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かつら再び
しおりを挟む「……マジかよ」
手元に残った一枚のカードにがくりと肩を落とす。
「ぶはははは!また負けかよお前!」
「相変わらず弱えなあ」
もはや恒例となってしまった放課後トランプ大会。
またも惨敗したのは今回も例の彼である。
「罰ゲームどうする?」
「そりゃやっぱりアレしかねえだろ」
「アレか」
「アレですよ」
「………(すっげえ嫌な予感)」
こんな時の嫌な予感は本人の気持ちとは裏腹に、よく当たる。
「じゃじゃん!」
仲間の一人がどこに持っていたのか、ヅラを取り出してきた。
「……やっぱりソレか」
「いえーす!名付けて『遠縁の親戚に引き取られて転校したけど皆が恋しくなって戻ってきちゃったぜ』スペシャル!」
「なげえよ!」
「ままま、ほらほら被って!」
「はーい眼鏡ぼっしゅー」
「わー!懐かしい!久しぶりだね『めぐむ』ちゃん!」
「むかつく……!」
ちなみにめぐむとは前回使っていた偽名である。
「今回期限どうする?」
「前一ヶ月だっけ?あんま長いとなあ、正体バレっかもしれねえしな」
「まあバレたらバレたで面白いけど」
「んじゃ二週間くらいにしとく?」
「さんせーい」
「……」
本人の意志をまるっと無視して罰ゲーム決行。
いやわかってるよ罰ゲームってそういうものだってわかってる。
そんなわけで翌日。
事情を知っているクラスメイト以外の連中が、久しぶりに現れた彼の姿にざわついた。
(あーこの感じ久しぶりだなあ)
じろじろと見られひそひそと交わされる会話。
前回のような嫌悪丸出しの雰囲気がないのは、恐らく親衛隊の連中を懐柔したから。
(あいつらは素直で可愛かったなあ。あれ、てか見つかったらヤバくね?また付きまとわれんのかなあ)
なんて思い出したのが悪かったのだろうか。
「……あ」
「「「!!!」」」
今日も今日とて一緒にいた親衛隊長ズとばったり出会ってしまった。
うわー初日からかよ、と呟いてしまいそうになったのは仕方がないと思う。
「めぐむくん!?」
「嘘っ」
「転校したんじゃ……!?」
ごめん転校もなにも俺ずっとこの学校通ってた。
「……隊長さん達、お久しぶりです」
目を見開き固まっていた隊長さんズにふわりと微笑む。
ヅラで顔半分見えないけれどもまあ雰囲気でわかるだろう。
すると。
「「「っ、っ、めぐむくん……!!!」」」
「おわっ」
感極まったのか、ぎゅうっと三人に抱きつかれた。
三人とも俺より小さいとはいえ一気に来られると少しよろめいてしまう。
「良かった!」
「病気だって言ってたから、もしかしたらって思って」
「もう会えないかと思った……!」
ぐずぐずと泣き出してしまった。
普段なら男がすぐ泣くんじゃねえよと思うところだが。
「……」
えー、なんだこれ。
ほんと可愛いな隊長さん達。
なに、どんだけあの嘘信じちゃってたの。
もしかしたらって、もしかして俺入院したか最悪死んだと思われてた?
いやしかしほんと可愛いな。
「隊長さん達、ありがとうございます」
「「「めぐむくん……!」」」
可愛さの余り三人纏めて抱きしめてみたら腕の力が更に強まった。
よしよしと一人ずつ頭を撫でたい衝動に駆られたので、後で撫でてみようと思う。
(……てかこれすげー罪悪感。ネタばらしたら傷付くんだろうなあ、隊長さん達……うっ、なけなしの良心が痛む……!)
こんなに心配してくれているのも、正体がバレた途端に離れていってしまうのかと思うと妙に泣けてきた。
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