【完結】あなたの愛が欲しくて・・・

彩華(あやはな)

文字の大きさ
3 / 4

3.

しおりを挟む
卒業パーティー。
案の定、やってくれたわ。

「婚約を破棄する」

言ったわ、このアホ。

淑女あるまじき声で笑ってしまった。
仕方ないでしょ。

思い通りにいったんですもの。

「歓迎しますわ、
「何笑う?」
「国王陛下からお聞きでないのですか?」 

あの国王も駄目ね。
知ってたけど。

「何を?」
「もし、貴方から今日この場で婚約破棄をするようならば、わたくしのお願いを聞いてもらえるようになっていましたの」
「はっ?」
「国王陛下、お聞きになりましたよね」

わたしは見る。
影に隠れていた国王夫妻を。

顔色が悪いわ。
当然よね。
貴方達の教育が悪いのよ。

「アズラス・・・、言ったはずだ・・・」
「冗談、では?」

冗談?
なに?それ。

「国王、わたくしのですわ。お願い事聞いていただけますわよね?」
「何を願う?」
「私を国王にしていただきます」
「なっ・・・」

ふふっ。

騒がしいわ。
当然よね。
そんな願いが来るなんて思わないもの。

「それは・・・、それは無理だ」
「馬鹿を言うな!」
「なぜ?」
「国王はわたしだ!アズラスは王太子だ」
「なぜ?」
「血を絶やすわけにはいかん」


 血か・・・。

「アズラス殿下は本当に国王の子なの?」
「はっ?」
「わたくし知っていますの。殿下はお二人がご成婚前になされた子供。結婚前からの身体の関係とは。
 本当にお二方のお子ですか?
 殿下に王室の色はどこにありますの?不思議ですわね」

国王陛下は金髪碧眼。
王妃は茶金の髪に緑の目。

どこにあるのかしら、蒼い目は?

ポンっと手を鳴らす。

「王妃様にはまだお付き合いされてる方がいますわよね。確か・・・茶色の髪に蒼い目だったような・・・」
「ヒッ・・・」
「はっ?」

真っ青な顔になりました。

「当時の婚約者を断罪したのは、不貞を・・・妊娠を隠すためでしたの?」
「・・・」
「まあ、親が親なら、子も子、ですか?」
「アズラス?」


あら、殿下にも真っ青な。
目を逸らせても無理ですわ。

「殿下?お分かりになりません?わたくしは帝国の王女ですわ。貴方より、上ですわ。それを勝手に破棄するとは、どうなるかわかりませんでした?」
「帝国の王女?はっ、噂は知っている。皇帝陛下から嫌われた、呪われた王女。地位だって低い王女が!!そんなやつよりエミルが良いに決まっているだらう!!」
「まあ、知ってらしたの?」


だからだと言うの?
アホらしい。

「誰のせいよ」

誰にも聞こえないように呟く。

呪われた王女。
厄介者の王女。
嫌われもの王女。
皇帝色を纏わない王女。

それが帝国での私の価値。

誰のせいよ。
貴方達のせいじゃない。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】泣き虫だったあなたへ

彩華(あやはな)
恋愛
小さい頃あなたは泣き虫だった。 わたしはあなたをよく泣かした。 綺麗だと思った。溶けるんじゃないかと思った。 あなたが泣かなくなったのはいつの頃だった・・・。

あなたに何されたって驚かない

こもろう
恋愛
相手の方が爵位が下で、幼馴染で、気心が知れている。 そりゃあ、愛のない結婚相手には申し分ないわよね。 そんな訳で、私ことサラ・リーンシー男爵令嬢はブレンダン・カモローノ伯爵子息の婚約者になった。

【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜

彩華(あやはな)
恋愛
 一つの密約を交わし聖女になったわたし。  わたしは婚約者である王太子殿下に婚約破棄された。  王太子はわたしの大事な人をー。  わたしは、大事な人の側にいきます。  そして、この国不幸になる事を祈ります。  *わたし、王太子殿下、ある方の視点になっています。敢えて表記しておりません。  *ダークな内容になっておりますので、ご注意ください。 ハピエンではありません。ですが、救済はいれました。

【完結】君は星のかけらのように・・・

彩華(あやはな)
恋愛
君に出会ったのは幼いだったー。 婚約者に学園で出会った一人の女性と。 僕は後悔する。 彼女の幸せを償いたいー。 身勝手な男の話です。 でも、一途な思いでもあります。 4話+1話構成です。

【完結】それがわたしの生き方

彩華(あやはな)
恋愛
わたしの母は男爵令嬢。父は国王陛下。 わたしは国のために生きている。 そんなわたしでも、幸せになっていいですか?

【完結】亡くなった妻の微笑み

彩華(あやはな)
恋愛
僕は妻の妹と関係を持っている。 旅行から帰ってくると妻はいなかった。次の朝、妻カメリアは川の中で浮いているのが発見された。 それから屋敷では妻の姿を見るようになる。僕は妻の影を追うようになっていく。  ホラー的にも感じると思いますが、一応、恋愛です。     腹黒気分時にしたためたため真っ黒の作品です。お気をつけてください。 6話完結です。

元婚約者のあなたへ どうか幸せに

石里 唯
恋愛
 公爵令嬢ローラは王太子ケネスの婚約者だったが、家が困窮したことから、婚約破棄をされることになる。破棄だけでなく、相愛と信じていたケネスの冷酷な態度に傷つき、最後の挨拶もできず別れる。失意を抱いたローラは、国を出て隣国の大学の奨学生となることを決意する。  隣国は3年前、疫病が広がり大打撃を受け、国全体が復興への熱意に満ち、ローラもその熱意に染まり勉学に勤しむ日々を送っていたところ、ある日、一人の「学生」がローラに声をかけてきて―――。

巻き戻ったから切れてみた

こもろう
恋愛
昔からの恋人を隠していた婚約者に断罪された私。気がついたら巻き戻っていたからブチ切れた! 軽~く読み飛ばし推奨です。

処理中です...