かつらぽーん

うりぼう

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廊下に出ると反対側の窓に凭れるようにして副会長や書記が待っていた。

(うわ、勢揃いかよ)

会長以外の生徒会連中が勢揃いで、思わずうんざりしてしまう。

「彼が橋本恵ですか?」
「そうみたい」
「……意外と普通」
「だよなあ、ちょっと拍子抜け」

敬語で話す副会長にぼそりと呟く書記。

「会長が夢中になるくらいですからもっとわかりやすい美人だと思ったのですが」

前髪を垂らし眼鏡をかけている恵ははっきり言ってどこにでもいる素朴な男子高校生だ。
素顔を知らない三人はそう言いながら遠慮なしに恵の顔をじろじろと見つめる。

(はいはい冴えない顔で悪かったな、てかやっぱり原因は会長かあの野郎二度と口きかねえ、いやその前にボコる)

そんな事を考えながら連れて行かれたのはやはりというかなんというか彼らの拠点である生徒会室。
副会長を先頭に中に入ると、

「お前ら何やってたんだよ、今日は遅かった……」

そこまで言って副会長の後ろにいる恵に気付き、すぐさま目を輝かせ迫ってきた。

「恵!何だどうしたオレに会いに来たのか?」
「……」

両手を広げてのセリフを恵はさっくりと無視。
それはもう素晴らしい程に華麗な無視っぷりである。

「ぶはっ!!!会長無視されてやんの!!」
「見事なまでの無視ですね」
「会長だっさ」
「うるさい!!」

恵に無視された事を口々にからかわれる会長。

「どうしたんだ?いつもはあんなに素敵な笑顔を見せてくれるのに。そうか、こいつらがいるから照れてるんだな?可愛い奴」
「んな訳あるか!寄るなボケ!」

頭湧いてる発言をする会長に他の人に聞こえないようにこっそりと言い返す。

「ああ、いつも通り元気そうだな」

悪態を吐いているというのに嬉しそうな会長。
その笑みに苛立ちが増し、みんなにはバレないようにこっそりと足の甲を踵で踏み付ける。

「い……?!」
「あんた、オレのことこいつらに話したのかよ?おかげでこんなとこまで来るハメになったじゃねえかどうしてくれんだこのカス」
「オレが話すはずないだろう!恵を独り占めしたいのに!」
「じゃあ何でオレが呼び出されんだよ?!」
「呼び出されたのか?何だ、オレに会いに来た訳じゃないのか……」

しょんぼりと眉を下げる会長。
そんな子犬のような顔をしても可愛らしさなど微塵も感じない。

「いいか、もしこいつらにまでオレの事がバレたら一生恨むからな」
「!!!それは、一生オレの事を考え続けてくれるということか?!」
「ポジディブかよ!!そうじゃねえだろ!!」

会長のすっとんきょうな返事に思わず大声を出す。

(げ、しまった……!)

優等生の仮面を被りこの場は静かに収めて会長に全てを押し付け立ち去るつもりだったのに。
しまったと思った時には既に遅く……

「え?今のって……」
「……めぐむにそっくり、ですね」
「……めぐむ?」
「……っ」

明らかにめぐむの時と同じような口調、態度に副会長達が目を瞠る。
これは全力でごまかすしかない。
そう思い会長に目で訴える。

(良いか、オレは今から全力でごまかす、アンタは余計な事を絶対に一言もいや一息も漏らすな)

そう睨みながら伝えたつもりだったのに、

「そんなかわいい目で見つめるなんて、ついにオレの気持ちを受け入れてくれる気になったのか?!」
「だああああああ違うっつーのこのバ会長おおおお!!!」

またしても自分に都合の良い的外れな事を言い出す会長にキレてしまい、オレを抱き締めようと伸ばされた手を思い切り跳ね除け、今度は反射的に足を踏みつけてしまった。

「会長に対するその態度……!」
「会長をバ会長なんて堂々と呼べるなんて……!」
「めぐむ……!!」

(ああああああ最悪だ……!!)

さっきとは打って変わりキラキラと輝く副会長、会計、書記の瞳。
明らかにオレを『めぐむ』だと確信しかかっている。

「違うぞ!こいつは恵だ、めぐむなんて男じゃない!確かに恵はめぐむと書くが……!」
「!!!」

オレと同じくそれに気付いた会長がオレを背に庇いそう言うがちょっと待て。

(この、バ会長、墓穴掘ってどうすんだこのクソボケほんと使えねえ……!!!)

明らかにその確信を後押しするようなセリフにいっそのこと背後から背中を蹴飛ばしてしまいたい衝動に駆られた。
ありえない。
黙ってろと言ったし、言うつもりはない、秘密にしておくといつか言っていたのは一体どこに消えたんだ。

(マジでバカなの?こんなんで良く会長やってられるなこの人……)

会長への殺意を抱きつつ頭を抱え、これからどうやってごまかそうかと頭をフル回転させる。
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