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第4話 動く影
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「随分な落ち込み様だな」
釈然としない気持ちを抑えきれず、それが口調に現れてしまった。
だが、ユリアーナはそんな俺の口調など気付かずに頭を抱える。
「ここは危険な世界だから、攻撃系のスキルが欲しかったわー」
「その危険な世界を生産系のスキルしかない俺と、俺以上に能無しのユリアーナとでどうやって生きていくんだ」
「目的が変わってる! 神聖石を集めるの! 世界を救うのよ! それにあたしは役立たずじゃないわよ。女神の力を失ったとは言っても、治癒系の光魔法と地、水、火、風の四属性の魔法を全部使えるんだからね」
誇らしげに胸を張りユリアーナが『それだけじゃないのよ』、とさらに続ける。
「魔力感知と異空間収納に簡単な飛行能力もあるのよ」
じゃあ、戦闘はユリアーナに任せて俺は生産に精をだすか。
「俺は日用品でも作ることにするから、戦闘は任せるよ」
戦う女神様の傍らで生産に従事してスローライフ。
それも悪くないかもなー。
「安心しなさい。たっくんも前衛で十分に戦えるから。属性魔法の才能がなくても魔道具の助けを借りて強力な魔法を使えるわ。つまり、錬金術で魔道具を自作して戦えばいいのよ」
「錬金術じゃなくって錬金工房な」
スキルの正式な名称を告げた。
「それよ。あたしも長いこと女神をやっているけど、錬金工房なんて初めて聞くスキルよ」
「この世界にはいままで存在しなかったスキル、俺だけのユニークスキルか」
未知のスキルであることに若干の優越感を覚えた瞬間、ユリアーナが冷水を浴びせる。
「誰かに使い方を教えてもらうこともできないから自力で何とかするしかないわね」
「頼むから俺の前途に不安の影を落とさないでくれ」
「落ち込みたいのはこっちよ」
ユリアーナが憂わしげな表情を浮かべた。
悩みは俺と同じ、多難そうな前途のようだ。
「でも、普通は誰かに教えてもらうまでもなく、自分のスキルなら直感である程度分かるはずなのよねー」
「やめてくれ。心が折れそうだ」
「先ずは魔道具ね。試行錯誤して何とか魔道具を作れるようになりましょう」
立ち直ったユリアーナが当面の目標を打ち出した。
俺に自作の魔道具を装備させた戦わせようという計画だ。
「根本的に無理がある。俺は運動神経があまりよろしくないんだ」
「運動音痴なんて気にしなくても大丈夫」
オブラートに包んだのに、俺のブライドを一言で打ち砕いてくれたな。
言葉に詰まっている俺を置き去りにしてユリアーナが続ける。
「魔力による身体強化が可能よ。たっくんの魔力は容量も出力もこの世界の住人とは比べものにならないくらい大きいの。魔法による身体強化で上位の戦闘職以上の肉体能力は簡単に得られるわ」
「つまり、俺は十分に強いってことか?」
俺の中で一度は失われた意欲が再び頭をもたげた。
そのタイミングでユリアーナがさらに持ち上げる。
「そうよ、たっくんは強いわよー。悪人どころか魔物だって簡単に倒せるくらいなんだから」
可愛らしい笑顔。
あの笑顔に騙されたんだよなー。
「真偽の程は後で確かめるとして」
当面どうするのか聴こうとする矢先、俺は視界の端に動く影を捉えた。
釈然としない気持ちを抑えきれず、それが口調に現れてしまった。
だが、ユリアーナはそんな俺の口調など気付かずに頭を抱える。
「ここは危険な世界だから、攻撃系のスキルが欲しかったわー」
「その危険な世界を生産系のスキルしかない俺と、俺以上に能無しのユリアーナとでどうやって生きていくんだ」
「目的が変わってる! 神聖石を集めるの! 世界を救うのよ! それにあたしは役立たずじゃないわよ。女神の力を失ったとは言っても、治癒系の光魔法と地、水、火、風の四属性の魔法を全部使えるんだからね」
誇らしげに胸を張りユリアーナが『それだけじゃないのよ』、とさらに続ける。
「魔力感知と異空間収納に簡単な飛行能力もあるのよ」
じゃあ、戦闘はユリアーナに任せて俺は生産に精をだすか。
「俺は日用品でも作ることにするから、戦闘は任せるよ」
戦う女神様の傍らで生産に従事してスローライフ。
それも悪くないかもなー。
「安心しなさい。たっくんも前衛で十分に戦えるから。属性魔法の才能がなくても魔道具の助けを借りて強力な魔法を使えるわ。つまり、錬金術で魔道具を自作して戦えばいいのよ」
「錬金術じゃなくって錬金工房な」
スキルの正式な名称を告げた。
「それよ。あたしも長いこと女神をやっているけど、錬金工房なんて初めて聞くスキルよ」
「この世界にはいままで存在しなかったスキル、俺だけのユニークスキルか」
未知のスキルであることに若干の優越感を覚えた瞬間、ユリアーナが冷水を浴びせる。
「誰かに使い方を教えてもらうこともできないから自力で何とかするしかないわね」
「頼むから俺の前途に不安の影を落とさないでくれ」
「落ち込みたいのはこっちよ」
ユリアーナが憂わしげな表情を浮かべた。
悩みは俺と同じ、多難そうな前途のようだ。
「でも、普通は誰かに教えてもらうまでもなく、自分のスキルなら直感である程度分かるはずなのよねー」
「やめてくれ。心が折れそうだ」
「先ずは魔道具ね。試行錯誤して何とか魔道具を作れるようになりましょう」
立ち直ったユリアーナが当面の目標を打ち出した。
俺に自作の魔道具を装備させた戦わせようという計画だ。
「根本的に無理がある。俺は運動神経があまりよろしくないんだ」
「運動音痴なんて気にしなくても大丈夫」
オブラートに包んだのに、俺のブライドを一言で打ち砕いてくれたな。
言葉に詰まっている俺を置き去りにしてユリアーナが続ける。
「魔力による身体強化が可能よ。たっくんの魔力は容量も出力もこの世界の住人とは比べものにならないくらい大きいの。魔法による身体強化で上位の戦闘職以上の肉体能力は簡単に得られるわ」
「つまり、俺は十分に強いってことか?」
俺の中で一度は失われた意欲が再び頭をもたげた。
そのタイミングでユリアーナがさらに持ち上げる。
「そうよ、たっくんは強いわよー。悪人どころか魔物だって簡単に倒せるくらいなんだから」
可愛らしい笑顔。
あの笑顔に騙されたんだよなー。
「真偽の程は後で確かめるとして」
当面どうするのか聴こうとする矢先、俺は視界の端に動く影を捉えた。
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