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第4章 え? あたしが夜伽! それだけは勘弁してください
4 陛下のお気に入り
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皇后の指示に従い、蓮花は部屋を出る。
ふと、陛下に触れられた腕のあたりに手をあてる。
いまだに手の感触が残っている。そして、胸の鼓動がおかしなくらい鳴っていた。
「あら、蓮花。どうしたの? 赤い顔をして、何かあったの?」
「い、いいえ! 何でも……」
凜妃はそう? というように肩をすくめ、皇后の居室を見る。
「皇后はお休みかしら」
「今、陛下がいらっしゃっております」
「まあ、ではお二人の邪魔をしてはいけないわね。また後で様子を見に来ることにしましょう」
「すみません……凜妃さまが訪ねに来たことは、皇后さまにお伝えします……」
「ほんと、おかしいわね。いつもの元気な蓮花はどこにいったのかしら。悩み事? よかったら話を聞くわよ」
蓮花は胸のあたりを押さえた。
まだ胸がどきどきと鳴っていてとまらない。
騒がしい胸の鼓動と、赦鶯陛下の顔を脳裏から追い出すように、蓮花は激しく首を振る。
考えてみれば、これまで男の人とあんな間近に接触することなんて今までなかった。だから、余計意識してしまったのだろう。
それに、別に陛下になんの感情も抱いてないけれど、むだに顔がいいだけに、やはり側で見るとドキドキしてしまう。
いや、陛下のことはどうでもいい。それよりも、暁蕾の思わせぶりな言い方に引っかかるものがあった。
「あの、話を聞いていただけますか?」
「もちろんよ」
「実は……暁蕾さんに、意味の分からないことを言われたんです」
そう前置きをして、蓮花は先程、暁蕾に言われたことを話した。
蓮花の話に口を挟むことなく、最後まで凜妃は真剣に耳を傾けた。
すべてを打ち明けた蓮花に、凜妃は眉尻を下げる。
口を開いては思い止まるを何度か繰り返し、凜妃は困ったように頬に手をあてた。
「こんなことを言っていいのかしら」
「なんでしょう? 思ったこと全部話してください。このままでは、もやもやします」
凜妃はそっと蓮花の手をとった。
「蓮花、あなたは陛下のお気に入り」
「そんなことないです。むしろ嫌われている方かと」
凜妃は笑い、続けて言う。
「皇后が身ごもっている間も、陛下が景貴妃の元に通わないよう、あなたに陛下を繋ぎとめさせようと考えていたのよ」
蓮花はきょとんとした目をしている。
まだ意味が分かっていないようだ。
「つまり、陛下にお仕えしろという意味」
他の妃の元に通うのは仕方がない。だが、その相手が景貴妃となると、そうもいっていられない。
もし、景貴妃がこのまま寵愛を受け続け、懐妊しようものなら、そしてその子が皇子であったなら、皇后の地位も危ういものとなる可能性がある。
凜妃の話を聞いた蓮花は、ぎょっとする。
「それは無理です。それに、どうしてあたしが陛下に好かれていると勘違いされているのか分からないです」
ついこの間、陛下に疑われて牢にぶちこまれ、ひどい目にあわされたのだ。それなのに好かれているとか意味が分からない。
「でも、皇后さまは蓮花に陛下のお相手をさせるつもりはないようよ」
皇后の気持ちに蓮花はほっと息をもらす。
陛下に仕えるなんてとんでもない。だが、確かに、陛下は皇后の身体の様子を見に来ることはあっても、今では毎夜景貴妃の元へ通うのは事実だ。
蓮花はぶるぶると首を振った。
「あたしは自分のことを一番に思ってくれる人でないと一緒にはなれない。それにあたし、目的を果たすために、いずれ後宮を出るつもりだし」
凜妃の手が伸びてきて、ふわりと蓮花の頬に触れた。
「あなたは本当に珍しい子ね」
珍しい? そうなのだろうか。
「他の女子はみな、陛下に目をかけてもらおうと必死になるのに、あなたはてんで無関心。蓮花は、陛下のことがお嫌い?」
蓮花は答えに窮する。
陛下のことをそういう感情を持って接したことないし、別に妃になりたいなんて考えたこともない。しかし、優しくしてくれた皇后が景貴妃のことで心を痛め頭を悩ませているのだと思うと、忍びない気持ちになる。
皇后には無事に元気な皇子を産んで欲しいと思っている。
ふと、陛下に触れられた腕のあたりに手をあてる。
いまだに手の感触が残っている。そして、胸の鼓動がおかしなくらい鳴っていた。
「あら、蓮花。どうしたの? 赤い顔をして、何かあったの?」
「い、いいえ! 何でも……」
凜妃はそう? というように肩をすくめ、皇后の居室を見る。
「皇后はお休みかしら」
「今、陛下がいらっしゃっております」
「まあ、ではお二人の邪魔をしてはいけないわね。また後で様子を見に来ることにしましょう」
「すみません……凜妃さまが訪ねに来たことは、皇后さまにお伝えします……」
「ほんと、おかしいわね。いつもの元気な蓮花はどこにいったのかしら。悩み事? よかったら話を聞くわよ」
蓮花は胸のあたりを押さえた。
まだ胸がどきどきと鳴っていてとまらない。
騒がしい胸の鼓動と、赦鶯陛下の顔を脳裏から追い出すように、蓮花は激しく首を振る。
考えてみれば、これまで男の人とあんな間近に接触することなんて今までなかった。だから、余計意識してしまったのだろう。
それに、別に陛下になんの感情も抱いてないけれど、むだに顔がいいだけに、やはり側で見るとドキドキしてしまう。
いや、陛下のことはどうでもいい。それよりも、暁蕾の思わせぶりな言い方に引っかかるものがあった。
「あの、話を聞いていただけますか?」
「もちろんよ」
「実は……暁蕾さんに、意味の分からないことを言われたんです」
そう前置きをして、蓮花は先程、暁蕾に言われたことを話した。
蓮花の話に口を挟むことなく、最後まで凜妃は真剣に耳を傾けた。
すべてを打ち明けた蓮花に、凜妃は眉尻を下げる。
口を開いては思い止まるを何度か繰り返し、凜妃は困ったように頬に手をあてた。
「こんなことを言っていいのかしら」
「なんでしょう? 思ったこと全部話してください。このままでは、もやもやします」
凜妃はそっと蓮花の手をとった。
「蓮花、あなたは陛下のお気に入り」
「そんなことないです。むしろ嫌われている方かと」
凜妃は笑い、続けて言う。
「皇后が身ごもっている間も、陛下が景貴妃の元に通わないよう、あなたに陛下を繋ぎとめさせようと考えていたのよ」
蓮花はきょとんとした目をしている。
まだ意味が分かっていないようだ。
「つまり、陛下にお仕えしろという意味」
他の妃の元に通うのは仕方がない。だが、その相手が景貴妃となると、そうもいっていられない。
もし、景貴妃がこのまま寵愛を受け続け、懐妊しようものなら、そしてその子が皇子であったなら、皇后の地位も危ういものとなる可能性がある。
凜妃の話を聞いた蓮花は、ぎょっとする。
「それは無理です。それに、どうしてあたしが陛下に好かれていると勘違いされているのか分からないです」
ついこの間、陛下に疑われて牢にぶちこまれ、ひどい目にあわされたのだ。それなのに好かれているとか意味が分からない。
「でも、皇后さまは蓮花に陛下のお相手をさせるつもりはないようよ」
皇后の気持ちに蓮花はほっと息をもらす。
陛下に仕えるなんてとんでもない。だが、確かに、陛下は皇后の身体の様子を見に来ることはあっても、今では毎夜景貴妃の元へ通うのは事実だ。
蓮花はぶるぶると首を振った。
「あたしは自分のことを一番に思ってくれる人でないと一緒にはなれない。それにあたし、目的を果たすために、いずれ後宮を出るつもりだし」
凜妃の手が伸びてきて、ふわりと蓮花の頬に触れた。
「あなたは本当に珍しい子ね」
珍しい? そうなのだろうか。
「他の女子はみな、陛下に目をかけてもらおうと必死になるのに、あなたはてんで無関心。蓮花は、陛下のことがお嫌い?」
蓮花は答えに窮する。
陛下のことをそういう感情を持って接したことないし、別に妃になりたいなんて考えたこともない。しかし、優しくしてくれた皇后が景貴妃のことで心を痛め頭を悩ませているのだと思うと、忍びない気持ちになる。
皇后には無事に元気な皇子を産んで欲しいと思っている。
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