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6.モネ視点
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いつもエリカを羨ましく思っていた。
エリカは優しくて、美人でお金持ちで、私の持っていないものを持っている。
クリフがエリカを選ぶのも仕方ない。それが悔しかった。だからこそエリカを妬む。
でも、クリフは私を見てくれた。
たくましい腕の中で何度も朝を迎える。嬉しかった。優越感を抱く。
えりかの綺麗な顔が嫉妬に歪めばいいのに・・・。
たくさんクリフとの関係を匂わせてもしてみた。だが、エリカは顔色一つ変えない。
悔しくて腹がたった。余裕のある笑みが憎らしい。
ーなによ!いずれ自分の元に帰ってくると思ってるから、そんな顔をするのね!
これでもかとクリフとの関係を見せつけ、直接語ったこともあった。
そんなある日、エリカが言った。
「クリフ様との子供ができたの。だから、火遊びはしないでくれる?」
まだふくらんでもいないお腹を大事そうに触るエリカが憎かった。
「そうなの、おめでとう・・・」
「ありがとう」
引き攣りそうな口の端をどうにかこうに笑みに変える。
「・・・モネ。おしまいにしてね。お願いよ」
そう言って微笑むエリカ。
私は逃げるように部屋を出ると、部屋から離れた壁際で怒りで震える身体を抱くようにしながら息を整えた。
こんなにも自分の負の気持ちがあるとは・・・。落ち着こう。落ち着こう・・・。
もう、クリフとの関係を終わらせなくてはならないのだろうか。嫌だ。嫌だ。でも・・・。
ー負けなくない!
たくさんの感情を整理していると、エリカが部屋を出て階段を下りようとしているのがみえた。
エリカの姿を見た瞬間、私は動いていた。
エリカの背を私は押した。
あとはあまり覚えていない。
ただ、気づいた時にはエリカが階段の下で倒れていて、私はその様子に悲鳴をあげていた。
泣きながらその場でうずくまる。
だけど、心の中ではその姿を見て嬉しくなって顔を押さえながら笑っていた。
エリカは流産した。
罪悪感と恍惚とした感情が渦巻く。
あの美しい顔が哀しみで彩られていると思うと幸せだった。
でも・・・3ヶ月後、クリフとの熱い日を過ごしている中もたらされたエリカの死。
血の気が引いた。
ーまさか?
ー私のせいじゃないわよね?
エリカの死因は自殺らしい。
クリフの名声を汚すためなのか、私を恨んでなのか・・・。
分からなかった。
死んだものを考えてもどうしようもない。
私は過去のことにする。
こぢんまりとした葬式も終わり、いつクリフが会いにくるのか楽しみに待った。
クリフは来ない。
いくら待っても、連絡一つなかった。
だから私は押しかける。
冷たい視線を送ってくる屋敷の者たちを無視をして、合鍵を使ってクリフの部屋に入った。
もう、エリカはいないのだから堂々と私たちの関係が明るみになってもいいではないか。そんな気持ちと共に。
だが、そこにいたのは私の知らないクリフだった。
暗く痩せたクリフ。以前の自身に溢れた姿はどこにいったのだろう。
ーどうしたの?私のクリフはどこ?
会話しても話にもならない。
しかも、クリフの側にはエリカがいた。
エリカの緑の目は爛々と輝き、弧を描いている真っ赤な口元が怖い。人間ではないように思った。
ーエリカがこんな顔を?
恐怖が襲ってくる。
まるで化け物か幽霊のようだ。
私は耐えきれず、悲鳴をあげその場で気を失った。
その後、気を取り戻した私に教えられたのはクリフはベッドにいたということ。
みんな、私がクリフの干からびた死体を見た恐怖で気を失ったのだろうと言った。
いえ、私は確かにクリフと会話をしたのを覚えている。その場にはエリカもいた。
そのことを話しても誰も信じてはくれない。話をすれば『おかしな人』とレッテルが貼られた。
私は話すのをやめ、あの時のことを忘れようとしたが無理だった。
あれは幻だったのだろうか・・・。
いや、幻などではない。
だって・・・。
エリカの不気味に笑う顔が色々なとか所で見えるのだ。耳元で笑い声が聞こえてくる。
私は一人で生きた。
恋人ができても彼らは私の元を去る。
事故で、事業失敗で・・・。それか・・・、白い女の影が見えて怖い・・・など。私から離れると厄害はなくなるらしい。
私は疫病神と言われるようになった。
孤独と向き合う。
「私はあなたが死ぬまで許さないから」
エリカのあの声が私を死ぬまで苦しめるのだ。
・・・エリカ、ごめんなさい・・・
エリカが私のそばから消えてくれないのをわかっていながら・・・今日も私はエリカの墓参りに行くのだった。
◇◇◇◇◇
明日、最終話です。
エリカは優しくて、美人でお金持ちで、私の持っていないものを持っている。
クリフがエリカを選ぶのも仕方ない。それが悔しかった。だからこそエリカを妬む。
でも、クリフは私を見てくれた。
たくましい腕の中で何度も朝を迎える。嬉しかった。優越感を抱く。
えりかの綺麗な顔が嫉妬に歪めばいいのに・・・。
たくさんクリフとの関係を匂わせてもしてみた。だが、エリカは顔色一つ変えない。
悔しくて腹がたった。余裕のある笑みが憎らしい。
ーなによ!いずれ自分の元に帰ってくると思ってるから、そんな顔をするのね!
これでもかとクリフとの関係を見せつけ、直接語ったこともあった。
そんなある日、エリカが言った。
「クリフ様との子供ができたの。だから、火遊びはしないでくれる?」
まだふくらんでもいないお腹を大事そうに触るエリカが憎かった。
「そうなの、おめでとう・・・」
「ありがとう」
引き攣りそうな口の端をどうにかこうに笑みに変える。
「・・・モネ。おしまいにしてね。お願いよ」
そう言って微笑むエリカ。
私は逃げるように部屋を出ると、部屋から離れた壁際で怒りで震える身体を抱くようにしながら息を整えた。
こんなにも自分の負の気持ちがあるとは・・・。落ち着こう。落ち着こう・・・。
もう、クリフとの関係を終わらせなくてはならないのだろうか。嫌だ。嫌だ。でも・・・。
ー負けなくない!
たくさんの感情を整理していると、エリカが部屋を出て階段を下りようとしているのがみえた。
エリカの姿を見た瞬間、私は動いていた。
エリカの背を私は押した。
あとはあまり覚えていない。
ただ、気づいた時にはエリカが階段の下で倒れていて、私はその様子に悲鳴をあげていた。
泣きながらその場でうずくまる。
だけど、心の中ではその姿を見て嬉しくなって顔を押さえながら笑っていた。
エリカは流産した。
罪悪感と恍惚とした感情が渦巻く。
あの美しい顔が哀しみで彩られていると思うと幸せだった。
でも・・・3ヶ月後、クリフとの熱い日を過ごしている中もたらされたエリカの死。
血の気が引いた。
ーまさか?
ー私のせいじゃないわよね?
エリカの死因は自殺らしい。
クリフの名声を汚すためなのか、私を恨んでなのか・・・。
分からなかった。
死んだものを考えてもどうしようもない。
私は過去のことにする。
こぢんまりとした葬式も終わり、いつクリフが会いにくるのか楽しみに待った。
クリフは来ない。
いくら待っても、連絡一つなかった。
だから私は押しかける。
冷たい視線を送ってくる屋敷の者たちを無視をして、合鍵を使ってクリフの部屋に入った。
もう、エリカはいないのだから堂々と私たちの関係が明るみになってもいいではないか。そんな気持ちと共に。
だが、そこにいたのは私の知らないクリフだった。
暗く痩せたクリフ。以前の自身に溢れた姿はどこにいったのだろう。
ーどうしたの?私のクリフはどこ?
会話しても話にもならない。
しかも、クリフの側にはエリカがいた。
エリカの緑の目は爛々と輝き、弧を描いている真っ赤な口元が怖い。人間ではないように思った。
ーエリカがこんな顔を?
恐怖が襲ってくる。
まるで化け物か幽霊のようだ。
私は耐えきれず、悲鳴をあげその場で気を失った。
その後、気を取り戻した私に教えられたのはクリフはベッドにいたということ。
みんな、私がクリフの干からびた死体を見た恐怖で気を失ったのだろうと言った。
いえ、私は確かにクリフと会話をしたのを覚えている。その場にはエリカもいた。
そのことを話しても誰も信じてはくれない。話をすれば『おかしな人』とレッテルが貼られた。
私は話すのをやめ、あの時のことを忘れようとしたが無理だった。
あれは幻だったのだろうか・・・。
いや、幻などではない。
だって・・・。
エリカの不気味に笑う顔が色々なとか所で見えるのだ。耳元で笑い声が聞こえてくる。
私は一人で生きた。
恋人ができても彼らは私の元を去る。
事故で、事業失敗で・・・。それか・・・、白い女の影が見えて怖い・・・など。私から離れると厄害はなくなるらしい。
私は疫病神と言われるようになった。
孤独と向き合う。
「私はあなたが死ぬまで許さないから」
エリカのあの声が私を死ぬまで苦しめるのだ。
・・・エリカ、ごめんなさい・・・
エリカが私のそばから消えてくれないのをわかっていながら・・・今日も私はエリカの墓参りに行くのだった。
◇◇◇◇◇
明日、最終話です。
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