56 / 71
【記録資料】六守谷町民生委員会 相談記録抄
件名:鏡池公園での出来事について(中学二年男子)
しおりを挟む
六守谷町民生委員会 相談記録(抜粋)
記録者:北川 綾子(民生委員)
日付:令和四年八月三日
件名:鏡池公園での出来事について(中学二年男子)
1.相談のきっかけ
町立第一中の二年生の男の子。お母さんに連れられてうちに来た。
お母さんの話では、7月30日の夕方ごろ、鏡池公園で「池に引き込まれそうになった」とのこと。
それ以来、夜眠れなかったり、「誰かに呼ばれてる」と言ったりするようになってしまい、心配して相談に来た。
話を聞いているうちに、実際は「夕方」ではなく「夜中」にあった出来事だと分かった。
本人がぽつぽつと本当のことを話し始めたので、以下にまとめておく。
2.本人の話(だいたいの内容)
「ほんとは夜でした。怒られるので母さんには夕方だと話しました。
先輩から“夜中の2時に鏡池に女の幽霊が出る”って聞いて、友だち二人と肝試しに行ったんです。
集合したのが夜の十二時半くらいで、コンビニ寄ったりして、公園に着いたのは一時ごろでした」
「最初は何もなかったけど、友人たちと雑談をしていると、池のほとりに白い人が立ってるのが見えました。
まったく動かないから最初は人とは思わなかった。でもよく見ると風で髪だけが揺れてました。
それで友人たちに『出た! 女の幽霊や』と言ったんですが、二人には見えていない様子でした」
「必死に指をさしてるうちに、気づいたら、自分が自分の体を上から見てたんです。
頭の上に浮かんでるというんじゃなくて、なんか、巨大ロボの頭にある操縦席にいるみたいな感じで、半分だけ頭から上に出てた。
友達の声も、すごく遠くで聞こえてました。
友だちが俺の腕を引っ張ってるのが見えるけど、自分の体は勝手に前に進んでました」
「だんだんと、自分の体がゆっくり池に向かって歩いているのが分かりました。
池の周りには柵があるんですけど、それを乗り越えようとしているのは分かりました。
水面は波打ってて、いつの間にか池のほとりにいたはずの女の幽霊は池の中で俺を待っていました。白い手がこちらに向かって伸びてきてました。
でも、それも怖いとかじゃなくて、行かないといけない気がしてました。
なんでか分かんないけど。幽霊が美人だったのもあるかもしれないです」
「そのとき、『お前たち! 何してる!』って声がして、ハッとしたら、目の前に池があって、片足が水に入ってました。
冷たかったです。
懐中電灯の光がこっちに向けられてて眩しくて、警察の人が立ってました。
池を見たら、もう何もいませんでした」
3.友だち二人の話(要約)
・夜中の一時すぎ、公園に着いたときは他に人はいなかった。
・○○くん(相談者)が「女がいる」と言い出したけれど、最初は二人には何も見えなかった。
・○○くんが急に「行かなきゃ、呼んでる」と言い出して、池の方へ歩き始めた。
・二人で腕をつかんで止めようとしたが、すごい力でびくともしなかった。
・足元がぬかるんでいて、滑って転んだときに手が離れてしまった。
・その瞬間、池の方に“白い影”のようなものが見えた。顔は見えないけれど、人の形をしていた。
・すぐあとに「お前たち!」という声がして、警察官が懐中電灯を向けていた。
・影はその瞬間、ふっと消えた。
4.お母さんの話
・本人は最初「夕方だった」と言い張っていた。夜中に出歩いていたことを隠していたらしい。
・事件の翌日から熱っぽく、夜になると「まだ呼んでる」「鏡の中」と寝言を言う。
・今は鏡も窓も布で覆って生活している。
5.北川の記録と所感
・一時的なショックというより、本人にはかなり強い印象が残っているように感じた。
・一緒にいた二人の話にも共通する点が多く、作り話あるいは妄言とは思えない。
・現場(鏡池公園)には、転倒したような足跡と、柵の手前の泥の乱れが確認された。
・鏡池公園のあたりは昔「しずめの森」と呼ばれていた場所で、古い記録によると戦前までは神様の住む池として、鏡池に銅鏡を沈める風習があった。
当面は夜間の外出を控えるように指導。
学校には生活支援をお願いし、必要があればカウンセラーに相談をつなぐ予定。
記録:六守谷町民生委員 北川 綾子
(※町福祉課と学校関係者にはすでに報告済)
記録者:北川 綾子(民生委員)
日付:令和四年八月三日
件名:鏡池公園での出来事について(中学二年男子)
1.相談のきっかけ
町立第一中の二年生の男の子。お母さんに連れられてうちに来た。
お母さんの話では、7月30日の夕方ごろ、鏡池公園で「池に引き込まれそうになった」とのこと。
それ以来、夜眠れなかったり、「誰かに呼ばれてる」と言ったりするようになってしまい、心配して相談に来た。
話を聞いているうちに、実際は「夕方」ではなく「夜中」にあった出来事だと分かった。
本人がぽつぽつと本当のことを話し始めたので、以下にまとめておく。
2.本人の話(だいたいの内容)
「ほんとは夜でした。怒られるので母さんには夕方だと話しました。
先輩から“夜中の2時に鏡池に女の幽霊が出る”って聞いて、友だち二人と肝試しに行ったんです。
集合したのが夜の十二時半くらいで、コンビニ寄ったりして、公園に着いたのは一時ごろでした」
「最初は何もなかったけど、友人たちと雑談をしていると、池のほとりに白い人が立ってるのが見えました。
まったく動かないから最初は人とは思わなかった。でもよく見ると風で髪だけが揺れてました。
それで友人たちに『出た! 女の幽霊や』と言ったんですが、二人には見えていない様子でした」
「必死に指をさしてるうちに、気づいたら、自分が自分の体を上から見てたんです。
頭の上に浮かんでるというんじゃなくて、なんか、巨大ロボの頭にある操縦席にいるみたいな感じで、半分だけ頭から上に出てた。
友達の声も、すごく遠くで聞こえてました。
友だちが俺の腕を引っ張ってるのが見えるけど、自分の体は勝手に前に進んでました」
「だんだんと、自分の体がゆっくり池に向かって歩いているのが分かりました。
池の周りには柵があるんですけど、それを乗り越えようとしているのは分かりました。
水面は波打ってて、いつの間にか池のほとりにいたはずの女の幽霊は池の中で俺を待っていました。白い手がこちらに向かって伸びてきてました。
でも、それも怖いとかじゃなくて、行かないといけない気がしてました。
なんでか分かんないけど。幽霊が美人だったのもあるかもしれないです」
「そのとき、『お前たち! 何してる!』って声がして、ハッとしたら、目の前に池があって、片足が水に入ってました。
冷たかったです。
懐中電灯の光がこっちに向けられてて眩しくて、警察の人が立ってました。
池を見たら、もう何もいませんでした」
3.友だち二人の話(要約)
・夜中の一時すぎ、公園に着いたときは他に人はいなかった。
・○○くん(相談者)が「女がいる」と言い出したけれど、最初は二人には何も見えなかった。
・○○くんが急に「行かなきゃ、呼んでる」と言い出して、池の方へ歩き始めた。
・二人で腕をつかんで止めようとしたが、すごい力でびくともしなかった。
・足元がぬかるんでいて、滑って転んだときに手が離れてしまった。
・その瞬間、池の方に“白い影”のようなものが見えた。顔は見えないけれど、人の形をしていた。
・すぐあとに「お前たち!」という声がして、警察官が懐中電灯を向けていた。
・影はその瞬間、ふっと消えた。
4.お母さんの話
・本人は最初「夕方だった」と言い張っていた。夜中に出歩いていたことを隠していたらしい。
・事件の翌日から熱っぽく、夜になると「まだ呼んでる」「鏡の中」と寝言を言う。
・今は鏡も窓も布で覆って生活している。
5.北川の記録と所感
・一時的なショックというより、本人にはかなり強い印象が残っているように感じた。
・一緒にいた二人の話にも共通する点が多く、作り話あるいは妄言とは思えない。
・現場(鏡池公園)には、転倒したような足跡と、柵の手前の泥の乱れが確認された。
・鏡池公園のあたりは昔「しずめの森」と呼ばれていた場所で、古い記録によると戦前までは神様の住む池として、鏡池に銅鏡を沈める風習があった。
当面は夜間の外出を控えるように指導。
学校には生活支援をお願いし、必要があればカウンセラーに相談をつなぐ予定。
記録:六守谷町民生委員 北川 綾子
(※町福祉課と学校関係者にはすでに報告済)
20
あなたにおすすめの小説
お客様が不在の為お荷物を持ち帰りました。
鞠目
ホラー
「変な配達員さんがいるんです……」
運送会社・さくら配達に、奇妙な問い合わせが相次いだ。その配達員はインターフォンを三回、ノックを三回、そして「さくら配達です」と三回呼びかけるのだという。まるで嫌がらせのようなその行為を受けた人間に共通するのは、配達の指定時間に荷物を受け取れず、不在票を入れられていたという事実。実害はないが、どうにも気味が悪い……そんな中、時間指定をしておきながら、わざと不在にして配達員に荷物を持ち帰らせるというイタズラを繰り返す男のもとに、不気味な配達員が姿を現し――。
不可解な怪異によって日常が歪んでいく、生活浸食系ホラー小説!!
アルファポリス 第8回ホラー・ミステリー小説大賞 大賞受賞作
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/2/24:『ぬかるみ』の章を追加。2026/3/3の朝頃より公開開始予定。
2026/2/23:『かぜ』の章を追加。2026/3/2の朝頃より公開開始予定。
2026/2/22:『まどのそと』の章を追加。2026/3/1の朝頃より公開開始予定。
2026/2/21:『おとどけもの』の章を追加。2026/2/28の朝頃より公開開始予定。
2026/2/20:『くりかえし』の章を追加。2026/2/27の朝頃より公開開始予定。
2026/2/19:『おとしもの』の章を追加。2026/2/26の朝頃より公開開始予定。
2026/2/18:『ひざ』の章を追加。2026/2/25の朝頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
これはあくまでフィクションですが、私がみた夢の話を誰かきいてくれませんか?
芝 稍重
ホラー
私は子供の頃の夢日記を書いています。
この話には続きがありますが、ここでは書きません。この話でピンときた人は、コメント欄で知らせてほしいです。
(※このあらすじは、本文にでてくる「夢日記」投稿当時のものを復刻した内容です)
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる