氷の上司に、好きがバレたら終わりや

naomikoryo

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特別編8話「この家に、社内恋愛の火種は入れませんで!!」

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▶︎1. 会社メンバー来訪の知らせ
ある日、誠が洗濯物をたたみながら、
なんとな~くさらっと言った。

「そういえば、会社の人たちが出産祝いを持って、今週末うちに来るって」

「……ん?」

「営業部の女の子たちとか、後輩の山崎くんとか、あと課長も来るみたいですね」

「営業部の……“女の子たち”ぃ?」

「ええ。4人ぐらいですね」

「……ふーん…………ふーーーーーーーん…………」

(なにそれ、“ちょっと気になってた人に子どもできた”報告みたいな空気で来るやつちゃうの!?)

舞子の心の中で、**関西人特有の“疑いのセンサー”**がフル稼働した。

「なあ誠ぃ~~、うち育休中やから言うけどな~~、あんた最近モテてへんか~~?」

「急にどうしました?」

「だってさ、あんた40やん?落ち着いてるやん?で、顔もまぁ……イケてるやん?」

「その“まぁ”は何ですか」

「若い子が“本庄さんって、実は家庭的で頼れるし優しいんですよね~♡”とか言ってない?」

「それは言われたことないですね。……“本庄さんって、怖いんですよね”はよく言われます」

「なんで誇らしげなん」

 

▶︎2. 準備万端!舞子の“戦闘服”
迎えた週末――
舞子は朝から気合いが入っていた。

誠:「今日は無理せずラフな服でいいですよ」

舞子:「ラフ(=敵にスキを見せる)という意味ではありません!」

誠:「は、はい」

舞子は、絶妙に“母らしさ+まだ色気は健在ですよ”的な
ナチュラル系ワンピースを着用。髪はまとめて、眉毛バッチリ。

授乳用のTシャツはタンスにしまい、
鏡の前でこう呟いた。

「今日のうちは、“本庄誠の嫁”やない。“悠真の母”やない。“戦うオンナ”や!」

誠:「こわい」

 

▶︎3. ピンポーン、到着!
午後2時。玄関のチャイムが鳴る。

「こんにちは~!おじゃましまーす!」

来たのは、会社の若手メンバー+課長含む5人。

舞子の目にまず映ったのは――

営業部のエース、桐谷あすか(27歳)。
ストレートロング、スタイル抜群、声が甘い。

(でた!“本庄さんって大人~♡”って言うタイプ!)

そしてもう一人、財務部の内田さん(28歳)。
知的メガネ系、口数少なめ、でも誠に資料をよく渡してるとの噂。

(この子……“黙って支える系”やろ……静かにアピールしてくるやつや)

舞子:「あ~~どうもどうも~!ようこそ~!舞子でっせ~!」

桐谷:「あっ!本庄さんの奥さま、めっちゃ綺麗な方ですね~~!」

内田:「ほんとに、素敵なおうちです」

舞子:(よっしゃ、第一印象勝ったな)

 

▶︎4. “自然”を装った質問攻撃
リビングに通してから、舞子は自然を装っていくつか質問を放った。

舞子:「あすかちゃん、誠と一緒に仕事すること多いの?」

桐谷:「え~っと、あんまり……でも一回出張で名古屋行きました~」

舞子:「へぇ、出張?泊まりで?」

桐谷:「あ、でも日帰りです!ホントにすぐ帰りました!」

(びびってる。これは潔白)

舞子:「内田さんはどう?誠とどれくらい話す?」

内田:「……ほとんど、業務連絡だけですね」

舞子:「へぇ。で、誠のLINEのアイコン、どんなやつ?」

内田:「えっ……あの、猫のイラストでしたけど……」

誠:「アイコン変えたことないので、多分合ってます」

舞子:(おっけ~、社内LINEスキャン完了)

 

▶︎5. 課長の爆弾発言
「いやぁ~それにしても、ほんまに可愛いなぁ~悠真くん!」

課長が悠真を抱っこして感動中。
この課長は、誠と同期の男、木下浩二だ。

「本庄~、お前がパパやなんてな~。会社では相変わらず“鉄の仮面”やのに!」

舞子:「“鉄の仮面”……?」

課長:「そう。会社の女子たちが“笑ったとこ見たことない”ってザワついてるんですよ」

舞子:「誠……笑ってないん?」

誠:「……意識してませんでしたが、確かに笑顔は“家限定”かもしれません」

舞子:「おい、もはや不動産やん。表情の専有使用権ついてるやん」

 

▶︎6. おひらき、そして妻の総括
夕方。会社メンバーは笑顔で帰っていった。

舞子は玄関を閉めて、ふぅ~と息を吐いた。

「ふぅ~~~。今日は戦ったわ……」

誠:「何と戦っていたんですか……?」

「嫁のプライドや!!主戦場は“視線”と“距離感”や!!
うちは今日、母であり、妻であり、監視役でもあったんやで!!」

「お疲れさまでした」

「てか、ほんまのとこどうなん?モテてへん?」

「本当にモテてません」

「ふーん……ならええけど、浮気したらその瞬間、“おむつ全部担当”やからな」

「そこは罰というより家庭内刑務作業ですね」

舞子はくすっと笑って言った。

「でもな……あんたがちゃんと“ここ(家)”で笑ってくれるから、うちは安心して戦えるんよ」

誠:「じゃあ今夜も、君の笑顔の帰る場所でいられるよう、努力します」

「うん。ほな、交代や。おむつ、任せた!」

「……はい!」
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