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5.執事視点
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3ヶ月ほど前、奥様は流産された。
その小さな命を奪った元凶がモネ様である。
奥様は旦那様とモネ様のことは知っていらした。奥様はずっと耐えていた。
ご懐妊した際、奥様はとても嬉しそうにしていた。
「あの方も喜んでくれるかしら?」
私には「自分の元に帰ってくるわよね」と言っているように聞こえてくる。
なのに・・・、旦那様のいない時を狙い、モネ様は奥様を階段から落としたのだ。それが故意に行われたかは分からなかった。
ただ儚い命を奪われた奥様の想いは計り知れないものだろう。
流産の影響か奥様の体調は降下を辿った。
気遣いもせず、仕事へと出掛ける旦那様。
続くモネ様との関係。
旦那様に連絡しても「忙しい」と返事がくるでだけで、帰ってこない。
奥様が壊れるのに時間はかからなかった。
医者に見せても手が尽くせないほど身も心も病んでいく。痩せ細り、美しかった笑みは消え、虚な瞳で虚空を見ていた。
誰かが奥様に付き添うようにしていたが、それをかいくぐり奥様は自らの命に終止符を打つ。
どこで、毒など手に入れたのだろう・・・。
苦しかっただろうはずなのに、その顔はどこか解放されたような安らぎが見えていた。
知らせを聞いて慌てて今更帰ってきた旦那様には腹が立つ。
だが、意外にも旦那様は呆然としていた。
奥様の死を悔やんでいるのだろうか・・・。
そして奥様の葬儀の翌日から旦那様は部屋から出てくることはなくなる。
日に日に食べる量が減っていく。
我々がどんなに声をかけようと無理だった。
部屋にさえ入らせてはくれなかった。
メイドが部屋のドアから聞き耳を立てると、旦那様が誰かと話をしているとは言う。だが、誰もその姿を見たことはない。
誰かがいれば、気づくだろう。
気のせいだろう。
ならば・・・、旦那様の妄想?奥様の死で幻覚が見えているのかも・・・。病院にいくべきなのかー?
メイドたちは不気味に思うのか、徐々に旦那様の部屋に行かないようになった。
そんなおり、モネ様が屋敷にくる。
昔から知っている方だが、人を見下すようなところがあるため、あまり歓迎したくない方だ。それに、奥様を死に追いやった張本人である。
生理的に嫌悪感はあるが、立てこもっている旦那様を部屋から出すにはいいのかもしれないと思い、素直に部屋に案内した。
突撃するように自分が持っていただろう合鍵を使って、旦那様の部屋に入ってから少しして、悲鳴が聞こえてきた。
私たちも何事かと部屋に入る。
そこには倒れているモネ様がいた。
「旦那様!!」
説明を求めようと旦那様を探す。
窓もカーテンも閉まった暗い部屋。
もわりとした澱んだ重い空気。
私は急いでカーテンを引き窓を開けた。
「うっ・・・」
明るくなった室内を見まわし、私は絶句する。
ついてきたメイドたちは私と同じものを見て悲鳴をあげた。
ベッドの上に干からびれたと表現してもいい男性が鎮座していた。
旦那様・・・しかいない。
たとえ、水や食べ物を数日とらなかっただけでこのような姿にはならないだろう・・・。
『ふふふっ』
私の耳元で誰かが笑ったように聞こえた。
ーあぁ・・・、奥様・・・
ー奥様が連れていかれたのか・・・
私は一度目を閉じて息をはく。大きく息を吸い込み目を開けると、メイドに医師を呼ぶように手配をした。
また忙しくなる。
そして私は深く追求するのをやめ、目先のことを処理することだけを考えだしたのだった。
その小さな命を奪った元凶がモネ様である。
奥様は旦那様とモネ様のことは知っていらした。奥様はずっと耐えていた。
ご懐妊した際、奥様はとても嬉しそうにしていた。
「あの方も喜んでくれるかしら?」
私には「自分の元に帰ってくるわよね」と言っているように聞こえてくる。
なのに・・・、旦那様のいない時を狙い、モネ様は奥様を階段から落としたのだ。それが故意に行われたかは分からなかった。
ただ儚い命を奪われた奥様の想いは計り知れないものだろう。
流産の影響か奥様の体調は降下を辿った。
気遣いもせず、仕事へと出掛ける旦那様。
続くモネ様との関係。
旦那様に連絡しても「忙しい」と返事がくるでだけで、帰ってこない。
奥様が壊れるのに時間はかからなかった。
医者に見せても手が尽くせないほど身も心も病んでいく。痩せ細り、美しかった笑みは消え、虚な瞳で虚空を見ていた。
誰かが奥様に付き添うようにしていたが、それをかいくぐり奥様は自らの命に終止符を打つ。
どこで、毒など手に入れたのだろう・・・。
苦しかっただろうはずなのに、その顔はどこか解放されたような安らぎが見えていた。
知らせを聞いて慌てて今更帰ってきた旦那様には腹が立つ。
だが、意外にも旦那様は呆然としていた。
奥様の死を悔やんでいるのだろうか・・・。
そして奥様の葬儀の翌日から旦那様は部屋から出てくることはなくなる。
日に日に食べる量が減っていく。
我々がどんなに声をかけようと無理だった。
部屋にさえ入らせてはくれなかった。
メイドが部屋のドアから聞き耳を立てると、旦那様が誰かと話をしているとは言う。だが、誰もその姿を見たことはない。
誰かがいれば、気づくだろう。
気のせいだろう。
ならば・・・、旦那様の妄想?奥様の死で幻覚が見えているのかも・・・。病院にいくべきなのかー?
メイドたちは不気味に思うのか、徐々に旦那様の部屋に行かないようになった。
そんなおり、モネ様が屋敷にくる。
昔から知っている方だが、人を見下すようなところがあるため、あまり歓迎したくない方だ。それに、奥様を死に追いやった張本人である。
生理的に嫌悪感はあるが、立てこもっている旦那様を部屋から出すにはいいのかもしれないと思い、素直に部屋に案内した。
突撃するように自分が持っていただろう合鍵を使って、旦那様の部屋に入ってから少しして、悲鳴が聞こえてきた。
私たちも何事かと部屋に入る。
そこには倒れているモネ様がいた。
「旦那様!!」
説明を求めようと旦那様を探す。
窓もカーテンも閉まった暗い部屋。
もわりとした澱んだ重い空気。
私は急いでカーテンを引き窓を開けた。
「うっ・・・」
明るくなった室内を見まわし、私は絶句する。
ついてきたメイドたちは私と同じものを見て悲鳴をあげた。
ベッドの上に干からびれたと表現してもいい男性が鎮座していた。
旦那様・・・しかいない。
たとえ、水や食べ物を数日とらなかっただけでこのような姿にはならないだろう・・・。
『ふふふっ』
私の耳元で誰かが笑ったように聞こえた。
ーあぁ・・・、奥様・・・
ー奥様が連れていかれたのか・・・
私は一度目を閉じて息をはく。大きく息を吸い込み目を開けると、メイドに医師を呼ぶように手配をした。
また忙しくなる。
そして私は深く追求するのをやめ、目先のことを処理することだけを考えだしたのだった。
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