高塚くんと森くん

うりぼう

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高塚くんの休日

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高塚くんの休日は、森くんに電話を掛けることから始まる。

「森ちゃんおはよー!今日超良い天気だよ!一緒に出掛けない?」
『無理。佐木と遊ぶから』
「う、浮気!?」
『アホか』

本日は(も、と言うべきか)きっぱりとお断りされガチャ切りされた模様。

「もー!」

ぶーと頬を膨らませる。

実は既に外に出ていた高塚くん。
仕方がないから石野くんでも呼ぼうかと思ったらこちらもすっぱりと断られてしまったので、結局一人ぶらぶらと街中を徘徊することになった。

顔だけ自慢なところは伊達じゃないらしく、道中女の子の視線を独り占めしていたのだが高塚くんの脳内はそれどころではない。

(あの服いいなあ森に似合いそう。鎖骨丸見え……やばい襲う絶対襲う!)

服屋を見ればそんな事を考え。

(あの帽子いいなあ、かわいいなあ、森が被ったらもっとかわいいんだろうなあ)

帽子を見てそう思い。

(あ、なんだよあのカップル腕なんか組みやがってー!オレだって森ちゃんと腕組んで歩きたいのに手だって恋人繋ぎとかしちゃったりしたいのにー!!)

道行くカップルを見ては羨ましがり。

その全てがやはり森くん一色に染まっていたのは言うまでもない。
そうこうしているうちに、ふととある眼鏡屋さんが目に入った。

(あーこれCMで流れてたやつだ)

普段眼鏡はかけないのだが、綺麗なグラデーションのカラフルなそれに興味が湧いた。
一つを手に取りかけてみる。

(おっ、いいじゃーん。今度伊達眼鏡でもしていこうかなあ)

それで森くんがときめいてくれたら嬉しいなあ、なんてありえない希望を抱く。
そして先程かけたのと同じシリーズの色違いを手に取って見てみる。

(これ森に似合いそうだなあ。ああでも森ちゃんかわいいからなあ、なんでも似合いそうだなあ)

にまにまと物色していると、後方から聞き覚のある声が。

「ほら絶対そうだって!」
「絶対そうだから関わりたくないんだろ!?」

(この声は!)

ギュインッと物凄い勢いで振り返るとそこにはやはり思った通りの可愛い可愛いあの子がいた。
隣にいるのが自分ではないというのが若干腹が立つが、会えないはずだったのに会えただけでも良しとしよう。

「あ」
「げ」
「やっぱり森だー!」

瞬間移動でもしたのかというスピードで森くんに駆け寄り抱き締め頬擦り。
尻尾をぶんぶんと振り回していそうな勢いで喜ぶ高塚くんに対し、出来ればこっそりひっそり且つ迅速にこの場を去りたかったであろう森くんは心底嫌そうな表情。

「やだもう何これ運命!?こんなとこで会えるなんてーっ」
「抱きつくな擦りよるなむしろ近寄るな痴漢ーッ!」
「い…ッ、たくも痒くもないぜ……!」

脛を爪先で蹴られながらも離れない高塚くんは、見慣れてはいたし面白いのだけれどやはり少し気持ち悪かった、とは傍らで見ていた佐木くんの談。

「……って、何かけてんのそれ?商品だろ?パクんの?」
「そんなわけないじゃん!」
「そのまま捕まっちまえばいいのに」
「やだよ。ていうかさ、どう?どう?似合う?」

ちくしょう美形は何したってサマになるな、と思いつつも口には出さない。
変わりにムッと眉を寄せ唇を尖らせる。

「え、ちょ、何、そんなかわいい顔したらちゅーしちゃうよ!?」
「やめろっつってんだろうがああああ!!!」
「あ!そうだ森、これかけてみて!」
「は?うわっ」

言うと同時にかけられる眼鏡。

「何だよ!?」
「っ、うわー超色っぽい超かわいい!」
「は?」
「森かわいいから絶対似合うと思ったんだよね!」
「……」
「うん、まあ九割惚れた欲目ってやつだな」

何言ってんだこいつ、どこに目付けてんだという森くんの視線に気付き答える佐木くん。
だがしかしおもしろいのでニヤニヤと笑みは絶やさない。

「はい!じゃあ次これ!」
「ちょっ、またお前は……」

抵抗したいけれども無理に押し返して万が一フレームを折ってしまったら、なんて考えると怖くて本領を発揮出来ない森くん。
心配しなくてもそうそうぶっ壊れたりはしない。

「うわ、うわ、家庭教師っぽいこれ!」

赤のフレームをかけた森くんに興奮した様子の高塚くん。
確かにどこぞの18歳未満お断りな映画にでも出てきそうな家庭教師のように見えなくもない。
あくまで眼鏡が、である。

「いいね、凄くいい!なんか色々教えてもらいたい!んでご褒美にちゅーとか……!」
「しねえぞ?」
「あ!こういうのどう!?一問正解でちゅー、二問正解でべろちゅーで五問正解したらフェラで全問正解したら突っ込んで良いとか!やだもうたまんないっ!」
「気持ち悪いいいい!!!てかお前バカだから一問どころか問題見ただけでギブアップだろうが!」
「ご褒美貰えるならしぬ気で頑張りますとも!」
「頑張ったところでなんもしねえよ!ふざけんなよ変態!」
「あ、だめ、その格好でそのセリフたまんない服剥きたい森ちゃん今から白いシャツ買いに行かない?胸元がばってあいてるやつ!」
「誰が行くか!」

白昼堂々下ネタ全開な高塚くんは、その容姿も相まって非常に目立ってはいたのだが、多くの視線に晒される事に慣れているのか全く気にする様子はなかった。

それはそうと。

(すっげえ面白いんだけどオレ完全に存在忘れられてるよな?な?どうすっかな、森には悪いけど帰っちゃおうかなあ、でもこのままウォッチングしてたい気もするなあ、悩むなあ。後ろからこっそり付いて行こうかなあ)

眼鏡をかけさせては妄想垂れ流す高塚くんと、それに文句たらたらでにこりともせず彼を足蹴にする森くんを目の前にして、ぽつんと立ち尽くしどうしたものかと真剣に悩む佐木くんがいた。


こうして高塚くんの一日は過ぎていく。







end


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