怪奇蒐集帳(短編集)

naomikoryo

文字の大きさ
78 / 147

78)首狩り神社(宮崎県)

しおりを挟む
1. 消えた参拝者
 宮崎県の山奥に、決して行ってはいけない神社があるという。
 正式な名前はない。
 地元では、それを**「首狩り神社」**と呼ぶ。

 「この神社を訪れた者は、帰ってこない」
 「もし、鳥居をくぐったら、決して後ろを振り向くな」

 これは、実際に起きた出来事である。

2. 廃神社の探索
 Tさん(30代・男性)は、宮崎の秘境を巡る旅をしていた。

 「地元の人すら行かない神社があるらしい」

 都市伝説に興味があったTさんは、首狩り神社の噂を聞きつけた。

 村人に場所を尋ねると、誰もが顔を曇らせた。

 「やめちょきなさい。あそこに行った者は、みんな……」

 「みんな、どうなったんです?」

 「消えたっちゃ」

 Tさんは、迷信だと思い、神社へ向かうことにした。

3. 山奥の鳥居
 神社は、山の奥にあった。

 苔むした石段。
 朽ちかけた鳥居。
 奥に続く、異様に暗い参道——。

 Tさんは、スマホで撮影しながら鳥居をくぐった。

 その瞬間——

 「ゴォォォォ……」

 突如として、強風が吹き荒れた。

 「うわっ……」

 Tさんは、思わず振り返りそうになった。

 しかし——

 「決して振り向くな」

 村人の忠告を思い出し、そのまま前へ進んだ。

4. 祠の異変
 参道を進むと、**崩れかけた祠(ほこら)**があった。

 Tさんは、異様なものを見つけた。

 祠の中に、無数の「首なし地蔵」が並んでいた。

 「なんだ、これ……?」

 よく見ると、地蔵の首はすべて切断され、どこにもない。

 さらに、祠の奥には——

 首のない石像が立っていた。

 まるで、人間の首を求めているように——。

5. 首狩りの儀式
 Tさんは、背後に気配を感じた。

 「カツ……カツ……」

 何かが、ゆっくりと近づいてくる。

 Tさんは、恐る恐るスマホのカメラを向けた。

 そして——

 画面に、“首のない者”が映った。

 白い着物を纏い、血まみれの刀を持つ者。

 それは、まるで処刑人のようだった。

 Tさんは、スマホを落とし、全力で逃げ出した。

6. 鳥居の呪い
 Tさんは、鳥居まで戻った。

 「早く、ここを出なきゃ!」

 しかし——

 鳥居の向こう側が、真っ黒な闇に包まれていた。

 「カツ……カツ……」

 背後で、足音が迫る。

 Tさんは、絶対に振り返らないと決めた。

 しかし、その瞬間——

 「お前の首を、寄越せ……」

 耳元で囁く声がした。

7. 首の影
 Tさんは、必死に鳥居をくぐり、山道を駆け下りた。

 しかし——

 影がついてくる。

 Tさんは、村まで逃げ戻った。

 そして、村人たちにこう言われた。

 「お前、まだついちょるぞ」

 「……え?」

 鏡を覗き込む。

 そこには——

 Tさんの後ろに首のない影が立っていた。

8. 首が消える夜
 Tさんは、それから数日間、異変に悩まされた。

 夜中、必ず誰かの視線を感じる。

 鏡を見ると、影が近づいている。

 そして——

 ある晩、Tさんは夢を見た。

 自分の首が、ゆっくりと切り落とされる夢を。

 翌朝、Tさんの姿は消えた。

 ただ、彼が寝ていた枕元には——

 血のような跡と、ぽつんと落ちたスマホだけが残っていた。

***********************************

 もし、あなたが宮崎の山奥にある**「首狩り神社」**を訪れることがあれば——

 決して、振り返ってはいけない。

 そして、もし——

 **「お前の首を、寄越せ」**と囁かれたら。

 その瞬間、あなたの首は——

 もう、自分のものではなくなっている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

少し怖いホラー短編集(文字数500以下)

仙 岳美
ホラー
文字数500以下のショート集です、難しく無いので気楽にどうぞ。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

最終死発電車

真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。 直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。 外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。 生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。 「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!

処理中です...