かつらぽーん

うりぼう

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えー……罰ゲーム二日目。
正体がバレました。
よりにもよって、生徒会トップの会長様に。

「……説明して貰おうか」
「……あー」

事の起こりは休み時間のトイレ。
授業開始のチャイムを目前に誰もいなくなったのをこれ幸いと、蒸れる頭、もといヅラを脱ぎ捨てたのがまずかった。

『……めぐ……は!?』
『っ、あ……!?』

取った瞬間に会長が来るなんて思わないじゃないか普通。
まさか噂聞きつけて探し回ってるなんて思わなかったんだよ、とっくに忘れ去られてると思ってたんだよ、まさかまだまだ執着されてるとは思ってなかったんだよ。

『……』
『……』
『……ちょっと来い』
『……(うーわー最悪だ)』

それで、結局どういう事だと問答になりそうになったが場所がトイレってどうなの、という事で会長に引きずられて生徒会室へと連れ込まれ。
壁に背を叩きつけられての今現在である。
おかげで授業はさぼりだ。
誰かうまいこと言ってくれてるかな……………ないな。
うん、ない。

「めぐむ、説明しろ」
「……めぐむって誰の事ですか?」
「ここまできてすっとぼける気か。あ?」
「……」

やはり騙されてはくれないか。
まあそうだろうな、だってヅラは会長に確保されちゃってるし。
どう見たってそれはめぐむの頭だし。

「……」
「……」
「……」
「……………、はあ。わかりました。説明しますよ」

じっと真正面から見据えられ、その眼光に堪えきれず息を吐き出した。
もとよりばっちり見られてしまっていたのだ。
仕方がないからタネ明かしをしよう。
隊長さん達じゃないだけ良かったじゃないか。
ごくりと喉を鳴らす会長に、前髪を掻き上げながら口を開いた。

「罰ゲームですよ」
「……は?」
「だから、罰ゲーム」
「ば、罰ゲーム?」
「仲間内でトランプやって負けたから、一ヶ月ヅラ被って過ごしてたんですよ」
「お前、転校生じゃなかったのか?」
「四月に入学してずっと通ってましたけど」
「遠縁に引き取られたってのは?」
「嘘に決まってるじゃないですか」
「じゃあ、めぐむは……」
「はい。最初からいません。架空の人物です。めぐむも偽名です」
「……」

淡々と告げると会長が黙ってしまった。

やべ、流石に傷ついたか。
あんだけ執着してたもんなあ。
なんだっけ、そんなオタクみたいな格好してるくせに良い性格してるな、だっけ。
うっかり逆らったら気に入られたんだよな。
でも上から目線で偉そうに『俺のもんにしてやる』とか言われたら拒否るのが男子高校生としては真っ当な反応だと思うんだ。
美人なお姉さまに言われたらちょっとときめくけど。

「あの、そんな訳なんでもう行っても……」
「めぐむ……!」
「は!?」

え、何これどういう状況?
何で会長に抱きしめられてんの?

「ちょっ、会長!?」
「めぐむ!会いたかった!」
「あんた人の話聞いてた!?めぐむはいないっつってんじゃん!」
「その言葉遣い!めぐむ!」
「いや!おま、いい加減にしろバ会長おおおおお!!!」
「嫌だ!せっかく近くにいるのに、離せるわけがない!」
「血迷うな!オレはめぐむだけどめぐむじゃない!落ち着け!」
「無理」
「無理じゃねえ!あっ!?うわっ!?」

抱きしめられていたのが、抱き上げられて近くのソファへと押し倒された。

「ちょっ」
「めぐむ、お前勘違いしてる」
「は?」

真上から見下ろすその表情は、愛しくて仕方がないといわんばかりのその顔は文句なしに男前だ。
そのまま指の背で頬に触れられ、ぴくりと反応する。
優しく撫でられ、髪を梳かれ。
真剣に見つめる目にうっかり抵抗を忘れてしまった。

「確かに『めぐむ』は気に入ってる。けど、それは器だけを気に入ってるわけじゃない」
「……?」
「わかんねえか。んー、まあ見た目なんてどうでも良いっつー事だ。『めぐむ』の格好だろうがもっと酷い格好だろうが、俺はどっちにしろお前に惹かれてた」
「……つまり?」
「平たく言や『お前』に惚れてるって事だ」
「困ります」
「ははっ、そういうところがな、たまんねーっつってんの」
「……本当に困るんですけど」
「ああ、わかってる。けど、想うくらいは許してくれんだろ?」
「……」
「嘘ついてたんだ。そのくらい許せ。それも駄目だってんなら今ここで襲うけど」
「わかりました許可しましょう」
「ほんっと可愛いなお前」
「会長趣味悪いっすよ」
「そうか?俺は最高に良い趣味してると思うぜ?」
「はあ……つかいい加減どいてくれませんか?」
「あ?もう少し良いだろ」
「駄目です」
「……しょうがねえな」

しぶしぶといった様子ながらもどく仕草をみせる会長にほっとしたのも束の間。

「!!!」
「ごちそうさま」

一瞬の隙をついて、唇同士が触れた。

「さいっあく……!」
「ま、今日はこれで我慢してやるよ」
「はあ!?何様のつもりですかあんた!」
「おい、擦んな。荒れる」

くそ、油断しすぎた。
ごしごしと唇を拭う腕を取られソファから起こされる。

「誰のせいだと思って……!」
「俺だな」
「嬉しそうにしないでくれますかね」

立ち上がり、腕を乱暴に振り払ったにも関わらずにこにこと嬉しそうな会長。
頭のネジ吹っ飛んでんじゃねえのかこいつ。

「じゃあもう行くんで、ヅラ返してください」
「……てかお前また罰ゲーム中なのかもしかして」
「はい」

すちゃっとヅラ装着。

「ははっ、本当にめぐむだ」
「……あ、そうだ。俺、めぐむじゃなくて恵ですから本名」
「……けい……ああ、なんだ。読み方変えただけだったのか」
「単純でいいかな、と」
「名前、教えて良いのか?押しかけるぞ?」
「どうせ最初からそのつもりなくせに。罰ゲーム終わってからめぐむって呼ばれてみんなにバレたら困るんですよ」
「へえ、じゃあ今のとこ知ってるのは俺だけか」
「そうですよ。バラさないでくださいね」
「心配すんな。誰がライバルに漏らすかよ」
「(ライバル?)まあとにかくよろしくお願いしますね」
「ああ、またな」
「……さよーなら」

生徒会室の扉を閉める。
これから厄介な事になりそうだな。
あ、しまったただでちゅーさせちゃったぜ。
殴るの忘れた。
などなど思うことは色々あるけれど。

(とりあえず誰かにバラしたら会長ぶっ飛ばそう。うん)







おまけ


(しかし、あいつ素顔やべえな。めちゃくちゃ美人じゃねえか。なんで今まで気付かなかったんだ)

なんて疑問に思ったが。

「……お前、めぐ、いや恵か?」
「そうですよ?」
「(なんで眼鏡だけでこんなに変わるんだよ)」

二週間後に元の姿に戻った恵を見て、これは気付かなくてもおかしくないと自分を慰める会長がいた。





終わり

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