僕、天使に転生したようです!

神代天音

文字の大きさ
18 / 20

18

しおりを挟む
「おいしかった!」
「そうだな」

 お昼は少し道を戻ったところにある露店で済ませて、午後。

「午後は何をするの?」
「午後も行きたいところがあるんだが、いいか?」
「うん」

 行きたいところって一体どこだろう? 気になりつつソレイユについていく。
 たどり着いたのは、何やら武器屋のような場所だった。

「武器屋?」
「そうだ。俺が剣を買ったところだ」

 でも、僕は剣はまだできないし……。いったいなんで僕を連れてきたかったんだろう。疑問に思いつつ、扉をくぐる。

「うわあ!」

 中に入ると、武器、武器、武器! 多種多様な刃物が置かれていて、やはり1人の男としてとてつもなく興奮する。

「ソレイユ、ソレイユ! すごいね!」
「アンジュ、一回落ち着こう」

 ソレイユに宥められるくらいには大興奮。これだけできた価値がある。見ているだけなのに、とてつもなく楽しくて、ついついきょろきょろと見回してしまう。
 だけど、しっかりソレイユにはついていく。ソレイユの足は迷いなく店の奥の方、カウンター近くに進んでいる。
 
「今日はアンジュにこれを買おうと思ってここにきたんだ」
「これ?」

 そこにあったのは、小さなウエストバックと小さなナイフ、麻紐の束のセット。これはなんだろう。

「これは、初心者冒険者が薬草採取の時に使うセットだ。ナイフで地面を掘ったり、切ったりして薬草を採取して、紐で束ねる。それをこのバックに入れて使うんだ」
「なんで僕に?」
「アンジュ、ギルマスが『薬草採取をしてもいいかもしれない』って言った時、目がやりたそうにしていた。だから、近いうちに必要になるかもしれないと思ってな」
「すごい! さすがソレイユ」

 まさかあそこで興奮していたのがバレていたとは。気づかなかった。

「この手のものには多少の個体差があって、それで使いやすさが変わる。アンジュの手に馴染むものを選ぶといい」
「わかった」

 ソレイユの言葉を聞いて、とりあえず一通り握ったり持ち上げたりしてみる。すると、一つだけナイフがしっくりときた。これ、すごく握りやすい。

「これにする」
「しっかり選べたな。じゃあ、これを買ってこよう」

 ソレイユはサッと僕の頭を撫でて、会計に向かった。その間、僕はまた辺りを見渡しニマニマする。
 どれこれもカッコ良すぎる。いつか僕もこんな武器が似合う大人になれるのかな? ワクワクする。

「アンジュ、大切に使うんだぞ」
「ありがと!」

 戻ってきたソレイユにカバンをつけてもらう。

「昨日も今日も移動して疲れたろう? きょうは早いがもう帰ろう」

 ソレイユの提案で帰宅。
 早めに帰ったから、今日買ってもらったものをみんなにとことん自慢した。




 日を跨いで、次の日。今日はフィンの日。
 でも、昨日のソレイユと違って僕が朝ごはんを食べ終わっても、それから1時間半経っても、フィンは起きてこなかった。

「フィン、おきてー!」
「ぅうん……」

 声をかけても起きない。ドスドスベットの上で飛び跳ねても起きない。これはどうすればいいんだろう?
 しばらく途方に暮れていると、ノクトが声をかけてきた。

「こうしましょう」

 ノクトはいたずらな笑みを浮かべて、魔法で水を生み出す。そして、それをフィンの頭に容赦なくぶっかけた。

「ふぁっ!?」
「フィン、おはよーございます」

 やっとフィンが起きた。ものすごく驚いて、文字通り飛び起きていた。

「フィン今日は僕と過ごす日だよ。早く準備して何するか決めよう?」
「ああ、坊主。すまんな。昨日暴れてきたら疲れちまって。すぐに準備する」

 フィンは起き出してゴソゴソと準備を始めた。手持ち無沙汰な僕は、ノクト、アレン、ソレイユとお茶をしながら待つ。

 フィンが朝ごはんを食べ終わるまでかかった時間は30分。その間僕はずっとお茶をしていたわけだ。もうお腹タプタプだよ。

「よし、坊主。待たせたな。今日は森に行こう」
「森って……僕が住んでたところ?」
「いや、違う森だ。迷いの森ってたいそうな名前がついている森なんだが、そう怖いもんじゃない。露店で弁当を買ってピクニックをしよう」
「ピクニック!」

 この世界でピクニックは初めてだ。ついついうきうきしてしまう。

 早速出発……と言ってももう11時。ついて少ししたらもうお昼ご飯を食べていい時間になってしまう。急がなければ。

「フィン、急ごう! 時間なくなっちゃう!」
「そう急がなくていい。ゆっくり行こう、坊主」

 焦る僕と対照的にフィンはのんびりしたもので。露店でものんびり自分の弁当を選んでいた。しかも長時間二つで悩んだ割にはちゃっかり両方買っていた。なんであんなに迷っていたんだろう。

 森までは地味に距離があった。やっぱり早めに行動した方が良かったんじゃないか。そう思いながら歩いた。

「つ、ついたぁ!」
「おう、坊主。お疲れ」

 結局1時間は歩いた。結構遠かった。

「ここ、だよね?」
「そうだ」

 そしてたどり着いた迷いの森はどんより暗くて、僕が住んでいた森とは全く雰囲気が違う。正直ピクニック向きじゃない。

「ここでピクニックするの?」
「そうだ。よし、いくぞ坊主」

 なんとなく渋る僕の背を押してフィンは森に入る。
 僕はなんとなく嫌な予感がしながら歩いて行った。

 

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??

雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。 いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!? 可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?

ハッピーライフのために地味で根暗な僕がチャラ男会計になるために

ミカン
BL
地味で根暗な北斗が上手く生きていくために王道学園でチャラ男会計になる話 ※主人公へのいじめ描写ありのため苦手な方は閲覧ご注意下さい。

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

異世界で孵化したので全力で推しを守ります

のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

ひみつのモデルくん

おにぎり
BL
有名モデルであることを隠して、平凡に目立たず学校生活を送りたい男の子のお話。 高校一年生、この春からお金持ち高校、白玖龍学園に奨学生として入学することになった雨貝 翠。そんな彼にはある秘密があった。彼の正体は、今をときめく有名モデルの『シェル』。なんとか秘密がバレないように、黒髪ウィッグとカラコン、マスクで奮闘するが、学園にはくせもの揃いで⁉︎ 主人公総受け、総愛され予定です。 思いつきで始めた物語なので展開も一切決まっておりません。感想でお好きなキャラを書いてくれたらそことの絡みが増えるかも…?作者は執筆初心者です。 後から編集することがあるかと思います。ご承知おきください。

処理中です...