推しの悪役令嬢を幸せにします!

みかん桜

文字の大きさ
32 / 44

幼馴染作戦会議

しおりを挟む
 カフェでルーク様に秘密を告白してから1週間。我が侯爵家の王都邸に幼馴染3人が集まった。

「何だか懐かしいな」
「ふふ。私も同じことを思っていました」

 ルーク様とお兄様は昔から仲良しだから、実はこうして3人でお茶会をすることも少なくなかったの。ニーナ様が毎回参加できるわけじゃなかったしね。

 それより…

「何故エレナはそっちに座るんだ」
「あはは…」

 そう、今私がいるのはルーク様の真横。もちろん昔はお兄様の横だったし、なんなら円卓テーブルであってもお兄様の近くに座っていた。

「そう怒るなってライナス。何もおかしいことはないじゃないか」
「ゔっ、、エレナは俺の妹だ。ルークは…」
「えぇっ!!! い、い、いま、お兄様が俺って、俺っておっしゃいました
!! ずっと僕だったのに」
「それは…」

 自分でも驚くほど慌ててしまったわ。よくよく考えたら漫画のお兄様は、公式な場では『私』、そうでない場では『俺』が第一人称だったや。

「ふふ。ルーク様もお兄様も、いつもは猫を被っていたんですね。もう私の前でも気にせず使ってくださいね」
「いや、うん、まぁ…ありがとう」

 ふぅ。話す内容はルーク様と相談済みだけど、上手く伝えられるか緊張しちゃう。

「さっそくだけど、本題に入ろうか」
「はい。お茶会で話した内容についてなんですが…」

 王女殿下は何故かお兄様のことを入国前から知っていて恋心を抱いていること、第3王子殿下の元婚約者と協力関係にあること、いずれお兄様と結婚するつもりでいることをまずはお伝えした。

「調べてみるとライナスの絵姿が非公式で販売されていた」
「はっ!?」
「えっ!? それはもしかしてルーク様の絵姿もですか?」
「あぁ……そう、みたいだね」

 何それ何それ! 私は持ってないのに!! 

「エレナの絵姿は全て回収しておいた」
「ありがとうございます。って、私もですか!? ……すいません。脱線してしまいました」
「いや…それで、王女殿下はライナスを物語の登場人物だと思いこんでいるようだ。恐らく絵姿を見て憧れを抱き、妄想し、現実と区別がつかなくなったのではないかと推測している」

 おおぉ、頭おかしい系に仕立て上げちゃうのね。私にも前世の記憶があるし、漫画だって読んでいたから少し複雑……推しキャラと強引に結婚しようとするところは頭がおかしいと言えるけど。

「第3王子殿下の元婚約者については第1、第2王子殿下に協力を仰ごう」
「そうだな。今まで接点のなかった俺達が動いて王女殿下報告されても困るしな」

 元婚約者の方は、第3王子殿下と婚約関係に戻れると信じて待っているだけだと思うんだけど……どちらにせよ侯爵令息が狙いで、王族との婚姻を無効にしようとしている事は伝えなきゃだめだよね。

「ハーロウ伯爵令嬢様がニーナ様からお兄様を奪い、その後ナタ…ハーロウ伯爵令嬢様から王女殿下がお兄様を奪う予定だそうで、私も協力するように言われました」
「なるほど。殿下が彼女とコンタクトを取ろうとしていた理由は俺だったのか」

 ?? 

「ニーナ嬢はハーロウ伯爵令嬢の紹介を頼まれたことがあるようなんだ。紹介するほど仲が良くないと返すとすんなり諦めたそうだけどね」
「王女殿下とニーナ様は…お会いしているのですか?」
「お茶会の機会が何度かね」

 だからニーナ様が悪役令嬢になっていないことや、ナターシャとお兄様の距離が縮んでいないことを知ってたんだ。

 恐らくナターシャとの接触はニーナ様には期待してなくて、主人公と悪役の関係性を知りたかった、とかかな。なにより最終的には自分がお兄様に選ばれると思っているのがすごいわ。

「今後についてだけど…エレナ、ニーナ嬢とは距離を置くんだ」
「へっ!?」

 何故なにゆえ? 何故なにゆえですか? 無理無理無理。推し活できないなんて死ねって言われてるようなものなんですけどっ!

「あ~、遠くから眺めるのは良いよ」
「そんな…」
「エレナを利用しようとしているんだ。監視されている可能性もあるからね、利用材料は増やさない方がいい」
「……分かりました」

 お兄様やルーク様と4人で集まるのは問題ないけれど、ニーナ様と2人、推し活友達と3人で会うのは避けるようにと言われてしまった。しかも4人で集まる回数も減らすんだって。

 平和に推し活していたのが、すでに懐かしいよ。

「元々、無理やりねじ込まれた殿下方の婚約を、何か裏があるのではないかとクラーク公爵家を中心に調べていたそうだ」
「……何故なぜ私は知らなかったのでしょう」
「俺達も最近知ったんだ。エレナがお茶会の後、元気がなかっただろう? その…酷いことを言われたんじゃないかと心配で、王女殿下はどういう方なのか父上に確認してこの情報を得た。ルークも同時期に公爵に確認している」

 問題は見つからないが婚姻まで引き続き注意しておく、と、お父様達は一旦調査を終えるところだったそうで。
 ニーナ様は既に公爵令嬢として交流してしまっているため、私が利用されそうになっていることは、伝えない方がいいとルーク様が判断したみたい。知ってしまうと無意識に探りを入れてしまう可能性もあるからと。

「だからこの場にニーナ様がいらっしゃらないのですね」

 てっきりお兄様を狙う人が増え、嫉妬で悪役令嬢にならないように、かと思っていたよ。

「あぁ。この話は父上と侯爵にも報告する」
「分かりました」

 次にお茶会に呼ばれたら、学年が違うから最近はあまり交流がないと言えるようにって…そもそもお茶会に呼ばれたくない。

 私もなにか出来ることを! なんて思わないのよ。出来るなら私が知らないところで解決しておいてほしい。侯爵令嬢としてダメな考えだって分かってるから言わないけど。

「エレナ、少しライナスと話があるから席を外してくれる?」
「?? 分かりました」


 その後、やりたくないけどナターシャが何を考えているのか、週明けから情報を集めるか。と部屋で気合を入れ、夕食のため食堂へ向かった。

 お兄様がかなり憔悴していてどうしたのかと思っていたら、いきなり抱きしめられ、しばらく離してもらえず……食後も手を繋いで部屋まで送られ、何かあればすぐにお兄様を呼ぶんだよ、とまるで幼い子に言い聞かせるようで…?

 しばらくしてから、また落ち込まないよう私がいない場で、私の誘拐話をお兄様にしてくれたんだと気が付き、ルーク様の優しさに心が暖かくなった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました

鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」 そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。 しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!? だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。 「彼女を渡すつもりはない」 冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!? 毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし! さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜―― リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される! 政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー! 「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

引きこもり少女、御子になる~お世話係は過保護な王子様~

浅海 景
恋愛
オッドアイで生まれた透花は家族から厄介者扱いをされて引きこもりの生活を送っていた。ある日、双子の姉に突き飛ばされて頭を強打するが、目を覚ましたのは見覚えのない場所だった。ハウゼンヒルト神聖国の王子であるフィルから、世界を救う御子(みこ)だと告げられた透花は自分には無理だと否定するが、御子であるかどうかを判断するために教育を受けることに。 御子至上主義なフィルは透花を大切にしてくれるが、自分が御子だと信じていない透花はフィルの優しさは一時的なものだと自分に言い聞かせる。 「きっといつかはこの人もまた自分に嫌悪し離れていくのだから」 自己肯定感ゼロの少女が過保護な王子や人との関わりによって、徐々に自分を取り戻す物語。

契約結婚の相手が優しすぎて困ります

みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。

元王太子妃候補、現王宮の番犬(仮)

モンドール
恋愛
伯爵令嬢ルイーザは、幼い頃から王太子妃を目指し血の滲む努力をしてきた。勉学に励み、作法を学び、社交での人脈も作った。しかし、肝心の王太子の心は射止められず。 そんな中、何者かの手によって大型犬に姿を変えられてしまったルイーザは、暫く王宮で飼われる番犬の振りをすることになり──!? 「わん!」(なんでよ!) (『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)

氷の騎士と陽だまりの薬師令嬢 ~呪われた最強騎士様を、没落貴族の私がこっそり全力で癒します!~

放浪人
恋愛
薬師として細々と暮らす没落貴族の令嬢リリア。ある夜、彼女は森で深手を負い倒れていた騎士団副団長アレクシスを偶然助ける。彼は「氷の騎士」と噂されるほど冷徹で近寄りがたい男だったが、リリアの作る薬とささやかな治癒魔法だけが、彼を蝕む古傷の痛みを和らげることができた。 「……お前の薬だけが、頼りだ」 秘密の治療を続けるうち、リリアはアレクシスの不器用な優しさや孤独に触れ、次第に惹かれていく。しかし、彼の立場を狙う政敵や、リリアの才能を妬む者の妨害が二人を襲う。身分違いの恋、迫りくる危機。リリアは愛する人を守るため、薬師としての知識と勇気を武器に立ち向かうことを決意する。

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

クラヴィスの華〜BADエンドが確定している乙女ゲー世界のモブに転生した私が攻略対象から溺愛されているワケ〜

アルト
恋愛
たった一つのトゥルーエンドを除き、どの攻略ルートであってもBADエンドが確定している乙女ゲーム「クラヴィスの華」。 そのゲームの本編にて、攻略対象である王子殿下の婚約者であった公爵令嬢に主人公は転生をしてしまう。 とは言っても、王子殿下の婚約者とはいえ、「クラヴィスの華」では冒頭付近に婚約を破棄され、グラフィックは勿論、声すら割り当てられておらず、名前だけ登場するというモブの中のモブとも言えるご令嬢。 主人公は、己の不幸フラグを叩き折りつつ、BADエンドしかない未来を変えるべく頑張っていたのだが、何故か次第に雲行きが怪しくなって行き────? 「────婚約破棄? 何故俺がお前との婚約を破棄しなきゃいけないんだ? ああ、そうだ。この肩書きも煩わしいな。いっそもう式をあげてしまおうか。ああ、心配はいらない。必要な事は俺が全て────」 「…………(わ、私はどこで間違っちゃったんだろうか)」 これは、どうにかして己の悲惨な末路を変えたい主人公による生存戦略転生記である。

処理中です...