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◇7 文化の違い
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私が嫁いだのは、ダルナード大公家。この国唯一の大公という地位を持った家である。そして、王室の血も流れている為普通以上に国での存在が大きい。
それに、このダルナード大公家当主であらせられるこの方は、この国全ての騎士団をまとめ上げている王宮騎士団総括という役職に就いている。
この国には、近衛騎士団、王宮騎士団、そして騎士団の3つが存在する。
近衛騎士団は王族を守護する役目を持ち、王宮騎士団は王城を守護、そして騎士団はこの国の各地に置かれ各地を守護している。
3つの騎士団には副団長、そして団長という役職があり、そしてそれを全て管理しているのが総括であるダルナード大公家当主という事だ。最初それを聞いた時には、私と結婚しちゃっていいのだろうかとまで思ってしまった。私、何も出来ないですけど。
その為、この人の結婚式とあって挨拶がなかなか終わらない。そりゃそうだよね。
「疲れた?」
「えっ」
「もうちょっとで終わるから、それまで頑張って」
そんな凄い人なのだから怖い人なんじゃないかと勝手に思っていたけれど、意外と優しい方らしい。小声でそんなことを言ってもらえるとは思いもしなかった。
しかも、筋肉ムキムキの大男で顔に傷があるわけでもない、身長が高い容姿端麗の好青年だった。誰だよ、筋肉モリモリの堅物とか怖い人とか言ったやつ。私だよ。すみませんでした。
そして、彼の言った通りそれから早々と終わった。ご参加された方は全員お帰りにな、ったはずなんだけど……
「あの、奥様、非常に申し上げにくいのですが……」
使用人達の、何とも気まずい様子。視線も泳いでいる。
リーファなんて、ずーんと効果音が鳴りそうなくらいに落ちている。
「その、王城に、招集がかかりまして、旦那様が……」
「……」
マジか。途中から呼ばれたかと思ったら、そのまま王城に?
……今日って、結婚式だったよね? 新郎を呼ばないといけないくらい、何かあったって事?
それだけ、忙しい人だという事にもなる。お疲れ様です、旦那様。
という事は、こういう事があるから私はそこら辺も慣れておかないといけないという事か。
心の中で旦那様を応援しつつも、私達はダルナード大公邸に向かった。
ここに来るまでに乗った馬車と違うみたいだけれど、これはこれで煌びやかだ。
これから、この馬車を何度も使う場面があるだろうし、お屋敷もきっと豪華なんだろうなぁ。早くこの生活に慣れるように頑張らなきゃ。
なんて思いつつ馬車に揺られていたら大公家のお屋敷に到着した。馬車を降りると、うわぁ……と口をぽかんと開けてしまった。もう外は暗くなってしまっていて、正門から入ってからはあまりよく見えなかったけれど、屋敷の入り口を見れば豪華な屋敷だと分かってしまう。
明日、きっと外を見たら顎が外れてしまうのではないだろうか。
「暁明王国と、だいぶ違う建物ですね……」
「そう、ね……」
このお屋敷を見上げるリーファも、同じ思いだった。
玄関を通ると、使用人達の行列が二列あり、真っ直ぐな道が作られていた。大公家に仕える使用人達なのだから、さすがと言えるほどの綺麗なお辞儀だ。
そして、その先に立っていた使用人2人。
「ようこそいらっしゃいました、奥様」
「我々一同、精一杯努めさせていただく所存でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「ありがとう……こちらこそ、よろしく」
真ん中に立つのは執事であるセドリック。大体60代くらいかな。左はメイド長のアドラ。こちらも60代くらい。
「わたくし、アドラがそちらの侍女殿と共にこれからお世話係をさせていただきます」
「えぇ、おねがい」
リーファが今までと同じく世話係をしてくれる事は分かっていたけれど、ここのメイド長も同じく世話係をしてくれるらしい。今までと勝手が違うから、いろいろと教えてもらう事になると思う。だから、早く仲良くなろう。
「では、さっそくお食事をご用意いたしますね」
その言葉に、内心ドキッとしてしまった。
卿は、朝から何も食べてないから結構お腹が空いている。朝、食べたら胃が膨らんでお腹出ちゃうからって言われたから。こちらとしてはありがたかった気もするけれど、シャレニア王国に入ってからの食事を思い出すと……不安だ。一体どんな料理が出てくるのだろう。
私はリーファとアドラを連れて着替えに向かった。このウェディングドレスは思ったよりも重い。装飾品が結構沢山付いてるからだろうな。でもようやく脱げる。
「僭越ながら、ウェディングドレスと一緒にお洋服をご用意させていただきました。奥様の好みに沿うか分からなかったものですから無難なものを選ばせていただきました。明日仕立て屋がこちらに来訪されることになっておりますので、その時にお好きなものをお選びください」
「うん、ありがとう」
服は暁明王国のものしか持ってきていないから助かった。
確かに、ハンガーにかけられている服はシンプルで無難なものばかり。シャレニア王国の流行とかは分からないから、これは嬉しい。
でも、今まで着ていた服とは全然違うから何となく窮屈に感じる。スカート、というところは一緒だけれど……ゆったり着られない。生地の違いもあるのかな。それに袖が筒状になってるし。
地球でよく着ていた袖の形ではあるのだけれど、19年間ず~っとあの着物みたいな袖のものを着ていたから違和感がある。
でも我慢よね。持ってきてはいるけれど、もうここはシャレニア王国なんだから。そして私はシャレニア人だ。
そうして、重い足取りの中、食堂に向かい用意された席に落ち着いた。
私も、そしてリーファもだいぶ緊張気味ではある。一体どんな料理が出てくるのか、ハラハラドキドキで落ち着かない。
母国では箸を使っていたけれど、ここではナイフとフォーク。そのためテーブルにもそれが並べられている。一応レッスンを受けたし、前世でも馴染みがあったから容易ではある。
そして、出てきた料理は……あれ? と声を出しそうになってしまった。見た事のある食材と、料理ばかりだ。道中ホテルとかで食事をしたけれど、これは出てこなかった。
もしかして、と思いつつもナイフとフォークを入れ、一口。
「……」
……おかしいな。食材の味? しかしない。シャレニア王国で食べてきたような、濃くて変な味はしないけれど……食材本来の味と言っておいた方がいいかな。
けれど、お肉はぱさぱさだし、火も入りすぎている。ちゃんと処理もされていないし……
「い、いかがでしょう……?」
「……えぇ、美味しいわ」
今までシャレニアで食べてきた料理より、断然マシだ。口が裂けても言えないけれど。せっかく作ってくれたんだから、感謝して食べなくちゃ。
とはいえ、最初の料理が出てきてから、お腹が空いていないから少なめにしてほしいという手段を取らせてもらった。周りの顔色を窺いつつだけど。料理長さん、ごめんなさい。
「それだけでよろしいのですか?」
「……おなか、いっぱいなの」
「お疲れのようですね。もう湯浴みの準備は済んでおりますので、すぐにお休みになりましょうか」
「えぇ、お願い」
……どうしよう、私、どうやって生き延びたらいいの。
そう思いつつも、食事を終えて湯浴みに逃げた。リーファだけでいいわと他を下がらせ……
「はぁぁぁぁぁぁ……」
「あ、はは……お疲れのようですね、奥様」
「食べた気がしない……」
「……」
リーファも苦笑いを浮かべるしかないらしい。こんなに素敵なお屋敷で、お風呂だってこんなに気持ちいいのに。すごく残念過ぎる……
「……キッチンに突撃する?」
「奥様、それは……」
「うん、やらないから安心して」
「助かります。はい、奥様、お湯をかけますよ」
「は~い」
さて、どうしたものか。
そう思いつつも、お風呂を堪能したのだ。けれど……
「……マジか。ここ、夫婦で使うお部屋?」
「もちろんでございます」
広いお部屋には、ローテーブルやソファーがあり、そして大きなベッドが置いてある。キングサイズ?
一つしかないって事は、このベッドを旦那様と二人で使うって事よね。……マジか。まぁ、でも今日は旦那様帰ってこれないって報告されたし。
「……ふっかふかじゃん」
ふわふわで温かい布団に、うん、枕の高さもよさそう。いい夢見れそうだ。
「おやすみ、リーファ」
「はい、おやすみなさいませ、奥様」
そうして、一日が終わったのだった。けれど……
「あなた、暁明王国の侍女よね」
「え? えぇ、自己紹介が遅れてしまって申し訳ありません。リーファと申します」
「えぇ。それより、こっちに来てちょうだい」
そんな事になってしまっていたとは、熟睡していた私は全く気が付かなかった。
それに、このダルナード大公家当主であらせられるこの方は、この国全ての騎士団をまとめ上げている王宮騎士団総括という役職に就いている。
この国には、近衛騎士団、王宮騎士団、そして騎士団の3つが存在する。
近衛騎士団は王族を守護する役目を持ち、王宮騎士団は王城を守護、そして騎士団はこの国の各地に置かれ各地を守護している。
3つの騎士団には副団長、そして団長という役職があり、そしてそれを全て管理しているのが総括であるダルナード大公家当主という事だ。最初それを聞いた時には、私と結婚しちゃっていいのだろうかとまで思ってしまった。私、何も出来ないですけど。
その為、この人の結婚式とあって挨拶がなかなか終わらない。そりゃそうだよね。
「疲れた?」
「えっ」
「もうちょっとで終わるから、それまで頑張って」
そんな凄い人なのだから怖い人なんじゃないかと勝手に思っていたけれど、意外と優しい方らしい。小声でそんなことを言ってもらえるとは思いもしなかった。
しかも、筋肉ムキムキの大男で顔に傷があるわけでもない、身長が高い容姿端麗の好青年だった。誰だよ、筋肉モリモリの堅物とか怖い人とか言ったやつ。私だよ。すみませんでした。
そして、彼の言った通りそれから早々と終わった。ご参加された方は全員お帰りにな、ったはずなんだけど……
「あの、奥様、非常に申し上げにくいのですが……」
使用人達の、何とも気まずい様子。視線も泳いでいる。
リーファなんて、ずーんと効果音が鳴りそうなくらいに落ちている。
「その、王城に、招集がかかりまして、旦那様が……」
「……」
マジか。途中から呼ばれたかと思ったら、そのまま王城に?
……今日って、結婚式だったよね? 新郎を呼ばないといけないくらい、何かあったって事?
それだけ、忙しい人だという事にもなる。お疲れ様です、旦那様。
という事は、こういう事があるから私はそこら辺も慣れておかないといけないという事か。
心の中で旦那様を応援しつつも、私達はダルナード大公邸に向かった。
ここに来るまでに乗った馬車と違うみたいだけれど、これはこれで煌びやかだ。
これから、この馬車を何度も使う場面があるだろうし、お屋敷もきっと豪華なんだろうなぁ。早くこの生活に慣れるように頑張らなきゃ。
なんて思いつつ馬車に揺られていたら大公家のお屋敷に到着した。馬車を降りると、うわぁ……と口をぽかんと開けてしまった。もう外は暗くなってしまっていて、正門から入ってからはあまりよく見えなかったけれど、屋敷の入り口を見れば豪華な屋敷だと分かってしまう。
明日、きっと外を見たら顎が外れてしまうのではないだろうか。
「暁明王国と、だいぶ違う建物ですね……」
「そう、ね……」
このお屋敷を見上げるリーファも、同じ思いだった。
玄関を通ると、使用人達の行列が二列あり、真っ直ぐな道が作られていた。大公家に仕える使用人達なのだから、さすがと言えるほどの綺麗なお辞儀だ。
そして、その先に立っていた使用人2人。
「ようこそいらっしゃいました、奥様」
「我々一同、精一杯努めさせていただく所存でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「ありがとう……こちらこそ、よろしく」
真ん中に立つのは執事であるセドリック。大体60代くらいかな。左はメイド長のアドラ。こちらも60代くらい。
「わたくし、アドラがそちらの侍女殿と共にこれからお世話係をさせていただきます」
「えぇ、おねがい」
リーファが今までと同じく世話係をしてくれる事は分かっていたけれど、ここのメイド長も同じく世話係をしてくれるらしい。今までと勝手が違うから、いろいろと教えてもらう事になると思う。だから、早く仲良くなろう。
「では、さっそくお食事をご用意いたしますね」
その言葉に、内心ドキッとしてしまった。
卿は、朝から何も食べてないから結構お腹が空いている。朝、食べたら胃が膨らんでお腹出ちゃうからって言われたから。こちらとしてはありがたかった気もするけれど、シャレニア王国に入ってからの食事を思い出すと……不安だ。一体どんな料理が出てくるのだろう。
私はリーファとアドラを連れて着替えに向かった。このウェディングドレスは思ったよりも重い。装飾品が結構沢山付いてるからだろうな。でもようやく脱げる。
「僭越ながら、ウェディングドレスと一緒にお洋服をご用意させていただきました。奥様の好みに沿うか分からなかったものですから無難なものを選ばせていただきました。明日仕立て屋がこちらに来訪されることになっておりますので、その時にお好きなものをお選びください」
「うん、ありがとう」
服は暁明王国のものしか持ってきていないから助かった。
確かに、ハンガーにかけられている服はシンプルで無難なものばかり。シャレニア王国の流行とかは分からないから、これは嬉しい。
でも、今まで着ていた服とは全然違うから何となく窮屈に感じる。スカート、というところは一緒だけれど……ゆったり着られない。生地の違いもあるのかな。それに袖が筒状になってるし。
地球でよく着ていた袖の形ではあるのだけれど、19年間ず~っとあの着物みたいな袖のものを着ていたから違和感がある。
でも我慢よね。持ってきてはいるけれど、もうここはシャレニア王国なんだから。そして私はシャレニア人だ。
そうして、重い足取りの中、食堂に向かい用意された席に落ち着いた。
私も、そしてリーファもだいぶ緊張気味ではある。一体どんな料理が出てくるのか、ハラハラドキドキで落ち着かない。
母国では箸を使っていたけれど、ここではナイフとフォーク。そのためテーブルにもそれが並べられている。一応レッスンを受けたし、前世でも馴染みがあったから容易ではある。
そして、出てきた料理は……あれ? と声を出しそうになってしまった。見た事のある食材と、料理ばかりだ。道中ホテルとかで食事をしたけれど、これは出てこなかった。
もしかして、と思いつつもナイフとフォークを入れ、一口。
「……」
……おかしいな。食材の味? しかしない。シャレニア王国で食べてきたような、濃くて変な味はしないけれど……食材本来の味と言っておいた方がいいかな。
けれど、お肉はぱさぱさだし、火も入りすぎている。ちゃんと処理もされていないし……
「い、いかがでしょう……?」
「……えぇ、美味しいわ」
今までシャレニアで食べてきた料理より、断然マシだ。口が裂けても言えないけれど。せっかく作ってくれたんだから、感謝して食べなくちゃ。
とはいえ、最初の料理が出てきてから、お腹が空いていないから少なめにしてほしいという手段を取らせてもらった。周りの顔色を窺いつつだけど。料理長さん、ごめんなさい。
「それだけでよろしいのですか?」
「……おなか、いっぱいなの」
「お疲れのようですね。もう湯浴みの準備は済んでおりますので、すぐにお休みになりましょうか」
「えぇ、お願い」
……どうしよう、私、どうやって生き延びたらいいの。
そう思いつつも、食事を終えて湯浴みに逃げた。リーファだけでいいわと他を下がらせ……
「はぁぁぁぁぁぁ……」
「あ、はは……お疲れのようですね、奥様」
「食べた気がしない……」
「……」
リーファも苦笑いを浮かべるしかないらしい。こんなに素敵なお屋敷で、お風呂だってこんなに気持ちいいのに。すごく残念過ぎる……
「……キッチンに突撃する?」
「奥様、それは……」
「うん、やらないから安心して」
「助かります。はい、奥様、お湯をかけますよ」
「は~い」
さて、どうしたものか。
そう思いつつも、お風呂を堪能したのだ。けれど……
「……マジか。ここ、夫婦で使うお部屋?」
「もちろんでございます」
広いお部屋には、ローテーブルやソファーがあり、そして大きなベッドが置いてある。キングサイズ?
一つしかないって事は、このベッドを旦那様と二人で使うって事よね。……マジか。まぁ、でも今日は旦那様帰ってこれないって報告されたし。
「……ふっかふかじゃん」
ふわふわで温かい布団に、うん、枕の高さもよさそう。いい夢見れそうだ。
「おやすみ、リーファ」
「はい、おやすみなさいませ、奥様」
そうして、一日が終わったのだった。けれど……
「あなた、暁明王国の侍女よね」
「え? えぇ、自己紹介が遅れてしまって申し訳ありません。リーファと申します」
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