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「おいしかった!」
「そうだな」
お昼は少し道を戻ったところにある露店で済ませて、午後。
「午後は何をするの?」
「午後も行きたいところがあるんだが、いいか?」
「うん」
行きたいところって一体どこだろう? 気になりつつソレイユについていく。
たどり着いたのは、何やら武器屋のような場所だった。
「武器屋?」
「そうだ。俺が剣を買ったところだ」
でも、僕は剣はまだできないし……。いったいなんで僕を連れてきたかったんだろう。疑問に思いつつ、扉をくぐる。
「うわあ!」
中に入ると、武器、武器、武器! 多種多様な刃物が置かれていて、やはり1人の男としてとてつもなく興奮する。
「ソレイユ、ソレイユ! すごいね!」
「アンジュ、一回落ち着こう」
ソレイユに宥められるくらいには大興奮。これだけできた価値がある。見ているだけなのに、とてつもなく楽しくて、ついついきょろきょろと見回してしまう。
だけど、しっかりソレイユにはついていく。ソレイユの足は迷いなく店の奥の方、カウンター近くに進んでいる。
「今日はアンジュにこれを買おうと思ってここにきたんだ」
「これ?」
そこにあったのは、小さなウエストバックと小さなナイフ、麻紐の束のセット。これはなんだろう。
「これは、初心者冒険者が薬草採取の時に使うセットだ。ナイフで地面を掘ったり、切ったりして薬草を採取して、紐で束ねる。それをこのバックに入れて使うんだ」
「なんで僕に?」
「アンジュ、ギルマスが『薬草採取をしてもいいかもしれない』って言った時、目がやりたそうにしていた。だから、近いうちに必要になるかもしれないと思ってな」
「すごい! さすがソレイユ」
まさかあそこで興奮していたのがバレていたとは。気づかなかった。
「この手のものには多少の個体差があって、それで使いやすさが変わる。アンジュの手に馴染むものを選ぶといい」
「わかった」
ソレイユの言葉を聞いて、とりあえず一通り握ったり持ち上げたりしてみる。すると、一つだけナイフがしっくりときた。これ、すごく握りやすい。
「これにする」
「しっかり選べたな。じゃあ、これを買ってこよう」
ソレイユはサッと僕の頭を撫でて、会計に向かった。その間、僕はまた辺りを見渡しニマニマする。
どれこれもカッコ良すぎる。いつか僕もこんな武器が似合う大人になれるのかな? ワクワクする。
「アンジュ、大切に使うんだぞ」
「ありがと!」
戻ってきたソレイユにカバンをつけてもらう。
「昨日も今日も移動して疲れたろう? きょうは早いがもう帰ろう」
ソレイユの提案で帰宅。
早めに帰ったから、今日買ってもらったものをみんなにとことん自慢した。
日を跨いで、次の日。今日はフィンの日。
でも、昨日のソレイユと違って僕が朝ごはんを食べ終わっても、それから1時間半経っても、フィンは起きてこなかった。
「フィン、おきてー!」
「ぅうん……」
声をかけても起きない。ドスドスベットの上で飛び跳ねても起きない。これはどうすればいいんだろう?
しばらく途方に暮れていると、ノクトが声をかけてきた。
「こうしましょう」
ノクトはいたずらな笑みを浮かべて、魔法で水を生み出す。そして、それをフィンの頭に容赦なくぶっかけた。
「ふぁっ!?」
「フィン、おはよーございます」
やっとフィンが起きた。ものすごく驚いて、文字通り飛び起きていた。
「フィン今日は僕と過ごす日だよ。早く準備して何するか決めよう?」
「ああ、坊主。すまんな。昨日暴れてきたら疲れちまって。すぐに準備する」
フィンは起き出してゴソゴソと準備を始めた。手持ち無沙汰な僕は、ノクト、アレン、ソレイユとお茶をしながら待つ。
フィンが朝ごはんを食べ終わるまでかかった時間は30分。その間僕はずっとお茶をしていたわけだ。もうお腹タプタプだよ。
「よし、坊主。待たせたな。今日は森に行こう」
「森って……僕が住んでたところ?」
「いや、違う森だ。迷いの森ってたいそうな名前がついている森なんだが、そう怖いもんじゃない。露店で弁当を買ってピクニックをしよう」
「ピクニック!」
この世界でピクニックは初めてだ。ついついうきうきしてしまう。
早速出発……と言ってももう11時。ついて少ししたらもうお昼ご飯を食べていい時間になってしまう。急がなければ。
「フィン、急ごう! 時間なくなっちゃう!」
「そう急がなくていい。ゆっくり行こう、坊主」
焦る僕と対照的にフィンはのんびりしたもので。露店でものんびり自分の弁当を選んでいた。しかも長時間二つで悩んだ割にはちゃっかり両方買っていた。なんであんなに迷っていたんだろう。
森までは地味に距離があった。やっぱり早めに行動した方が良かったんじゃないか。そう思いながら歩いた。
「つ、ついたぁ!」
「おう、坊主。お疲れ」
結局1時間は歩いた。結構遠かった。
「ここ、だよね?」
「そうだ」
そしてたどり着いた迷いの森はどんより暗くて、僕が住んでいた森とは全く雰囲気が違う。正直ピクニック向きじゃない。
「ここでピクニックするの?」
「そうだ。よし、いくぞ坊主」
なんとなく渋る僕の背を押してフィンは森に入る。
僕はなんとなく嫌な予感がしながら歩いて行った。
「そうだな」
お昼は少し道を戻ったところにある露店で済ませて、午後。
「午後は何をするの?」
「午後も行きたいところがあるんだが、いいか?」
「うん」
行きたいところって一体どこだろう? 気になりつつソレイユについていく。
たどり着いたのは、何やら武器屋のような場所だった。
「武器屋?」
「そうだ。俺が剣を買ったところだ」
でも、僕は剣はまだできないし……。いったいなんで僕を連れてきたかったんだろう。疑問に思いつつ、扉をくぐる。
「うわあ!」
中に入ると、武器、武器、武器! 多種多様な刃物が置かれていて、やはり1人の男としてとてつもなく興奮する。
「ソレイユ、ソレイユ! すごいね!」
「アンジュ、一回落ち着こう」
ソレイユに宥められるくらいには大興奮。これだけできた価値がある。見ているだけなのに、とてつもなく楽しくて、ついついきょろきょろと見回してしまう。
だけど、しっかりソレイユにはついていく。ソレイユの足は迷いなく店の奥の方、カウンター近くに進んでいる。
「今日はアンジュにこれを買おうと思ってここにきたんだ」
「これ?」
そこにあったのは、小さなウエストバックと小さなナイフ、麻紐の束のセット。これはなんだろう。
「これは、初心者冒険者が薬草採取の時に使うセットだ。ナイフで地面を掘ったり、切ったりして薬草を採取して、紐で束ねる。それをこのバックに入れて使うんだ」
「なんで僕に?」
「アンジュ、ギルマスが『薬草採取をしてもいいかもしれない』って言った時、目がやりたそうにしていた。だから、近いうちに必要になるかもしれないと思ってな」
「すごい! さすがソレイユ」
まさかあそこで興奮していたのがバレていたとは。気づかなかった。
「この手のものには多少の個体差があって、それで使いやすさが変わる。アンジュの手に馴染むものを選ぶといい」
「わかった」
ソレイユの言葉を聞いて、とりあえず一通り握ったり持ち上げたりしてみる。すると、一つだけナイフがしっくりときた。これ、すごく握りやすい。
「これにする」
「しっかり選べたな。じゃあ、これを買ってこよう」
ソレイユはサッと僕の頭を撫でて、会計に向かった。その間、僕はまた辺りを見渡しニマニマする。
どれこれもカッコ良すぎる。いつか僕もこんな武器が似合う大人になれるのかな? ワクワクする。
「アンジュ、大切に使うんだぞ」
「ありがと!」
戻ってきたソレイユにカバンをつけてもらう。
「昨日も今日も移動して疲れたろう? きょうは早いがもう帰ろう」
ソレイユの提案で帰宅。
早めに帰ったから、今日買ってもらったものをみんなにとことん自慢した。
日を跨いで、次の日。今日はフィンの日。
でも、昨日のソレイユと違って僕が朝ごはんを食べ終わっても、それから1時間半経っても、フィンは起きてこなかった。
「フィン、おきてー!」
「ぅうん……」
声をかけても起きない。ドスドスベットの上で飛び跳ねても起きない。これはどうすればいいんだろう?
しばらく途方に暮れていると、ノクトが声をかけてきた。
「こうしましょう」
ノクトはいたずらな笑みを浮かべて、魔法で水を生み出す。そして、それをフィンの頭に容赦なくぶっかけた。
「ふぁっ!?」
「フィン、おはよーございます」
やっとフィンが起きた。ものすごく驚いて、文字通り飛び起きていた。
「フィン今日は僕と過ごす日だよ。早く準備して何するか決めよう?」
「ああ、坊主。すまんな。昨日暴れてきたら疲れちまって。すぐに準備する」
フィンは起き出してゴソゴソと準備を始めた。手持ち無沙汰な僕は、ノクト、アレン、ソレイユとお茶をしながら待つ。
フィンが朝ごはんを食べ終わるまでかかった時間は30分。その間僕はずっとお茶をしていたわけだ。もうお腹タプタプだよ。
「よし、坊主。待たせたな。今日は森に行こう」
「森って……僕が住んでたところ?」
「いや、違う森だ。迷いの森ってたいそうな名前がついている森なんだが、そう怖いもんじゃない。露店で弁当を買ってピクニックをしよう」
「ピクニック!」
この世界でピクニックは初めてだ。ついついうきうきしてしまう。
早速出発……と言ってももう11時。ついて少ししたらもうお昼ご飯を食べていい時間になってしまう。急がなければ。
「フィン、急ごう! 時間なくなっちゃう!」
「そう急がなくていい。ゆっくり行こう、坊主」
焦る僕と対照的にフィンはのんびりしたもので。露店でものんびり自分の弁当を選んでいた。しかも長時間二つで悩んだ割にはちゃっかり両方買っていた。なんであんなに迷っていたんだろう。
森までは地味に距離があった。やっぱり早めに行動した方が良かったんじゃないか。そう思いながら歩いた。
「つ、ついたぁ!」
「おう、坊主。お疲れ」
結局1時間は歩いた。結構遠かった。
「ここ、だよね?」
「そうだ」
そしてたどり着いた迷いの森はどんより暗くて、僕が住んでいた森とは全く雰囲気が違う。正直ピクニック向きじゃない。
「ここでピクニックするの?」
「そうだ。よし、いくぞ坊主」
なんとなく渋る僕の背を押してフィンは森に入る。
僕はなんとなく嫌な予感がしながら歩いて行った。
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