取られて挨拶すら交わしてないんじゃない?
ニーナ様ってお兄様のことが好きなのよね?
「なぁに? さっきからずっと私の顔を見ているけど…」
「ニーナ様はお兄様のことが好きなのですか?」
「えっ!?」
「ごほっ、ごほっ」
えぇ、ちょっとお兄様汚いよぉ。すかさずハンカチを差し出すメイドはさすがね。
「きゅ、急に何!? す、好きじゃないわっ。婚約はお父様が決めた事で私は……」
好きなのね。すぐ隠しちゃったから顔が赤くなってるか分からなかったけど、この反応は間違いないわ。
「急に変なこと言わないで? 貴族は政略結婚が普通なんだよ。僕たちは何故か少し早く決まってしまったけど、エレナもあと3.4年したら婚約者が決まる……エレナに婚約者………」
「お兄様?」
「僕がエレナと婚約しようかな。って、睨むなよライナス。落ち込んだり怒ったり忙しいな」
それにしてもニーナ様はお兄様のどこが好きになったのかしら? 顔? もちろん優しいし性格も良いけど…私が見た限りではあまり話してない2人が性格を知っているとは思えないのよね。
「ニーナ様っ、あっちへ行きましょう」
お腹もいっぱいになったし、食べた分動かないとね。花がたくさん咲いている場所へと移動し、ニーナ様に花冠をプレゼントしよう。
「何を作っているんだ?」
「あっ、ルーク様。花冠です。コレをこうしてこうやって…それでコレをこうして……あれ? あんまり上手くできない」
「貸して」
ルーク様に渡すとあっという間に私が作りたかったものを作り上げてくれた。隣で見ていたニーナ様も完璧に作っているし、もしかして私って不器用? ………違うわね、お兄様の手にあるものも歪だから私達兄妹が不器用なんだわ。
「エレナにあげる」
「ニーナ様にあげたかったのに」
「ふふ。ありがとう。私もこれをエレナにあげるわ」
「僕のも…ちょっと歪だけどエレナにあげる」
お兄様はニーナ様に渡してほしかったけど…しつこくしすぎても逆効果になりそうだから、今日のところはいいことにしよう。それにしても花冠3つってめちゃくちゃ欲張りなお姫様みたい。
「そろそろお茶にしよう。はい、お手をどうぞ」
「ふふっ、ありがとうございます。ルーク様」
「あっエレナ…………えっと、お手をどうぞ?」
「っ! ありがとうございます」
お兄様がニーナ様をエスコートしてる!! 何あれめちゃくちゃ絵になる!! 写真…写真を撮りたい!
「エレナ? ライナスを取られて悲しいって感じでは…ないね。何してるの?」
「せめて手カメラで脳内に収めようかと思いまして」
誰かカメラを開発してくれないかな。贅沢は言わない。動画は我慢するからせめてカメラを!! あぁ、お父様がよく絵師を呼ぶのってこういうことだったのね。
「ふはっ、なにそれ」
仕方がないからルーク様にも教えて差し上げましょう。
「こうやって親指と人差指で四角を作ってそこに収めるのです」
「それが手カメラってやつなの?」
「はいっ!」
「可愛いね」
「そうですか? どちらかといえば美しいの方があっている気がします」
「ははっ、鈍感なところも魅力的だよ」
?? 鈍感? もしかしてっ!? ルーク様はニーナ様が好きなのね? 三角関係じゃない!!
「多分間違ってるよ」
「えっ?」
「全力で誤解してると思うけど、今はまだそのままでいいよ」
「???」
シートに戻り、それぞれ同じ場所に座ってお茶をいただく。本当はもう少しここにいたかったけど、私が眠くなってしまったので屋敷に戻ることになった。
*
「本当仲良いいよね。ニーナ嬢もそう思うでしょ?」
「でも…エレナを可愛がってしまう気持ちは分からなくもないです」
そう言って自身の膝を枕にして眠る彼女の頭を撫でるニーナ。
「でしょ? 僕の妹は世界で一番可愛いんだ」
「それは同感だけどね。でもさ、君たち婚約者同士なんだからもう少し歩み寄りなよ。さっきもエレナは……いや、何でもない」
「気になるだろ、教えろよ。ニーナ様も気になるでしょ?」
「えぇ、少し」
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馬車の中で3人がこんな話をしていたなんて、推しの膝枕で爆睡してしまっていた私の耳には届かなかった。
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