戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第208話 剣術大会本戦⑥

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あの後、闘技場を出て宿に戻ったルーク、ミリーナ、ヒルダの三人は夕食の時間まで別行動をとっていた。

ルークは自分の部屋のベッドの上に座り瞑想をしている。

『落ち着きたいときはこうすると良い』

昔軍にいたときの先輩に教わってからルークは落ち着きたいときにはこうすることにしていた。

ただ、先輩からは何も考えないようにするようにと言われたもののルークの場合は色々なことを考えることが性にあっていた。

(7年前に何もかも出し尽くして戦った唯一の相手・・・バグラス。何とか勝てたがあの時は運が良かっただけだ)

ルークは当時のことを今でも鮮明に思い出すことが出来た。

あの時は、バグラス大将軍・・・当時は将軍であったが・・・と一騎打ちで戦う前にルークの仲間が次々とバグラスに挑み散っていった。

ルークが駆けつけたときには血の海といっても過言ではないほど同胞の血で溢れており、撤退命令が成されている中我慢できず、弔い合戦のために勝負を挑んだのだ。

あの時ほど激情に駆られていたことは先日の自分が死んだことにされていた件を除けば一度も無かった。

結果としては辛勝だったものの、冷静になって振り返るとルークがバグラスに勝てたのは同胞たちの決死の戦闘のおかげだと今でも思っていた。

いくら怪物バグラスでも人なのだ。

疲れもすれば衰えもする。

(生死をかけた一騎打ちの決着がつかなかったのは痛み分けだったからだ。あの時は残念ながら俺も立っているのがやっとだった)

一騎打ちの勝敗としてはルークの辛勝だった。

だが、戦争としては優秀な仲間を始め大勢を失ったルーク達の惨敗であった。

バグラス本人は決着をつけるまでやると最後までがなりたてていたがうまく交渉をしたジークムントの人間がいたため、その場は痛み分けで終わった。

それだけならまだしも、ボロボロで野営地に戻ったルークを待っていたのは絶賛の嵐だった。

亡くなった同胞への追悼の言葉も無く、圧倒的な負け戦を引き分けに戻したということで褒められたのだ。

ルークは知らなかったがバグラスは当時既にジークムント王国で最強と言われていた男だったということも賛辞に拍車がかかった理由だろう。

(正直、あの対応は俺には気に食わなかった)

考えれば考えるほど、どろどろと怒りの感情が溢れ出てきた。
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