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洋服を買いに行った時、生きは僕がなんでも尋ねて、みんなが答えてくれるから賑やかに歩いた。帰りは僕が完全ダウンしてたけど、話せはしたので行きと同じようにそれなりにしゃべって歩いた。
それが今。
「みんなー? だいじょぶ?」
「ああ……」
「大丈夫だよ……」
「坊主、心配すんな……」
「あはは、私たちめちゃくちゃ賑やかですね……」
みんなのテンションがやばすぎる。完全に意気消沈。意気消沈しすぎて、そのうち道を間違えて、ギルドに辿り着かなくなりそうだ。みんな行き慣れているはずなのに。
「こっち? そっち?」
「……そこを右ですね」
だから僕が積極的にみんなに道を尋ねて、前を歩くようにしている。でも——。
「ふぇっ!」
しょっちゅう人にぶつかりそうになる。やっぱり僕が小さいからなのかな。
「怒ったギルマスはやべえけど、それよりアンジュが大切だ」
「そうですね。凹んでもどうにもならないし、楽しく行きましょうか」
僕があまりにも人にぶつかりそうになっていたからか、みんなが謎に復活した。そして、今度はノクトが抱き上げてくれ……ようとした。
「あれ、おかしいですね? アンジュが持ち上がりません。アンジュ、重りでも持ってますか?」
「もってないよ」
全く持ち上がらない。僕、同年代より圧倒的に軽いし、ソレイユは軽々と持ち上がてくれるし。ノクトより小柄なアレンだって、時々僕を抱き上げてくれる。
も、もしかして——。
「ノクトって、貧弱?」
「し、失礼な! そんなことありませんよ」
でも、軽いはずの僕、持ち上がりすらしてないし……。
「まあ、ノクトなら仕方ない。魔術バカだからな」
「全く筋肉ないもんね」
「坊主、魔術師は貧弱なのが多いんだ」
みんな口々にそう言っている。つまり、ノクトは僕を持ち上げられない。あんなに滑らかに僕を抱き上げようとしたのに。なんだそりゃ?
「ソレイユ、だっこ」
「ああ、おいで」
もうノクトのことは忘れて、ソレイユに抱き上げてもらう。ソレイユはすんなり僕を抱き上げて、片腕にのせて前を向けるようにしてくれた。やっぱりソレイユの腕は快適だ。
「こ、こんなはずでは……」
……なんかさっきより沈んでいるノクトのことは忘れよう。
それからまたしばらく歩いて、ついに——。
「ついたぞ。ここが冒険者ギルドだ」
「おおー!」
大きい石造りの建物。入り口近くには剣と盾のマークが描かれた布が垂れ下がっている。いかにも冒険者ギルド! というような堅牢な建物だ。
「いまからギルマスの部屋に行く。アンジュ、さっきの衝突で髪飾りは外れてないか?」
「うん」
「よし」
中は人が多いから? ソレイユが確認して扉を開ける。すると中は意外にも閑散としていた。
「人、少ないね」
「基本的には朝みんな依頼を受けて、昼は依頼先にいるからね」
アレンの説明に納得する。
僕たちは歩いて行って、カウンターみたいなところに辿りついた。ソレイユはカウンターにいた女の人に一声かける。
「ギルマスに呼び出されてきた」
「お話は伺っております。どうぞ奥へ」
すぐに会話は終わり、カウンター横の扉からさらに奥へと入る。そこから、階段を上がって、廊下を歩いて。
とある扉の前でみんなが立ち止まる。
「すぅー、はぁー」
「大丈夫、大丈夫」
ノクトとアレンはまた恐怖がぶり返してきたのか動揺しすぎて挙動不審だ。
でも——。
——コンコンコンッ。
僕はなんだか初めて見たドアノッカーを使いたくなってしまって、2人の決意が固まる前についつい扉を叩いてしまった。
「あ、アンジュ……?」
「何をしているんですか!?」
2人は顔面蒼白に。ちょっと申し訳ない。
「入っていいぞ」
すると、中から声がかかった。きっとソレイユたちのいうギルマス、ギルドマスターだろう。
「失礼するぞー」
フィンが扉を開けて中に入る。
するとそこにいたのは白髪混じりにイケオジ。50歳くらいなんだろうか?
「1人知らないのがいるが、まあとりあえず座れ」
そう言われてみんなでギルマスの向いのソファに座る。ちなみに僕はソレイユの膝の上だ。
「さあて、その子のことは後で聞くとして。まずはソレイユ! ノクト! アレン! フィン! 依頼をしろ!」
そこからはひたすらS級冒険者がなんたるかをギルマスは滔々と語った。まだ僕、ギルマスの名前すら知らない。
とりあえず、そのお説教は15分続いた。僕あくびが出ちゃう。
わかったことは一つ。僕からはすごく頼もしいお兄さんに見えるみんなも、ギルマスにしたらまだまだ青二才だということ。怒られてるシーンなんて滅多に見ることないだろうから、目に焼き付けちゃった。
「さて、説教はここまでだ。その子、訳ありだろう? 説明しろ」
「わかった」
そう言ってみんながかわるがわる僕の事情を説明した。もちろん天使であることは隠して。
「そうか……。君、アンジュと言ったね。よく頑張った。俺はヴァイスといって、ここのギルドのリーダーをしている。困ったら頼ってくれ」
「はい」
ギルマスはにっこり笑って頭を撫でてくれた。さっきまでのイメージと180°変わって優しいイメージが固定された。
「アンジュ、ジュース入るかい?」
「欲しいです!」
精神年齢はそれなりに高いはずなのに、ついついジュースに釣られてしまう。
「では、サブマスを呼んでこよう。一緒にジュースを飲みに行っておいで」
「はい」
「サブマスはね、シュヴァルツと言って弟なんだ。ぜひ僕と彼は名前で呼んで欲しい。敬語もなくていいよ」
「うん」
そう言ってヴァイスさんは部屋の外に出て、ヴァイスさんそっくりな人を連れてきた。さすが双子だけある。違うのはヴァイスさんが白っぽい髪、シュヴァルツさんが黒っぽい髪ということだけだ。
「はじめまして。アンジュ」
「はじめまして」
「ジュースは下にあるから一緒に行こうか」
「うん!」
シュヴァルツさんについて行く。ソレイユたちも止めないし、ここは安全。ひらひらとみんなに手を振って部屋を出た。
最後に見たみんなの顔、難しそうな顔だったけど何かあったのかな? あと、あの青い小鳥さんのこと聞きたかったんだけど聞き損ねた。
ちなみにジュースはとてつもなく美味しいオレンジジュースでした。
それが今。
「みんなー? だいじょぶ?」
「ああ……」
「大丈夫だよ……」
「坊主、心配すんな……」
「あはは、私たちめちゃくちゃ賑やかですね……」
みんなのテンションがやばすぎる。完全に意気消沈。意気消沈しすぎて、そのうち道を間違えて、ギルドに辿り着かなくなりそうだ。みんな行き慣れているはずなのに。
「こっち? そっち?」
「……そこを右ですね」
だから僕が積極的にみんなに道を尋ねて、前を歩くようにしている。でも——。
「ふぇっ!」
しょっちゅう人にぶつかりそうになる。やっぱり僕が小さいからなのかな。
「怒ったギルマスはやべえけど、それよりアンジュが大切だ」
「そうですね。凹んでもどうにもならないし、楽しく行きましょうか」
僕があまりにも人にぶつかりそうになっていたからか、みんなが謎に復活した。そして、今度はノクトが抱き上げてくれ……ようとした。
「あれ、おかしいですね? アンジュが持ち上がりません。アンジュ、重りでも持ってますか?」
「もってないよ」
全く持ち上がらない。僕、同年代より圧倒的に軽いし、ソレイユは軽々と持ち上がてくれるし。ノクトより小柄なアレンだって、時々僕を抱き上げてくれる。
も、もしかして——。
「ノクトって、貧弱?」
「し、失礼な! そんなことありませんよ」
でも、軽いはずの僕、持ち上がりすらしてないし……。
「まあ、ノクトなら仕方ない。魔術バカだからな」
「全く筋肉ないもんね」
「坊主、魔術師は貧弱なのが多いんだ」
みんな口々にそう言っている。つまり、ノクトは僕を持ち上げられない。あんなに滑らかに僕を抱き上げようとしたのに。なんだそりゃ?
「ソレイユ、だっこ」
「ああ、おいで」
もうノクトのことは忘れて、ソレイユに抱き上げてもらう。ソレイユはすんなり僕を抱き上げて、片腕にのせて前を向けるようにしてくれた。やっぱりソレイユの腕は快適だ。
「こ、こんなはずでは……」
……なんかさっきより沈んでいるノクトのことは忘れよう。
それからまたしばらく歩いて、ついに——。
「ついたぞ。ここが冒険者ギルドだ」
「おおー!」
大きい石造りの建物。入り口近くには剣と盾のマークが描かれた布が垂れ下がっている。いかにも冒険者ギルド! というような堅牢な建物だ。
「いまからギルマスの部屋に行く。アンジュ、さっきの衝突で髪飾りは外れてないか?」
「うん」
「よし」
中は人が多いから? ソレイユが確認して扉を開ける。すると中は意外にも閑散としていた。
「人、少ないね」
「基本的には朝みんな依頼を受けて、昼は依頼先にいるからね」
アレンの説明に納得する。
僕たちは歩いて行って、カウンターみたいなところに辿りついた。ソレイユはカウンターにいた女の人に一声かける。
「ギルマスに呼び出されてきた」
「お話は伺っております。どうぞ奥へ」
すぐに会話は終わり、カウンター横の扉からさらに奥へと入る。そこから、階段を上がって、廊下を歩いて。
とある扉の前でみんなが立ち止まる。
「すぅー、はぁー」
「大丈夫、大丈夫」
ノクトとアレンはまた恐怖がぶり返してきたのか動揺しすぎて挙動不審だ。
でも——。
——コンコンコンッ。
僕はなんだか初めて見たドアノッカーを使いたくなってしまって、2人の決意が固まる前についつい扉を叩いてしまった。
「あ、アンジュ……?」
「何をしているんですか!?」
2人は顔面蒼白に。ちょっと申し訳ない。
「入っていいぞ」
すると、中から声がかかった。きっとソレイユたちのいうギルマス、ギルドマスターだろう。
「失礼するぞー」
フィンが扉を開けて中に入る。
するとそこにいたのは白髪混じりにイケオジ。50歳くらいなんだろうか?
「1人知らないのがいるが、まあとりあえず座れ」
そう言われてみんなでギルマスの向いのソファに座る。ちなみに僕はソレイユの膝の上だ。
「さあて、その子のことは後で聞くとして。まずはソレイユ! ノクト! アレン! フィン! 依頼をしろ!」
そこからはひたすらS級冒険者がなんたるかをギルマスは滔々と語った。まだ僕、ギルマスの名前すら知らない。
とりあえず、そのお説教は15分続いた。僕あくびが出ちゃう。
わかったことは一つ。僕からはすごく頼もしいお兄さんに見えるみんなも、ギルマスにしたらまだまだ青二才だということ。怒られてるシーンなんて滅多に見ることないだろうから、目に焼き付けちゃった。
「さて、説教はここまでだ。その子、訳ありだろう? 説明しろ」
「わかった」
そう言ってみんながかわるがわる僕の事情を説明した。もちろん天使であることは隠して。
「そうか……。君、アンジュと言ったね。よく頑張った。俺はヴァイスといって、ここのギルドのリーダーをしている。困ったら頼ってくれ」
「はい」
ギルマスはにっこり笑って頭を撫でてくれた。さっきまでのイメージと180°変わって優しいイメージが固定された。
「アンジュ、ジュース入るかい?」
「欲しいです!」
精神年齢はそれなりに高いはずなのに、ついついジュースに釣られてしまう。
「では、サブマスを呼んでこよう。一緒にジュースを飲みに行っておいで」
「はい」
「サブマスはね、シュヴァルツと言って弟なんだ。ぜひ僕と彼は名前で呼んで欲しい。敬語もなくていいよ」
「うん」
そう言ってヴァイスさんは部屋の外に出て、ヴァイスさんそっくりな人を連れてきた。さすが双子だけある。違うのはヴァイスさんが白っぽい髪、シュヴァルツさんが黒っぽい髪ということだけだ。
「はじめまして。アンジュ」
「はじめまして」
「ジュースは下にあるから一緒に行こうか」
「うん!」
シュヴァルツさんについて行く。ソレイユたちも止めないし、ここは安全。ひらひらとみんなに手を振って部屋を出た。
最後に見たみんなの顔、難しそうな顔だったけど何かあったのかな? あと、あの青い小鳥さんのこと聞きたかったんだけど聞き損ねた。
ちなみにジュースはとてつもなく美味しいオレンジジュースでした。
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