戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第265話 悶々

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「い・・・いやいやいやいやな、なぁに言っているのよヒルダちゃん!確かにルークの事は尊敬しているけど、す・・・好きってことは」

『ない』

と言おうとしたが、あたしは言葉がでなかった。

ヒルダちゃんに答えかけている間に

『本当にそうか?』

と思ってしまったのだ。

ルークに初めて命を助けて貰ったときはお互いに名前も知らなかった。

そして二回目に助けて貰い、落ち着いてから名乗り合ったときは・・・

あたしは数カ月前のことを思い出して顔が真っ赤になるのを感じた。

そうだ、あたしってば思わずルークに抱き着いちゃったんだった。

単なる命の恩人に対しての行動ではなかった気がする。

ということは、あたしはルークのことが・・・好きなの・・・!?

今まで恋愛などしたことが無かったあたしはこの感情が何なのか自分でもよく分からなかった。

「・・・まぁ良い。まだルークの故郷やミリーナの実家のある王都までは十数日はかかるじゃろう?それまでに自分の気持ちを整理すると良い」

あたしが悶々しているとヒルダちゃんが妙に大人っぽくそのようにあたしに言ってくる。

・・・この子、本当にあたしより年下なのかしら?

年相応に思うことも多々あるが、ヒルダちゃんの言動から偶にそのように思ってしまう。

「ほれ。ひとまず、旅支度を終えたらミリーナの母親に向けて手紙を書くんじゃろ?」

ヒルダちゃんがテキパキと荷造りをしながらあたしにそう促す。

「え、ええ。そうね。まずは今やるべきことをやるわね」

「それがいい。旅支度をして、ミリーナが手紙を書き、足りないものを買い出しに行きながら手紙もだそう」

ヒルダちゃんがルークと合流するまでの間の予定を立ててくれる。

正直あたしは先ほどのヒルダちゃんの言葉が頭から離れず、思考が上手く機能していなかった。

「・・・そうね。まずは旅支度ね」

あたしもヒルダちゃんにならい、旅支度を進めた。
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