9 / 10
2
しおりを挟む廊下に出ると反対側の窓に凭れるようにして副会長や書記が待っていた。
(うわ、勢揃いかよ)
会長以外の生徒会連中が勢揃いで、思わずうんざりしてしまう。
「彼が橋本恵ですか?」
「そうみたい」
「……意外と普通」
「だよなあ、ちょっと拍子抜け」
敬語で話す副会長にぼそりと呟く書記。
「会長が夢中になるくらいですからもっとわかりやすい美人だと思ったのですが」
前髪を垂らし眼鏡をかけている恵ははっきり言ってどこにでもいる素朴な男子高校生だ。
素顔を知らない三人はそう言いながら遠慮なしに恵の顔をじろじろと見つめる。
(はいはい冴えない顔で悪かったな、てかやっぱり原因は会長かあの野郎二度と口きかねえ、いやその前にボコる)
そんな事を考えながら連れて行かれたのはやはりというかなんというか彼らの拠点である生徒会室。
副会長を先頭に中に入ると、
「お前ら何やってたんだよ、今日は遅かった……」
そこまで言って副会長の後ろにいる恵に気付き、すぐさま目を輝かせ迫ってきた。
「恵!何だどうしたオレに会いに来たのか?」
「……」
両手を広げてのセリフを恵はさっくりと無視。
それはもう素晴らしい程に華麗な無視っぷりである。
「ぶはっ!!!会長無視されてやんの!!」
「見事なまでの無視ですね」
「会長だっさ」
「うるさい!!」
恵に無視された事を口々にからかわれる会長。
「どうしたんだ?いつもはあんなに素敵な笑顔を見せてくれるのに。そうか、こいつらがいるから照れてるんだな?可愛い奴」
「んな訳あるか!寄るなボケ!」
頭湧いてる発言をする会長に他の人に聞こえないようにこっそりと言い返す。
「ああ、いつも通り元気そうだな」
悪態を吐いているというのに嬉しそうな会長。
その笑みに苛立ちが増し、みんなにはバレないようにこっそりと足の甲を踵で踏み付ける。
「い……?!」
「あんた、オレのことこいつらに話したのかよ?おかげでこんなとこまで来るハメになったじゃねえかどうしてくれんだこのカス」
「オレが話すはずないだろう!恵を独り占めしたいのに!」
「じゃあ何でオレが呼び出されんだよ?!」
「呼び出されたのか?何だ、オレに会いに来た訳じゃないのか……」
しょんぼりと眉を下げる会長。
そんな子犬のような顔をしても可愛らしさなど微塵も感じない。
「いいか、もしこいつらにまでオレの事がバレたら一生恨むからな」
「!!!それは、一生オレの事を考え続けてくれるということか?!」
「ポジディブかよ!!そうじゃねえだろ!!」
会長のすっとんきょうな返事に思わず大声を出す。
(げ、しまった……!)
優等生の仮面を被りこの場は静かに収めて会長に全てを押し付け立ち去るつもりだったのに。
しまったと思った時には既に遅く……
「え?今のって……」
「……めぐむにそっくり、ですね」
「……めぐむ?」
「……っ」
明らかにめぐむの時と同じような口調、態度に副会長達が目を瞠る。
これは全力でごまかすしかない。
そう思い会長に目で訴える。
(良いか、オレは今から全力でごまかす、アンタは余計な事を絶対に一言もいや一息も漏らすな)
そう睨みながら伝えたつもりだったのに、
「そんなかわいい目で見つめるなんて、ついにオレの気持ちを受け入れてくれる気になったのか?!」
「だああああああ違うっつーのこのバ会長おおおお!!!」
またしても自分に都合の良い的外れな事を言い出す会長にキレてしまい、オレを抱き締めようと伸ばされた手を思い切り跳ね除け、今度は反射的に足を踏みつけてしまった。
「会長に対するその態度……!」
「会長をバ会長なんて堂々と呼べるなんて……!」
「めぐむ……!!」
(ああああああ最悪だ……!!)
さっきとは打って変わりキラキラと輝く副会長、会計、書記の瞳。
明らかにオレを『めぐむ』だと確信しかかっている。
「違うぞ!こいつは恵だ、めぐむなんて男じゃない!確かに恵はめぐむと書くが……!」
「!!!」
オレと同じくそれに気付いた会長がオレを背に庇いそう言うがちょっと待て。
(この、バ会長、墓穴掘ってどうすんだこのクソボケほんと使えねえ……!!!)
明らかにその確信を後押しするようなセリフにいっそのこと背後から背中を蹴飛ばしてしまいたい衝動に駆られた。
ありえない。
黙ってろと言ったし、言うつもりはない、秘密にしておくといつか言っていたのは一体どこに消えたんだ。
(マジでバカなの?こんなんで良く会長やってられるなこの人……)
会長への殺意を抱きつつ頭を抱え、これからどうやってごまかそうかと頭をフル回転させる。
12
あなたにおすすめの小説
ミリしら作品の悪役令息に転生した。BL作品なんて聞いてない!
宵のうさぎ
BL
転生したけど、オタク御用達の青い店でポスターか店頭販促動画か何かで見たことがあるだけのミリしら作品の世界だった。
記憶が確かならば、ポスターの立ち位置からしてたぶん自分は悪役キャラっぽい。
内容は全然知らないけど、死んだりするのも嫌なので目立たないように生きていたのに、パーティーでなぜか断罪が始まった。
え、ここBL作品の世界なの!?
もしかしたら続けるかも
続いたら、原作受け(スパダリ/ソフトヤンデレ)×原作悪役(主人公)です
BL習作なのであたたかい目で見てください
「恋みたい」
星井 悠里
BL
親友の二人が、相手の事が好きすぎるまま、父の転勤で離れて。
離れても親友のまま、連絡をとりあって、一年。
恋みたい、と気付くのは……?
桜の雰囲気とともにお楽しみ頂けたら🌸
転生したら親指王子?小さな僕を助けてくれたのは可愛いものが好きな強面騎士様だった。
音無野ウサギ
BL
目覚めたら親指姫サイズになっていた僕。親切なチョウチョさんに助けられたけど童話の世界みたいな展開についていけない。
親切なチョウチョを食べたヒキガエルに攫われてこのままヒキガエルのもとでシンデレラのようにこき使われるの?と思ったらヒキガエルの飼い主である悪い魔法使いを倒した強面騎士様に拾われて人形用のお家に住まわせてもらうことになった。夜の間に元のサイズに戻れるんだけど騎士様に幽霊と思われて……
可愛いもの好きの強面騎士様と異世界転生して親指姫サイズになった僕のほのぼの日常BL
当て馬系ヤンデレキャラになったら、思ったよりもツラかった件。
マツヲ。
BL
ふと気がつけば自分が知るBLゲームのなかの、当て馬系ヤンデレキャラになっていた。
いつでもポーカーフェイスのそのキャラクターを俺は嫌っていたはずなのに、その無表情の下にはこんなにも苦しい思いが隠されていたなんて……。
こういうはじまりの、ゲームのその後の世界で、手探り状態のまま徐々に受けとしての才能を開花させていく主人公のお話が読みたいな、という気持ちで書いたものです。
続編、ゆっくりとですが連載開始します。
「当て馬系ヤンデレキャラからの脱却を図ったら、スピンオフに突入していた件。」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/239008972/578503599)
ランドセルの王子様(仮)
万里
BL
大学生の森下優太(20)は、ある日の夕暮れ、ひったくり犯に襲われ絶体絶命のピンチに陥る。そんな彼を救ったのは、鮮やかなシュートで犯人を撃退した小学生の少年、日向蒼だった。
ランドセルを背負いながらも、大人顔負けの冷徹さと圧倒的なカリスマ性を持つ蒼。その姿に、優太はあろうことか「一目惚れ」をしてしまう。「相手は小学生、これはただの尊敬だ」と自分に言い聞かせる優太だったが、蒼のクールな瞳と救われた手の温もりが頭から離れない。
親友には「自首しろ」と呆れられながらも、理性と本能(ときめき)の狭間で葛藤する。禁断(?)のドキドキが止まらない、20歳男子による「かっこよすぎるヒーロー(小学生)」への片思い(自認はリスペクト)。
推しを擁護したくて何が悪い!
人生2929回血迷った人
BL
所謂王道学園と呼ばれる東雲学園で風紀委員副委員長として活動している彩凪知晴には学園内に推しがいる。
その推しである鈴谷凛は我儘でぶりっ子な性格の悪いお坊ちゃんだという噂が流れており、実際の性格はともかく学園中の嫌われ者だ。
理不尽な悪意を受ける凛を知晴は陰ながら支えたいと思っており、バレないように後をつけたり知らない所で凛への悪意を排除していたりしてした。
そんな中、学園の人気者たちに何故か好かれる転校生が転入してきて学園は荒れに荒れる。ある日、転校生に嫉妬した生徒会長親衛隊員である生徒が転校生を呼び出して──────────。
「凛に危害を加えるやつは許さない。」
※王道学園モノですがBLかと言われるとL要素が少なすぎます。BLよりも王道学園の設定が好きなだけの腐った奴による小説です。
※簡潔にこの話を書くと嫌われからの総愛され系親衛隊隊長のことが推しとして大好きなクールビューティで寡黙な主人公が制裁現場を上手く推しを擁護して解決する話です。
もう観念しなよ、呆れた顔の彼に諦めの悪い僕は財布の3万円を机の上に置いた
谷地
BL
お昼寝コース(※2時間)8000円。
就寝コースは、8時間/1万5千円・10時間/2万円・12時間/3万円~お選びいただけます。
お好みのキャストを選んで御予約下さい。はじめてに限り2000円値引きキャンペーン実施中!
液晶の中で光るポップなフォントは安っぽくぴかぴかと光っていた。
完結しました *・゚
2025.5.10 少し修正しました。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる