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エリカの葬儀は執事の有能な指示により無事に進行していた。
僕はそれを受け入れるように葬儀に出る。
ボーとしながら式が終わるのを待っていた。
その間、僕は昨夜のことを思い出していた。
生きていることを公表しようと言うとの彼女は首を振ったのだった。
ベッドの上で艶かしく横たわっていた彼女はゆっくりと起き上がり僕に顔を向けた。シーツで胸元を隠した白い肌をみて先ほどまでの情事を思い起こしてしまい、思わず目を逸らす。
「自分を殺したもの・・・」
「それは・・・」
「貴方の信用にも関わってしまうわ」
ーそれは君が・・・
「クリフ様。私はすべてをもってしても貴方を取り戻したかった。だから私は、私を殺したの」
意を決したような呟きに視線を戻す。
白い顔にかかる金色の髪が彼女の儚さを増長させていた。
だが・・・。
「これが私の覚悟なの」
僕を見るその目が次第に爛々と輝きを増している。
彼女は僕に視線を合わせるように身を乗り出してきた。シーツがはだけ、形の良い双丘が現れる。
見えているのさえ気にもかけず、僕に顔を近づけた。
「だから、誰にも言わないで。お願い。私は貴方だけに見ていてほしいの」
赤い唇から溢れる熱い息が顔にかかり、白い指が僕の頬を辿る。
彼女の声を聞いていると、何もかもどうでも良くなってきた気がして、僕は自然に頷いていた。
参列に来ていた者は僕に声をかけてくることもなかったので、葬儀が終わるとすぐに屋敷に帰る。
部屋に入ると、ソファーでくつろいでいた彼女が僕を見て微笑んできた。
安心すると同時に不安が襲ってくる。
もし、エリカが生きているとわかれば生存を隠蔽したとして罰せられるかもしれない。そうなれば、自分の将来は・・・と怖くなる。
彼女は震えている近づいてくると僕を抱きしめた。
「生きているのが・・・わかると、罪に問われるかも・・・」
「大丈夫よ。貴方が言わなければわからないわ・・・。いえ、言っても誰も信じはしないわ」
「エリカ?」
「私は死んでいるのですもの」
彼女は艶やかに笑う。
それが悲しそうに僕は見え、彼女を抱きしめた。
「貴方さえいれば私は幸せなの」
耳もとで聞こえる彼女の声に、ますます抱きしめる力を込めた。
「もう、どこにもいかないで。私だけを見て。私を感じて」
泣きそうな声。
僕はエリカの泣いた顔を見たことはない。いつもいつも笑っていた。控えめに僕の半歩後ろに立って・・・。
大人しくて、激しい感情も我儘さえ言わなかったエリカの初めてお願い。
「抱いて。クリフ様・・・」
僕は請われるまま、彼女を抱き上げベッドに下ろす。
脱がせたドレスから現れるあられもない下着。
ごくりと唾を飲んでしまった。
「エリカ」
恥ずかしそうに顔を隠す彼女。
「お願い・・・」
ー愛おしい
なんで、僕は気づかなかったのだろうか?
こんなに彼女を愛していたことに・・・。
弾力のある太ももを触ればピクリと反応する。胸の細いリボンを解けば、形の良い乳房が現れ僕を魅了させた。
一つ一つのことが初々しい。
結婚当初より、恥ずかしいほどだった。
すでに僕らは夫婦なのにー。
それでも彼女のすべては僕のものだと改めて確認するように、僕は幾度も彼女を抱いた。
彼女の歓喜の声に止まることはできず、自分が獣になったように思えるほどに。
彼女の顔を見れば恍惚と笑っている。それがまた綺麗だと思い僕は嬉しく思ったのだった。
僕はそれを受け入れるように葬儀に出る。
ボーとしながら式が終わるのを待っていた。
その間、僕は昨夜のことを思い出していた。
生きていることを公表しようと言うとの彼女は首を振ったのだった。
ベッドの上で艶かしく横たわっていた彼女はゆっくりと起き上がり僕に顔を向けた。シーツで胸元を隠した白い肌をみて先ほどまでの情事を思い起こしてしまい、思わず目を逸らす。
「自分を殺したもの・・・」
「それは・・・」
「貴方の信用にも関わってしまうわ」
ーそれは君が・・・
「クリフ様。私はすべてをもってしても貴方を取り戻したかった。だから私は、私を殺したの」
意を決したような呟きに視線を戻す。
白い顔にかかる金色の髪が彼女の儚さを増長させていた。
だが・・・。
「これが私の覚悟なの」
僕を見るその目が次第に爛々と輝きを増している。
彼女は僕に視線を合わせるように身を乗り出してきた。シーツがはだけ、形の良い双丘が現れる。
見えているのさえ気にもかけず、僕に顔を近づけた。
「だから、誰にも言わないで。お願い。私は貴方だけに見ていてほしいの」
赤い唇から溢れる熱い息が顔にかかり、白い指が僕の頬を辿る。
彼女の声を聞いていると、何もかもどうでも良くなってきた気がして、僕は自然に頷いていた。
参列に来ていた者は僕に声をかけてくることもなかったので、葬儀が終わるとすぐに屋敷に帰る。
部屋に入ると、ソファーでくつろいでいた彼女が僕を見て微笑んできた。
安心すると同時に不安が襲ってくる。
もし、エリカが生きているとわかれば生存を隠蔽したとして罰せられるかもしれない。そうなれば、自分の将来は・・・と怖くなる。
彼女は震えている近づいてくると僕を抱きしめた。
「生きているのが・・・わかると、罪に問われるかも・・・」
「大丈夫よ。貴方が言わなければわからないわ・・・。いえ、言っても誰も信じはしないわ」
「エリカ?」
「私は死んでいるのですもの」
彼女は艶やかに笑う。
それが悲しそうに僕は見え、彼女を抱きしめた。
「貴方さえいれば私は幸せなの」
耳もとで聞こえる彼女の声に、ますます抱きしめる力を込めた。
「もう、どこにもいかないで。私だけを見て。私を感じて」
泣きそうな声。
僕はエリカの泣いた顔を見たことはない。いつもいつも笑っていた。控えめに僕の半歩後ろに立って・・・。
大人しくて、激しい感情も我儘さえ言わなかったエリカの初めてお願い。
「抱いて。クリフ様・・・」
僕は請われるまま、彼女を抱き上げベッドに下ろす。
脱がせたドレスから現れるあられもない下着。
ごくりと唾を飲んでしまった。
「エリカ」
恥ずかしそうに顔を隠す彼女。
「お願い・・・」
ー愛おしい
なんで、僕は気づかなかったのだろうか?
こんなに彼女を愛していたことに・・・。
弾力のある太ももを触ればピクリと反応する。胸の細いリボンを解けば、形の良い乳房が現れ僕を魅了させた。
一つ一つのことが初々しい。
結婚当初より、恥ずかしいほどだった。
すでに僕らは夫婦なのにー。
それでも彼女のすべては僕のものだと改めて確認するように、僕は幾度も彼女を抱いた。
彼女の歓喜の声に止まることはできず、自分が獣になったように思えるほどに。
彼女の顔を見れば恍惚と笑っている。それがまた綺麗だと思い僕は嬉しく思ったのだった。
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