76 / 76
第6章 黒幕を追い詰めるも蓮花絶体絶命
エピローグ
しおりを挟む
季節は一巡りし、また春がやってきた。桜の花びらが風に舞い散る。
長いようで短い後宮生活であった。
とにかくいろいろあった。
死にそうになったこともあったが、今となって思えば、良い思い出……。
「良い思い出? そんなわけないでしょ! 殺されそうになって良い思い出とかあり得ないし、ほんと、あの時はもうだめかと思ったんだから」
「まさか、おまえが後宮のごたごたに、これほど深く巻き込まれるとは思わなかったんだ」
「あんた、本気でそれ言ってる」
蓮花は目を細め、一颯を見据える。
とまあ、そんなこんなで、ようやく宮廷にも落ち着きを取り戻しつつあった。
長い間、冷宮で暮らしていた翆蘭も解放された。
剥奪された位を取り戻し太貴妃となったが、冷宮での過酷な生活で病にかかり、ろくに侍医に診て貰えることもできず、それがたたり後宮へ戻ってすぐに息を引き取った。
亡くなるまでわずかな間ではあったが、息子である赦鶯と穏やかに過ごし、天へと旅立つその瞬間も、赦鶯に見守られ、静かにまるで眠るように亡くなったのが、せめてもの救いだった。
死した翆蘭は追贈され、妃陵に改葬された。
長い間生母の不遇さを心の中で嘆いていた赦鶯も、これで少しは報われたであろう。
反対に、称号を剥奪され庶人と落ち、冷宮送りとなったのは凜妃だ。
凜妃は罪を認め、すべて自分でやったことだと白状した。氷太妃はいっさい無関係だとも。
罪人となった凜妃は、死ぬまで幽閉の身となるであろう。
その氷太妃も精神の病ということで、再び自身の宮殿に引きこもってしまった。
間違いなく両親を殺すよう命じていたのは氷太妃だ。だが、気が触れ、口がきけなくなった氷太妃から真実を引き出すのは難しくなった。
蓮花にとって、本当の復讐の相手は、氷太妃だったのかもしれない。
彼女に罪を償わせることができないのは心残りではあるが。
「それにしても、まさか凜妃の悪事を暴くためだったなんてね。完璧に騙されたし、あんたも一見朴訥としているように見えて、なかなかやるわね」
「そう言うな。敵を欺くにはなんとやらというだろう」
しれっとした口調で言う一颯に、蓮花は呆れたように肩をすくめる。
「あんたの口からそれを聞くと、余計腹が立つかも。ほんと信用ならないわよね」
「そういうおまえこそ、僕は笙鈴さまを保護するために陛下に命じられ白蓮の村まで行ったのに、おまえに疑われた。傷ついたぞ」
「それは、悪いと思ってるわよ……だけど、はっきり説明しないあんたも……」
そこへ、まあまあと赦鶯陛下が二人の間に割って入ってきた。
「とはいえ、おまえのおかげで後宮の膿を出せた。感謝する。おまえに褒美をやらなければならないな」
赦鶯から褒美と聞き、蓮花は瞳を輝かせた。
大変な思いをしたのだから、たくさんの銀子を期待してもいいはず。それを元手に、家に戻って商売を始めるのもいい。
薬草を育てて売る仕事を本格的に始めてみようか。
これからの時代、女だって強く逞しく生きていかなければならない。
「そうだな、おまえを貴妃に昇格させよう」
「いらない。けっこうです」
即答であった。
貴妃といえば、あの景貴妃と同じ立場となる。実質上、皇后に次ぐ位だ。
何を考えているのだろうか。
「それだけは勘弁して、ようやく後宮を出られて喜んでるんだから」
皇帝の妃となってしまえば、二度と後宮から出ることもできず、後宮という鳥かごの中で一生暮らしていかなければならない。
後宮を出る時、それは死ぬ時。
そこで一つ疑問が。
赦鶯の妃、答応となった蓮花が、一颯の自害を止めるため宮廷の外に出られたのは何故か。
結局、蓮花は正式に答応となったわけではなかった。
赦鶯が答応にすると言っただけで、実際、冊封の儀式すら行っていない。つまり、正式な妃となっていなかった。
皇帝の手がついたと周りは言っているが、そんな艶っぽい関係はまったくない。
蓮花はまだ、皇后の侍女のままであったというわけである。
「本当におかしな娘だ。妃にしてやると言って、嫌がるのはおまえくらいだ」
「そういうの全然興味ないから。ついでにあんたのことも」
相変わらず、周りに人がいない時は陛下のことをあんた呼ばわりだが、赦鶯はまったく気にする素振りは見せない。
むしろ、砕けた態度で接する蓮花を気に入り、しつこく後宮に引き止めようとしていた。
ようやく得た自由だ。
後宮なんて誰が戻るか。
今回のことで思っていた以上の報酬をもらえた。ここは奮起して銀子を元手に、村で薬屋を開こうと決めた。そして、地道に働きながら、いい人に巡り会えたらいいな、なんて思ってる。
「あたしは好きな人と、ささやかだけど、幸せな家庭を築くのが夢だから」
皇帝の妃になんてなったら、ささやかな幸せなんて望めない。
そうそう、華雪にも報償の一部を与え、郷里に帰るようすすめたけれど、結局、後宮に残り皇后に仕えることになった。もし、蓮花が後宮に戻ることになったら、また仕えたいと言った。
いやいや、二度とこんなところに戻るつもりはないから!
「そうだ。村に戻る前に僕の屋敷に寄ってみてはどうだ? 母も会いたがっている」
「そうね。香麗さまにはきちんとご挨拶したいし。いいの?」
「いいも何も、おまえは凌家の人間なのだから遠慮する必要はない。そうだ、しばらく泊まっていくといい。いや、むしろ凌家で暮らしながら、都で薬屋を開くのはどうだ?」
あ、それいいかも! と蓮花はぽんと手を叩いた。
「凌家の後ろ盾があれば、あれこれ便利そうだし、信頼もあるし、都には大勢の人がいるから繁盛しそう。なーんて、あたしには都の空気は合わないから」
「なんなら、僕の妻にならないか? おまえの店を手伝おう。毎日うまいものを食べさせてやる。おまえの好きな菓子もだ」
どさくさにまぎれての一颯の求婚であったが、残念なことに蓮花の耳には入らなかった。しかし、赦鶯は聞き逃さなかった。
ムッとした表情で、一颯を睨みつける。
二人の男の間に見えない火花が散っていた。が、蓮花はそのことに気づかない。
「さて、もう行くよ」
「屋敷まで送ろう」
荷物を背負い歩き出した蓮花の後を、一颯も続いた。
「蓮花」
呼び止める赦鶯の声に、蓮花は振り返った。
「私はおまえをあきらめない。必ずおまえを妃に迎え、貴妃の地位を用意しよう」
「ん、なに? よく聞こえなかったんだけど、なんか言った」
「いや、なんでも」
「そう、じゃあね。もう二度と会うことはないけど、あんたも元気でね。それと皇后さまを大切にするのよ!」
終わり
長いようで短い後宮生活であった。
とにかくいろいろあった。
死にそうになったこともあったが、今となって思えば、良い思い出……。
「良い思い出? そんなわけないでしょ! 殺されそうになって良い思い出とかあり得ないし、ほんと、あの時はもうだめかと思ったんだから」
「まさか、おまえが後宮のごたごたに、これほど深く巻き込まれるとは思わなかったんだ」
「あんた、本気でそれ言ってる」
蓮花は目を細め、一颯を見据える。
とまあ、そんなこんなで、ようやく宮廷にも落ち着きを取り戻しつつあった。
長い間、冷宮で暮らしていた翆蘭も解放された。
剥奪された位を取り戻し太貴妃となったが、冷宮での過酷な生活で病にかかり、ろくに侍医に診て貰えることもできず、それがたたり後宮へ戻ってすぐに息を引き取った。
亡くなるまでわずかな間ではあったが、息子である赦鶯と穏やかに過ごし、天へと旅立つその瞬間も、赦鶯に見守られ、静かにまるで眠るように亡くなったのが、せめてもの救いだった。
死した翆蘭は追贈され、妃陵に改葬された。
長い間生母の不遇さを心の中で嘆いていた赦鶯も、これで少しは報われたであろう。
反対に、称号を剥奪され庶人と落ち、冷宮送りとなったのは凜妃だ。
凜妃は罪を認め、すべて自分でやったことだと白状した。氷太妃はいっさい無関係だとも。
罪人となった凜妃は、死ぬまで幽閉の身となるであろう。
その氷太妃も精神の病ということで、再び自身の宮殿に引きこもってしまった。
間違いなく両親を殺すよう命じていたのは氷太妃だ。だが、気が触れ、口がきけなくなった氷太妃から真実を引き出すのは難しくなった。
蓮花にとって、本当の復讐の相手は、氷太妃だったのかもしれない。
彼女に罪を償わせることができないのは心残りではあるが。
「それにしても、まさか凜妃の悪事を暴くためだったなんてね。完璧に騙されたし、あんたも一見朴訥としているように見えて、なかなかやるわね」
「そう言うな。敵を欺くにはなんとやらというだろう」
しれっとした口調で言う一颯に、蓮花は呆れたように肩をすくめる。
「あんたの口からそれを聞くと、余計腹が立つかも。ほんと信用ならないわよね」
「そういうおまえこそ、僕は笙鈴さまを保護するために陛下に命じられ白蓮の村まで行ったのに、おまえに疑われた。傷ついたぞ」
「それは、悪いと思ってるわよ……だけど、はっきり説明しないあんたも……」
そこへ、まあまあと赦鶯陛下が二人の間に割って入ってきた。
「とはいえ、おまえのおかげで後宮の膿を出せた。感謝する。おまえに褒美をやらなければならないな」
赦鶯から褒美と聞き、蓮花は瞳を輝かせた。
大変な思いをしたのだから、たくさんの銀子を期待してもいいはず。それを元手に、家に戻って商売を始めるのもいい。
薬草を育てて売る仕事を本格的に始めてみようか。
これからの時代、女だって強く逞しく生きていかなければならない。
「そうだな、おまえを貴妃に昇格させよう」
「いらない。けっこうです」
即答であった。
貴妃といえば、あの景貴妃と同じ立場となる。実質上、皇后に次ぐ位だ。
何を考えているのだろうか。
「それだけは勘弁して、ようやく後宮を出られて喜んでるんだから」
皇帝の妃となってしまえば、二度と後宮から出ることもできず、後宮という鳥かごの中で一生暮らしていかなければならない。
後宮を出る時、それは死ぬ時。
そこで一つ疑問が。
赦鶯の妃、答応となった蓮花が、一颯の自害を止めるため宮廷の外に出られたのは何故か。
結局、蓮花は正式に答応となったわけではなかった。
赦鶯が答応にすると言っただけで、実際、冊封の儀式すら行っていない。つまり、正式な妃となっていなかった。
皇帝の手がついたと周りは言っているが、そんな艶っぽい関係はまったくない。
蓮花はまだ、皇后の侍女のままであったというわけである。
「本当におかしな娘だ。妃にしてやると言って、嫌がるのはおまえくらいだ」
「そういうの全然興味ないから。ついでにあんたのことも」
相変わらず、周りに人がいない時は陛下のことをあんた呼ばわりだが、赦鶯はまったく気にする素振りは見せない。
むしろ、砕けた態度で接する蓮花を気に入り、しつこく後宮に引き止めようとしていた。
ようやく得た自由だ。
後宮なんて誰が戻るか。
今回のことで思っていた以上の報酬をもらえた。ここは奮起して銀子を元手に、村で薬屋を開こうと決めた。そして、地道に働きながら、いい人に巡り会えたらいいな、なんて思ってる。
「あたしは好きな人と、ささやかだけど、幸せな家庭を築くのが夢だから」
皇帝の妃になんてなったら、ささやかな幸せなんて望めない。
そうそう、華雪にも報償の一部を与え、郷里に帰るようすすめたけれど、結局、後宮に残り皇后に仕えることになった。もし、蓮花が後宮に戻ることになったら、また仕えたいと言った。
いやいや、二度とこんなところに戻るつもりはないから!
「そうだ。村に戻る前に僕の屋敷に寄ってみてはどうだ? 母も会いたがっている」
「そうね。香麗さまにはきちんとご挨拶したいし。いいの?」
「いいも何も、おまえは凌家の人間なのだから遠慮する必要はない。そうだ、しばらく泊まっていくといい。いや、むしろ凌家で暮らしながら、都で薬屋を開くのはどうだ?」
あ、それいいかも! と蓮花はぽんと手を叩いた。
「凌家の後ろ盾があれば、あれこれ便利そうだし、信頼もあるし、都には大勢の人がいるから繁盛しそう。なーんて、あたしには都の空気は合わないから」
「なんなら、僕の妻にならないか? おまえの店を手伝おう。毎日うまいものを食べさせてやる。おまえの好きな菓子もだ」
どさくさにまぎれての一颯の求婚であったが、残念なことに蓮花の耳には入らなかった。しかし、赦鶯は聞き逃さなかった。
ムッとした表情で、一颯を睨みつける。
二人の男の間に見えない火花が散っていた。が、蓮花はそのことに気づかない。
「さて、もう行くよ」
「屋敷まで送ろう」
荷物を背負い歩き出した蓮花の後を、一颯も続いた。
「蓮花」
呼び止める赦鶯の声に、蓮花は振り返った。
「私はおまえをあきらめない。必ずおまえを妃に迎え、貴妃の地位を用意しよう」
「ん、なに? よく聞こえなかったんだけど、なんか言った」
「いや、なんでも」
「そう、じゃあね。もう二度と会うことはないけど、あんたも元気でね。それと皇后さまを大切にするのよ!」
終わり
31
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
菱沼あゆ
キャラ文芸
「同窓会っていうか、クラス会なのに、知らない人が隣にいる……」
クラス会に参加しためぐるは、隣に座ったイケメンにまったく覚えがなく、動揺していた。
だが、みんなは彼と楽しそうに話している。
いや、この人、誰なんですか――っ!?
スランプ中の天才棋士VS元天才パティシエール。
「へえー、同窓会で再会したのがはじまりなの?」
「いや、そこで、初めて出会ったんですよ」
「同窓会なのに……?」
後宮の偽花妃 国を追われた巫女見習いは宦官になる
gari@七柚カリン
キャラ文芸
旧題:国を追われた巫女見習いは、隣国の後宮で二重に花開く
☆4月上旬に書籍発売です。たくさんの応援をありがとうございました!☆ 植物を慈しむ巫女見習いの凛月には、二つの秘密がある。それは、『植物の心がわかること』『見目が変化すること』。
そんな凛月は、次期巫女を侮辱した罪を着せられ国外追放されてしまう。
心機一転、紹介状を手に向かったのは隣国の都。そこで偶然知り合ったのは、高官の峰風だった。
峰風の取次ぎで紹介先の人物との対面を果たすが、提案されたのは後宮内での二つの仕事。ある時は引きこもり後宮妃(欣怡)として巫女の務めを果たし、またある時は、少年宦官(子墨)として庭園管理の仕事をする、忙しくも楽しい二重生活が始まった。
仕事中に秘密の能力を活かし活躍したことで、子墨は女嫌いの峰風の助手に抜擢される。女であること・巫女であることを隠しつつ助手の仕事に邁進するが、これがきっかけとなり、宮廷内の様々な騒動に巻き込まれていく。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
【完結】『左遷女官は風花の離宮で自分らしく咲く』 〜田舎育ちのおっとり女官は、氷の貴公子の心を溶かす〜
天音蝶子(あまねちょうこ)
キャラ文芸
宮中の桜が散るころ、梓乃は“帝に媚びた”という濡れ衣を着せられ、都を追われた。
行き先は、誰も訪れぬ〈風花の離宮〉。
けれど梓乃は、静かな時間の中で花を愛で、香を焚き、己の心を見つめなおしていく。
そんなある日、離宮の監察(監視)を命じられた、冷徹な青年・宗雅が現れる。
氷のように無表情な彼に、梓乃はいつも通りの微笑みを向けた。
「茶をお持ちいたしましょう」
それは、春の陽だまりのように柔らかい誘いだった——。
冷たい孤独を抱く男と、誰よりも穏やかに生きる女。
遠ざけられた地で、ふたりの心は少しずつ寄り添いはじめる。
そして、帝をめぐる陰謀の影がふたたび都から伸びてきたとき、
梓乃は自分の選んだ“幸せの形”を見つけることになる——。
香と花が彩る、しっとりとした雅な恋愛譚。
濡れ衣で左遷された女官の、静かで強い再生の物語。
月華後宮伝
織部ソマリ
キャラ文芸
★10/30よりコミカライズが始まりました!どうぞよろしくお願いします!
◆神託により後宮に入ることになった『跳ねっ返りの薬草姫』と呼ばれている凛花。冷徹で女嫌いとの噂がある皇帝・紫曄の妃となるのは気が進まないが、ある目的のために月華宮へ行くと心に決めていた。凛花の秘めた目的とは、皇帝の寵を得ることではなく『虎に変化してしまう』という特殊すぎる体質の秘密を解き明かすこと! だが後宮入り早々、凛花は紫曄に秘密を知られてしまう。しかし同じく秘密を抱えている紫曄は、凛花に「抱き枕になれ」と予想外なことを言い出して――?
◆第14回恋愛小説大賞【中華後宮ラブ賞】受賞。ありがとうございます!
◆旧題:月華宮の虎猫の妃は眠れぬ皇帝の膝の上 ~不本意ながらモフモフ抱き枕を拝命いたします~
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
<第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。応援ありがとうございました!>
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる