恋人がキスをしてくれなくなった話

神代天音

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恋人がキスしてくれなくなった話

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 神代の趣味で唐突に書き始めました。なんだか主人公が人見知りなのに、か弱いのかメンタル鋼なのかわからなくなってきたお話ですが、さらりと流していただけるとありがたいです。(神代、全てにおいて経験ないので、ファンタジーとしてお楽しみください……)
〈以下注意〉
 神代の趣味で「身体改造(筋肉ではない)」や「スプリットタン(舌を蛇のように二股に割く身体改造の一種)」が登場します。痛い描写が苦手な方(痛い描写は入っていませんが念のため)、体を手術などで変えることに嫌悪感がある方はそっと閉じて忘れてください。

——————————————————

 緑が増え、日差しが眩しくなってきた今日この頃。

 僕、西宮翠にしみやすいは、恋人と別れようと思います。

 






 

 僕が現恋人の東条海斗とうじょうかいとと出会ったのは、大学一年の入学式のことだった。

 その時、僕は自分が同性愛者であることに気がついて、進学を機に閉鎖的な田舎の小さな街(もはや村レベルだった)を飛び出してきたばかり。入学式前に関わったのはアパートの大家さんと近くのスーパーのレジ打ち店員。
 そんな中で初めてみる大学の同級生は、都会の人らしくみんなキラキラしていた。その一方で、僕は田舎者の自分がなんだか恥ずかしくなったのと、人見知りのせいで誰にも話しかけられず、入学式が終了。
 そんな僕に話しかけてきてくれたのが海斗だった。

「ねえ。多分席順的に同じ学科だよね?」

 そう話しかけてくれた彼は、僕と同じ真っ黒なのになんだかって感じの髪型。それで、こなれたオシャレな格好で。僕は萎縮してうまく答えられなかった。
 そのまま初対面はうじうじして別れたんだけど。

 そのあと、オリエンテーションが終わって、授業が始まって、サークルの活動に参加するようになって(僕は茶道部、彼は運動部をいくつか掛け持ちしていた)。

 忙しくなってからも海斗は僕に声をかけて一緒にいてくれた。こんなチビで目だけ大きくてなんだかバランスの悪い、でも全体的に平凡な僕なんかに。
 ちなみに二ヶ月も経つ頃には僕も普通に喋れるようになっていたし、なんだか「話していて安心する」を通り越してドキドキするようになっていた。多分ここら辺で恋をしはじめていたんだろう。

 そして、僕はそれが初恋だった。だって、閉鎖的な田舎は良くも悪くも地域の情報が早く回るから。もし僕が誰かを好きになったとしたら。もし奇跡的に誰かと付き合えていたりしたら。そんなことが起こっていたなら、すぐに街中に広まっていた。そうなっていたら僕は大学に進学する前に地元にはいられなくなっていただろう。

 そんなこんなで淡い恋心を気付かぬ間に募らせ、海斗に接すること数ヶ月。季節は秋。


「翠、俺と付き合ってください!」

 海斗にそう告白された。
 そのあと、さらにノンブレスでこう続けられた。

「初めて会った時に『え? めっちゃ可愛いなにこれ、この可愛い生き物?』って感じだったんだよあの時翠ってば人見知り発動して1人でオロオロしてたじゃん? 女子もオオカミ……野郎どもも、誰が話に行くみたいな感じでいたんだけど勇気出なくて誰も行かなくてだからこれ幸いって感じで俺が行ったんだよそしたら翠、ちょっとはにかんで嬉しそうに返事して自己紹介してくれるじゃん? もう可愛くて可愛くてみた瞬間一目惚れしてたけど更に好きになっちゃって絶対付き合うっておもったよね今まで女子としか付き合ったことないし、ぼぼつづいたことないのにそれから、毎日うざったいくらい会いに行ったじゃん? なのに翠は嫌な顔ひとつしないしむしろなんか嬉しそうにしてくれるようになったし?! そのままもう少しゆっくり仲良くなってそれからお付き合い申し込もうと思ってたんだけど、俺以外の奴らが俺が翠と話せるようになったのみて、ちょっかいかけようとしてくるし? 勢い余った今日告白しました!」

 と言うことらしい。
 海斗はどちらかと言うといつも穏やかで爽やかな感じだから、こんなに勢いよくわんこのように喋ってくるのは初めて見た。……それを「また違った一面がかわいいな」と思う時点で負けなんだろう。

「僕も、海斗のことが好きです。これからよろしくお願いします!」

 そう返事をすると、海斗は満面の笑みで抱きついてきた。しばらくして告白の興奮がおさまって、あのノンブレスの告白について聞いてみた。

「……翠ってさ、あんまりうるさいところ好きじゃないでしょ?だから、いつも穏やかにするように心がけてたんだけど。最後であんなにはっちゃけちゃったから、嫌われたらやだなって……」
「そんな、嫌いになるわけないじゃん! 海斗のそう言うところも全部好きなんだもん!」

 と言うことで丸くおさまった。
 ちなみに思い出してみると海斗は割とわんこな部分を隠せていなかった気がする。いつも割とスキンシップ激しいし、なんだか尻尾と耳が見える時もあるし。

 そんなこんなで付き合うことになった大学1年の秋から時は経ち。大学3年春現在。









 僕が別れを決心する程度には冷め切ったカップルへと成長したわけだ。

 理由はどうってことはない。
 ただ「海斗がいきなりキスをしてくれなくなった」、それだけ。
 僕たちは2年も付き合っていて、しかもまだまだ若い大学生。ヤっていないなんてことはない。僕がネコでしっかりとヤりましたとも。散々喘いで、今の状態になるまでは毎日レベルでしてましたとも。
 その時にしっかりとキスもした。と言うか、ある時期まで海斗がキスを拒否することはなかった。むしろキス、大好きだし。

「ねえ、翠? キスしようか」
「えっ、今すぐ行かないと1限……んっ、はぁ……ちょ、まってっ……!」

 と言うような感じで、もはや僕がイエスという暇さえないレベルでキスをしていた。しかも、泊まった次の日、1限ギリギリ間に合うかどうかの瞬間に初っ端からディープキスである。

 それが今ではどうだ。

「……海斗、最近キスすらしてないよね? 大学行く前だけど、キス、しない?」

 まず、前はありえなかったが、自分から誘います。

「……ごめん、翠。キスもセックスもできない」

 そして、あんなにキス魔だった海斗さんに断られます。ついでに言っていないセックスすら断られます。

 とまあ、四六時中こんな感じだ。

 「キスをしない」と言う行為の理由として、僕が読む小説で一番みるのは、「キスは本命としたいから」だ。

 もしかしたら、海斗がキスしてくれないのは、セックスをしてくれなくなったのは、本命ができたからなのかもしれない。
 僕が思い至ったのは、海斗の本命できちゃった疑惑。今は春。海斗がキスしてくれなくなったのは秋頃。その頃には学園祭があったからそこで誰か僕よりいい人に出会ってしまったのかもしれない。
 ちなみに僕の中では現在、もしかしたら相手が女で妊娠させちゃったのかもしれない疑惑まで飛躍している。
 だったら、僕がいつまでもしがみついていることに意味はない。きっと海斗は僕が別れるかもしれない、なんて微塵も思っていない態度をとるから、言い出しづらいのかもしれない。
 ここは、僕から言い出すべきだ。むしろ、言い出さなくちゃいけない。
 スマホを出す。最近大学に関する事務的なメールばかりになったメッセージを開く。まだ10:00。今日は海斗は3限までで、バイトはなし。

『海斗、今日話があります。大学の授業が終わったらすぐに僕の家に来てください』

 ただ、それだけを送る。まだ、メールを送っただけなのに、なんだか涙が出そうになる。
 まだ、別れると決まったわけじゃない。
 まだ、僕の考えている疑惑が本当だと分かったわけじゃない。なにか、僕たちがキスもセックスもしなくなったこと、恋人としてもうやっていけないレベルの空気感になっていることに他の理由があるのかもしれない。
 今は、涙は流さない。僕の考えていたことが本当で、別れると決まった時。海斗に笑ってさようならして、部屋に1人になった時。

 その時に思いっきり泣けばいい。

 今日は僕は講義が休講になって、大学には行かなくて済むようになった。だから、海斗が来るまでそわそわなんだか落ち着かない。きっと海斗が来る前には起きられるはず。そう思って僕は眠りについた。




 起きたのは3:30。海斗が講義終了後すぐに大学を出発したのなら、あと15分もすれば到着する時間。
 どうせあと10分は暇だから、いざという時に落ち着いていられるようにお茶でも準備しておこうか。
 そんなことを考えて、寝ていたソファを立った瞬間。

——ガチャ

 玄関の扉が開いた音がした。
 来たのは100%海斗。まだしっかりと恋人らしい頃をしていた頃は、合鍵で互いの部屋を行き来するたびに甘酸っぱい気持ちになったっけ?
 そんな現実逃避を思わずしてしまったが、そんな場合ではない。講義が終わっていつも通り帰ってきたなら、少なくとも後15分はかかるはずだ。……どんだけ急いできたんだろ?

 なんだか、やたら足音が荒れている。やっぱり、別れ話ということがメールでわかったのかな。なにか、気に触ることをしてしまったかな。きっと怒っているんだ。僕があまりにも鈍いから。

 玄関の廊下から、僕の部屋につながる扉が開いた。
 そして、驚く。海斗の顔は怒っていなかった。むしろ、なんだか悲しそうな、それでいて後悔しているような。……案外、僕の二つの疑惑はらずれているかもしれない。
 そんなことを考えつつ、海斗に促す。

「海斗、まずは手を洗って。そしたら、このテーブルで話すことがある」
「翠……。わかった」

 海斗はなにかを喋りたそうにしていたけど、僕のいうことに従った。それからしばらくして、海斗が帰ってきて向かいに座る。
 とりあえず「本日はお日柄もよく」なんて言っている場合ではない。そういう間柄でもないわけだし。
 大事な話ほど、躊躇わず単刀直入に。

「……海斗。僕たち、別れよう。もう無理だよね?」

 そう切り出しても海斗は何も答えてくれない。それどころか顔を伏せてこちらを見てすらいない。

「ねえ、海斗。別れ話なのに僕の顔すらもう見てくれないじゃん。海斗は最近、僕と恋人らしいことを何もしてくれない。前は僕いう前に誘ってくれたじゃん。それが、今じゃ僕が誘っても無理としか言わない。なんで?」

 さらにそう続けて、尋ねてみても海斗は何も言ってくれやしない。そのまま思っていることをぶつけていく。

「海斗さ、本当は僕の他に好きな人ができたんじゃない? 海斗が一番嫌がってやってくれないのってキスだよね? よく物語であるじゃん、セックスは本命以外ともできるけど、キスだけは取っておく、的なやつ。そんな感じなのかな、海斗も。」

 そこまで言って、海斗はやっと顔を上げる。でも、口は開かない。
 もう、本当にどう足掻いても僕たちは無理なんだろな。

 最後に決定的な一言。

「……ねえ、僕、今まで言い出さなくてごめんね。別れよう。もうや海斗は何も言わなくていいよ。海斗が僕の合鍵をここに置いて、出ていけばこれで終わり。大学でも話さない。これでいいよね、いいんだよね?」
「……いやだ。別れたくない」

 やっと、海斗の声を聞いた。今日はいつも言ってくれる「ただいま」の一言さえ言ってくれなかったから。
 嬉しい。でも、もう終わり。

「いや、もう別れよう。海斗、理由も言ってくれない」

 これで本当に終わり。
 そう思ったのに。

「いやだ! 翠と別れたくない! ずっとキスもセックスも秋からできてなかったし、そのせいでぎこちなくなっちゃってた。それについての理由も話さず、翠に苦しい思いをさせた。それは謝っても謝りきれない。でも、翠を嫌いになったわけじゃないし、他に本命がいるわけじゃない。ずっと翠が俺の一番で、一生変わらない」

 なんだか、2年前の告白を思い出す喋り方。あの時ほどノンブレスじゃないけど。
 でも、嫌いじゃないというのなら、教えて欲しい。

「じゃあ、教えてよ。なんで、秋からいきなり僕と触れ合ってくれなくなったの? なんでキスしてくれなくなったの?」

 そう聞くと、海斗はかすかに顔を顰めてためらうような仕草をする。僕のことが大好き、なのに言えない。なんでなんだろう。
 そんなことを考えながら、咎めるようにじっと見つめる。
 すると、やっと話し始める。

「……翠に引かれると思って、どうしても言い出せなかった」
「そんなわけないじゃん。言ったでしょ、告白された時。『海斗のそう言うところも全部好きなんだ』って! 隠されてすれ違う方がよほど悲しいよ」

 僕の懐は僕のことを大好きだと言ってくれるうちは深いんだ! そんな「引かれる」なんて理由で隠さないで欲しい。なんでも受け止めてみせるから。……まあ、僕のこと大好きって言ってるのに、浮気して他人から性病もらって、さらにそれを僕にうつしていた、とかだったらもう絶許だけどさ。

「……性病じゃないよね?」
「うわきしてない! ちがう!」

 ならばよし。

「じゃあ、潔く言ってよ。僕も潔く『別れてください』って叫んだわけだからさ」
「絶対引かない?」
「引かない」
「別れるって言わない?」
「海斗が僕のこと好きなら。僕も好きだから」
「……わかった」

 押し問答しているうちに、なんだか犬の幻覚が見える。尻尾がへにょんと下がっている幻覚が。
 でも、そんなヘタレ犬でもやっと打ち明けてくれるらしい。

「いやだったらいってね?」

 そう海斗はいうと、おもむろに舌を出す。

「スプリットタン?」
「翠、こういうの知ってたんだ……。これ、シルバーウィークに病院で。嫌がる人がたくさんいるのはわかってたんだけど、どうしてもやりたくて後悔はしてない。ちゃんと何年も考えてやった。もし、翠が嫌がったらいやだけど別れるしかないなってそこまで考えて。でも、もし本当に別れるってなったらって考えて、どうしても見せられなくて」

 海斗は顔をまた俯けて、そう続けた。
 こういうものは好きな人は好きだけど、世間一般嫌がる人の方が圧倒的に多い。隠すのも納得がいくし、必死に隠すほど僕と別れたくなかったというある種の愛の証明でもある。
 そして、キスもセックスもしなかった理由としても納得がいく。キスをしたら100%僕にバレる。さらに海斗はキス魔だ。セックスなんてものしたらキスしないなんてありえない。だから誘わなくなったんだろう。

 でもさ。でもさ。

「そんなので僕が嫌がるわけない、別れるわけない。ほんと、僕のこと舐めすぎだよ」
「翠……」

 僕の愛を舐めるんじゃない。
 僕が別れようとしたのは、海斗が僕とうまくやっていけないのなら、別れた方が海斗のためだと思ったからだ。大好きな海斗に幸せでいて欲しかったからだ。
 
 あと、単純に僕をおとなしい清楚な大学生だと思っているのも舐めすぎだ。
 確かに人見知りで、田舎にいたからか新しい人に慣れるのにものすごく時間はかかる。でも、だいぶ図太いんだよ!
 中学生の時には学校でR18のBL小説堂々と読んでたよ!
 あとは、ピアスこそ開いてないけどさ。服こそおとなしいけどさ。

「僕だって、スプタンにしてあるんだよ!」
「えっ?!」

 驚く海斗を尻目に舌をべぇっと出してみせる。海斗に見える僕の舌は海斗と同じように二股に分かれているはずだ。

「ほら、一緒。そんな悩む必要なかったんだよ。僕も同じ時にしてたんだから。僕も海斗が何にも誘わなくなってから一ヶ月くらいは何も言わなかったでしょ?」
「……確かに」
「あれ、キスどころか食事も正直おぼつかなかったからなんだよ。ある程度マシになってから誘ったの。キスした時驚かせようと思って」
「……カミングアウト、怖くないの?」
「だって、海斗だもん。僕の恋人は僕のことなんでもうけいれてくれるでしょう?」

 海斗はじっと目を見張ってこちらをしばらくみている。それから少しして。

「俺の恋人は敵わないな!」

 にこっと秋までのように笑ってくれる。
 これで円満解決。ということはやることは一つ。

「ねえ、海斗。1人でシたばっかだから、中綺麗なんだ。だからさ……今から、シない?」





 そこから早かった。
 海斗は外から帰ってきたばっかりだったけど、我慢できずにそのまま僕と一緒にベットへ。外は当然、まだ明るい。

「翠、キスしよう?」

 そう言って、以前のように初っ端から舌を入れてくる。

「……んっ、した……っまえより、はぁ……きもちぃ」
「っ! 俺も……」

 絡む舌が気持ちいい。
 何せ、本数が倍だ。歯列をなぞり、上顎の気持ちいいところを、互いに執拗舐め合う。

 どれくらいそうしていたのだろうか。
 いつのまにかキスをしたまま2人とも服を脱がし合っていて、裸だった。
 久々に見る海斗の程よく筋肉の乗った体はかっこいい。

「はぁ……っ。かい、とのからだ、んっ……かっこいい、っ」

 そのまま海斗の体を撫で回すと、お返しとばかりに胸をいじられる。

「そういえば、翠、1人でシてたんだっけ? なのに相変わらずピンクで綺麗」

 そう言いながら、胸の尖をいじられる。

「っ……まってぇ、んぅ……きもちぃ、っだめ」

 思わず思いっきり喘いでしまう。
 今日まで、触られなくなってから、確かに1人でシていた。でも、恋人に触られる快感には圧倒的に劣る。

 ほとんど日本語が話せなくなるレベルで気持ちいい。

 そのまま喘がされ、翻弄されているうちに、
気づけば下もほとんど解され準備万端。
 だというのに。

「……ひゃぅっ、んっまって! そこ、んぅ、んっ……舐めないでっ!」
 へも、ひもひよはほうでも、気持ちよさそう

 わざわざ穴に舌をいれて、前立腺を舐められている。
 気づかないうちにとろとろに解されたそこは、簡単に快楽を拾う。さらに、海斗の裂けけた舌が器用に前立腺をなぶるので、気持ちよくて涙が出る。

「っ、ふぅっ……そろ、っそろいれて、んぅ……」

 どれだけそうされたか。
 後ろの快感で全く意識していなかったが、全身キスマークだらけ。さらに、いじられていないはずの前はびしょびしょに濡れている。それがシーツなら擦れることでさらに感じて跳ねた腰が海斗の顔にくっつく。

「ここはもっと舐めて欲しいって言ってるのに? ……まあ、そろそろするか」

 そう言って、海斗がやっと舌を抜き、僕の体を起こしてくれる。
 今日は正常位でヤるらしい。

「ねぇ、この体勢なら、ずっとキスしようね? ———ひゃぁっ!? なんっ、でぇ?」

 正常位ならずっとキスできる。そんな考えを口に出しただけなのに。
 海斗は無言のまま僕の足を開き、一気に挿入してきた。

「……せっかく人が久々だから我慢してやったのに。もう、いいよね?」
「まってっ、ちが、ぅ……んぁっ、あぁっ」

 そのまま腰をもたれ、ガツガツと思いっきり奥をつかれる。口は常に舌を絡ませたまま。ほとんど喘ぎ声すら漏れない。そのまま思いの丈をぶつけられるように激しく揺さぶられて。

「……っ! ぁ、んぅ……はぁっ!」
「かわいいねっ、感じてる顔。翠……、出すよっ」

 海斗が顔を顰めて奥に温かいものを出す。
 久々に生で感じる海斗。じわぁっとお腹に広がる熱が気持ちよくて、思わずまだ海斗が入っているあたりを両手で押さえる。

「ん、かいとの、きもちぃ……」
「……っ! そんなこと言われたら!」
「ふぇっ……?! んぁぁ、まって、なんっ、で……おっきい……!」

思わず一言漏らすと、中に入っているものがまた固くなる。先ほどよりもさらに太く、硬いかもしれない。

「久々だし、まだいけるよね?」
「もぅ、むり、んっ……あぁ、まってぇ、むり、んっ」

 そして、また腰を掴まれ激しく揺さぶられる。今度はキスはされず、口は空いたまま。だが、強すぎる快楽にほとんど呼吸音しか出ない。

「……んっ、はぁ……ぁっ、ぁぅっ」

 覚えていたのはそこまで。気づけば視界がブラックアウトしていた。









 朝起きると外はまだ暗かった。
 体はスッキリしていて、海斗が洗ってくれていたとわかる。
 昨日は少なくとも日が暮れてしばらくするまでヤっていたし、さらに海斗は僕が気絶してから体を洗って寝る時間が遅くなったはずなので、まだ起きないだろう。
 
 僕は、隣に眠る海斗の耳に口を近づける。









「これから、末長くよろしくね?」



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