陰キャ幼馴染がミスターコン代表に選ばれたので、俺が世界一イケメンにしてやります

あと

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Lesson4 服装

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当日になった。
俺はテキトーな服のまま、約束の噴水広場に向かう。
心臓が、少し早い。なんだよこの緊張感。まるでデートみたいじゃん……。

「……え?」

悠里を見つけた。だが、いつもと違う。
パーカーじゃなく、黒シャツに黒ズボン。たったそれだけなのに――やたら似合っていて、めちゃくちゃカッコいい。
髪も軽く整えたのか、前髪の隙間から覗く瞳がやけに大人っぽい。

「あ! 歩!」

俺に気づき、悠里が手を振る。
……なんだこのギャップは。声までいつもより明るく感じる。

「ど、どうしたんだよ…その格好」

驚きで声が上ずる。言葉がなかなか出てこない。
目の前にいるのは、たしかに悠里なのに――知らない誰かみたいだ。

「えへへ…どうせならパーカー以外の服も着てみようかなって思って、シャツにしてみた…どうかな?」

こんな服、持ってたのか…。
いや、むしろシンプルだからこそ似合うのかもしれない。顔がクール系のイケメンだからな。
首元から見える鎖骨のラインに、なぜかドキッとしてしまった。

「じゃあ、行こうか」

悠里が手を差し出す。
指先が少し震えている。緊張してるのは、俺だけじゃないらしい。

「エスコート、させてくれないかな」

……この数週間で、どうしちゃったんだよ!?
思わずドキッとするが、言われるがままに手を握られる。
……手、やっぱり大きい。ゴツくて、男らしい。しかも、温かさがある。

歩道側にさりげなく誘導され、悠里は車道側を歩く。
……どこでそんなイケメン仕草を覚えたんだ?
しかも猫背も改善されている。努力してるんだな、涙が出そうになる。

「服屋さん、調べてきたよ。この先に、有名ブランドのメンズ服屋さんがあるんだ」

そこまで調べてきたのか……。
俺は思わず、ぽつりと口に出す。

「お前…本気なんだな…」

「えへへ…歩がここまで頑張ってくれてるから、僕も頑張らなきゃって思って。顔や服装だけじゃなくて、所作も大事だしね」

なるほど、確かにそれはそうだ。
……やばい、心が熱くなる。感動と嬉しさで、少し涙ぐみそうだ。

「着いた!」

服屋に到着した。
……めちゃくちゃオシャレだ。ガラス張りの店内、整然と並ぶマネキン、漂う香水の匂い。
明らかに俺たちが普段行く場所じゃない。

「いらっしゃいませ~、何をお探しですか?」

うわ、来た。
オシャレな店員が話しかけてくるタイプの店だ。正直、怖い。初見の時点で圧がすごい。
横を見ると、悠里も若干ビビっている。

「……あ、あの、ぼ、僕に似合う服を教えてください……!」

勇気を振り絞った声。
よく言った!今すぐ頭を撫でてやりたいが、店員の前ではできない。後で全力で褒めてやろう。

「あー、いいですよ~。」

店員はにこやかに言って、奥のラックへと案内してくれた。
そこには、色も形もよくわからない高そうな服がズラッと並んでいる。

「お客様、目立たないけど素材はいいですね。多分ブルベ冬なので、モノトーンでいきましょう。今の黒シャツも似合ってますし。ブラックスリムパンツとか最高ですね。」

……ブルベ?冬?
頭の中でハテナがいくつも浮かぶ。

「フォーマルな感じで?」

店員は聞いてくる。

「あ、はい。コンテストで使うんで…」

「なるほど、なら身長高いですし、骨格ナチュラルっぽいんでロングコート挑戦してみましょう。ワッシャーステンカラーコートとか似合いますよ。顔タイプはクールソフトでしょ?白のタートルネックに黒コート、革靴。間違いないっすね、モテます。」

クールソフト?ワッシャー?何語!?
俺の脳が処理を放棄しかける。隣の悠里を見ると、案の定フリーズしていた。
それでも、少し頬を赤らめて「は、はい…」と返事をしているのが可愛い。

「いやー、素材いい人が地味な服着てると燃えるんですよね~。他にもシャツとかベストとか、絶対似合うと思いますよ。」

完全に店員のペースだ。
悠里は気圧されながらも、素直に頷いている。

「じゃあ、まずは試着してみましょうか?」

「は、はい……」

悠里は頬を少し赤く染めながら、ゆっくりと試着室へ入っていった。
そして数分後――

カーテンが開く。

白のタートルネックに、黒のロングコート。
鏡の中の悠里は、まるで別人。……いや、モデルか?

「……う、うわ……」

思わず息を呑んだ。
すらりとした長身に、整った顔立ち。眼差しは少し恥ずかしげで、それがまた無敵にかっこいい。

「ど、どうかな……?」

悠里が不安げに俺を見る。その瞬間、心臓が跳ねた。
やばい。反則だろ、それ。
鏡越しに目が合った瞬間、呼吸を忘れる。
世界が一瞬、悠里しか見えなくなった。

「こ、これ買います!」

「お買い上げありがとうございます~。」

結局、店員のテンポに完全に飲まれ、あれもこれもと試着しては買ってしまった。
……だって!なんでも似合う悠里が悪い!

「えへへ……こんなに買ったの初めて。いつもユ◯クロとか、し◯むらばっかりだったから……」

クールな見た目で、笑うと一気に可愛い。
このギャップ、全国民に知られたら社会が崩壊するレベル。

「……歩、ありがとうな。ここまで付き合ってくれて」

唐突な言葉に、心臓がまた跳ねた。
まっすぐな視線が、照れくさいほど熱い。

「あのさ、このあと……遊ばない?服も買ったし。」

悠里が照れくさそうに言った。

「おう!もちろん!」

即答した。
こうして俺たちは、次の目的地――カラオケへ向かうことになった。

歩幅を合わせて歩くたび、指先が何度も触れそうになる。
そのたびに胸が高鳴って、息が浅くなる。
……コンテストの前なのに、俺の心がいちばんざわついているのは間違いなく今だった。
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