7 / 19
7.
しおりを挟む
マリアが帰った次の日、絨毯のことを領民に相談したところ、渋々といった感じだった。
自分は信用されていないのだと実感した。
知っているはずの顔や話したことがある人もいたが、初対面であるような反応をしてくる。
困っていることを聞いても答えてくれなかった。一人相撲している気になる。
どうすればいいのか。僕を見てくれないので何を喋れば良いのかもわからなくなる。
彼らは僕の背後を見ていた。
形のない兄の姿を見ているのだろうか。
兄の存在の大きさを痛感した。
一週間もしないうちに王都に帰る。
タウンハウスに帰れば、屋敷に入ってすぐに使用人たちから冷たい視線を受けることになった。
ヴィクトリアが僕を見た瞬間眉を顰める。
「早いお帰りですね。碌に仕事もせずのお戻りですか?」
「いや・・・そうじゃ・・・」
「ほんとうに使えない方ですね。ローレンスは素晴らしかったですわ。仕事をするのも手際が良かったですもの。早く仕事を終わらせて、私との時間を作ってくださいましたもの」
知っている。兄は時間の使い方が上手かった。
なかなか同じように出来なくて悔しかったのだから。
僕だって真剣にやっている。
でも誰も理解してくれない。
「なんですの、その顔?自分は頑張っていると思っているの?できていないのに?努力が足りていないのにやった気でいるなんて、大丈夫なの?それとも頭が足りないのに気づいてないだけなのかしら?」
ヴィクトリアは嘲笑ってきた。
悔しいのに何もいい返せない。
「あなたのしけた顔を見たら気分が悪くなりましたわ。気晴らしにこれから友人のパーティーに行ってくるわ。明日は買い物に行くから、お代はよろしくね」
ふんと鼻を鳴らして彼女は去っていった。
これを見ていた使用人たちもくすくすと笑いながらいなくなる。
誰もいなくなってから、執務室に帰った。
静かな部屋が落ち着く。いや、静かだからこそヴィクトリアの言葉が頭の中を反響した。
頑張ってると思ってるの?努力が足りていないと言われた。頭が足りない?彼女のいうように僕は他人と違うのだろうか?どこかおかしいのだろうか?
同じだと思っていた。
その夜、外出していた父に呼ばれた。
絨毯のことが耳に入ったのかもしれない。
部屋に入るなり、父は僕を見るなり深いため息をついた。
「リューン。お前は余計なことはしなくていい」
抑揚のない声。
「ですが・・・」
「はあ・・・。理解していない素人になにができる?」
「勉強はしました。マリア嬢の話は有益だと思います」
「あんな女のいうことを間に受けるあたりが素人だと言っている」
「ですが、彼女の商会はこの国でも誰もが知っているほどの」
「リューン!!」
初めて強い口調で名前を呼ばれ押し黙る。
父は額に手をやりまたため息をついた、ら
「ローレンスならば・・・」
兄ならば・・・なんだろう。
兄ならこんな提案をしなかった?
僕の考えはいけないこと?聞くことも考える価値もないくだらないことなのか?
マリア。自信なんてないよ。
僕のいる価値ってあるのかな?
「父さんの決定に、従い、ます」
僕は部屋を出た。
自分は信用されていないのだと実感した。
知っているはずの顔や話したことがある人もいたが、初対面であるような反応をしてくる。
困っていることを聞いても答えてくれなかった。一人相撲している気になる。
どうすればいいのか。僕を見てくれないので何を喋れば良いのかもわからなくなる。
彼らは僕の背後を見ていた。
形のない兄の姿を見ているのだろうか。
兄の存在の大きさを痛感した。
一週間もしないうちに王都に帰る。
タウンハウスに帰れば、屋敷に入ってすぐに使用人たちから冷たい視線を受けることになった。
ヴィクトリアが僕を見た瞬間眉を顰める。
「早いお帰りですね。碌に仕事もせずのお戻りですか?」
「いや・・・そうじゃ・・・」
「ほんとうに使えない方ですね。ローレンスは素晴らしかったですわ。仕事をするのも手際が良かったですもの。早く仕事を終わらせて、私との時間を作ってくださいましたもの」
知っている。兄は時間の使い方が上手かった。
なかなか同じように出来なくて悔しかったのだから。
僕だって真剣にやっている。
でも誰も理解してくれない。
「なんですの、その顔?自分は頑張っていると思っているの?できていないのに?努力が足りていないのにやった気でいるなんて、大丈夫なの?それとも頭が足りないのに気づいてないだけなのかしら?」
ヴィクトリアは嘲笑ってきた。
悔しいのに何もいい返せない。
「あなたのしけた顔を見たら気分が悪くなりましたわ。気晴らしにこれから友人のパーティーに行ってくるわ。明日は買い物に行くから、お代はよろしくね」
ふんと鼻を鳴らして彼女は去っていった。
これを見ていた使用人たちもくすくすと笑いながらいなくなる。
誰もいなくなってから、執務室に帰った。
静かな部屋が落ち着く。いや、静かだからこそヴィクトリアの言葉が頭の中を反響した。
頑張ってると思ってるの?努力が足りていないと言われた。頭が足りない?彼女のいうように僕は他人と違うのだろうか?どこかおかしいのだろうか?
同じだと思っていた。
その夜、外出していた父に呼ばれた。
絨毯のことが耳に入ったのかもしれない。
部屋に入るなり、父は僕を見るなり深いため息をついた。
「リューン。お前は余計なことはしなくていい」
抑揚のない声。
「ですが・・・」
「はあ・・・。理解していない素人になにができる?」
「勉強はしました。マリア嬢の話は有益だと思います」
「あんな女のいうことを間に受けるあたりが素人だと言っている」
「ですが、彼女の商会はこの国でも誰もが知っているほどの」
「リューン!!」
初めて強い口調で名前を呼ばれ押し黙る。
父は額に手をやりまたため息をついた、ら
「ローレンスならば・・・」
兄ならば・・・なんだろう。
兄ならこんな提案をしなかった?
僕の考えはいけないこと?聞くことも考える価値もないくだらないことなのか?
マリア。自信なんてないよ。
僕のいる価値ってあるのかな?
「父さんの決定に、従い、ます」
僕は部屋を出た。
221
あなたにおすすめの小説
好きだった人 〜二度目の恋は本物か〜
ぐう
恋愛
アンジェラ編
幼い頃から大好だった。彼も優しく会いに来てくれていたけれど…
彼が選んだのは噂の王女様だった。
初恋とさよならしたアンジェラ、失恋したはずがいつのまにか…
ミラ編
婚約者とその恋人に陥れられて婚約破棄されたミラ。冤罪で全て捨てたはずのミラ。意外なところからいつのまにか…
ミラ編の方がアンジェラ編より過去から始まります。登場人物はリンクしています。
小説家になろうに投稿していたミラ編の分岐部分を改稿したものを投稿します。
【完結】恋が終わる、その隙に
七瀬菜々
恋愛
秋。黄褐色に光るススキの花穂が畦道を彩る頃。
伯爵令嬢クロエ・ロレーヌは5年の婚約期間を経て、名門シルヴェスター公爵家に嫁いだ。
愛しい彼の、弟の妻としてーーー。
虐げられたアンネマリーは逆転勝利する ~ 罪には罰を
柚屋志宇
恋愛
侯爵令嬢だったアンネマリーは、母の死後、後妻の命令で屋根裏部屋に押し込められ使用人より酷い生活をすることになった。
みすぼらしくなったアンネマリーは頼りにしていた婚約者クリストフに婚約破棄を宣言され、義妹イルザに婚約者までも奪われて絶望する。
虐げられ何もかも奪われたアンネマリーだが屋敷を脱出して立場を逆転させる。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
こんな婚約者は貴女にあげる
如月圭
恋愛
アルカは十八才のローゼン伯爵家の長女として、この世に生を受ける。婚約者のステファン様は自分には興味がないらしい。妹のアメリアには、興味があるようだ。双子のはずなのにどうしてこんなに差があるのか、誰か教えて欲しい……。
初めての投稿なので温かい目で見てくださると幸いです。
それは確かに真実の愛
宝月 蓮
恋愛
レルヒェンフェルト伯爵令嬢ルーツィエには悩みがあった。それは幼馴染であるビューロウ侯爵令息ヤーコブが髪質のことを散々いじってくること。やめて欲しいと伝えても全くやめてくれないのである。いつも「冗談だから」で済まされてしまうのだ。おまけに嫌がったらこちらが悪者にされてしまう。
そんなある日、ルーツィエは君主の家系であるリヒネットシュタイン公家の第三公子クラウスと出会う。クラウスはルーツィエの髪型を素敵だと褒めてくれた。彼はヤーコブとは違い、ルーツィエの嫌がることは全くしない。そしてルーツィエとクラウスは交流をしていくうちにお互い惹かれ合っていた。
そんな中、ルーツィエとヤーコブの婚約が決まってしまう。ヤーコブなんかとは絶対に結婚したくないルーツィエはクラウスに助けを求めた。
そしてクラウスがある行動を起こすのであるが、果たしてその結果は……?
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる