僕、天使に転生したようです!

神代天音

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 さて、問題は持ち越しだけど、この後はどうすんだろう?

「ねえ、みんな。今日は何をするの?」

 そうすると、みんなは顔を見合わせて、こそこそと話し合いを始める。そうしてしばらくすると、代表してアレンが大袈裟に話し出した。

「今日は、アンジュの服を買いに行きまーす!」
「おおー!」

 思わずぱちぱちと拍手をしてしまう。なんだかしなきゃいけない衝動に駆られたんだ。
 
「アンジュの服、ボロボロですもんね……」

 ノクトがそう呟くと、僕以外のみんながうんうんとうなずく。たしかに僕の服はもはやただの布切れだ。正直もはや服の形を成していない。

「この家にアンジュが着られる服もないしな」

 続いてソレイユが呟く。
 小柄なアレンでさえ、僕と頭何個分違うんだろうという身長差。着られる服なんて全くないだろう。
 あ、でもそうすると——。

「ぼく、服買いに行く時どんな格好で行けばいいの」
「はっ!」

 みんながしまった! という顔をする。
 僕の服はボロボロすぎて、道を歩くだけでちょっと公序良俗に反してしまう。どうやって服屋まで行けばいいんだろう?
 僕が疑問に思ってみんなの顔をぽやんとながめていると、またみんながこそこそと話し出した。

「確かにまずいな、この格好は……」
「坊主の肌が見え過ぎだな、こりゃあ」
「下手したら変なやつ引っ掛けてきちゃうよ」
「ショタコン、とかね……」

 しばらくすると、みんながなんとも言えない顔をし出す。そんなにやばい事案でもあったんのかな?

「もう、俺のマントでぐるぐる巻きにして店まで行かないか?」
「それがいいかもしれないね。だって、昨日ここまで街を通ってきたんだよね?」
「ああ」
「だったらそれで行けますね。多少怪しまれるかもしれませんが……」
「まあ、孤児を誰かが拾ってくるなんてそんな珍しいことでもなし。坊主を包んでいけばどうにかなるだろ」

 またしばらく話し合って、それからみんながこちらを向く。話し合いが終わったみたい。
 フィンが話し出す。

「坊主。坊主の服はちいっとぼろぼろな以外にも問題があってな? ここにきた時みたいにソレイユのマントでぐるぐる巻きにするしかないんだ」
「来た時みたいに? ぜんぜんだいじょうぶ!」
「よかった。じゃあ、それで行くか」

 とりあえず、これで僕の服ぼろぼろ問題は解決。
 ソレイユが持ってきたマントにくるまって、歩けないからソレイユに抱っこしてもらって——。

「しゅっぱーつ!」
「おー!」

 アレンの掛け声と一緒に出発だ!




 ソレイユたちパーティが常宿は街の大通りから一本外れたところにある。家族経営らしく、暖かい雰囲気が溢れている。宿から出る時もわざわざいってらっしゃいと声をかけてくれた。
 そう言えば、宿だからご飯が美味しかったのかな? 今考えてみたら、この4人がご飯を作れる気がなんとなくしない気がする。
 宿をでて、かすかにざわめきの聞こえる細い通りを歩く。そして、そこから一歩出ると——。

「わあ! すごい!」

 そこは一気に人が賑わう大通り。至る所に露店が出て、大勢の人が買い物をしたり、露店を冷やかしたりしている。

「そうか。坊主は初めてか」
「うん! 森に住んでたから、こんなにたくさんの人を見るの、はじめて!」

 あくまで今世では、だけど。心の中でこっそり呟く。
 それにしても、すごい人と賑わいだ。ここ、相当大きい街なんじゃなかろうか?
 背の高いソレイユに抱き上げられている僕は、いま目線が高い。だから、いろんなところが見えてとても楽しい。

「ノクト、あれは何が売ってるの?」
「あれはお菓子ですね。最近流行り出したもので、とっても美味しいんですよ」
「アレン、あれは?」
「あれは東方のお守りだね。組紐っていうらしいよ」

 ついつい興奮して隣にいるみんなに色々尋ねてしまう。精神年齢は結構高い自信があるのに、これじゃまるで見た目通りだ。
 そんなこんなしていると、ある店の前に辿り着いた。

「ここだ」

 ここが服屋らしい。
 看板に何やら文字っぽいものが書いてあるけど、あれが店名なのかな? 僕は字を習っていないから全く読めない。今度教えてもらおう。
 そんなことを考えている間に、ソレイユは片手で扉を開けて中に入った。すると——。

「ほわあ……! すごい!」

 中にあったのは大量の布、それから仕立てられた服。初めてみた光景で思わずため息が溢れる。

「「ようこそ、ララルル洋服店へ!」」

 突然声が響く。声の方を向くと、そこにいたのは黒猫獣人のそっくりな女性2人。それぞれ赤と青のドレスを着ているから見分けがつくけど、顔立ちはそっくりだ。
 
「ソレイユたちが全員で来るなんて珍しいわネ」
「そちらのかわい子ちゃんのお洋服を仕立てていいのネ!」

 2人は口々に話し出す。

「ああ、この子はアンジュというんだが、服を何着か仕立ててもらいたい。後、出来上がるまでのしばらく着れるように出来上がったものも何着か頼む」
「わかりましたワ」
「では、アンジュちゃん、こっちにきてネ」

 そこからは思い出したくない。
 ひたすらに測られて、洋服を着せらて、脱がされて……。
 きっと途中でソレイユたちが止めてくれるだろうと思ったのに——。

「坊主にはどれも似合うな!」
「こっちもどうでしょう?」
「いや、こっちだよ」
「どっちも買えばいい」

 誰1人として止めてくれないどころか、ノリノリだった。僕が着る服の8割はみんなが選んだと思う。

「お疲れ様でしたワ」
「一週間で全て仕上げるわネ」

 そう言って、やっと着せ替え人形が終わったのはまさかの2時間後。
 僕はぐったりして、せっかく服を着せてもらったのに、行きと同じようにソレイユに抱っこされて帰る羽目になった。その後はもちろん宿でお昼寝だ。

 そう言えば、赤のドレスの女性と青のドレスの女性、どっちがララさんでルルさんだったんだろう?
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